とある島の奥にある廃村…【トリト村】 そこでアーサー達は思いもよらない人物と会っていた。その人物の名はーーー。
「何で…何でお前が…!!まだ生きてやがるんだ……!!ユゥゥマァァァァァァッ!!!」
アーサーは怒り声を上げながら12年前のトライブ候補生であった友人“ユーマ”を睨んでいた。
「何でって言われても、見ての通り12年前君から傷はこの通り綺麗になって、ピンピンしてるよ!それよりどうしてそんなに恐い顔をしてるんだい アーサー?」
「ぐぅうううっっ!!!!!!」
「そんなことより、ここは「生きてたんだねユーマ〜〜」って泣いて喜ぶシーンじゃないのかい?」
満面な笑顔を見せるユーマにアーサーは鬼の籠手を展開する。
「下らねぇ冗談言ってんじゃねぇぇぞぉおおおっ!!!」
アーサーは鬼の籠手から炎を出し、ユーマに殴り掛かろうと飛び出す。その時、地面から黒い蛇がアーサーの身体に巻きつく。
「ぐっ!!何をしやがる!!?」
「そんなに怒るなよ〜。久しぶり会ったんだから、ゆっくりと話そうよ アーサー〜……僕らは“友達”だろ〜〜?」
「友達だと!!?抜かした事を言うじゃねぇぇっ!!12年前の夜!超星寮とトリト村でお前は!皆んなに何をした!!」
「何をって…僕は彼らに強大なトライブを与えようとしただけさ。それより、君は皆んなに何をしたんだっけ?」
「っ!……俺は…!!」
「フフフフ…12年前のあの夜は色んなことがあって……本当に楽しかったね、アーサー……」
ユーマはそう言うと同時に、アーサーの記憶に12年前の出来事が振り返る……。
……《回想》……
時を遡る事12年前……【トリト村 超星寮】午後8時頃、ユーマの部屋にアリサ達を含む数十人のトライブ候補者が集まっていた。テツジとカツキはユーマが行う皆んなを強くする“おまじない”を机を前に移動していた。
「おいユーマ!配置ってこんなんで良かった?」
「問題ないよ ありがとう」
「これで俺たちもユーマやアーサーの様な凄いドライブ使いになるのか。楽しみだな〜!」
「どうしたの?サヨリちゃん」
「でも、こんな事していいのかな?」
「何言ってるのよ、サヨリちゃんもアーサー君と一緒にグランセイザーになりたいんでしょ?」
「うん…」
「それじゃあ、始めるよ……」
ユーマはそれぞれの皆んなの髪の毛が入った黒い霊符を並べ、術を唱える。アリサやテツジ、シュン達はユーマ、アーサーの様なドライブ使いになって、悪い神をやっつける力が得られると楽しみに信じているが、術を唱えているユーマの表情は得体の知れない程の不気味な笑い顔で微笑んでいた。
一方、アーサーとリク、リリー、スゥは食堂にいた。
「あれ?ユーマとてっちゃん達は?」
「皆んなユーマの部屋にいった。何だか秘密会議らしいの。」
「ふ〜ん」
アーサーはそう言いながら、冷蔵庫の中の物を見る。
「大したものがないなぁ。ちょっと何か買ってくる。」
「待って、私も一緒に行く。あんたマナ使えないから困るでしょ?」
「そうだったな!」
「あれ?」
「どうしたの?」
「開かない…」
「え?」
「開かないんだ」
「開かない?そんなまさか?鍵が掛かってるんじゃ…」
「本当に開かないんだ!鍵も掛かっていないのに!」
「はぁ!?ちょっと!」
スゥはアーサーの手伝いをする。
リクは妹のリリーと一緒にアーサーとリリーを見る。リリーはしっかりとぬいぐるみを抱いていると、廊下から黒い瘴気が出てくる。リリーは何かと廊下の方を振り向いたその直後、何かが吹き飛ぶ音が響いた。
「「「っ!?」」」
アーサー、スゥはすぐさま振り向く。そこにはリクとリリーの姿が見えなかった。
