――――――――――由比ヶ浜が死んだ。
月曜日の朝のホームルームでそう平塚先生は言う。
さっきまで騒いでいたはずの生徒たちはとっくに静かになり。自分の置かれた状況に気付く。
それと同時に数人の生徒が泣き崩れる。
『・・・・は?なんの冗談だ?・・・』
そんな中俺一人が置いてきぼりにされている状況に困惑していた。
俺も涙を流した方がいいのか?俺もみんなと同じように呆然としてればいいのか?
そんな疑問が頭の中を徘徊する。
すると平塚先生は淡々と話し始める。
話を短縮するとを昨日の朝の5時ごろゴミをかたずけようとしたバーの店長が裏路地でバラバラ遺体となった由比ヶ浜を見つけたらしい。
犯人はまだ捕まってないらしいが時間の問題だという。
・・・・・・・・他殺か。
俺の中の何かが溢れかえりそうになっていた。
何だろうこれは・・・・怒り?いや違うな・・・これは憎しみ。
結局、俺は涙一つ流さずその時間を終えた。
☆☆☆
「平塚先生。」
俺はホームルームが終わった瞬間平塚先生を呼び止めた。
「なんだ?比企谷・・・・」
平塚先生も少なからずショックを受けているらしく何時もより気分が落ち込んだようになっている。まぁ当然と言えば当然だ、自分の生徒が一人死んだんだからな。
「少しお聞きしたいことが・・・」
「・・・良いだろう。聞いてみろ。」
「・・・・・・その死体は本当に由比ヶ浜のものだったんですか?」
何当たり前の事を聞いている?と自分でも思ってしまう。
「・・・ああ、遺体の損傷は激しくほとんど外見だけでは本人の区別もつかなかったという。しかも顔は真っ白に塗りたくられ真っ赤な口紅をさせられ髪は緑に変色していたらしい」
犯人はなぜこんな事をしたんだ?なぜ由比ヶ浜だったのか?それがどうしても分からない。
由比ヶ浜が恨みをこう様な事は決してしない人間であることは分かっているというのに
「早速その遺体の人物を探しDNA判定したところ・・・結果、由比ヶ浜だった。」
悔しそうに平塚先生は言う。
「クソッ!!・・・きっと私は犯人と自分を今後一生許す事は無いだろう。」
彼女はそう言い自分の仕事へと戻っていった。
俺は暫く動けなかった。由比ヶ浜のあまりにも残酷な最後に呆気を取られていて。
☆☆☆
平塚先生の話を聞いてから俺は授業の内容が頭に入らなくなっていた。
何も考えることも出来ず。何も頭に入らないという状況はクラス全土へと広がっている。
いつもは賑やかだったはずのクラスは、とっくに冷めきっていた。
それでも俺は今やもう空席となってしまった由比ヶ浜の席を眺めるしかなかった。
4時間目のチャイムが鳴り響く。
昼休みの始まりの合図だ。俺は弁当を片手にベストプライスへ向かおうと足を向けようとするが、途中で葉山に止められる
「・・・・・・比企谷話がある。」
真面目な顔で葉山はそう言った。
なんでこんな最悪な気分で最悪な奴の相手をしなくちゃいけないんだ。そう心の中で呟きながら嫌々うなずく
「・・・・屋上に来てくれ。」
葉山はそう言うと自分のグループへと歩み始めていた。
嫌々だが約束しちまった以上仕方ない。足を無理矢理方向転換させ屋上へと向かわせた。
体は完璧に拒否反応を見せている。あぁ、行きたくない。
そして無理矢理足を嫌々動かしたのだった
屋上に行く途中A組の前を通る。
雪ノ下雪乃のクラスだ。
彼女は由比ヶ浜の親友だったのでショックも激しかろう。
通るついでにチラッとクラスを覗くのだが、今日は休んでいるらしいのか教室に居なかった。部室のカギは俺が今持っているため部室には居ないだろう
☆☆☆
屋上に着くと俺は弁当を広げ始めた。
話をしてて昼休みが終わり結局弁当が食べれずお釈迦になるのはごめんだからな。
暫く弁当を突っついているとふと後ろからドアが開く音が聞こえてきた。葉山が来たのだろう。
「おい、遅いぞ?」
「すまん、ちょっと逃げ出せなくてな。」
そう何の悪びれもなく葉山は言う
「・・・・で?何の用だ。」
「・・・分かってるだろう?・・・・・・・結衣の事だ」
葉山は単刀直入に言う。まぁ、それしかないよな。
「まぁ、そうだよな・・・・で?何が聞きたい?」
俺は軽くそう返す
こいつも少なからず由比ヶ浜の死によって変わってきているのだろうと思う。
――――――いや、違う。
寒気が肌を通して伝わってくる。
逃走本能がビンビンになびいている
何処かおかしいと俺の体全体が俺の脳に伝えてきた。警戒心が走った瞬間葉山が口を開けた。
「―――――――――是非今回のショーの感想を聞きたいなと思ってね」
そう言って葉山がニヤリと笑った。
その笑い顔は一切正気に満ちておらず・・・何処か狂っているような緑色に変色した目
凍り付くような殺気と狂気を交互に食らう
「何の事d『プルルルr・・・・』っ!」
瞬間、俺の携帯が鳴り始めた。俺はすかさず電話を取る。
相手は平塚先生だった。
『比企谷!!今どこに居る!?』
「え?屋上ですけど?」
『そうか・・・じゃあ、葉山は近くに居ないんだな?』
「え?・・・いますけど・・・」
