リスモ「真実は何時も一つっとコ◯ン君が映画の冒頭で毎回言ってるけど果たしてそれこそが真実なのだろうか?確かに事象的に考えれば起きた現象は一つのロジックの元行われたと言えるだろう。しかしそれは視点を当事者当てた場合であって例えば第三者から見たら別の結論に至らないだろうか?彼の言う真実が現場での事象推理であるのならその当時の被害者の心理状態が…」
アスナ「長いわよ!?あらすじと全然関係も無いし!とっとと本編に行きなさい!」
リンネ・ルリ・チャタ「出番取られた!?」
〈第五十七層 マーテンの町〉
「で、一体何をしてるのアナタ達?」
「「「え、見て解らない?メシ食ってる」」」
「なんでよおおお!!」
アスナのツッコミが店に響く。
シュミットを置いてリスモ達の後を付いてきてみれば事件発生前までいたあのレストランに入りメシを食い始めたのだから無理もない。
「アナタ達ふざけてるの!?行きたいところがあるからとか聞いてみればレストランでごはん食べたかっただけなの!?」
「だって今日朝から事件の調査でまともなメシ食べてなかったし。それに言うでしょ?謎解きはメシの後でって」
「やめて!私あのドラマ好きだったのに貴方がそれ言うのだけはやめて!」
「ま、いいだろメシ食うぐらい」
「そうそう。ほら体動かすよりも頭使う方が腹が減るの早いだろ?」
「
激しいツッコミにより肩で息をし始めるアスナ。やはり訓練されている人間でないとアホのボケは厳しいらしい。一通り文句を言いツッコミを終えたアスナは店員を呼び自分の分の料理を注文する。
(((いや、お前も食うんかい…)))
あれだけ散々言っておきながら自分も注文するアスナにアホ三人のツッコミが心の中で被る。
「で、謎が解けたって本当なの?」
注文を終えたアスナがリンネにそう問う。
「あぁ、確率的に言うなら九割以上はあるんじゃないかな」
「なら教えて。カインズさんとヨルコさんを殺した犯人とその手段を」
とアスナが問うとリスモは「フッ」と薄ら笑いをした。
「僕の考えが当たってるとすればそもそも今回の事件は“殺人”ではないんだよ」
「どういうこと?」
「単に僕たちは犯人の仕組んだ自作自演に引っ掛かていただけなんだ」
リスモは順を追って説明し始めた。
「まずアスナ、今回の被害者であるカインズとヨルコさんの死亡確認はした?」
「死亡確認?そんなの目の前で二人が砕け散るのを私もアナタ達も確認したでしょ?」
「そうじゃない。[
[黒鉄宮]とは、第一層の一番大きな広場(ログイン地点)にある施設である。この宮殿には三つの役割がある。
一つ目は[監獄エリア]。犯罪を犯したプレイヤーを閉じ込めておく施設である。
二つ目は[
そして三つ目が[
「それは…、確認してないけど…。でも目の前で確かに砕け散るのを見たんだから間違いないわ!」
「じゃあこれはどう説明する?」
リスモはメニュー画面を開き何かを操作し始めた。そして画面をひっくり返しある画像をアスナに見せた。
それは[
アスナは目を見開き何度も二人の
「え!?これって!」
「あの場にチャタ居なかっただろ?僕が頼んで[
「カインズさんの死亡確認をするため?」
「それもあるけどもう一つ。あの時ヨルコさんがシュミットの前で何かアクションを取ると思ったから変化あったらすぐ確認出きるようにね」
そしてヨルコが殺害された時、リスモはチャタにメールを送り[
「この画像から二人は死亡してないのが分かる。ではあの時計塔で殺されたプレイヤーはカインズでは無いのか?それも違う。ヨルコさんが間違いないと証明してしまっているからだ」
「でもだとしたらあの砕け散るエフェクトは何?間違いなく消滅するときのヤツよ?」
「それも簡単だ。見慣れているからこそ僕たちもあの場にいたプレイヤー達も騙されたんだ。そうだなぁ~、見てもらった方が早いか」