「リク?リリー?」
スゥは妹の心配をしに廊下の奥を見る。そこにはリリーとリクが倒れていた。
「リク?……っ!!」
スゥはリクとリリーを見て驚く。何故なら二人の首は何かに捻られ、四肢がぐちゃぐちゃにされ、既に死んでいたから。するとそこに…。
「ア…サー……スゥ…」
「アリサ!?」
「どうしたの!?」
「こ…このままじゃ……ユーマを止めて…」
「ユーマ?……ユーマが何をしたんだ!?」
「怪物……」
「怪物?何の?」
「違う!……私、ボスキートになりたくない!!!ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
アリサは絶望と共に、身体が風船の様に膨れ上がり、皮は引き剥がれ、中から血しぶきと共に鬼を模した悪魔が現れる。
『ヒィィィィ!!!キヒヒヒヒヒ!!!!』
不気味な笑い声を出す悪魔、アーサー、スゥは何が起こっているのか混乱する。
「アリサが…ボスキートに!!?」
「逃げろ!スゥ、このドアをこじ開けて、外の大人に知らせ……っ!!?」
「開かない!」
「早く!こじ開けて!」
「分かった!」
「いやぁぁぁぁ!!!!」
「アーサー!!助けて!!」
「スゥ!!」
「いやぁっ!!私、まだ死にたくない!死にたくない!あーさーっ!!!!《グチャリ!!!》」
スゥの頭を首ごと喰らい、そして死んでいたリクとリリーの死体も仲間のボスキート達が貪り食う。あまりの出来事にアーサーは恐怖する。
「…な…何っっ…なんだよ!?何だよこれ?……なんなんだこれはああああっ!!!!」
アーサーは突然の悲劇にナックルライザーを使い、紅蓮の炎を纏った拳で次々とボスキートを祓い殺して行った。
……《回想終了》……
そして12年後の現在ーーー黒い蛇に巻きつかれ、身動きが取れないアーサー、それを嘲笑いながら昔の出来事を語る。それを聞いていたタスク達がユーマの言葉に心を震え上がらせる。
「あの二人…何の話をしてるんだ?西十郎さん!」
「……心してよぉ〜く聞いておけ。今のが超星寮とトリト村で起こった悲劇だ。」
「だけど、分かりません!!?候補生やトリト村の人達に……何があったのですか!?」
「そうか……お前達は【穢れボスキート】の事、教師達に教えられなかったんだな。」
「【穢れボスキート】……????」
「“豊富なマナを持った人間様が強制的に生身のままボスキートへとなってしまう事”だ。そうなっちまうと、罪や破壊をする前に命を絶ってやるしか救う方法がない。」
「そんな事!聞いたこともない!!図書室にもそんな物はなかった!」
「当然の事だ、この事は俺の様なごく限られたベテランのトライブ使いしか知らない。お前達が守っていた人間もこの事も全く知り尽くしていない…穢れボスキートと言うのは、昔にいた“絶滅者ボスキート”の様な四大元素全てのトライブを得るために、トライブ使い自身がボスキートへとなってしまう最凶最悪の禁邪法とも呼ばれている。その禁邪法を知っているのはさっきも言った様にごく限られたベテランのトライブ使いだけだ…だが、本来知られてはいけない禁邪法をどうやって知ったのか、その邪法を持ち出した奴がいた。そして12年前…トリト村と超星寮の夜に穢れボスキートと穢れに満ちたインゴが出た。」
「じ……じゃあ…」
「最凶最悪の禁じられた邪法を弄び、超星寮の候補生達やトリト村の連中を快楽に溺れさせた狂人への実験材料にし、若造の人生と全てを狂った恐怖へと陥れたのが…アンジュ…よく聞け。アイツはーーー」
お前の“二番目の兄”ユーマ…否、【ミスルギ皇室第二皇太子 ユーティス・飛鳥・ミスルギ】だ!
