仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね   作:雨降り

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時系列が複雑怪奇になってしまったので整理すると…。

67~76話までの内容で進んだ日数は1日だけです笑。

①新規着任組勧誘→大井たちの獲得→川内との決別
②反長門の会合→朝潮型轟沈、長門殺害
③六艟の作戦会議

↑これらが同時進行で1日の内に起きています笑
数字は概ね①主人公サイド、②榛名サイド、③六艟サイドと考えて下さい。

ごちゃごちゃした書き方になってしまいすいません。
足りないところは補完をお願いします。

ちなみに今回の話から、ようやく次の日になってます笑


混乱の時

「もう僕に構わなくていい」

 

そんな言葉を吐き捨てるように言った。

ここまでずっと支え続けてくれた人に…最愛の人に言ってしまった。

 

恩を仇で返すような行為。裏切者。

川内が僕のことをどう思ったのか…知りたいという思いと知りたくないという思いが交差する。

 

結局、昨日はそればかりが頭に浮かんで何も出来なかった。だから僕は部屋に帰るとすぐに床に横になり、目を閉じた。

 

…目覚めは最悪だ。

ただボーッと天井を見ている。なにもしたくない。

先日購入した壁時計を見れば、時刻は昼前。

 

一体何時間寝てるんだ、僕は。

 

何かしなければ…という思いが頭をかすめ、なんとか起き上がろうと体に力を込める。

だが結局、床に吸い付いた僕の体がそこを離れるのには大分時間を要することとなった。

 

おもむろに体を起こして、伸びをする。体のあちこちが鉛のように重いが、僕はふと気が付いた。

 

…今日はやけに静かだな。

 

この部屋が位置する場所は人通りが少ない。

…とは言え、もう半日過ぎているこの状況で、一切の音が入ってこないというのも不可解な話だ。

 

静寂に包まれた鎮守府。

 

僕は様子を伺う為に部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに気分の晴れない目覚めはいつ振りだろう。

 

…そんなことを思いながら、ふと視線を天井から外し、自分の両隣を見る。

そこには静かに寝息を立て、目を閉じている私の妹たちがいた。

 

あぁ、そっか…。

 

昨日のことを思い出す。

そして、赤く腫れた瞼から再び涙が溢れてくる。

 

…昨夜遅くに私が部屋に帰ると、神通と那珂は私の顔を見るなり、ひどく驚いた顔をしていた。

そして声を掛けられた。

…二人と言葉を交わすのは本当に久々だった。

でも、私は適当に返答すると、そのまま自分の布団にくるまり、目を瞑った。

我ながらひどい姉だと思う。

 

隣の二人を起こさぬよう、そっと立ち上がると机の上の時計を手に取る。

時計の針はまだ早朝とも言われるような時刻を指していた。

 

「…どうしよっかな」

 

一人、呟く。

まるで進路の決まらない船のように。

私は目的を失って、何をすべき分からなくなっていた。

 

…とりあえず、鎮守府の瓦礫撤去に精を出すか。

 

頭を捻り、導き出したのはそんな答えだ。

本来、瓦礫撤去は週毎の当番制だったが、これからは出撃の無い日は毎日でも顔が出せる。

 

まだボーッとした頭を起こす為、軽く頬を叩く。

 

私はそのまま目元をグイッと乱暴に拭うと、早速被害のひどかった東館の方へと向かおうとする。そして部屋の取っ手に手を掛けた、まさにその時だった。

 

ふとドアの下に一枚の紙が落ちているのに気が付いた。

思わずそれを手に取る。

 

「…何これ?」

 

『総員決起せよ』と題されたその紙には、今日の昼前、この鎮守府に所属する全ての艦娘が中庭に集まらなければならないという旨が書かれていた。しかも、この召集を無下にする者は厳罰に処すという文言付きで、ご丁寧にその部分だけ赤字で書かれているところを見るに、この集会を呼び掛けた者は絶対参加を求めているようだ。

 

「・・・」

 

私は疑問で頭がいっぱいになりながらも、文の最後まで目を通す。そして、最後の一文を目にして、思わず息をのんだ。

 

『艦娘に栄光を、人類に絶望を』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お集まり頂き、感謝致します」

 

中庭の一番目立つ場所。そこに設けられた壇上から感謝の念を言葉にするのは麗しい巫女服を纏った艦娘…榛名だ。彼女の眼前には多くの艦娘が犇めき合いながら、じっと彼女へと視線を向けている。

