クロスアンジュ トライブブラザーズ   作:マシンクーガー

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OP:「Valkyrie-戦乙女-」(双星の陰陽師 第2話 - 第13話: OP)

ついに、“彼女”が出ます!


チャプター10 穢れ騎士を追って。

その頃、アーサー達はガリア帝国支配地で情報や探索をしていた。ガリア帝国はノーマの差別意識が強く、元首はミスルギ皇国と同じ皇帝であり、支配権度はミスルギ皇国よりも高く、ノーマをその場で射殺されるか、連行されるか、奴隷にされるかの三つの選択権に分けられているとの事。

トウジとミクモと一緒にいるアーサーはタスク達がいるガリア支配地の孤島に待機していた。

 

「どうだった!?」

 

「ダメだ…タスクの仲間達の痕跡一つも見つからなかった。」

 

「やっぱり、俺一人だけ生き残ってしまったと言う事になるか…。」

 

「無理もない…リベルタスで殆どの古の民が出ていたから。」

 

「……次はマーメリアに行こう。」

 

「そうだな。」

 

誰もがそうしようしたその時、アーサー達の表情が一変する。

 

「《っ!?》」

 

「(何だこの感じ!?)」

 

「(一体何処から!?)」

 

「っ!?上だ!」

 

「《っ!!》」

 

クサビが上空から来る光に反応し、すぐにアーサー達に知らせた。アーサー達はすぐにナックルライザーを起動し、グランセイザーへと変身した。砂埃が起こり、アーサー達が拳を構えていると砂埃が晴れ、それは現れた。赤いプラズマを発生させ、片手に銃剣を持った黒い戦士が赤いバイザーを光らせる。

 

『ほぉ…気配を消した筈なのに俺の攻撃を回避するとは。少々甘く見ていたよ…』

 

「(何だ!?……こいつから出ているこれは何だ!?)」

 

黒い戦士は立ち上がると、ヘルメットが後頭部に装着された機械でできた外骨格に収納される。

「ど偉いさんから聞いているだろ?……“穢れ騎士”達の事。」

 

「《っ!!》」

 

「俺は“カイム”…穢れ騎士『傲慢』担当 四番隊騎士団長だ。」

 

穢れ騎士ーーーカイムと言う男は自己紹介を終える。アーサー達は戦闘態勢をする。

 

「生憎だが、俺達は12人だ。多勢に無勢だぞ…。」

 

「確かに…だがお前達、思い上がって横柄なことはしないと思うんだが。」

 

「何だ!?」

 

「お前達に穢れ騎士の力の一部の力を見せる……しかとその眼に焼き付けるが良い!!」

 

カイムは銃剣を地面に向け、叫ぶ。

 

「“天使を狩りし騎神『ダラム』 我に力を!”」

 

「何だ、この悍ましい気迫は!?」

 

するとカイムの地面が光り出し、後ろから禍々しい黒いロボットが現れる。

 

「何もないところから、機体!?」

 

「“邪星神化!!”」

 

カイムが叫ぶと、彼の身体が粒子へと変わり、機体に吸い込まれる。そして機体のバイザーが光り、動き出す。

 

「人が……パラメイルに!?」

 

『正確に申せば、有機物が大気へと変換され、機体に憑依した。これが穢れ騎士の能力ーーー“邪星神化”だ。』

 

つまり、カイムは身体を粒子化し、機体に憑依している事となる。

 

『そして俺のこの憑代である“邪星神 ダラム”とは……俺のことだ!!』

 

カイムはダラムの身体で素早く動く。

 

「は!速い!!」

 

ダラムが真っ先にクサビを吹き飛ばす。

 

「クサビ!」

 

クサビは何とか回避すると、ある事に気づく。

 

「グランセイザーで良かったけど…コイツの動き、まるで【獣】みたいだ!!」

 

「クサビ!大丈夫か?」

 

「あぁ!」

 

するとダラムが空を飛ぶ。

 

「逃げる気か!」

 

『今日はお前達に忠告及び、挨拶しに来ただけだ。いずれ何処かでまた会うだろう…。』

 

カイムがそう言うと、アーサーを見る。

 

『特にお前。』

 

「俺!?」

 

『いつになればお前は本来の自分に目覚めるんだ!? 12年も経ってまだ思い出さないのか!』

 

「12年前!?カイムと言ったな!お前、俺の何を知っている!12年前って…俺が何を知っているんだ!」

 

『呆れたよ……“自分が犯した【罪】”と“受けるべき【罰】”を忘れるなんて。』

 

「《“罪と罰”》?」

 

皆んなはアーサーの過去を不思議に思うと、カイムはシンギュラーポイントであるワームホールを開く。

 

「あ、待て!」

 

アーサーは急いでフラドーラに乗り込み、カイムの後を追う。

 

「《アーサー!》」

 

タスク達は心配するが、アーサーはカイムが開いたワームホールの中に入り、それと同時にワームホールの入り口が閉じる。

 

「逃がさないぞ!」

 

『しつこい奴だ!』

 

カイムはダラム専用の武装である“邪導騎銃《ダラムボルグ》ライフルモード”乱射する。銃口から紫電の光弾が飛んでくる。アーサーはフラドールのバーディレーザーで応戦していく。するところなのです奥の方にワームホールが出現し、カイムとアーサーは外へと出る。そこで彼はある光景に驚愕する。