リスモは机に置かれていたフォークの両端を持ち捻り始めた。フォークはみるみるねじ曲がりそして『ポキッ』と音を立てながら二つに折れた。するとフォークがポリゴンとなり砕け散る。
「これ何処かで見たこと無い?」
「…そっか!あの時のは!」
「そう、恐らくカインズが装備していた鎧の破壊エフェクトだ。圏内でも耐久値の減少はある。腹に
「じゃあヨルコさんも…」
「恐らく僕たちが部屋に来る前に背中に短剣を刺し込んだ状態で椅子に座り頃合いを見てさりげなく窓に移動し、服の耐久値ギリギリになった瞬間窓から転落、そして[転落結晶]で別のフロアへ。刺された音は信憑性を高めるために何かの肉を刺した音を録音した[録音結晶]を使ったんだろう。
あの黒いローブのプレイヤーは共犯者であるカインズだろうな。
そもそもあの部屋も行動事態もおかしかった。殺されるかも知れないのに何故窓を全開にして自分から進んで窓行ったんだ?心理的になら窓は閉めきってその場に縮こまって動かないはずだ」
つまりこの事件はリスモの言う通り犯人のいない自作自演だとゆうことだった。つらつらと述べられるリスモの推理にアスナは下を巻く。ボス攻略に置いてもその頭脳で多くの功績を残し、今回の事件に置いても最も冷静に状況を見ていたのは彼であるだろうと思ったからだ。
「だとしたら動機は何?こんな手の込んだ事をしてまであの人達は何を…?」
「それはヨルコさんが言ってくれただろ?半年前のグリセルダの死についてだ。二人は売却に反対した一人であるシュミットがグリセルダを殺したと睨んで今回の事件を起こしシュミットから真相を語らせようとしたんだろう。今頃許しを乞うために墓参りでも行ってるんじゃない?」
「外部犯の可能性も無きにしも非ずなのにどうしてシュミットを?」
「それは[黄金林檎]解散後の身の振り方で疑ったんだろう。[聖竜連合]には入団基準があって一定以上のレベルと装備が必要で、シュミットはギルドを解散してすぐに[聖竜連合]に入団したらしい。恐らく犯人の
「なるほどね。ということはこれで事件は解決?」
「まぁそうなるな」
喋り終えたリスモはグラスに入った水を一気飲みする。そこでちょうどアスナが注文した料理が届きそれを口に運ぶ。
「カインズとヨルコさんはほっといていいのか?」
「もしリスモの推理道理ならあとはシュミットから半年前の真相を聞き出すだけだろ?ギルド個人の事にまで首を突っ込む必要はないだろ」
リンネの疑問にルリがそう答える。アスナも料理に舌鼓を打つながら心の中でそれに同意する。ヨルコさんの事だから後日ちゃんと説明してくれると思ったからだ。
事件の終息が訪れ各々肩の荷を下ろしリラックスし始める。ただ
「実はなんだけど一つ可能性を考えてるんだ」
「可能性?」
「あくまで可能性として聞いて欲しいんだけど、今回の事件の発端である半年前のグリセルダの殺人について、あれはシュミットが殺したんじゃ無いと考える」
リスモの言葉に
「アスナ、ギルドリーダーのグリムロックとグリセルダは結婚していたんだよな?」
「えぇ、ヨルコさんがそう言ってたわ」
「結婚によって発生するアイテムストレージの共通化は強制だよな?」
「私は結婚したこと無いから詳しく無いけど、聞くところだとそうみたいね」
「離婚した場合は、アイテムの価値が等価になるように分配されるのか?」
「そうなんじゃない?ねぇこの質問なんなの?」
「なら、
「「「っ!!」」」
リスモ以外の
「もし僕と同じ考えに至ったなら証拠もある。偽装殺人に使われた武器を作ったのは誰だ?ヨルコさんが刺された時、カインズだと思われるプレイヤーが着ていたローブは誰の物だった?」
可能性と言いつつも最早確信めいた答えだった。アスナはフレンドリストからヨルコさんの現在地を確認する。もし真犯人が