西十郎の言葉にタスク達は背筋が一気に凍り付く。ミスルギ皇室にはもう一人の皇太子がおり、それがアンジュのもう一人の兄だと言う事に…。
「私の……二番目の…兄…!?」
「ユーティス様!何故なのですか!?何故、そんな酷い事をなさるのですか!?」
モモカが彼の行為に、疑いが生じ、本当の事を聞き出そうとするが。
「黙れメイド……乳臭い口を閉じれ。」
ユーマの放った言葉にモモカは驚く。
「っ!!?」
「お前は本当に馬鹿だなぁ…クソな兄貴に利用され、挙句には用済みとしてクソな妹と絞首刑にされるなんて……どんだけお前はお人好しなんだろうなぁ?」
「ユーティス様…?」
「事実を受け入れろ…筆頭侍女。あれがユーマの本性だ。アイツはあぁやって人を欺き、裏の本質を隠し続けていたのだ。」
「そんな……皇帝陛下様と皇后陛下様と共に世界を平和にするのも!!あれも嘘だったのですか!?」
かつてユーマはジュライ皇帝陛下とソフィア皇后陛下に約束してなさった。っがしかしーーー。
「……理想を語るばかりで、何もなし得なかった愚かな肉塊共。何より気に食わなかったのが、お前が愚妹に尽くす事だ…あの二人がお前にど愚妹に何を託したのか分からないが……良い機会だからハッキリ言えるよ。」
【アンジュリーゼとモモカ……僕がお前達やクソな兄貴であるジュリオとクソな妹であるシルヴィアを…兄妹とは思ってはいない。ノーマを反社会的な化物と蔑んだり、お前達の穏やかで無垢な笑顔を見てると虫酸が走るんだよ。それに、お前達にいい兄とクソなジュリオの弟を演じるのは、ストレスでしかなかったよ。】
衝撃な言葉にモモカは虚ろな目で泣き崩れてしまう
「モモカ!あなた……どこまでクズなのよ!!」
「何をしてるんだい、僕から言ったこと全て言ったよ。分かったんなら、二人ともとっとと僕の前から消えてくれないかな〜」
全く話を聞いていないのか、ユーマはさらに言う。
「キッ!あなた!!」
その事に頭のネジが外れたアンジュはユーマを殴ろうとしたその時。
「ユゥゥゥマァァァァァァッ!!!」
「?」
黒い蛇に巻きつかれているアーサーが叫び、鬼の籠手から出す炎で黒い蛇を焼き尽くす。
「例えお前がどんな事があって!謝っても!反省しても!土下座しても!後悔しても!死んでもっ!俺はお前を絶対っ!!絶対に許さねぇぇぇえええええええええ!!!!」
黒い蛇が黒焦げになり、アーサーから離れると、鬼の籠手を向ける。
「ふ〜〜ん。許されなかったらどうするんだい?教えてくれよ、アーサー〜♪」
「ユゥゥゥマァァァァァァッ!!!今度こそ!!お前をこの手でぇぇぇえええええええええ!!!!!」
するとアーサーの首、肩、腰から蟲の羽、二頭の狼、蠍の尻尾が現れる。
「あれ?アーサー…」
「(まさかリミッターを解除しやがったのか!?)」
西十郎がアーサーの姿に驚く。
《フハハハハハハハ!!!!》
籠手の鬼の模様が変わり、不気味な笑顔と笑い声を上げる。
「地獄に落ちれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
アーサーは鬼の籠手をユーマに向けて殴る。とてつもない衝撃と砂埃が舞う。その中からユーマが飛び現れ、廃墟の屋根の上に着地する。
「あ〜、びっくりした!」
《フハハハハハハハ……!!》
砂埃が舞う中、不気味な笑顔が聞こえる。そして砂埃が消えると、それは現れた。鬼の籠手が異形の怪物の腕へと変わり、顔の右半分が黒く覆われ、額から異形の角が飛び出ていた。さらに首からは不気味な目を描いた模様を持つ蟲の羽。肩からは蛇のように首を伸ばし、鋭利な角を生やし、鋭い牙が立ち並んだ二頭の猛牛。腰から異形の楔形の鎖が生え、その先端部に鋭く尖った矛が蛇の様に動いていた。
「アーサー……なのか……!?」
「チッ!(馬鹿弟子が…!!)」
