仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
この鎮守府に人間はいらない…それが私の信念。
ここの艦娘は戦えと言われれば戦い、体を差し出せと言われれば差し出し、死ねと言われれば死んだ。逆らうことは出来なかったのかって?
決まって人間は呪文の様に私たちに言う。
「お前が逆らうなら、お前の姉妹、友だちをやるまでだ」
……仲間が暴力を振るわれる。犯される。
みんな自分を捨て、なんとか守ろうとした、自分より大切なものを。
「ぎゃあああああああああ!!!」
叫び声。
耳を覆いたくなるような悲痛なそれは、時間を問わず、この異臭立ち込める薄暗い空間の至るところで聞かれる。
地下牢。
前提督が艦娘を蹂躙するためだけに設けた、私にとって忌々しい場所。いや、私だけではない。この鎮守府全ての艦娘が忌避するであろう場所だ。
私がこの地下牢に初めて連れてこられたのは、私の目付きや態度をあの人間が気に入らなかったから。
鎖で手足を拘束されては何度も何度も殴られた。ただ顔は殴られなかった。
それもそのはず、これから犯すのに顔が血だらけでは興醒めなのだろう。
顔以外を真っ赤に腫れ上がるまで殴り続けた人間は、殴るのに飽きると私の衣服を引きちぎる。そして私の体を辱しめるのだが、私はその間ずっと闇のように暗い天井をただ静かに見ていた。
そして散々弄び、最後の仕上げといった感じで私の顔面を思う存分踏みつけると、ようやく人間は満足したような顔をする。
大体、このようなことが月に何度かあった。
私には尊敬する艦娘がいた。
潮風に翠色の髪をなびかせ、弓を引く姿には同性ながら何度もときめいたものだ。
ある時、私はその艦娘と共に出撃することになり、私は嬉しさのあまり、気分が舞い上がってしまっていた。
そして、その浮き足立っていたところをすくわれ、その作戦は失敗に終わった。
執務室に呼ばれてからは罵詈雑言の嵐。出撃メンバーは全員、地下牢へ連れていかれた。各々の牢に隔離されて入れられた私たちだったが、何故か私はその艦娘と同じ牢に入れられた。
……どうやらあの人間は、鎮守府にいた憲兵を誘って一緒に懲罰を行っているらしい。複数の場所から泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
私たちはじっと牢の隅に身を寄せ合いながら縮こまる。
辺りから聞こえていた泣き叫ぶ声が啜り泣く声に変わった頃、私たちの牢に複数の人間がぞろぞろと入ってきた。
「私が全ての責任を負うわ!せめて雲龍は助けて!!」
私は恐怖に腰を抜かして立てなくなっている反面、その艦娘は颯爽と立ち上がって、人間の前に立ち塞がる。
その後のことはよく覚えていない。
思い出せるのは、私はその艦娘以外の娘を連れて地下牢から上がろうと階段を上っていて、その時に人間たちの品のない笑い声と微かに断末魔が聞こえたこと位だ。
だが、その断末魔は今も私の耳から無くなることはない。ずっと聞こえ続けているのだ。
雲龍「一緒に戦う?人間が?」
そう言うと雲龍が腹を抱えて笑いだす。
あまりのことに私も神通も身動きをとれなかったが、麻袋はもぞもぞと動き出していた。
雲龍「下らないことぬかさないでくれる!?」
神通「!!」
川内「や、やめて!」
一瞬だった。雲龍の振り上げた足が麻袋に凄まじい勢いで振り下ろされる。
鈍い音。そして、麻袋の中に居るであろう人物の絶叫。
気づくと私は雲龍の懐に飛びかかっていた。