「今、ヨルコさんは十九層の迷宮区にいるわ!早く行きましょう!」
「まぁ待てアスナ」
今すぐにでも飛び出して行きそうなアスナをリスモが止める。
「どうしてよ!ヨルコさん達が危険にさらされてるかもしれないのよ!」
「落ち着け、冷静を欠いて状況を見誤るな。ここに居ない誰かを思い出してみぃ~」
「あぁ~、そゆこと」
「なるほど。だからか」
焦るアスナとは裏腹にリンネとルリは何かに気付き安堵の息を漏らす。それを見てアスナもここに居ない人を考える。そして脳裏に先程のリスモの会話に出てきた人物を思い出す。
「…あっ」
「どうして僕がわざわざ確認の為だけに行かせたか分かった?」
リスモは愉悦に浸るように笑う。アスナはその表情に腹を立てながらも納得してしまった。
と、そこで…
「ハァ…ハァ…ハァ…、お前らこんなところにいたのか!」
店の入り口に
「あ、ちょうどキリトも来たし行くか」
「そうね」
「行くか」
「ごそさん」
「お、オイ行くって何処にだよ?」
「何処って真犯人の所だよ。あ、キリト会計よろ」
と言ってリスモは伝票をキリトに渡す。
「はぁ…?いやいやいやちょっと待て!何で俺が!?」
「強いて言うならアスナの制止振り切って犯人追いかけたから。結局捕まえられなかったみたいだし」
「あぁ~、確かに重罪ね」
「ついでに前回食い逃げした分も入ってるから。てな訳で…」
「「「「ゴチで~す」」」」
そして店を出ていく四人。キリトはその背中をただ見つめながら会計を済ませるのだった。
キリトの残金が4016
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〈第十九層 迷宮区内〉
暗い闇に閉ざされた森の中、荒れ果てた大きな木の下でそれは起こっていた。
「なぁヘッドぉ~、アレやろうぜアレ!仲間同士で殺し合いさせて生き残ったヤツだけ見逃すってヤツ!」
「そう言ってお前、生き残ったヤツも殺したじゃねえか」
上半身をコートで覆った三人組の内の二人がそんな会話をしている。
それを恐怖と共に聞かされているのはカインズとヨルコ、そして麻痺毒によって身動きが取れないシュミットであった。
経緯は単純であった。といっても大体はリスモの推理道理である。シュミットはグリセルダの許しを乞うため木の下に作ったグリセルダの墓に命乞いをしに行き、そこでカインズとヨルコの策略により自身のした事を暴露、その後何物かに麻痺毒をかけられた後コートの三人組が現れたのてある。
三人組の正体はこの
「さて、それじゃあ…」
徐に
「イッツ・ショウ…」
自身の決め台詞と共にシュミットに切りかかるため武器を振り上げた、
その瞬間
「
「っ!?」
ドガァン!
直後自身の居た場所に爆発音と土煙が舞い上がる。
やがて土煙がはれ爆発音の正体が現れる。そこにあったのは矛の部分が全て地面に埋まり突き刺さった槍であった。
「あ~あ、外れたじゃん。やっぱ兄貴の槍は肝心なときに当たんないんたなぁ~。次やるときは師匠の方にしよ」
その場の状況とは裏腹に気軽な声が聞こえる。一同は声のする方を向く。代表するかのように最初に声の主の名を叫んだのはヨルコだった。
「チ、チャタさん!?」
「ども~ヨルコさん、取り合えず無事?」
チャタは散歩でもするかのような足取りで歩いていた。そしてシュミットの真横に立つと先程投擲した自分の槍を回収し矛先を
「で、どうする?ヤるってんなら俺が相手になるけど?ただもうすぐウチの
「…行くぞ」
静かに告げたそれに幹部達が付いてくる。この場は分が悪い、だがいずれは
「ちょっと待った」
チャタが
「…顔、落書きされてますよ」
と小さい(と言っても割りと周りに聞こえる声)で言ってきた。
(((((いやそれ、殺人ギルドのボスのファッションんんん!!!)))))