俺がそう答えた瞬間平塚先生の態度が変わる
『何!!?葉山がいるのか!!?比企谷良いか?よく聞け?』
慌てたように平塚先生は言う。
『―――――――――そいつが由比ヶ浜を殺した犯人だ。』
それを聞いた次の瞬間。俺の横腹には細いナイフが刺さっていた
「・・・・・ぇ?」
腰の異物を触りあてようと手を伸ばすがその前に体が重くなり崩れていく。
「・・・・っ!?」
倒れた方向が悪くナイフの方が下向きになる。ますます体に突き刺さっていく。
「ガッ・・・・・・・!?」
すると頭を誰かに踏まれる。踏んだ相手はやはりと言うべきか葉山だった。
「な、・・・・なぜこんな事を・・・?」
俺はそう聞くと狂ったように笑い始める
「HAHAHAHAHA!!!最っ高なジョークだとは思わないか!?比企谷。」
「ジ、・・・・ジョークだと?人の命を何だと思ってやがるっ!?」
「NO、それこそ偽善だ。比企谷。」
すると、葉山は俺の肩を持つ。
「いいか?比企谷、お前が今まで言ってきたように、この世界は腐っている。最初から善だと思っていて行動しようものなら殺されるような世の中だ。」
すると葉山はポケットからナイフを一つ取り出し。それを俺の口に差し込んだ。
「オレが一つ証拠を見せてやるよ」
葉山はそう言いながら自分の口に片手を当てる。
すると葉山の口のあたりがまるで皮を剥いでいるのように引きはがされていく
すべてを剥ぎ終え、全貌が現れると。俺は見てられなくなってしまった。
葉山の口は耳まで裂けていたのだ。
「お、お前・・・それ・・・」
「まぁ、聞けよ比企谷。これは俺の過去の話だ
オレの親父はなひどい飲んだくれだった。仕事は出来る癖にオレ達家族の事なんか見向きもせず。毎日飲んで飲んで飲みまくっていた。ある日家から酒が無くなった。単なる買い忘れだったんだが親父はそれで怒り狂ったさ。そして、俺の母親は死んだ・・・・・・分かるか?俺の母は親父を止めようとして死んだんだよ。奴が一方的に悪いにもかかわらずな!!
そして親父は母親を亡くして泣いていたオレに言った。『笑えよ』ってな。そして親父は俺の口をナイフで裂いてそして自殺した。それから俺は悩んだよ母を守るためにじゃあ俺はどうすればよかったんだってな。そして俺は気づいた。俺が不運だからいけないんだってことをな。じゃあ、どうすればいい?」
葉山はずっと笑っていた。
「―――――――笑うんだよ。」
葉山は静かに言った。
「笑えばハッピーが近寄ってくる。だから昨日辛そうにしていた結衣にハッピーをプレゼントしたんだよ!!彼女はとても幸せそうに逝ったよ。」
「クソッ!!!葉山!!お前は狂ってる!!」
「・・・残念だが。葉山隼人は死んだ。あの時親父と一緒にな今の俺の名前は
joker・・・・ジョーカー様だぁ!!!」
そう言ったと同時に口に差し込まれていたナイフを取り出し俺の脇腹に刺しこむ
「グガッ!!?・・・」
「比企谷、しぶといな~お前も。さっさと楽になれよ」
葉山はグリグリとナイフを俺の体へと入れ込む。そこから生暖かい赤い液体が流れだしてくるのもわかる
「ほらほら、もうちょっとで結衣の所へ行けるんだ。喜べよ。」
「・・ど、どこに喜べる要素があんだよ?」
「まだ皮肉が言えるか。余裕だな。」
そう言ってナイフを俺の体から引きはがす
ナイフを捨て葉山は近くにあった鉄棒を握りしめた。
「これくらいがいいだろう」
そうつぶやくと葉山は俺に近づいてきて
ドコッ!!
俺の体に叩きつけた。
「ガ八ッ!!!!」
俺は口から出た胃酸を吐く。
「どこが痛い?」
葉山は楽しそうに鉄棒を握りしめ。俺に叩きつける。
「此処か?」ドゴッ
「此処か?」ドゴッ
「此処か?」ドゴッ
「もしくは此処か?」ドゴッ
俺の体はもう限界を迎えていた。意識がもうろうとする。
「HAHAHAお前ももう終わりだn『ガンッ!!』・・・・はぁ~、良い所で誰だよ?」
鉄の扉が蹴り破られる音と同時に攻撃は止み、俺は薄れていく意識の中蹴り破られた方向を見ると一人の銃を持った警察が立っていた
「警察だ!!手を挙げて跪け!!」
「警察かぁ。こりゃまた厄介だなぁ」
わざとらしくそう言う葉山に目を向けると後ろのポケットに銃があるのが見て分かった。
コイツ、殺すつもりだ。
「手を上げろ!!」
「ハイハイっと」
葉山は軽く手を挙げる。それを確認すると警察は一歩一歩前へと進んでくる。
一歩一歩慎重に。
そしてある程度進んだ時。葉山が後ろのポケットに手を突っ込んだ。
「何をしている!!」
「ヒャハハハ!!じゃあな!!」
「っ!!?」
今にも引き金を引こうとしたその時
ドゴッ!!
俺は最後の力を振り絞り葉山を殴った。
そして葉山は吹っ飛び屋上のガードレールにぶつかりそのまま気絶した。
それを確認した後、俺はそのまま力尽きるように膝から崩れ落ちた。
「だ・・・・・か・・・・!・・・・・・・・・・・・・・・・?」
そして俺はそのまま気絶した。
ジョーカーはこんなんじゃないって思った人~だって葉山だもんジョーカーにはなり切れへんよ