「食料良し、医薬品良し、」
孤島でタスクと別れたアンジュは今日もドラゴン討伐をしに出撃していた。エマが物資を確認している中、ジャスミンも同じようにコンテナのを確認していた。
「ブラジャーが入ったコンテナはうちの、下に回しておくれ」
「確かに受領しました。今後ともよろしくお願い致します」
「では、明後日に」
エマは敬礼で通信をつないで話している間に物資に人影が入り込んでいた事に気が付かなかった。エマが通信を終えようとしたその時。
「あっ、後もう一つ忘れていました。」
「何が…はい〜〜!?」
「ほぉ~。」
画面に書かれている内容にエマとジャスミンは驚く。
任務を終えたアンジュ達はアルゼナルへと戻って来て、更衣室へと向かっていた。その後ろにいるヒルダ、ロザリー、クリスの三人は不満な顔をしていた。
「クソ!またアイツだけ荒稼ぎしやがって! 」
「何で生きてるの?」
「どっちがゴキブリなんだか」
するとロザリーは胸からネジを取り出し、アンジュに投げ付けようとする。
「アイツのどたまにネジ穴開けてやる!」
「ダメたよ、司令に怒られるよ」
「バレなきゃ良いじゃない」
「そうだね」
「だよな!、喰らえ害虫女!」
ロザリーがネジを投げようとした瞬間、アルゼナル全体に警報が鳴り響き、ロザリーは慌てる。
「ヒッ!?違います!違います!私なにもしてません!そのーー......え?」
『総員に告ぐ!アルゼナル内に侵入者有!対象は上部甲板を逃走中!直ちに付近の者は侵入者確保に協力せよ!』
「侵入者?」
それに驚くエルシャ。上部甲板では警備の者が侵入者を捕らえようとしていた。
「そっちに行ったぞ!逃すな!」
警備員が警棒を振り下ろすと、侵入者から翡翠色に輝く障壁を展開し、警備員の攻撃を防ぐ。そこに駆け付けたアンジュは見覚えがあった。
「マナの光!?」
「やめて下さい!私は……“アンジュリーゼ様”に会いに来たのです!」
その少女はミスルギ皇国 元第一皇女であったアンジュリーゼを探しにと叫ぶ。
「モモカ!?」
「?」
モモカという少女がその名を言った方向を見る。
「もしかして……アンジュリーゼ…様?」
モモカはアンジュを見て、泣き出す。
「アンジュリーゼ様〜〜!」
アンジュの方に走って抱きついて泣きつくモモカ。それに戸惑いを隠せないアンジュ。
数分後指令部ではエマ監察官が突然の来訪者の事で、侵入して来た来訪者の名前と経歴を調べる。
「“モモカ・荻野目” 元第一皇女アンジュリーゼの筆頭侍女でお世話をしていた……はい…えぇっ!?」
エマは受話器で上司と話し合ってる中で上司がとんでもない命令を下し、渋々了解して受話器を置いた。
「ハァ…」
「委員会は何と?」
隣で煙草を吸っていたジルがエマの表情を見て、察した。
「…予想通りですか」
「あの娘を国に戻せば、最高機密であるドラゴンの存在が世界に知れ渡ってしまう恐れがあるからと…何とかならないのですか?…あの子達は、ただ此処に来ただけなのに…」
「ただ来ただけ…ねぇ。ま、ノーマである私には人の作ったルールを変えられる力などありませんよ。せめて一緒にいさせてあげようじゃありませんか…」
ジルは煙草を灰皿に捨てると、ある件を問う。
「そう言えば、また問題が起こったそうですね?ジャスミンも驚いていましたよ。」
「明日から、ノーマの鬼教官が参られるそうです。」
「ある教官?」
「その教官…“風澄 西十郎”と言う男性なのです。」
「ほぉ…」
「驚きましたよ、まさか自分からアルゼナル教官に志願して、持ってきた書類もあって、本当に何者なんでしょう。」
「ま、何れにせよ…このアルゼナルで知った者は素直に返されませんから。男性がきようがこようが…私達には関係ありませんからね。」
翌日、食堂にてある事が起こっていた。
「ちょっと誰?あの人…」
「目つき怖〜い。」
「でもカッコいいよ!」
