仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
「うっ、うう…」
呻き声をあげながら、僕は目を覚ます。頭がガンガンする。それでも僕はゆっくりと上体を起こして、辺りを見回した。この部屋、見覚えがあるぞ。ここは……。
陸奥「あら、目が覚めたのね」
陸奥…。僕は立ち上がろうとした。
陸奥「無理しなくていいのよ…」
僕は執務室のソファーに寝かされていたようだ。確かにまだひどい頭痛は続いているが、僕は聞かずにいられないことがあった。
「川内は?」
部屋には僕と陸奥、そして…
長門「川内なら自室にいるぞ」
机に海図を広げ、作戦を練っていたのだろうか…長門がいた。
「そうか…」
陸奥「川内が貴方を背負って執務室に駆け込んできたのよ、驚いたわ」
長門「しかも、川内は青い顔をしているし、貴方は額から血を流していた。」
陸奥「私たちは最初、貴方が川内に何か変なことでもして返り討ちになったんじゃないかと考えたの」
えぇ、ひどくない?
長門「しかし、川内が事情を話してくれてな…」
陸奥「川内、貴方のこと心配していたわよ?貴方が目を覚ますまでここに居ると言っていたのを何とか諭して部屋に戻ってもらったわ。……随分、仲良くなったようね?」
川内……。そして、僕はハッとした。やらなければいけないことがある!
「長門!」
長門「何だ?」
「この鎮守府について纏められた報告書みたいなのはないか?」
長門「ここの設備や資源について書かれたものでいいのか?」
違う、それじゃない。聞き方が悪かったな…。
「それではなくて、前提督について書かれたものはある?」
正直、前提督のことを口に出すのは抵抗があった。それを口にすることで、嫌な思い出を呼び起こしてしまうかも知れなかったから。
長門「・・・」
陸奥「・・・」
案の定、長門も陸奥も黙りこんでしまった。でも、ここで退くわけにはいかない。どうしても、ここであったことを知らなければならない。
長門「何故、そんなものが見たいんだ?」
この言い方…資料自体はありそうな言い方だな。
なら!
「ここで生活する上で必要と感じたからだよ。正直、艦娘と仲良くなろうにも、人間にひどく怯えているのか、それとも敵意をもって僕に危害を加えようとしているのか判別がつかない。僕としては、後者の艦娘たちに接触していきたいからね…。人間が恐い艦娘にアプローチをかけるのはお互いにいいとは思えないし…」
長門「そうか…。それならばお見せしよう。ついでに案内図と艦娘リストも一緒に。」
「ありがとう」
陸奥「・・・」
陸奥「一つ忠告しておくわ。貴方がこれから何をするのか見当もつかないけど、ここの娘たちにひどいことをしたら許さない。それだけは覚えておいて」
「うん、心得た。陸奥もありがとうね」
陸奥「それから、川内のこと…。これからどうするの?」
そう、今まず資料を読み漁って知らないといけないのは、川内のことだ。もちろん、川内のことだけでなく他の艦娘についても調べなければならないが、あの川内が言った
川内「お願い、神通と那珂には手を出さないで…」
という言葉は、今も僕の頭から離れようとしなかった。
長門「待たせたな、これがご要望のものだ」
「ありがとう」
僕はそれを受け取り、執務室で読む許可を長門にとると、夢中で資料を読み込んだ。