仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
「失礼します!」
ノックの後、はっきりとした声がドアの向こう側から聞こえてきた。聞き覚えのある声だ…。そうか、昨日の!
ガチャとドアが開かれると、陸奥と艦娘が一人部屋に入ってきた。
???「川内型軽巡洋艦、一番艦の川内と言います」
川内「この度は提督の召集命令を受け、参上しました」
えー、なんか昨日会った時と印象が違うんだが…。それで名前は川内と言うのね…。
ひっそり考えていたフランクに声掛けて仲良くなろうよ大作戦は、あっという間に頓挫した。あれー?
「朝早くからすまない」
あ、そう言えば神通いないな…。
「神通はどうした?」
川内と神通の二人を連れてくるように陸奥に頼んだはずだが…。
川内「それについては私から説明します!」
そう言って川内は一呼吸置いた。ほんの一瞬だが、川内の顔に怯えが表れていたような気がする。
川内「つきましては、提督と二人きりでお話をさせて頂けないでしょうか?」
この発言に僕と陸奥は驚いた!いや、正確には陸奥はどこかそう言うかもと予想していたような顔をしている。
「え、えっ!?えーと、えーとですね、この部屋で川内と二人きり……ですか?」
おいおいおいおい!童貞臭溢れる返答しちゃったよ!まあ童貞だけどさ。急に敬語になっちゃったし!
あ、陸奥が軽蔑したような顔でこっちを見てる。やめて、まだ追放はダメ。
川内「はい!お願いします!」
陸奥「川内、私に聞かれてはまずいことなの?」
川内「いえ…そういうわけでは…」
よし、僕も口調に気を付けて…。
「そうだな、陸奥が同席していた方が川内としても安心なのではないか?まだ会って間もないのだから、落ち着い……」
川内「いいえ!!!私は気になりませんので、差し障り無ければ是非提督と二人で話をさせて下さい!!!」
僕が言い終える前に、場の空気を一変させるくらい大きな声で川内がそう言い放った。これには僕だけでなく陸奥も圧倒されたようだ。
凛とした表情でそう言い放った川内は、とても美しく見えた。だけど、やっぱりさ、気付いてしまうんだよね。今まで人の顔や態度を見て生きてきたからさ。
表情も声も覚悟を決めた武人のようだけど、ほんの少し体が震えているんだよね。
…………。よし、分かった!ここは川内の言う通りにしよう。正直、また襲われたら太刀打ち出来ないけど、ここで川内の要望を無下にするならそもそも仲良くなんてなれない!
「分かった!陸奥、少し席を外してくれないか?」
陸奥「・・・」
すると陸奥が僕に近づいて来て、そっと耳打ちした。
陸奥「分かっていると思うけど、川内に変なことをしたらただでは済まないわよ」
「分かっているよ。僕を信じてここは任せてくれ」
陸奥「川内は貴方を提督だと思っているわ。昨日襲われた貴方なら分かると思うけど、艦娘の中には危害を加えようとする娘もいるのよ?」
「そうだね。ちなみにおそらく昨日僕を襲ったのは川内と神通だ」
陸奥「!? なら尚更二人きりはまずいんじゃないの?」
お、心配してくれてるのかな。それなら嬉しい。
「覚悟の上さ」
陸奥「……何かあったらこれを使いなさい」
そう言って陸奥は僕に何かを渡してきた。これは…無線機か。士官学校で使ったことあるぞ!
陸奥「使い方は分かるわね?」
僕が頷くと、陸奥は川内にも何か耳打ちして部屋の外へ出ていった。
川内「感謝します!提督!」
川内が深々と頭を下げる。
「構わないさ!さて…」
と僕がこれから何を話そうか考えている時、川内が自分の衣服を捲り、脱ぎ始めた。ヴァッ!!?
脱衣場じゃないよーー。
僕は昨日とは違った意味でマズイ状況に陥った。