俺は比企谷八幡でありバットマンである。   作:マッキーガイア

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EPISODE5:the near future

「小町、大丈夫か?」

 

 比企谷八幡、つまり兄が死んでからとうに3カ月がたっていた。ドアの向こうから父が話しかけてくれるのが分かるがどうだっていい、今はとりあえず一人にしてもらいたかった。兄の形見の黒いポーチを抱きしめながら部屋で涙を流しながら籠っている。

 兄の遺体は警察の方で預かっているらしいが一向に帰ってくる様子はない。お葬式の時だって空っぽの棺を遺体として安置した。でも多分兄が帰ってきたとしてもその顔を見た瞬間泣き崩れて今までの私に帰れない気がする。だから正直まだ帰ってきてほしくない。怖いのだろう、兄が苦しんでいる姿を想像するのが…

 

「わかった………お腹がすいたら下に降りて来いよ…今日はお前の好物のステーキだからな…」

 

 父が引き上げて階段を下りていく音がする、このままじゃダメだってのは小町が一番わかってる。でも、もう少しこうしていないと壊れてしまう。

 

「………でも、そろそろ出ないと」

 

 もう3日何も食べてない。たしか最後に物を通したのはパンだったか、時計を見るともう夜の12時を過ぎていた。窓から外を覗くと空は闇にまみれていた、ああそういえばお兄ちゃんが言ってたな、ニートになると昼と夜の区別がつかなくなるってこういう事だったのか。ちょっと悲しくなる。

 お腹がすいたけど親にはまだ会いたくない。コンビニに行こうかな…

 

 そう思うと二階から屋根を蔦り下に降りた。靴は昔使ってたビーチサンダルで良いや。

 

 すぐ近くのコンビニに行く、

 

 

「おい姉ちゃん、ちょっとその腰に下げてるポーチおいて行ってくれねぇか?」

 

 

 声を掛けられた方向を見る。男だった、片手には銃を持っている。

 

……暴漢、

 

「おい置いてけって言ってんだろ!!!!さっさとしろ!!」

 

 男は興奮していて銃が震えているすぐにでも行動しないと間違いなく殺される。

 

「ちょ……」

 

 声が震えてそれ以上声が出ない。

 

「もういい!!我慢の限界だ!!」

 

そう言うと銃を私に向ける。

 

 

死ぬ、

 

 

そう思った瞬間男の顔が強張る、何?私を見ているの?次の瞬間銃の軌道は私を外れ、別に向けられていた

 

 

 

 

「……っ!?なんなんだ!?」

 

 

 

 

恐怖に顔をゆがめているようだった。声がすくんでいる。次の瞬間、銃が何かにぶつかり吹っ飛んでいった。

 

「ぐっ!?てめっ……!?」

 

明りに照らされ何か手裏剣のような物だという事が分かる、形はまるで…

 

「……蝙蝠」

 

私は呟く、

 

 

「ックソ!!なんなんだよ!!お前は!!!」

 

 

 男は銃に向けて走って行こうとするが、それを何かに遮られ蹴り飛ばされた。

 

『……大丈夫か?』

 

 私を心配する声、エコーがかかっているが何かどこかで聞いた覚えがある。

 

「うおおおおおお!!!」

 

 男が走ってきた。片手にナイフを持っているがそれを何かが華麗に受け止めたと思うとナイフを落とす、たしかこれは柔術だろうか。

 

「お前聞いた覚えがあるぞ。いたるところでいきなり出てきて犯罪者を捕まえてるっていうらしいじゃねえか、たしか名前はファットマンだったか?」

 

 次の瞬間殴り飛ばされる。

 

「ぐっ…!!??」

 

『ファットマンじゃ太った男じゃねーか。バットマンだよ』

 

 そう言われると男は気絶した。気絶したことを確認すると私に近づいてくる、身体はマントを引きずって鎧のような物に覆われていている、顔にはマスクを被っている、正直さっきの暴漢より怖い。

 

『大丈夫か?』

 

「は、はい」

 

『そうか。こんな真夜中に何故こんな場所で?』

 

「いえちょっと……」

 

『……いえないか。まぁいい早く帰りなさい、親御さんも心配してるだろうから』

 

「はい、わかりました。」

 

 そういって家に向かおうと歩き出す。もうこんなのは嫌だ。すこし行くと一つ思い出した

 

あ、そういえばお礼を言ってなかった。

 

「あの、」

 

『…どうした』

 

「今回はありがとうございました」

 

『気にするな、ささっと帰りなさい。』

 

「はい、バットマンさんでしたよね?」

 

『ああ、』

 

「最近新聞を飾ってる」

 

『………ああ、そうだ』

 

「本当にありがとうございました」

 

私が再び頭を下げて謝るとバットマンさんは恥ずかしそうに頭を掻く。どこかで見た覚えがある光景だ。

 

あれ?

 

どこでだったかな?

 

 

腐った目を思い出した。

 

 

「おに……」

 

 

次の瞬間、風が吹く、

 

「キャッ!?」

 

飛行機だろうか、かなり低空飛行している

 

『じゃあさっさと帰れよ』

 

そういうと銃のようなものを手にして飛行機と一緒に飛んでいってしまう。

 

「…………お兄ちゃん?」

 

 

私はそう空を見上げてた。


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