「うああああああああぁぁぁぁっ!!!!!」
怒り声を上げるアーサーは目を血の色に輝かせ、籠手の鋭い爪を突きつけ、ユーマに振り下ろす。しかし…ユーマの左腕が光り、アーサーと違い色と角の数が違う鬼の籠手で止めていた。
「ダメダメ〜アーサー〜、全然ボスキートの力を使いこなしていないじゃないか〜…」
ユーマはそう言い、デコピンでアーサーを吹き飛ばす。
山まで吹き飛ばされたアーサーは再度立ち上がり、ユーマに突撃するが、またデコピンでアーサーを吹き飛ばす。
《フハハハハハハハ!!!》
不気味な笑い声を出す籠手、アーサーは全身血だらけになってもユーマに怒りの雄叫びを上げる。
「ゔ〜〜〜〜っ!!うああああああああっ!!!!!」
怒りの雄叫び、さらに不気味な笑顔と笑い声を響かせる籠手、アーサーの姿が見る見ると異形な形へと変貌していく。その姿はまさにーーー【紅蓮の悪魔】であった。その姿を見ていたタスク達が息を殺しながら思う。
「(アーサー……お前。)」
「(ヤベェ…アイツの怒り……こんなの…初めてだ。)」
「(……アーサー)」
タスク、ライド、エクエスの三人は互いに顔を見て決意する。
「「「装着!」」」
「タスク…?」
「行くぞ、タスク」
「あぁ…」
三人の表情がとてもとは思えない程の怒りを露わにする。
「もう終わりかい、アーサー?」
「う……うう……」
ズタボロにされ、身体中が血で染まったアーサーは紅色に染まった野獣の如く目で睨み、鋭い牙を食いしばる。
「アーサー!大丈夫!?」
「……大…丈夫じゃ…ない…みたい…」
アーサーはそう呟く。
「っ!!」
それを聞いたタスク達はユーマを恐ろしい表情で睨む。
「オイ…そこの屑野郎、「ユーティス」って名か。」
「調子に乗るのも今の内ですよ。あなたは俺達の義兄弟を痛めつけた……12年前の候補生の無念……今ここで晴らす!」
タスク、ライド、エクエスは一斉にユーマに攻撃を仕掛ける。
「うらぁぁあああああああああっ!!!!」
ライドは聖撃砲ブルキャノンを装備し、エクエスは聖転鋸ブラスト・ソーを持ち、タスクは聖甲銃アイアン・ゲイルというライフルを取り出し、三人は構える。
【マタドール・バースト】!!
【ファイナル・ジャッジメント】!!
【デ・ストーム】!!
風、大地、水ーーー三人の必殺技が一気にユーマに向かってくる。っか、しかし……。ユーマは三人の必殺技をあっさりと回避し、そのまま山に直撃する。
必殺技をあっさりと回避された事に三人は驚く。
「何で俺たちの攻撃があっさりとかわされるんだ!?」
「きっと、何かトリックがあるはずだ!絶対に暴いて…」
「ち…がう!」
アーサーは血を吐きながらも立ち上がる。
「「「アーサー!」」」
「奴は……ユーマは【軌道予測】できる奴だ!」
“軌道予測”ーーー相手の行動を軌道として先に読み取り、戦闘手段を大幅にしてしまう。
その事にライドが怒鳴る。
「アーサー!最初にそれを言え!!」
「じゃあ!俺達が攻撃をしようとしても奴には完全に行動や攻撃の軌道が丸見えなのか!!?」
「だからってそれぞれのトライブリーダー格が合体技をやってもか!?」
「あれ〜?もう終わり……?」
ユーマは余裕な面を見せる。
「チッ!聞くだけでもムカつくんだが!!」
「来ないなら……」
ユーマは途轍もない速さでタスク達に接近し、三人の中場に入り込んだ。
「「「っ!!?」」」
三人は驚いたその直後、ユーマから三本の尻尾が生え、タスク、ライド、エクエスの腹に毒針を刺す。すると刺した場所から黒い筋が浮かび上がり、三人は断末魔の叫びを上げる。
「「「うあああああぁぁぁぁぁっ!!!!」」」
三人はユーマの毒に苦しみ出す。
「ユーマ!貴様っ…タスク達に何をした!!?」
「面白くする為、三人の体内に穢れボスキートの力を入れたのさ♪」
「お前ぇっ!!、」
「ぐああああぁぁぁぁっ!!!」