「…あの~、もしかして朝に鏡見ない派の人ですか?ダメだよ~寝起きは必ず顔になんか付いてんだからさ~。てか落書きされてるってことは部下からナメられてる証拠ですよ。ちゃんとそうゆうところはビシッと言わなきゃさ~」
チャタはヒソヒソ話のつもりだろうが全部丸聞こえである。これに対し
「…べ、別に知らなかった訳じゃねぇし~。単にフード被ってればバレないと思っただけだし~。つ~かぁ、この落書きやったの誰だし!マジ卍なんだけど~!」
なんか顔の
「おい…、ボスに…、舐めた口…、聞くな…」
幹部の一人であるザザが間にはいってきた。
「てかお前のその口調も何なの?片言の日本語しか喋れない外人?聞き取りずらいから止めてくれない?その中途半端なドクロの仮面とか着けて
「いや…、別に…、キャラ作りで…、着けてる…、つもりは…」
「ちょっとちょっと、きっとアイツですよあなたの顔に落書きしたの。だって止めろって言ったのに片言止めませんし」
「そうなのかザザ?」
「そんなわけねぇだろボス」
ザザは
「つーか、今日もう本っ当無理だし帰るし!」
ズカズカとした足取りでその場を去る
危機が去った事で腰が抜けたヨルコとそれを支えるカインズ、そしてどさくさに紛れて麻痺毒を解除したシュミットらが各々安堵の息を漏らす。
「あ、ありがとうございますチャタさん。でもどうしてここに?」
カインズに支えられながらヨルコはチャタにそう訪ねる。
「[
「そうだったんですか…。ところで今脅すって言いかけませんでした?」
「(言って)ないです」
そんな雑談を続けているとリンネとルリがやって来た。
「よぉチャタ、どうやら上手いことやれたみたいだな」
「まぁ心配はしてなかったが無事なのは良いことだしな」
「おぉ!あれ、リスモとアスナと
「二人もそろそろ来るだろう。
とそこへアスナとリスモもやって来た。とある人物と一緒に。
その人物は元[黄金林檎]ギルドリーダーのグリムロックであった。彼こそが半年前のグリセルダ殺害の真犯人だったのである。彼は現実においても夫婦であったグリセルダと共にこのゲームに捕らわれてしまい自身は死の恐怖に毎日のように怯える日々を過ごしているにも関わらず、妻であるグリセルダはむしろ生き生きとしている姿に現実の頃の妻は死んだと狂気じみた理由により、指輪を建前にグリセルダを
全てを語り終えたグリムロックをその場にいた誰もが哀れだと感じた。その後「後の処遇は任せて欲しい」とカインズ達三人から要求され、後日謝罪と今回の事件の全容公開を約束しリンネ達はそれを了承した。
これにより事件は完全解決。アスナは事後報告のため一足先に[血盟騎士団]ギルド本部に戻って行った。
「さてと、俺達も帰るか」
「今日はもうオフにしよう。流石に色々疲れた」
「てか考えたら俺、飯も食わずに徹夜してるしゃん。腹へった~」
「う~ん、久しぶりに戦闘意外で頭使ったから眠いや。早く宿行きたい」
そしてアホ達もまた帰ろうと歩き出そうとしたときであった。ちょうど日の出の時刻になり自分達四人の影が伸びてるのが見えたがそれとは別の影があることに気付き振り向いたとき、墓の傍らで立っている女性プレイヤーがいた。女性プレイヤーは微笑みながら四人に深々と頭を下げるとうっすらと太陽の光に溶けていった。
その光景を唖然と見ていたアホ達。
「…見たか?」
「…見た」
「…見えた」
「…見ちゃった」
「ちょっと頬っぺつねってくれ」
リンネをルリが、ルリをチャタが、チャタをリスモが、リスモが自身をつねった。やって来るのはつねった所からの痛み。
「…痛いな」
「…痛い」
「…痛いじゃん」
「…現在進行形で痛かったぞー」
「てことは…」
アホ達の顔が青ざめる。
「「「「出たああああーーーー!!!」」」」
アホ達は反転し全力疾走でその場を逃げるのであった。
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おまけ
〈後日談〉
数日後、
「…てな訳で、俺達が紹介できる
「それで構わないわ。ウチでも似たような案だったし」
「俺もそれで問題ない」
リンネの案に賛同するアスナとシュミット。カインズとヨルコは既に頭が上がらない状態だ。本来なら自分達がやるべき後始末を丸々引き受けてくれているのだから。
「てかカインズさん、すみませんあの時は…。いや本来は俺じゃなくて
キリトがチャタを指差しながらカインズに謝る。もちろんあの金的の事である。当のチャタはカフェオレ(色はケミカル)を飲んでホッコリしてる。
「あぁ、大丈夫ですよ。気にしてません。
「「「「「「oh…」」」」」」
その場にいた
ちくしょう!
文才も語彙力も無いから時間がかかっちまったぜ!(精一杯の言い訳)
推理の中に矛盾とかがあるかもしれないので暖かい目で見てください…ごめんなさい