仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね   作:雨降り

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純白のテーブルクロスが敷かれた長机には、その見た目からして大いに食欲が湧き起こるような豪華な料理がところ狭しと並んでいる。
さぞ愉しげな宴が催されているのだろうか…………と思えば、どうやら様子がおかしい。

「…少し容量を間違えましたかね?」

そんな台詞を口にすると、朝潮はワイングラスを手に取り、そこに赤色の液体を注ぐと一気に飲み干した。
好みの味だったのだろうか、口元を緩め、満足げな顔をする彼女。一方で、そんな彼女の目の前には、手にしたワイングラスを床に落とし、悶え苦しんでいる一人の人間の姿があった。

「あ、ぁ…朝潮…どうして……」

「大丈夫ですよ。量は間違えてしまいましたが、確実に死ねますので」

胸の辺りを押さえ、血走った目から涙が溢れ出している人間を興味無さげに一瞥する彼女。

彼女はグラスをそっと置くと、その懐からビニールに包まれた白い粉末を取り出し、地べたに這いつくばっている人間にそれを見せつけながら語りかける。

「私が懇談会を開こうと提案した時、不審に思わなかったんですか?…それこそライブでは、仕方なく友好的な態度を見せたとは言え、あくまで貴方と私は人間と艦娘。仲良くなれるはずがないじゃないですか?」

「…っ。はぁ…はぁっ…ぁ」

息も絶え絶え。虫の息とは正にこの事であるが、人間は最後の力を振り絞り、彼女に恨みがましい目を向ける。

…そこには薄ら笑いを浮かべている朝潮がいた。

「どうやらもうお別れのようですね。あ、最後に何かあれば聞いてあげてもいいですよ?」

「………」

「おや?死んでしまいましたか。…では、せっかくの料理です。少し食事をしてから後処理をするとしましょう」

彼女はそう言って、深々と椅子に腰を掛けると料理に手を付け始める。
少々冷めてしまっていたが、味に問題はないようだ。

「…最後の晩餐が私と一緒だった事、どうか地獄で後悔してくださいね?」


















朝潮「……という夢を見たんです!」

「……」

朝潮「これが世に言う闇堕ちっていうやつですかね?」

「……」

朝潮「夢なのにドキドキしてしまいました!!」

「朝潮」

朝潮「はい!」

「夢でよかったよ」

朝潮「はい!!!」







※朝潮をダークサイドに堕としてみたかった作者です。
ただやっぱり朝潮は天然の忠犬キャラが似合いますね。

それでは本編、どうぞ。


朝潮マジック

川内「だ か ら!私とコイツは…その、そういう関係じゃないから!」

 

「アッハイ」

 

金剛「Oh…そうデシタか…ツマラナイネ」

 

朝潮「・・・」

 

一人部屋を飛び出していく者もいたが、僕たちは概ね懇談会を近日中に開催するということで話を着け、それでは閉廷!解散!となるはずだったのだが、金剛がそこに待ったをかける。

 

そして、再び蒸し返される川内と僕の恋人疑惑。

 

川内がものすごい勢いでそれを否定するので、若干傷心気味なのは僕だけの秘密だ。

…それにしても、いくら起死回生の一手とは言え、僕と川内を恋人同士に仕立てあげるとは…。僕はその理由を朝潮に聞かずにはいられなかった。

 

「助けてくれてありがとう、朝潮。感謝してるよ。だけど……なんでまたそんなことを?」

 

朝潮「…ごめんなさい」

僕が目を合わせようとすると、朝潮は目線を下に落としてしまった。

…可哀想なことをした感は否めない。

 

朝潮「でも…聞いてみたかったんです!だから、ついあんなことを…」

急に顔をあげたかと思えば、そんなことを宣う朝潮。

そしてすぐ、顔を真っ赤にして俯いてしまう。

そりゃ善かれと思ってやったことを問い詰められたら、嫌だよな、うん、配慮が足りなかった。

きっと朝潮は自分のやったことを恥じてしまっているのだろう…これではまた朝潮が自分を追い込んでしまうかもしれない。

命の恩人に対して、僕は何をやっているのだろうか。

 

ここが男の見せ所よォ!!!

 

「僕は川内のこと大好きだよ」

 

川内「ブッ!!?」

 

朝潮「…!」

 

金剛「Wow!!」

 

「さらに言えば、朝潮のことも大好きだ。…神通に那珂、長門、陸奥、加古も!みんな大好きさ!」

嘘は言っていない、恋人っていう意味ではないけど…。

これで、この話は「なんだよそれー!」的な感じで流れてくれるはずだ。

そうすれば後腐れなく終われる!

 

…あれ?

 

川内「…バーカ」

 

朝潮「・・・」

 

金剛「What the fuck!?」

各々の反応は異なったが、川内と朝潮は無言で部屋を出ていってしまった。川内はなんか言ってたような気もするけど…。あれ!?何か間違えたかな!?

 

金剛「…とんでもないヤツだネー!まさか、川内以外にもそんなに恋人が居たとは…ビックリネ!!」

 

は?

 

いや、違うわ!

 

金剛「まぁ、長門たちが信用しているのなら大丈夫なのカナ?とりあえず、よろしくネ!ワタシは金剛デース!」

そう言って、手を差し出す金剛。これは…つまりそういうことだよな。

…握り潰されないよね?

おずおずと手を差し出すとしっかり握られる僕の手。

 

そして、ニヤニヤしながら金剛が僕の恋愛事情について、いろいろ質問したきたのは、ある意味必然だった。




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