 

彼女の立つ壇上からは、多種多様な反応が丸見えだ。

彼女を崇めるような顔付きをしている者もいれば、訝しげな顔で彼女を見つめている者もいる。

だがその中でも特に顕著なのは、今回の召集に困惑を隠せない者たちの表情だ。

 

何が起きているのか、いや何が起きるのか…戸惑う者たちが大多数を占めていた。

 

彼女はそれを一通り確認すると、普段の笑みを交えながら、ゆっくりと話始める。

…困惑気味の聴衆に、彼女の穏やかな口調が安心感を与えたの言うまでもない。

だが、ホッとしたのも束の間。

彼女の口からとんでない事実が語られることとなった。

 

「…皆さん、どうか落ち着いて聞いてください…榛名が今から話すことを。…この鎮守府の指揮を執っていた誉れ高き艦娘…長門さんが亡くなりました」

 

どよめき。腹の底にドンとくるような響き。

驚きの声が至るところから上がり、辺りは一気に騒然となる。

 

「どうかお静かに!」

 

そこで榛名が叫んだ。

先程の穏やかな口調とは正反対のはっきりとした力強い声。それはまさに鶴の一声だった。

 

多少の声は聞こえるものの、静けさが完全に戻ってきた頃合いで、彼女は続ける。

 

「…皆さんが驚くのは無理もありません。ですが、まずは榛名の話を聞いてください。……長門さんの為にも」

 

その言葉に多くの者が目を見開き、覚悟を決めたような顔付きになると、静かに榛名の口から次に語られる言葉を待っている。

 

「…事態は深刻です。しかし皆さんであれば…いや、皆さんだからこそ…この状況を乗り越えられると榛名は思っています。……それでは、長門さんがなぜ亡くなったのかお伝えしましょう」

 

皆が固唾を飲んで、榛名の言葉に耳を傾ける。

 

そして、榛名の話を最後まで聞いた者たちの反応は…。

 

「…まさか、長門さんが上の人たちと繋がっていただなんて」

 

「でも、最後は私たちの為にその身を挺してくれたんでしょ?…やっぱり長門さんはすごいよ」

 

「…憎むべきは人間ね!許せないわ!」

 

「うぅ……霞ちゃんたちまで手にかけるなんて…絶対に許さないんだから!」

 

「私たちの力を見くびるなよ!!!」

 

「倒せ、人間を倒せ!」

 

小さな呟き。

そんな一声が彼方此方から聞こえ始め、それは雑踏に消えることなく、波紋のように伝播する。そして、次第に大きな怒号となり、爆発的に憎悪の波が広がっていく。

 

「「倒せ!倒せ!!人間を倒せ!!!」」

 

…各地にある数多の鎮守府の一つがその役目を忘れ、人間に牙を向こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…長門が……長門が死んだ?」

 

呆然とした。

 

そんな馬鹿な!?

 

な、なんで…!?一体どうして!?

 

鎮守府の陰からそっと身を乗り出して、耳を研ぎ澄ませる。…見知らぬ艦娘が壇上に上がり、この鎮守府の艦娘全員にだろうか、呼び掛けているようだった。

 

そして、聞いた。

僕は聞いた。

 

…そして今聞いたことを必死に頭で理解しようと、噛み砕こうとする。

 

あの艦娘が言うには、長門は地下牢で死んでいたらしい…しかも殺された…と。

そして、その理由は長門が上層部の人間たちと手を組んだ挙げ句、最後はお互いの主張が対立してしまい、殺された……と。

 

その艦娘は偶然その現場を目撃し、死の間際に長門から全てを聞いたと言う。

 

涙を懸命に拭いながら、その艦娘は語る。

 

長門は後悔していた…と。人間を信頼し、人間と協力した己を後悔していた……と。

 

人間をこの鎮守府へ手引きする為に霞たちを迎えに向かわせたが、結局彼女等の行方も分かっていないらしい。

 

「…皆さん。鎮守府の仲間にここまで惨い仕打ちをした人間を放っておきますか?」

 

答えは………否。

 

「示しましょう…私たちの力を」

 

その場に集まった艦娘たちから「人間を倒せ!」というコールがマグマのように湧き上がる。

 

僕は身がすくんだ。そして、後退り。

 

嫌な汗が全身から噴き出している。

 

そして………走り出す。

 

「まずはこの鎮守府にいる人間にそれを教えてあげましょう」

 

そんな言葉が後ろから聞こえてきた。

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