仲良くなりたいっていう気持ち、忘れちゃダメだよね 作:雨降り
執務室のドアをノックし、僕ははっきりと言った。
「すいませーん!!ちょっとだけ時間をくれー!」
返答は……ない。沈黙。
だけどここで食い下がるなら戻ってこないって!!
「開けまーす」
そう言ってドアノブに手をかけた時、部屋の中から少し驚いたような声が聞こえた。気にしない。
執務室には長門と陸奥がいた。長門は驚いたような顔をしているが、あれ、陸奥さん顔が怖いですよ…すっごい睨んでくるのですが。これも気にしない気にしない。
「話がしたい。すぐに終わらせるから聞いてくれないか?」
長門「話は先程済んだと思うのだが…」
長門も睨んでくるじゃないか。さすがに二人に睨まれると、その心が………。
「頼む、話をさせてくれ!話を聞いてそれでも納得出来ないのであれば、僕は潔くここを去ろう!だから聞いて欲しいんだ!頼む!」
僕はそう言って、頭を深々と下げた。少し大見得切りすぎた気がする……。納得させるって結構難題だぞ!?
長門「無駄だと思うが……陸奥はどう思う?」
陸奥「…長門に賛成よ。意味がないわ。さっき言われたこと聞いてなかったの?」
うぅ、心が張り裂けそう。
陸奥「しかも戻ってくるなんて…あり得ないわ。早くここから立ち去りなさい!!」
長門「陸奥……」
長門「分かって頂けたか、これが私たちの意志だ。話はしない。早々にお引き取り願いたい!」
「聞いてくれればいい!」
顔をあげると長門も陸奥も呆れた顔をしているが、瞳には明らかな敵意を感じさせるものがあった。でも、話さねば。
「まず、この鎮守府であった出来事をろくすっぽ知らなかったのに、提督を名乗ったこと、本当にすまなかった。心から謝罪する」
「長門の言った通り、僕たち人間のせいで君たちには大変申し訳ないことをした。なのにまた人間が戻ってきて、その生活を脅かそうとしている。それは受け入れがたいよな」
一瞬だが長門が小さく頷いたような気がした。
「だが、僕はここに来たいんだ。理由は……正直自分も分からない。これは僕個人の問題なのだが、僕は人に左右されやすくてね。自分の意志をないがしろにして、本当のことを言えないことが殆どだったんだ」
「だけど、僕は提督になるってことをきっかけに変わろうと思ったんだ!ちゃんと自分の想いを伝えようって」
陸奥「貴方の願望を叶えるためにまた私たちに犠牲になれというのね。貴方も言葉だけ…前任と変わらないわ!話にならない」
「ああ、確かに僕の願望だけのために君たちに犠牲になれと言っているようなものだな…だがこれは僕の根幹だ。これを折ったら元も子もない」
長門「交渉決裂…ということだな」
「それはまだ早い!」
何勝手に話終わらせようとしてんの!!!
陸奥「この期に及んでまだ意味の分からないことを言うの?もう行きましょう、長門」
「妥協案がある!」
そう言うと長門と長門の手をひいて部屋から出ていこうとしている陸奥がこちらを見た。今だ!ここしかない!
「僕は提督になることを放棄する!!!」