 

「これは!?」

 

そこは幾年も時が過ぎた大都市であった。建物には緑の苔が生い茂っており、至る所が崩壊しそうになっていた。アーサーは目の前の光景に見惚れていると、真上からカイムがダラムボルグを構えていた。

 

『終わりだ。』

 

ダラムボルグの銃口から一発の光弾が放たれ、フラドーラのライトウィングに直撃した。右翼を被弾したフラドーラが火を噴き、墜落していく。

 

「まずい!」

 

アーサーは急いでフラドーラの姿勢制御システムとラジエーターを起動させる。さらに落下速度を抑えるため、フラドーラのフロートに搭載された緊急パラシュートを開く。落下速度を緊急パラシュートと反重力システムで何とか速度を落としていくアーサー。フラドーラはそのまま森の中へと突っ込み、木々を押し倒しながら墜落した。数分後、フラドーラから出たアーサーは被弾したフラドーラを見る。右翼と脚部推進器が損傷し、挙げ句の果てにさっきの衝撃で姿勢制御装置と通信装置とレーダー故障してしまった。

 

「最悪だ…」

 

アーサーは呟き、フラドーラの外部にあるコンテナを開く。中にはピストル一丁とマガジン二つ、応急処置キットとセレモニアル・ブレード、雅のお椀と非常食(『カロリーメイト』×3と『ドリンクゼリー』×2)

 

「いって…」

 

アーサーは左太腿を見る。さっきの墜落によって足を怪我していたのようだ。その証拠に血が流れており、早速応急処置を行う。応急処置キットは消毒薬の噴霧器と弾丸摘出用鋏、止血剤製作キット、医療用ステープラー、アドレナリンが入った注射器、包帯であった。アーサーは見るにも痛そうな器具に恐怖を感じ、木の根を思いっきり噛み締める。噴霧器でまず消毒し、医療用ステープラーで縫う。

 

「っ!!!ぐあ"あ"あ"あああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」

 

アーサーは木の根を噛み締めながら涙目で苦痛に耐え、包帯を巻く。

 

「何とか、傷は処置できたが……通信やレーダーもダメ、フラドーラの機能もアウトって……最悪な事態なんだけど。ん?」

 

と、アーサーは在るものを見つける。それは大木が並んだ泉であった。草花や苔、蝶々も飛んでいた。

 

「ここなら水の心配もない…それにしても綺麗だ。(こんな綺麗な泉が家にあったら…)ちょっと喉乾いたな。」

 

アーサーは雅のお椀を取り出し、泉の水を掬おうとした時、泉の中から人影が現れた。

 

「!?」

 

「……!?」

 

黒き長髪、青玉のような瞳、薄紅色の口紅、吸い付くような綺麗な肌、張りのある豊満な胸を持った美少女。それはまるで、お伽話に出てくる泉の女神のようであった。美少女は綺麗な泉に素潜りで浅瀬に戻って来たときに、お互いに視線が合い、一瞬動きが止まる。

 

「「……!!」」

 

アーサーは少女の生まれたままの姿に慌てながら手で顔を覆い隠し、少女は大事なところを背を向け隠す。

 

「な!何者ですの!?」

 

「いや!ごめん!まさか先客がいるって気付かなかった!それで綺麗なーーー!!?」

 

アーサーが慌て、後退りしようとすると下がる。がしかしーーー。

 

「うぇっ!?」

 

足元の石に気付かず転びそうになるが、上手くバランスを取り、そのまま少女のいる泉の方へ転げ落ちてしまう。アーサーは起き上がり、目の前の光景に顔を真っ赤にする。何故なら、彼の目の前にさっきの少女の顔と髪のお陰なのか、それで綺麗な胸のあそこを隠していたが、それがなくなりーー。

 

「ブーーーーーーッ!!!!」

 

アーサーは思わず鼻血を噴き出し、後ろの方へ倒れ込んでしまう。

 

「え!?大丈夫ですか!?」

 

「あ〜〜〜……。」

 

あまりの出来事に、アーサーは昇天していた。美少女は急いで彼を陸に上らせ、在る場所へ運んで行くのであった。

 

 

 

 

そんな昇天しているアーサーはある夢を見ていた。燃え盛る館、数人の子供達が泣き苦しみながら黒く穢らわしい化け物になっていく光景、その中に鬼ような右籠手、背から首を長くした二頭の赫獅子、蠍のような尻尾、昆虫の羽根が生えた緋き紅蓮の悪魔がそれと対を成す青き電流を流す左籠手を持つ稲妻の悪魔と相手していた。紅蓮の悪魔は血の涙を流しながら、耳まで裂けて嘲笑う稲妻の悪魔に怒りを燃え上がらせていた。

 

 

一方でアーサーを運んできた少女は医務室にいる彼の心配をしていると、おかっぱ頭で、ゴーグルと黒と薄緑の縞々のストッキングを着用した天才御殿医「Dr.ゲッコー」があることを言う。

 

「サラマンディーネ様、ご報告がありまして…。」

 

サラマンディーネと言う少女はDr.ゲッコーから話されたことに、仰天するのであった。

 




ED :「きみをつれていく」(超星神グランセイザー: ED)

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