仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
納得いかない。納得いくわけない。
僕は先程長門という艦娘にここでの役目がないことを告げられ、追い出されてしまった。
ただ、ブラック鎮守府についての認識が甘かったかもしれない。この鎮守府で何が起きたのかよく分かってないのに、どの面さげて提督を名乗るのだろうか…。
僕は自分の浅はかさを恥じた。
ただ、上層部も上層部だ!ちゃんと言えよ!こんなに根深く傷を残していきやがって、前任もとんだ馬鹿野郎だ!
「ふぅ」
僕は落ち着こうと息をついた。
うん、今後のことを考えよう。過去に責任転嫁していたらこの状況は一向に良くならない。
長門に言われたことを思い出せ。そこに解決の糸口があるばずだ。
……おそらく大きな問題はここの艦娘が人間にひどく痛め付けられ、人間を信じられなくなっているってことだ。
そこに僕が入っていけば、皆と仲良く、傷を癒してハッピーエンド………とはいかないだろうな。むしろ事態は悪化するだろう。
神通だっけ、前みたいに襲われるってことも考えれば正面から堂々と艦娘に向き合うには少々無理がある気がする。長門を言いくるめて提督になったとしても力に訴えられたらもう終わりだ。うーん…………。
いっそ上層部に頼むか!?ここの鎮守府に着任出来るよう上から圧力を…………………ってあれ?なんで僕はそうまでしてここに来たいんだ?
上層部にだって長門から連絡もいくと思うが、僕からも事情を話せば別の鎮守府に着任させてもらうことだって出来るかもしれないのに……。別の鎮守府でだって僕の野望を達成することが出来るはず。むしろここで駄々こねてるより全然いい………。
だけど僕はどうしてもこの鎮守府に着任したいと何故だか思っていた。あれだけやられて言われたのにも関わらず…だ。そして運よく着任出来ても前途多難なこの鎮守府に何故拘ってしまうのだろうか。
「あーもう!分かんないな!」
「とにかく、もう一回長門に会おう」
僕はもやもやした自分の疑問を拭い去るかのように今来た道を駆け戻っていった。上手くいくかは分からないが、やれるだけやってやる!
執務室にてー
長門「もう夜も遅いのにすまないな、陸奥」
陸奥「いいのよ、長門にばっかり負担はかけられないわ」
長門「ありがとう、陸奥」
陸奥「///」
陸奥「早いところ終わらせちゃいましょう」
私はあの男を門まで送り届けた後、こうして執務室に戻り長門の手伝いをしている。長門もこのところあまり休んでいないようだし、私も力になりたい。
それにしても……。
陸奥「まさか貴方が提督を追い出すなんてね。てっきり貴方は受け入れるのだと思ったわ」
長門「ああ、そのことなんだが…いろいろ思うところがあってな…」
陸奥「思うところ?」
長門「私が皆に提督着任を伝えた時があっただろう?あの時の皆の顔を見たらな……。いくら上からの命令と言えど、受け入れがたいと思ったんだ」
陸奥「私にいろいろ相談してくれてもよかったのよ?」
長門「すまないな、私もいろいろ考えたのだ。ただ、今後は陸奥にも相談するとしよう」
陸奥「ふふ、そうね。私たちは姉妹艦なんだから」
長門「ああ!心強いな!」
長門と話している時、私はあの地獄の時間を忘れられる。私は長門がいるから今まで持ち堪えられたのだ。だからこそ私は長門の力になりたい!もう以前のように長門ばかりに責任を負わせたくない!
長門「さて、そろそろキリがいい。私たちも部屋に戻ろうか」
陸奥「ええ、そうね」
私たちは執務を終え、自室に戻ろうとした。その時だ。
突然執務室のドアがノックされた。
私と長門はお互いに顔を見合わせた。誰かしら?
「すいませーん!!ちょっとだけ時間をくれー!」