俺は比企谷八幡でありバットマンである。   作:マッキーガイア

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EPISODE8:joke

―――亜化夢(アーカム)精神病院

 

 

カラン、カラン

 

誰かの足音が鳴る。

 

水滴がポツンポツンと落ちる時ガラッと大きな音で病室のドアが開く。メガネが光る。

 

「……彼の容態はどうだ?」

 

病室…否監視室の中にはパソコンの前でカタカタキーボードを押す男が一人、ちらりとドアを開けた男に目を向けた。すると男はため息を吐いて言う

 

「奴はいたって健康だよ。脳波にも異常を見受けられない。ただ奴が刺した男が死んだことを話した瞬間、病室に閉じこもってしまった。まるで殺してしまったことを後悔しているように。一応言っておくが奴は狂っていないぞ。」

 

「狂ってない?なら何故同級生二人を殺す様な真似ができる?」

 

「正確には二人だけじゃなかった…多分百はゆうに超えてるだろうよ」

 

耳を疑う。

 

「100だと!?」

 

「ああ、奴が嬉々として話してくれたよ。自慢話をするようにな。で埋めた場所を聞き出して掘ってみたら……」

 

男は写真を取り出す。

 

「数えきれないくらいの骨が出てきた。因みに頭蓋骨は一個も見つかっていない」

 

「何故、そんなことを?」

 

「奴曰く、必要な犠牲だとよ…」

 

写真を胸ポケットに再びしまう。

 

 

「まぁ、ここから先は奴に直接聞くと良い。俺はもう嫌だけどな」

 

「ああ、分かったでも。今ふさぎ込んでいるんだろう?」

 

「少なくとも話は出来るさ。多分今までの殺しの布石は最後の被害者の男へ向けてだったらしいからな。其の事についてだったら嬉々として話してくれるだろうよ。」

 

「ああ、分かった」

 

男はそれを聞くとまたパソコンへ向かっていった。

メガネの男はドアを閉めて隔離室に向かう。そこはかなり厳重な場所だ。たくさんの精神異常者がいるが今までだれ一人として抜け出すことは出来なかった。それもそのはず重いドアがまるで金庫のように隔離室につながる部屋を閉ざしているからだ。

 

「警察の者だ。」

 

警察手帳を監視員に見せる。すると監視員は敬礼して言う

 

豪呑(ゴードン)本部長ですね。お聞きしています。」

 

本部長じゃないんだがなと小さく言うが聞こえてないらしい。

 

「ああ、開けてくれ」

 

面倒なのでそのまま開けてもらう。

 

「ところで彼は何処の部屋に居るんだ?」

 

「ああ、あのピエロですね。あれは229号室に居ます。なんなら面会室に入れましょうか?」

 

「いやいい、私が直接話す。」

 

手を抑え。

彼に言われた通り。229号室に向かった。

 

 

「失礼、警察だ…」

 

重いドアをやっと開けて強化ガラスに包まれた病室を見る。全くこれじゃ刑務所よりもひどいじゃないかと悪態を着きそうになると誰かが硝子の奥の方で動く音がした。

 

 

 

「警察だと?」

 

 

男は言う。何故か男には口に傷がありそれを針で塗っていた。男は話始める。

 

「そうだ。葉山隼人だな?」

 

「いや違う。俺はジョーカーだよ」

 

ジョーカー(切り札)だと?」

 

「ああ、葉山隼人はもう死んだ。文字通りな」

 

手をひらひら煽るのに少し苛立ちを覚えるが気にしない。

 

「お前に関して聞きたいことがある。」

 

「なんだよ?まさかパイの作り方でも教わりに来たのか?」

 

「ふざけるな。お前が殺した比企谷八幡についてだ。」

 

「ああ、比企谷ね…」

 

少し自称ジョーカーは狼狽える。

 

「何故お前は比企谷八幡に固着していた?なぜそんなに必要に殺したがる。」

 

「殺したい?まさかハハハそんなはずないだろ。俺は比企谷を殺したくなんかなかった。奴が居なくてどうする?アイツは俺にとってかけがえのない相手だった」

 

笑い始めるジョーカー、それに苛立ちを覚える警官。

暫くするとジョーカーは笑うのをやめ感情的になっていく。

 

「俺は奴を殺したくなんかなかった!!!刺した時も急所をワザと外し、景観を損なわないようにずっと気にしていた!俺はあいつにとって最高の宿敵になる筈だった!!」

 

すると座り込むジョーカー

 

「……俺はアイツとの最終局面の為にずっと準備してたんだ。ステージを準備し、飾りも準備した。そして最後は華々しく死ねるように色んな小細工をしたよ。」

 

その言葉に引っかかる

 

 

「…お前が死んだらどうなる」

 

 

警官は聞いてみる。するとジョーカーは笑い出した

 

 

「HAHAHA‼……俺が望んでたのはそれだよ!!奴は俺と同じだった!俺は奴に殺されたかった!!そして…」

 

ニヤリと笑う

 

 

 

「それを達成した時、奴は完全になる…」

 

 

 

 背中に冷汗をかいた。警官は思い出す。ジョーカーを捕まえた時の事を、男が血を流しながら倒れていてそれを笑いながら見つめるジョーカー…まさに狂気だった。そして咄嗟にジョーカーが銃を突きつけた時警官…いや豪呑は動けなかった。その世界に圧倒されていた。そして倒れていた男がジョーカーにタックルをかまし、ジョーカーはあっけなく倒れる。

そして彼の先生と思われる女性が倒れた彼に近ずき泣き縋るのを見ていた……その時もまだ彼は動けなかった。気付いていた。終わっていた。もう駄目だった。

何もかもが心をえぐる。

 

「おいおい、どうした本部長…それじゃ警察の面子が保てんぞ」

 

「私は警視総監だ。それに本部長ではなく警視長だ。」

 

「お前はどっちかって言うと本部長があってるな。」

 

「よく言われる…では失礼する。」

 

ドアを触れようとする、しかし途中で一つ思い出した。

 

 

「そういえば、貴様死体の首をどうした?」

 

「首?ああ、もういらないからやるよ」

 

奴は地図を渡す。

見ると郊外のアイス工場と思われる場所に点が集まっていることが分かった。つまりこいつは…

 

「お前は……」

 

「言っただろ?アイツとの最終局面は歴史に残る物でなくてはならない…

 

 

 

 

 

かざりもそれにともわないとなぁ…

 

 


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