仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
皆の視線が私に集まる中、私は一呼吸置いてから話始める。
川内「まずは…雲龍、朝潮。ごめんなさい!」
そう言って私は二人に頭を下げた。そのまま続ける。
川内「ちゃんと話せればよかったけど、私…頭に血が上っちゃって……本当にごめん!!」
神通「姉さん一人が悪いわけではありません!私も吹雪ちゃんには酷いことをしてしまいました」
神通も頭を下げる。
那珂「おろ~~、那珂ちゃんも空気読んで謝った方がいいのかな!?」
朝潮「うーん、どうなのでしょうか…?」
雲龍「……気にしてないわ。それなら私も一緒だし…おあいこよ」
川内「ありがとう!それで私の提案なんだけど…。まずはこの人の話を聞いて?」
そう言って私はアイツの顔を見る。
「ぼ、僕か!?」
川内「そう!前に私たちに話してくれたみたいに、貴方のことを雲龍たちにも話してあげて?」
「あ、ああ。分かったよ」
アイツはそのまま雲龍たちに彼が提督ではなくどういう存在なのか、これからどうするのかなど丁寧に話していた。
「……ということなんだ。川内、こんな感じでいいかい?」
川内「うん!ありがとう!」
雲龍も朝潮も黙って聞いていたが、雲龍がそっと呟いた。
雲龍「無茶な話ね。夢物語だわ」
「そ、それについてはあまり強くは言えない…」
雲龍「現に私や朝潮、吹雪にはバレているわけだし…破綻しているわ。無謀なことは止めて、早く出ていくべきだと思うけど?」
川内「それはちょっと待って!この人は前任と違っていいやつなんだよ!!私も…神通も那珂もこの人のことを信頼してるし!」
神通と那珂は少し目が泳いでいた。それはそうか、まだ紹介すらろくに出来てないし…。でもここは私の話に合わせてもらおう。
雲龍「ふーん、そう…。で、今のこの人間の話は貴方の提案に関係あるから話したのよね?」
川内「そ、そう!私の提案はこの人の目的に関係あるの!」
川内「ずばり、この人と友だちになってみない??」
雲龍「却下よ」
川内「えぇ!!?」
雲龍「何を言い出すかと思えば……時間の無駄だったようね。朝潮、吹雪を連れて部屋に戻るわよ?」
朝潮「……は、はい!」
神通「姉さん……」
那珂「川内ちゃん……」
神通と那珂が心配そうに私を見ている。確かに無理があるとは思ったが……むぅ、さすがにこの提案は安直過ぎたのか…?どうしよう。
すると、万策尽きた私の耳にアイツの優しい声がふと聞こえた。
「川内…ありがとう」
「待った!雲龍に朝潮!」
雲龍「行くわよ、朝潮」
朝潮「は、はい!」
「地下牢はどこにあるんだ?」
その一言に今立ち去ろうとしていた雲龍の足は止まり、そしてアイツの顔を無表情で見ている。いや、少し殺気を感じさせる目付きで睨んでいる様にも見えなくはない。
雲龍「……何のことかしら?」
「聞こえていたんだ、地下牢に連れてくって話!それはどこにある?」
雲龍「聞いてどうするのかしら?」
その答えを聞いて、アイツはすぅと息を吸い込み、はっきりとした口調で言い放った。
「その地下牢をこの鎮守府から消してやる!」
雲龍は表情を変えず、微動だにせずアイツの言葉を聞いていた。
だがやがて、アイツに背を向けると吹雪を抱えて、朝潮と部屋から出ていった。
それからしばらくして私はアイツに話し掛ける。
川内「地下牢って?」
「川内は知らないのか…。まぁ知らない方がいいんだろうけどさ…」
アイツはふぅと息をつくと、私の顔を見て、直ぐ様頭を下げた。
「川内…それに神通と那珂。今回は助けてくれてありがとう!本当に助かった」
川内「な、助けたなんて大袈裟だよ!!」
神通「私は姉さんを守ろうとしただけですし…」
那珂「神通ちゃん、素直じゃないな~!!」
三者三様、違った態度を見せる私たちを優しく見るアイツの顔。それは、その、なんというか、素敵だった///。
「そこで、さらに頼み事をするようで、申し訳ないんだけど、二つ頼まれてくれないか?」
川内「ん?な、なに?」
その優しい顔に見とれてたなんて言えない…。
「その、恥ずかしい話なんだけど昨日から何も食べてなくて…お腹が減っててさ、食べ物を持ってきてくれないか?それと、もう一つは朝潮という艦娘を今日の夕方にここか執務室に連れてきて欲しい!朝潮が拒絶するなら無理に連れてくる必要はない、だけど地下牢について何か聞けたら聞いてくれないか?助けてもらった上で厚かましいだろうけど、頼みます!!」
川内「わ、分かった」
「ありがとう!」
そう言ってとびきりの笑顔を私に向ける。ずるい…///
川内「じ、神通と那珂はここでこの人のこと守ってて!私はご飯持ってくるから///」
私はそう言うと、自分の赤くなった顔を見られないように素早く部屋を出て食堂へと向かった。