仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね   作:雨降り

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睨まれた3

「・・・」

 

神通「・・・」

 

「・・・」

 

神通「・・・」

 

「・・・」

いや、捕まるの早すぎだろ!

艦娘から逃れ、廊下をひたすら走っていた僕。懐中電灯、またどっかで落としちゃった。それだけ夢中で走ったんだよ…。うん、だからさ、暗くて前よく見えなくて転倒しました。はい。

 

 

今度はうつ伏せにされて腰辺りに馬乗りになられてるよ。しかも両手は後ろ手にされるおまけ付き。というか片手で僕の両手押さえつけてるところ見るとやっぱり力負けしてたんだな…。

あ~また無線でなんか話してるよ…。

 

神通「はい。はい。無事確保しました。」

 

神通「大人しくしていますよ。逃げられないと悟ったのかもしれません。」

 

クソッ!いくらなんでもあんまりだ、こんなの!

僕が心の中で悪態をついていると、廊下の向こう側から誰かやって来る。援軍かな?艦娘の。

 

???「神通!大丈夫!?怪我は無い?」

へぇー、この艦娘、神通っていうのか。

 

神通「大丈夫です。姉さん」

 

???「良かった~。神通に何かあったらお姉ちゃんどうしようかと…」

 

神通「もう/// 姉さんったら///」

え、僕は何見せられてんの???姉妹愛ですか、ごちそうさまです。もう結構です。

 

???「で、こいつが侵入者ね~」

 

神通「はい。容易く確保出来ました」

グハッ!

 

???「ねぇ、あんたさなんでここに来たの~?」

おお、でもこっちの艦娘は話出来そうか…?

正直口調とか気にしてられない、なんとか分かってもらおう!

 

「僕はここに着任した者だ!本日から提督として君たちの指揮に当たる!よろしく!」

とりあえず精一杯声を張り上げて言ってみた。にしても、最後のよろしくとかフランク過ぎて意味分からんな…。

 

???「ッ!うるさいな!」

 

神通「姉さん、少し痛め付けましょうか?」

えー、やーめーてー

 

???「いいよ、あんまりやると後から何されるか…。今だって結構危険な橋渡ってるよ、私たち?長門さんだってこのこと知らないんだから…」

 

神通「そうですね…」

ちょっと、また別の艦娘の名前出てきたよ!さん付けってことはこの艦娘達より偉いのか!?

 

???「さーて、こいつさっさと捨ててこよ!折角の夜なんだからさ」

あー、もう夜ですか、そうですか。

 

神通「はい!誰かに見られたらことですからね」

年貢納めますか…。

 

 

僕は二人の艦娘相手に、もはや打つ手無しとこれからの僕の運命を受け入れる気持ちになっていた。早い話、諦めたのだ。

ん?廊下の向こう側からまた誰か来るぞ!処刑専門の艦娘かな?

 

???「シッ!誰か来るね…」

 

神通「誰でしょうか」

 

???「ばれるとヤバイからね。さっさと捨てにいこ!」

 

神通「はい!」

ん?んん???ばれるとまずいのか………?

おいおいおいおい!これは好機じゃないだろうか!

幸い二人の艦娘は廊下の向こう側に注意が向いている。

 

 

僕は手は動かせないが、足を思いっきりばたつかせ、とにかく大きな音を立てた。

 

???「こいつ!静かにしろ!!」

 

神通が後ろに回されている僕の手を強く締め上げる。

めっちゃくちゃ痛い!! けど……。

僕は思いっきり声をあげた。

 

 

「助けてーーー!!!二人の艦娘に襲われている!!」

 

 

 

 

 

 

 

私、陸奥は本日の任務を終え、自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いていた。はあ、それにしても暗いわね~。

いくら節電とはいえ、早く消しすぎよ。まあそれも仕方がない。この鎮守府はかなり崖っぷちの状態なのだ。ライフラインは辛うじてあるが、いつ止まってもおかしくない。

提督は……いない。あんな提督ならいない方が絶対に良いけど。今は私の姉妹艦である長門が提督の役割を果たしている。

 

「やっとみんなあの地獄から解放されたのかな…」

私はふと呟く。

いや、それはない。あの提督が私たちにしたことは絶対に忘れない!みんな心身ともに酷い傷をつけられた。だから忘れられないのだ。

 

 

今日は正直迎えたくなかった日だ。長門から聞いたのだが、新しい提督が着任するらしい…。

このことはこの鎮守府の全艦娘が知っている。長門が全体に放送で呼び掛けたから…。

多くの子は怯えていた。あまりの絶望に耐えられなかったのか、それとも以前のトラウマを思い出したのかは分からないが、主に駆逐艦の子を中心に泣き出す子、嘔吐する子、失神する子が続出した。錯乱して、奇声をあげている子も少なくなかった。

長門も提督の着任についてもっとデリケートに扱うべきだったと反省していた。でも、長門は悪くない!悪いのは全てアイツ!!

 

 

 

はあ、この先私たちどうなるのかしら?

私はため息をついた。その時、バタバタと廊下の向こう側から床を蹴るような音が聞こえた。

 

陸奥「なに?」

私はその音の出ている方向を注視して、その音の出所と思われるところへ歩みを進めた。

そして聞いたのだ。

 

男性の悲痛な叫びを。

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