仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
???「駆逐艦、島風です!スピードなら誰にも負けません!!よろしくお願いします!!!」
黒いウサミミが可愛らしい艦娘…島風が緊張した面持ちで僕の目の前に立っている。
その初々しい姿は、殺風景な自室に花が咲いたようだ。
コホン、冗談はさておき…チラシを鎮守府内に貼り出してから間もなくして、彼女は阿武隈の元を訪れ、祭に協力したいと申し出てくれたらしい。
嬉しい限りだ。それで僕が改めて礼を言おうとすると。
島風「あの…あの時は助けてくれてありがとうございました!」
彼女はそんなことを言って頭を下げる。
はて?彼女と会うのは初なはずだけど……。
「一体何のこと?」と彼女に尋ねると、彼女は少し驚いたような顔をして、「覚えていませんか?」とその訳について教えてくれた。
どうやら、鎮守府襲撃の際に負傷した彼女を僕が背負って入渠施設まで走ったらしいのだが……ちょっと覚えていないな。
そんな旨を彼女に伝えると、「オウッ⁉」とまた驚いていたけど、祭を手伝う意志に変わりはないようだ。
助かりますよ。
阿武隈「…あ、それともう一人祭を手伝いたいっていう娘がいるわ!!」
なんだって!?
…やるじゃん、阿武隈先生!(何様)。
阿武隈「そろそろ来ると思うのだけれど……」
阿武隈がそう言い掛けた時、不意に部屋の扉がノックされる。お?来たのかな…。
だけど、扉が開いてそこにいたのは……。
???「…拙者も参加するでござる」
……大切な人だった。
あまりの嬉しさに、思わず体が震えたほどだ。また一緒に『戦える』ことが本当に嬉しかった。
そして、それを言葉にしたかったのだが、どんな言葉がそれを表せるか分からず、結局口からは何も出てこない。
そして…しばらく経って、ようやく発することが出来たのは彼女の名前だけだった。
「川内…」
だけど、名を呼ばれた艦娘はそれを慌てた様子で否定する。
???「わ…私、いや拙者は川内などではない!拙者は闇に生きる忍者『DAISEN』だ!以後、宜しく頼む!」
頭巾を被って、口元を黒いマスクで隠し、慣れない口調の川内。
気にしなくていいのに。僕は一緒にいられるだけで…。
島風「こーんな艦娘初めて見た!!よろしくね!」
…純粋な娘なのね、島風って。
川内の周りをぐるぐると跳び跳ねながら興奮している島風。
それとは対照的に、阿武隈は目を細めて、川内のことを見つめていた。あれ、阿武隈先生?
阿武隈「むむッ!あたしのところに来た艦娘はこんなチンチクリンじゃなかったわ!」
へ?阿武隈も気付いてないのか?
「あ、阿武隈!君のところに来た参加希望者って川内なんだろ?」
…『DAISEN』(笑)は「拙者は川内ではない!」と全力で否定してたけど、阿武隈はそれに首を横に振る。
ん?川内じゃないのか…?
困惑する僕に阿武隈は「あたしが気付かないとでも思ったの?」と前置きして、何やら語り出した。
阿武隈「こんなボロ頭巾が川内なのは分かってるわ!」ダイタイ、ネーミングガダサスギデショ‼サスガヤセンバカネ‼
頭巾「んなッ!?」
阿武隈「あたしのところに来たのは………」
「Hey!遅れちゃって、ソーリー!!寝坊しまシタ~!!」
おやまぁ、すんごいやつが助っ人に来てくれたな…。
阿武隈「それじゃあ、今後の展望についてもう一度説明するわね!」
とりあえず、現段階で集まったメンバーを前に阿武隈先生が意気揚々と語り出す。
今思ったけど、この娘…お喋りなんだな。本人に言ったら怒られそうだけど…。
阿武隈「…まず、祭を開催するには圧倒的人が足りていないわ!」
その言葉に皆が頷く。うん、その通りだよな。
阿武隈「…どっかの誰かさんがもっと慎重にことを運べば、もっとこの場に人が居たかもしれないけど」ボソッ
グハッ!?
阿武隈「…まぁ、それはいいわ!それで…このポンコツには言ったのだけど、近日新たな艦娘が着任するじゃない!?」
金剛「Oh、そうなのデスカー?」
大丈夫か…この巫女服?
…艦娘たちの間で流れている情報に耳を傾けて、初めて人心掌握がry
頭巾「…私も初耳なんだけど」
ん?先生?阿武隈先生?
…というか川内、もう拙者って言う設定を忘れてるじゃないか。
阿武隈「…ダメダメね!本当にダメ!」
やれやれと先生。
…本当に大丈夫なのかね、僕たち。
阿武隈「いい?その初々しい娘たちを速攻で勧誘するの!何も知らない真っ白な娘たちよ?イケる!イケるわ!!!」
頭巾「…なんか悪徳サークルみたいだね」
川内がそっと僕に耳打ちする。
うん、僕もそう思う。けど、それくらいしないと祭は実行出来ないよな…。
うん、やろう!(闇堕ち)
島風「よぉーし!島風がいっちばんに勧誘するよー!」
金剛「紅茶をネタに声を掛ければ一発ネー!」
かくして勧誘に動き出す僕たち。果たして、運命は如何に!?