仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
ライブ当日まであと一日となった頃、早朝から僕は目が覚めてしまった。
落ち着かない…。明日には泣いても笑ってもライブが行われるのだから当然と言えば当然だが。
昨日考えたライブの流れを思い返す。
一、川内と僕の劇
二、神通の居合術
三、那珂、加古、朝潮のスーパーアイドルタイム
四、トークタイム
五、陸奥の演舞『火炎』
六、長門の人形劇
七、朝潮の歌
八、加古の壁ドン
……カオスだなぁ。というか、ライブ要素あまりないね。どちらかと言えば、お遊戯に近い。まぁ急場でよくここまで持ってこれたよ、うん。
さて、今日は最後の打ち合わせ及び初めての通しをしないといけない。
やることは多いのだ。
「えーっと、僕が言えた義理じゃないんだけど、今日はありがとう。いよいよ明日はライブ当日だ。そこで今日はやることが沢山あるわけで…そのスケジュールを伝えようと思う」
現在、ライブの出演メンバーが僕の自室に集結している。…と言っても長門と陸奥を除いてだけど。
「「はい!」」
皆からはっきりとした返事が返ってきたが、心なしか不安そうな顔をしている。那珂や加古は落ち着いているみたいだけど…。
「まずは、舞台の飾り付けなんだけど、僕は立ち会えない。その代わりと言ってはなんだけど…」
そう言って、僕は部屋の隅に置かれた大きな段ボール箱を引っ張ってくる。その中には風船やらリボンなど思い付く限りの装飾品が入っていた。
「「おお~!」」
「これを皆で飾ってきてもらいたい。頼みます!」
そう言って僕は頭を下げる。
皆はそれを快諾し、段ボール箱を食堂まで運んでいった。
そして部屋には僕一人だけが残されたわけだけど、やはりいつもこの歯痒さが残る。ここぞと言う時に僕は動けないのだから。
すると、なぜか朝潮が戻ってきた。あ、もしかして?
朝潮「あの、これありがとうございました!」
そう言うと朝潮は僕にノートパソコンを差し出す。
「お役に立てたなら何よりだよ。あ、それと僕も…」
今度は僕が以前朝潮に頼まれたものを手渡す。どうやら、ライブで使うらしい……あまり朝潮には似つかわしくないものだったけど。どこでこの曲を知ったのだろうか?
だが、嬉しそうに受けとる朝潮を見たら、そんなことがどうでも良くなったのは言うまでもない。
朝潮「ありがとうございます!では、行って参ります!」
そのまま朝潮は行ってしまうのかと思ったが、ドアの前で立ち止まり、僕の方へ向き直る。
朝潮「私の…」
「?」
朝潮「私の特技披露、楽しみにしていてくださいね!!」
叫ぶようにそう言うと、足早に去っていってしまった。
すごい自信だ…。やはり朝潮の演目を最後の方に設定して正解だった。
そして、まさかの舞台セッティングで大揉めし、通しが一度も出来ずに本番を迎えるという事があったのは、ライブ参加メンバーだけの秘密だ。