仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
※今回の話から(正確には前回もだけど)セリフの前に名前を書く方式を廃することにしました。
理由は、読みにくさと作者がいちいち名前を書くのを面倒に感じ始めたからです。
また……
川内「おーい」
川内は大きな声で僕を呼んだ。
……というような重複する描写もあり、名前書かなくて良くない?と思いました笑。
キャラが多いのですが、出来る限り分かりやすく読んでもらえるよう頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします!
追記:阿野の一人称は俺ではなく、私だったことを読み返している時気がついたので修正しました。
これほどまでに筋骨隆々という言葉が似合う男はいるだろうか。その身に纏うのは下着のみ。鍛え上げられた逞しい筋肉を惜し気もなく露にして、その男……本名を
しかし、その目は見開かれ、眠っているわけではないようだ。いや…正確に言えば、今の今まで眠っていたのだが、寝室の窓辺から射し込む朝の日差しに照らされて目を覚ました。
さて、この阿野という人物はまどろむ間もなく、覚醒したわけだが、実は彼は朝に滅法弱い。
…何度も眠気眼を擦り、渋々と寝台から降りるのが彼の日常風景である。しかも、昨夜は遅くまで黒い艦娘について青葉や技術班と議論を交わしていたのだ。
そして壁に掛かった時計を見れば、まだまだ早朝と言われる様な時間。
…なぜ、本日に至ってははっきりと目が覚めたのか。
理由は簡単。
清々しい朝の目覚めには似合わない圧迫感、それが彼の体全体を襲っていたのだ。しかも、それはひどく懐かしいものである。
彼は自分の体に感じる違和感の正体…体に覆い被さっている存在をチラリと一瞥すると、フゥと息をつく。
そして、その重圧感を与えている者の髪を手で優しく撫でると、静かにその名を呟いた。
「起きろ、大和」
「…ほんっと!信じらんないッ!!!」
『ZEUS』に幾太もある会議室、その一つに一人の艦娘の怒声が響き渡る。その声にやれやれと耳を塞ぐ艦娘は、隣にいた青葉になぜこの様な状況になっているのかワケを聞くことにした。
すると青葉も青葉で、困惑した様な表情で首をかしげ、苦笑すると、おそらく渦中の人物であろう人間…阿野を見つめ、その疑問を彼にぶつけるように促した。
阿野に直接聞くよう促された艦娘…北上は大きな溜め息をわざとらしくつくと、気だるけそうに阿野に声を掛ける。
「阿野っちさ~、なんで叢雲はこんな怒ってんの?」
「知らん」
「いや…いくらなんでもそりゃないでしょ」
あまりに素っ気ない返答に再び溜め息をつく北上。
そんな彼女の姿を一瞥すると、阿野も同じように溜め息をつき、「私も分からんのだがな…」と前置きした上で渋々とこの様な状況に至った理由を語りだした。
「まず、なぜか目覚めた時に私の上に半裸のまま眠っている大和がいて……」
「「ちょっ!?」」
…と思ったら、いきなりの彼の爆弾発言に、北上も青葉も驚きのあまり変な声を出してしまう。
皆のお茶を淹れていた鳳凰に至っては、普段の姿に似合わず、吹き出している有り様だ。
そして、叢雲はその発言にさらに顔を赤くし、思い付く限りの暴言を彼に浴びせる。
…なぜか龍田だけニヤニヤと笑っているのだが、阿野はそんな様々な反応を示す艦娘たちを尻目に話を続けた。
「それを起こしている最中に、叢雲が来た…というわけだ」
「破廉恥なのよ!!バーカ!!!」
とんでもない事をかなり端的に話す阿野に呆れを隠せない北上と青葉だが、叢雲の顔を見る限り、このまま放っておくと、以前のように血で血を洗う事態に成りかねないと、北上は仕方なく仲裁に入った。
「…で、叢雲は何しに阿野っちのところへ行ったの?」
突然向けられた疑問に叢雲は小さく悲鳴をあげると、急にしどろもどろになり、口をパクパクとさせている。
「…わ、私は…その、またコイツが夜更かしてたから起きれないだろうと思って…その……」
何故か顔を紅潮させ、口ごもる叢雲。
それを最早何度目かも分からない溜め息と共に、北上は静観する。そして、一向にその理由を語ろうとしない叢雲に代わって、その答えを暴露した。
「つまり、阿野っちを起こそうとしたんだね」
「ち、ちちちちち違うわよ!!!」
ここにきてようやく叢雲らしさが戻ってきたが、彼女の想いを知る六艟の面子にとっては、その反応は想定内のことで、その様に差し向けた北上は、やれやれと首を振り、「大和もあんまし叢雲と阿野っちをいじめないの」と事の元凶である艦娘に声を掛ける。
するとただ一人、阿野の側で静かに目を閉じていた大和という艦娘は、目をほんの少しだけ開け、叢雲を見る。
そして、その視線に気付いた叢雲は、「…何よ」とすごむが、それを大和は鼻で笑うと、わざとらしく阿野の腕を掴み、ようやくその口を開いた。
「あら、私は阿野さんのことをお慕い申し上げていますし、その溢れ出る想いを体で表現したまでですよ。…それを運悪く、叢雲さんに見られてしまった、ただそれだけのことです」
あっけらかんと答える大和に、北上と青葉は頭を抱え、叢雲は再び怒りに震え、鳳翔と龍田は「青春ね~」と談笑をし、阿野は「わけが分からない」と呟いていた。
そして、いよいよ大和と叢雲が各々艤装を取り出し始めた…といったところで、青葉が切り出した。
「そろそろ本題に移っていいですか?」
次回も六艟がメインのお話です。
※阿野の一人称を修正しました。