「ねぇ、何か喋ったら?」
食事をしている風澄 西十郎は小声でしゃべっている彼女達や先日前の事でイラついていた。
「(全く、あの馬鹿弟子一号……あの皇女さんを助けたついでに逃げたとは、今度会ったら仕置きしねぇとな!)」
西十郎がイラついていると、別の方から怒鳴り声が聞こえてくる。
「なんたることですか!!」
っと大きな声が響き渡る、それに西十郎が振り向くと。モモカがヒルダ達に向かって怒鳴っていた。
「アンジュリーゼ様に席を譲りなさい!!」
どうやらヒルダ達がアンジュに席を譲らないとの事で口論していたと。西十郎は呆れ返り、アンジュの方へ向かう。
「席が譲れないなら、別の席で食えばいいと言うのによぉ〜。」
西十郎がアンジュの頭を掴み、引っ張っていく。
「あ、アンジュリーゼ様〜!」
引っ張らて行くアンジュをモモカが慌てて追い掛ける。
「て言うか、なんだアイツ!?」
「昨日入ってきた特別訓練教官らしいんだ。」
「マジで!?」
「でも、何で男がこんな場所に?」
「知らねぇよ、でもアイツ…いけすかねぇ。」
アンジュを引っ張っていった西十郎はジャスミンモールの自販機でハンバーガーを食べていた。
「何するのよ!」
「何も…監察官からどやされないように別の席に座らせただけだが。」
「何もあそこまでやらなくても!」
「うるせぇ小娘だ。」
アンジュががみがみと犬の様に吠えている中、何処からか悲鳴が聞こえてきた。するとマギーや医療班に運ばれているメイルライダーが叫んでいた。
「ほれほれ、腕くっつかなくてもいいんかい?……あれ、腕は?」
「こちらです。」
シーツからドラゴンによって引きちぎれた腕が置かれていた。その光景にモモカは食べていたハンバーガーを吐き出しそうになってしまう。
「何なのですか?……ここは一体、何をするところなのです?」
「“狩り”よ…」
アンジュはそう言い、ハンバーガーの髪を捨てる。
「私もいつ“ああ”なるか…」
「アンジュリーゼ様…(どうしてしまわれたのですか?あんなの……あんなのアンジュリーゼ様じゃ……傷ついておいでなのですね…お痛わしや、アンジュリーゼ様。)…お救いしなければ!私がアンジュリーゼ様を!」
「彼女に余計なことをしない方がいいと思うぞ。」
それからと言うもの、モモカは必死にあの頃のアンジュを思い出させようと、ロッカールームにアンジュ用のタンスを置いたり、部屋の内装がお嬢様風な部屋へとビフォーアフターされていたり、翌日、朝食を食べようと食堂に行ってみるとガーデンテラスがレストラン風に改装されておりそこにはテーブルに並べられた料理と案の定、モモカがいた。
「おはようございます、アンジュリーゼ様。今日はアンジュリーゼ様が大好きだったヤマウズラのグリル、夏野菜のソース添えになります。これでアンジュリーゼ様も元気百倍に……」
「いい加減にして!!」
度重なるモモカのお節介に業を煮やしたアンジュは料理をひっくり返そうとテーブルクロスを掴む、下へばら撒かす。
「うわぁ!勿体なし!」
ヴィヴィアンがせっかくの美味しそうな料理に、声を上げる。
「ハァ…ハァ…」
「…アンジュリーゼ」
「私の名は、アンジュよ!!何度言ったら分かるの!?これ以上私に関わらないで!!」
アンジュはそう言い、食堂を去るのであった。
射撃場では、サリアとエルシャが構えていて。最初にエルシャが撃った弾が的に当たらずに壁に当たった。
「あら?」
そして、サリアが撃った弾は綺麗に的の中心に当たり、エルシャはそれを見て感心する。
「ど真ん中!お見事~♪」
エルシャは胸元からハンカチで祝った。
「いつまで経ってもサリアちゃんの様になれないわね~、何が違うんだろう?」
「チッ(四次元バストが…)」
サリアはエルシャの巨乳を見て、舌打ちしながら嫌みを思いこんだ。
エルシャが外れた訳はその巨乳が関わっている事に......
