仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
雲龍「あら、川内に神通……そんなに怖い顔をしてどうしたのかしら?」
私たちが部屋に入ると、予想通り二人の艦娘…雲龍と吹雪がいた。そして、二人の側にひと一人が入りそうな巨大な麻袋が転がっている。吹雪は私の顔を見るや否や俯いたが、雲龍は澄ました顔で私に問いかける。
川内「……何しているの?ここで」
雲龍「掃除よ、この部屋汚いでしょ?」
川内「あなた、そんなに他人の部屋を掃除してあげる程お人好しだっけ?」
雲龍「この部屋は空き部屋よ……。粗大ゴミこそあれど、誰かが居るわけないじゃない?」
川内「掃除用具も持たずに掃除?」
雲龍「ええ、本格的な掃除はこれから…。今は大きなゴミだけ処分しにきたのよ」
吹雪「…川内さんたちこそ、この部屋になにか用があるんですか?」
川内「うん、人を探しにね」
吹雪「!」
雲龍「そう……。でもあいにくその目当ての人はいないと思うわ」
神通「その麻袋はなんですか?」
雲龍「ああ、これは……」
吹雪「ゴミです!!!」
吹雪「汚ならしい、この鎮守府にあってはいけない廃棄物です!!今から雲龍さん、朝潮ちゃんと捨てに行くんですよ!?何か問題あるんですか!?」
先程俯いていた同一人物とは思えないほどの気迫で叫ぶように言う吹雪。目はカッと見開き、激しい憎悪を宿しているようだ。
私は分かってしまった。吹雪がこれだけの嫌悪感を示すもの、つまりその麻袋の中身が粗大ゴミではなく、私の大切な人だということに。
川内「……アイツはいいやつなんだよ」
きっと私にしか聞こえないであろう声量でそっと呟く。
川内「ねぇ」
川内「そのゴミ、私たちが捨ててくるよ」
川内「だから…」
川内「貸して?」
雲龍「・・・」
吹雪「そ、それは…」
雲龍「はぁ…」
すると雲龍が目を瞑って、ため息をこぼした。
そして直ぐに目を開ける。その瞳からは、なんの感情も感じ取れない。だが、それも一瞬。
雲龍「茶番は終わりよ」
私は思わずたじろいだ。
威圧感…私を深い海の底へと突き落とすようなそれは、先程まで何の感情も読み取れなかった雲龍から発せられているとは信じ難かった。
隣を見ると神通が臨戦態勢に入っている。
神通のいつも以上に気を張った顔は、今回の件がいかに凄まじいものであるのかを表していた。
私も身構える。これは戦闘になると確信したから。
もちろん、艤装を展開しての砲撃戦ということはないだろう。となると残されているのは近接格闘戦。
どうなる?
那珂が朝潮のことを抑えてくれている。
ということは、私と神通で雲龍と吹雪を抑えることになるだろう。
吹雪は大丈夫だろう。だけど…………。
雲龍……。正直、未知数な相手だ。
神通がいるから負けることはないはずだけど……。
私は雲龍の放つプレッシャー、そして神通の緊迫した表情から一抹の不安を覚えた。
だけど、私は退けない。
だって、私を温かく受け入れてくれたんだ…アイツは。
私は神通を見ると彼女は小さく頷いた。
川内「いくよっ!!」
私の叫びを合図に戦闘の火蓋が切られた。