仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね   作:雨降り

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見えない何でも屋3

私は目を瞑って全てを受け入れた。

目を瞑っていても分かった、提督がどんどん近づいてくるのが。私の心臓がバクバクと音をたてているのが。

 

耳には提督の激しい息遣いが聞こえていたのだが、段々と耳鳴りのようになって、終いにはキーンと甲高い音しか聞こえなくなった。

 

そして、提督が私の目の前に立ったのだろうか、キーンという音の中に吐き気を催すような下品な笑い声が聞こえてきた。強烈な臭いが鼻をつく。涙が溢れそうだった。でも…。でも、私は…。

私は目の前の現実から逃げようと心を無にし、思考を停止させた。そうしないとこれから来るであろう現実に立ち向かえなくなるから。

だけどどんなに頑張っても、心からは嫌悪感が溢れ、思考はこの場から逃げる方法を模索して止まらない。

私からこの状況を作り出したのに…だ。

 

そうこうしている内に、提督の手が私の後頭部と背中に回され、強引に提督の方へ引き寄せられた。そして、後頭部に回されている手が私の髪を無理やり引っ張り、上を向かされた。そこで私は不意に目を開けてしまった。

 

ああ、さようなら、幸せだった頃の私。

 

次の瞬間、私の唇に提督の乾ききった唇が激しく押し付けられた。胃の方から何かが込み上げてくるような気持ち悪さを感じる。唇を固く結び、なんとか堪えようとしていたが、あまりの力強さに押され、口の中に提督の舌が侵入することを許してしまった。私の頬を涙が伝うのが分かる。先程、あれだけ回転していた私の思考はすっかり止まってしまった。けれど、心は相変わらず、いや更に勢いを増して、止めどなく不快感が溢れていた。

 

しばらく提督は私の唇にむしゃぶりついていたが、飽きたのか、次は首の辺り、鎖骨の辺りに顔を埋めて、同様にしゃぶりついてきた。そしてそれにも飽きると、私は否応なしに激しく床に押し倒された。私は叫びたかった。でも、喉まで出かかったその叫びは口から出ることはなかった。それが、私に残された最後の意地によるものだったのかどうかは分からない。だけど、私が今ここで叫べば、間違いなく提督の毒牙は別のところに向いてしまう。私はその毒牙の向く先がどこか知っている。知っているからこそ、私は覚悟を決めて受け入れたんだ!

 

その後私がどうなったかは容易に想像がつくだろう。提督に問答無用で乱暴され、心も体も弄ばれた。

 

「また頼むぞ」

提督がせせら笑いを浮かべながらそう言って私から離れていった時、私はどんな顔をしていたのだろうか?

慰みものにされた私には分からなかった。

 

それから私は、ことある毎に呼ばれては提督の鬱憤の捌け口にされた。提督は、さすがに毎回執務室では出来ないと隠し部屋を幾つか設け、そこで私を痛ぶった。酷い時には、素性の分からない人たちを呼んで散々私を蹂躙した時もあった。

 

それでも私は受け入れた。

もう恐いものは私には無かった。今では人間が怖くはない。嫌悪感はすごくあるけど…。あ、でも、一つだけ怖いことがある。私の、私の大事な妹たちに人間の汚い手が及ぶことだ。

私の全てを差し出してでも守ってみせる。それが、提督に嬲られた時に固く心に誓った私の存在価値でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川内が服を捲って、その綺麗な肌を露出した時、僕は咄嗟に目を瞑った。

何だ!?何が起きている!?心臓がバクバクと脈を打っている。ふぅー、ふぅー、鼻息が荒くなってきた。

とりあえず、もちつけ!?僕は深呼吸をしようとしたが、カヒュッカヒュッと浅くしか呼吸が出来なかった。動揺しすぎ!!

この状況に至る意味が分からないから、思考はすんなり停止してしまった。いや、このままでは本格的にまずいぞ!川内のような美少女と万が一何かがあって、訴えられたりしてみろ!?それこそ、この鎮守府を追い出されるだけじゃない、牢屋に閉じ込められる……下手したら陸奥に殺されかねない。

 

昨日みたいに事情を話そうとしたって、衣服がはだけた美少女と提督の肩書きの無い暇人のどっちの言い分を聞くかと言われたら、全会一致で前者の言い分が通るに決まってる!!

 

「川内待ってくれ!何で服を脱ぐんだ!?」

僕は必死で言い放った。

 

返事は…ない。代わりに衣服がスルスルと床に落ちていく音だけが聞こえる。

 

「僕はね、君と話がしたいだけなんだ!頼むから服を着てくれ」

 

またもや返答はなし。無言。こうなったら無線機で…。いや、呼んだら終わる。八方塞がりか。

 

目を瞑っているせいか、耳が敏感になっているらしく、段々と近付いてくる足音が聞こえた。

 

「分かった!分かったよ!一つだけ答えてくれ!何が君にそこまでさせる!」

僕はつい叫んでしまった。

でもこの問い掛けは川内の重い口を開いた。

 

川内「お願い、神通と那珂には手を出さないで…」

聞こえてきたのは消え入るような涙声だった。

 

ああ、そうか…。僕はやっぱりダメな奴だな。ここに彼女たちを呼ぶ前に前任が何をしたのか、しっかりと把握しておくべきだった。案内図?所属する艦娘リスト?そんなことよりもまず頼むべきは、この鎮守府で起きたことを纏めた報告書だろ!!あるはずだ!前任がした悪行を克明に記した文書が!それが無いというなら、この鎮守府は存在の意味がない!いや、それだけじゃない!ブラック鎮守府の原因だけを排除して解決したと思っている上層部だって無用の長物だ!

 

僕は心の底から激流のように溢れ出す怒りに身体中が熱くなるのを感じた。決して目の前にいる美少女の裸を想像して熱くなっているのではない!断じてない!

今、僕がすべきこと!それは!

誠心誠意の謝罪だ!!!

 

僕は目を瞑ったままその場に土下座した。おそらく相手は今真ん前にいるのだろう。そして……。

 

「この度は、本当に本当に申し訳なかった!!!!」

と言いながら何度も頭を床に打ち付けた。額から流れ出るものがあるが、きっとこの鎮守府の艦娘たちが受けたものに比べれば安いものに違いない。

 

川内「!」

息を呑む声が聞こえた。そして直ぐ様…。

 

川内「何してんのさ!?頭から血!血が出てる!!」

慌てた声が聞こえる。すまない、本当にすまない!

 

「申し訳なかった!本当に申し訳なかった!!」

僕は構わず床に頭を打ち続け謝罪し続けた。

 

川内「や…やめてよ…。もう分かったから!」

 

川内「服着ればいい!?服着たらやめてよ!?」

 

激しく頭を打ち続けたせいか、何が何だか分からなくなってきた?あれ、僕は?でも、なぜか口からは呪文のように謝罪が出てくるし、頭を打ち付けるのも止められない、いや止めてはいけない!

 

川内「ほら!服着たよ!」

 

川内「もうやめてよ!!どうしたらいいの!?」

あぁ、なんか言ってることが理解出来なくなってきた…。ボーッとする。体がフワフワして浮いているような感覚に襲われた。

 

川内「ッ!」

 

川内「いい加減にしろー!!!」

僕の記憶は背中に重味を感じたところで途切れた。

 

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