仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
静かな朝。
この部屋もだいぶ変わったなと思いながら、身仕度をする為、おもむろに立ち上がる。
部屋だけではない。ここに初めて来た時、僕は一人きりだった。それが今はどうだろう。
川内、神通、那珂。朝潮に加古、そして長門と陸奥も僕に朗らかな笑顔を見せてくれるまでになった。
…自分でも無茶な話だと思っていた…見えない何でも屋なんて。
だけど、皆が協力してくれたおかげで、僕はここにいることが出来る。
さて、今日は何をしようか?そんな事を思っていると…。
コンコン
ドアをノックされる。
僕が返事をすると、川内が少し青い顔をして入ってきた。
川内「おはよ~」
「おはよう。…なんか顔色悪いけど大丈夫?あ…」
川内「うーん、頭が痛いけど、平気だよ…」
これは…。昨日の宴会にて、僕の用意した物の中に図らずも酒の類いがあったのだが、どうやら川内は二日酔いにあるらしい。
「ごめん、川内…」
川内「大丈夫だよ…それよりこれ」
「ありがとう、いつも悪いね」
こんな時でも、川内は朝食(塩むすび)を持ってきてくれるわけだが、さすがの川内も調子が悪いようで…。
川内「ごめん…少し横になってもいい?」
僕がそれを断る理由もなく、僕の返答を聞いて川内はすぐに横になり、寝息を立て始めた。
ふぅ。すまないな、川内。
…実を言うと、ライブ開催が決まった頃から見えない存在に無理を感じていたのは否めない。僕が言い出しっぺで始まった事なのに、結局下準備などを全て川内たちに任せてしまっていることが心苦しくてたまらないのだ。
…かと言って、僕の姿が露になれば、間違いなくその場が阿鼻叫喚に包まれるだろう。
…皆がみんな川内や加古みたいにフレンドリーなわけではない。どうしたものか…。
ふと、川内を見る。
スースーと寝息を立て、眠っている顔はとてもかわいい。癒されるな…。
ついついその頭を撫でたくなる衝動に襲われるのだが、イカンイカン。僕は頬をパチンと叩くと気合いをいるれことにした。そして、とりあえずパソコンでも開こうとしていた時…。
…なんだ?
何やら騒がしい。こんな朝方に誰だ?
聞き耳を立てていると、どんどんその騒がしさは増すばかり。ついでに複数人が廊下を歩いてくる音がだんだんと大きくなり、この部屋に近付いて来ているのが分かる。
珍しいな…ここの廊下はあまり人通りがない。だからこそ今までばれなかったというのもあるのだろう。
それこそ、ここに来るのは川内や……あれ、なんか嫌な予感がしてきた。胸騒ぎがする。
もう一度聞き耳を立てる。それこそ耳に全神経を注ぐがの如く。
先程まで、誰が話しているのかも判別出来なかったが、近付いて来ていることもあり、辛うじて話の内容が聞き取れる。
吹雪「さあさあこちらですよ!皆さん、素敵なものをお見せしましょう!!」
???「全く!まだ眠いんだからよー。見たらさっさと帰るからな?」
???「私は楽しみネー!!ブッキー、一体何を見せてくれるんデスカ!?」
吹雪「フフフ、着いてからのお楽しみですよ…」
???「私も楽しみです」
吹雪「無理言ってすみません!朝は鍛練がお忙しいかと思ったのですが、ぜひ見てもらいたくて…」
???「大丈夫ですよ」
???「もぉー、まだ着かないの!?鈴谷まだ寝てたいんだけどな~~!?」
吹雪「もうすぐですよ!…ほら、ここです!」
???「吹雪ちゃん、この部屋?」
吹雪「うん!」
おい!おいおいおい!!!
吹雪の野郎、やりやがった!!!
吹雪の連れてきた一行は、このドアを挟んだ直ぐのところにいる。
僕はパンダじゃねえ!!!
どうする、どうすればいい!!?
吹雪「それじゃあ、開けますか!」
無慈悲な言葉が僕の耳に聞こえてきた。