マサトはサリアみたいにど真ん中を狙ったが、銃身の反動でぶれが生じていると、
「嘘!マジかよ!?」
「しー!声が大きいよロザリー!」
っと何やらヒルダ達が隣で話していた。ヒルダの話によると、どうもモモカはこのままミスルギ皇国に戻されると秘密保持の為に処刑される可能性が高いと聞かされて、それにアンジュは思わず手を止めてしまう。
「かわいそうにね~、アンタに関わる奴はみ~んな地獄へ。悪い女だよ、ほんと」
それを聞いたアンジュは構わずライフルを構え、的に弾を当てていく。
夜になり、海が見える丘で西十郎は一人でキセルを吸って吐いていた。すると西十郎がポケットからある写真を取り出す。それはかつて彼の教え子であった超星寮のトライブ使い候補生達であった。真ん中に12年前のアーサーがピースサインで写っていた。
「もし12年前に…東護ノ介と俺が残っておれば。」
西十郎は12年前の記憶の事で悔やむ。炎に包まれる村々、逝かれ狂った小鬼もどきな連中に犯されていく女々、抵抗する者は首を斬首され、そのまま放置されていく。12人の初代グランセイザーとアリマと西十郎と東護ノ介は霊符で自身の愛用の武器を作り出し、邪悪な物を切り裂く純白の鋭利の聖爪と一突きであらゆるものを粉砕する黄金の鋼の籠手を駆使する。黒い怪物と小鬼もどきな連中に立ち向かう。戦いが終わり、雨が降り村々を焼き尽くしていた炎が消えていく。雨が降る暗い中、西十郎は周辺に横たわっている死体に悔やみ叫ぶ。
《うあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!》
彼は12年前の悲劇の事で一筋の涙を流す。
「……俺とした事が。」
西十郎は写真をポケットにしまい、部屋に戻るのであった。
甲板ではしばらくして、発着デッキには輸送機が来ていた。モモカを連れていく為の物である。モモカは鞄を持ちながらジルとエマに礼を言う。
「短い間ですが、お世話になりました。2日間だけだったけど、とても幸せな時間でしたとアンジュリーゼ様にお伝えください」
「……ええ、伝えておくわ。元気でね、モモカさん」
エマはこれからモモカに待ち受ける結末を思うと目を逸らさずにはいられなかった。モモカは輸送機の乗組員に連れられて搭乗しようとした。その時であった。
「待ちなさい!その子は私が買います!!」
果たしてそれは、手に袋一杯のキャッシュを持ったアンジュだった。
「もう、アンジュ待ってよ。ホントに人、いやノーマ使いが荒いんだから……」
アンジュを追う様にフィオナも来た。彼女の手にも袋一杯のキャッシュがあった。2人はそれをジルとエマの前に差し出す。
「は?はぁ~!?何を言ってるの!?ノーマが人間を買うって……大体こんな紙屑同然の金なんかで、「いいだろう」司令!?」
アンジュとフィオナの行動にエマは当然ながら難色を示すが、ジルが許可する。
「移送は中止する。その娘はアンジュの物だ」
ジルの言葉に乗組員は戸惑いながらも了承し、輸送機に乗り込んでいった。
「金さえ積めば何でも手に入る。それが此処のルールでしょう?」
ジルは不敵な笑みを浮かべながら去って行った。エマは困惑してたがキャッシュ袋をマナで浮かべるとジルについて行くのだった。やがて、アンジュはモモカと向き合う。
「此処に……居てもいいのですか?アンジュリーゼ様のお傍にいてもいいのですか?」
モモカが感極まった顔をしながらアンジュに尋ねると、アンジュはそっぽを向く。
「アンジュ、私の事はアンジュと呼んで」
アンジュはそう言うと中へ戻って行った。
「はい!アンジュリーゼ様!!」
モモカは嬉しそうにアンジュについて行くのだった。
「さて…アーサー達は今頃何をやっているのやら。」
西十郎は朝日が昇る海を眺め、アーサー達を心配するのであった。
ED :「きみをつれていく」(超星神グランセイザー: ED)