仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
崩れかかったと言っても過言ではない鎮守府の門の前。
そこに腕を組んだ一人の男が、まだかまだかと言わんばかりに何かを待ち受けていた。
そしてしばらく待っていると、待望のものがエンジン音を轟かせながら、門の前にやって来た。
「いやー、お待たせしました!司令官殿」
「全然!朝早くからご苦労様!」
僕は以前ネット通販で購入したものが送られてくるこの日を待ち望んでいた。
と言っても、通販会社がそのままこの鎮守府にまで届けてくれるわけではない、いや普通の家庭なら届けてくれるのだけれど…場所が場所ということもあって、必ず軍の検閲が入る。
そして、軍の検閲所に送られ、特に問題がないと判断されれば、軍の配送機関が鎮守府に届けるという仕組みになっているのだ。
「まさか、司令官殿が直々に受け取りに来てくださるとは…驚いております」
「いや、うん、まぁその重要なものだからね…」
僕も本当だったら頼みたいですよ、えぇ。
「とりあえず、お荷物をおろしますね」
「ああ、手伝うよ」
そう言って配送トラックから荷物をおろし始める。結構買い込んだからな…何回かに分けて部屋まで運ぶか。その間に艦娘にバレなきゃいいけど。
ふと配送トラックを見ると、荷台の光輝くパネルのところにPMTと書かれている。
PMT…軍の配送機関のことだが、とにかく謎が多い。というのは、元々あった配送機関を潰して新設されまだ間もないからなのだが…。しかし、軍の創設以来ずっと一緒にやってきた前配送機関を一新してしまったのもよく分からない。まあ上の考えることは理解出来るわけないか。
「これで全部ですね…こちらにサインをお願いします」
「……はいっと!」
「ありがとうございます。それにしても……こちらのお荷物全てお一人で運ぶのですか?」
本当に僕一人で運ぶとは思っていなかったようで、不安そうな顔でこちらを見ている配送のお兄さん。
……ッ!なんかそのつぶらな瞳にときめきそうになってしまった!?おい!?僕はホモじゃないぞ!?
「う、うん。とりあえず、一人で運ぶ予定だよ。あ、でもこんな時の為に台車を買っといたんだ」
そう言って台車を探す。えぇっと…。
「こちらではありませんか?」
「あぁ、それそれ!」
「用意がいいんですね」
クスリと笑うお兄さん。惚れてまうやろー!!!いやだから僕はホモじゃなry
というかこのお兄さんが美男子過ぎるんだろ、端整すぎるその顔立ち…羨ましいなぁ。うん、可愛いです、ごめんなさい。
男の娘ってこんな感じなんだろうかと思っていると、声を掛けられる。
「もしよろしければ一緒にお運びしますよ?」
「いや、本当にありがとう」
「いえ、お役に立てたのならなによりです!」
結局、部屋まで運んでもらったのだけど、お陰で早く終わった。
今は鎮守府の門まで彼を送り届けているところだ。
「…静かですね」
「あー、まだ寝てるんだよ、多分」
「フフ、司令官殿は面白い方ですね」
「そ、そう?アハハハハハ」
僕の不自然な笑い。それに対して完璧と言える彼の笑み。
ちょっと自室でアイスティーでもご馳走しようかと思ったけど、僕の理性が最後のところで踏ん張った。
「それじゃ、ありがとう」
「はい!またよろしくお願いします!」
僕は配送トラックが見えなくなるまで、門の前に立っていた。
久々の人間の温もりに、癒されてしまった僕。
お兄さんと言っても、背は小柄で男の娘をイメージしてもらえれば幸いです。