仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
「て、提案?」
川内「うん」
雲龍「この期に及んで提案も何もないわ、早く離してちょうだい」
「なら川内に謝れ!」
雲龍「うるさいわね…耳元で大声出さないでくれるかしら?」
まずい…雲龍はともかくアイツは頭に血が上っているのか興奮していて、冷静さを欠いている。これじゃまともに話が出来ない……。
那珂「おーい、大丈夫~~!?」
するとドアの方から那珂と朝潮が心配そうに顔を覗かせていた。これは助かった。
朝潮「物凄い音や怒鳴り声が聞こえましたが……」
川内「那珂、朝潮!ちょっと手伝って!!」
私たちのこの状況を見て、那珂も朝潮も怪訝な顔をしているが、私の元へと近づいてくる。そこで私はこの部屋にいる皆に聞こえるように話した。
川内「まずは私の話をしっかり聞いて欲しいの!だけど、お互いにこんな状態じゃ、ろくに話も出来ない…。だから、ここからは一旦休戦にしない?」
雲龍をアイツと神通、それに私が床に組伏せている状態で何言ってるんだという感じだが、正直このままでは状況は泥沼化するだけだ。それに今は那珂と朝潮がいる。
まだ頭が熱くなっていない二人にこの場を諌められるかと言われれば、無理かもしれないけど、もうこれしかなかった。
那珂「な、なんだかよく分かんないけど、とりあえず雲龍ちゃんから離れよう?」
朝潮「そ、そうですね!」
川内「よしっ!じゃあ、もう戦いはこれでおしまい!離れるね?」
その一言を待ってましたとばかりに私は雲龍の足から離れた。すると、神通も状況を把握してくれたようで、そっと雲龍から距離を取る。
「・・・」
雲龍「…貴方も退いたら?」
「まだ、謝ってない…」
……一人だけ雲龍に覆い被さったまま動かないみたいだけど。雲龍はもう冷静さを取り戻しているようで、先程の怒りを露にしていたのが嘘のようだった。
ただ、呆れたような顔をアイツに向けているが。
川内「それじゃ話出来ないでしょ!」
私はアイツの服の襟を掴んで、無理やり離した。
こうして一触即発の状態から少し落ち着いたところまできたわけだけど……。
神通「姉さん、提案とは?」
川内「うん、雲龍……それと朝潮にも聞いて欲しいの…。二人にとって悪い話じゃないと思うからさ」
雲龍「聞きたくないわね、あなたの話なんて」
「ッ!!またそういうことを!!!」
川内「落ち着いて?雲龍の言うことも分かるからさ」
雲龍「そ、じゃあ私はこの人間を捨てに行っていいかしら?」
「やれるもんならやってみろ!!」
川内「二人とも!それじゃ意味がないでしょ!?休戦したんだから、一旦そういういがみ合いは無し!!!」
神通「……もし雲龍が聞きたくないのなら、朝潮ちゃんにその内容を話して後で雲龍に伝えてもらうというのではどうでしょうか?」
朝潮「わ、私ですか!?」
いきなりの指名に驚きを隠せない朝潮。
雲龍「……私に話を聞かないという拒否権は無いのね」
川内「……ごめん、聞いてもらえないと次に進めないからさ」
雲龍「・・・」
暫しの沈黙。
雲龍「…分かったわ。話だけ聞いてあげる。ただそれだけよ。その後は私たちの勝手にさせてもらうわ」
川内「あ、ありがとう!!」
雲龍「どうせ聞くなら、今聞いとくわ。朝潮にも悪いしね」
川内「じゃあ、改めて私の提案について話すね?」