「ううぅっ!……あああああぁぁぁぁぁっ!!!」
「ぐううぅっ!!痛でぇええええええ!!!!」
三人は苦しむ中、アーサーは12年前の悲劇を思い出す。大切な物がまた砂のように崩れていくように…。
「ああ…また…俺は………」
「さぁアーサー!よく見るが良い!三人が穢れボスキートになる瞬間を!!」
絶望に蝕まれていくアーサー……だがその時。
「……ま……だだ!!」
「ん?」
アーサーは苦しみに耐えながらも、立ち上がる。
「俺は…父さんと母さん…仲間を殺したお前を絶対に許さない!!アーサーを悲しませるお前を…倒す!!」
「っ!!?」
「俺もだ…!こんなクズ野郎に怪物にされるなんて……ゴメンだ!親父の仇を取れないなんて嫌だからなぁ!!」
「当然ですよ……姉さんを弄んだ事、後悔しろ!!」
それに続くかのようにライド、エクエスも立ち上がる。すると三人の目がそれぞれの色によって発光し、毒を浄化する。
「この感じ……まさか!?嫌!ありえないっ…外野が…外野三人如きが認められる筈がないっつ!!」
ユーマが驚く中、タスク達の身体からそれぞれのボスキートが現れる。タスクの方は大昔の蜻蛉を模したボスキートが現れ、タスクに憑依する。ライドの方は剣歯虎を模したボスキートが現れ、憑依する。エクエスの方は古代鮫を模したボスキートが現れ、憑依する。タスクの両腕から蟷螂と思わしき鎌【邪鎌剣】とアーサーとユーマと同じ禍々しい目の模様が浮かぶ羽が生えていた。ライドは両腕から剣歯虎の頭部を模した収束砲【邪砕砲】になっており、両肩からアーサーとユーマと同じ二頭の狼が首を伸ばしていた。エクエスは両腕から異形の形をした錨【邪禍錨】になっており、アーサーとユーマと同じ腰から蠍の尻尾が生えていた。ユーマは三人の姿に額の筋を浮かばせる。
「……!!ふざける……な…っ。ふざけるなよ外野がぁあ…!!」
「これが…」
「俺達の…」
「ボスキートとしての力…」
タスク達はそれぞれの武器を構える。
「肉塊の仇敵に縋った挙句…その姿は…!!お前らみたいな面白くもない外野が…!!僕とアーサーの同じ舞台に立つことすら痴がましいぞおおおお……カス共ぉおおおおおおおっ!!」
怒りを露わにするユーマは鬼を模した籠手を出現させ、向かってくるタスク達に殴りかかる。
「じゃあ行くか!!」
タスク達は武器を構え、向かってくるユーマに向けて強力な必殺技を放つ。
「っ!!」
光がアーサー達を眩かせる。光が消えると、三人はどういう事なのか倒れていた。
「な〜んてね♪まさか僕をここまで追い詰めるなんてね。」
「っ!?」
「でも“一撃必殺”とはいかなかったみたいだなぁ…」
ピンピンしているユーマはゆっくりと歩くが、アーサー達が驚いていたのは彼の姿のほうであった。
「…………な!?ユ…マ!?何だ…何だよお前の…その姿は…!!」
「ーーーん?…ああ!」
左腕の籠手が右腕にも同じ物が増えており、黒く染まったプロテクトアーマー、悍ましい羽と尻尾、そしてその背後から八つの蛇を模した後光が現れる。その姿は悪魔なのか堕天使なのか分からなかった。
「何…あれ…!?」
「なんのことはないさ…これが今の僕の本来あるべきの姿だよ。今の僕は……」
「十三番目のグランセイザー……蛇使い座の力『セイザーアプス』だ!!」
「十三…番目…!?」
セイザーアプスとなったユーマは右腕から光の剣を放出し、タスクに向ける。
「そろそろ…終わりにするか!」
ユーマが剣をタスク達に突き刺そうとしたその時、空から光弾がユーマへ飛んで来た。
「っ!?」
雨が降る闇夜の中、蒼色と翠色に輝くラインがユーマに目掛けて光の剣が振り下ろされる。
「あれ?君達は……」
煙が晴れると、現れたのは蒼色と翠色の追加装甲をした二体のフラドーラであった。
「あれは……?」
「おやおや、アーサーを守る【懐刀】か♪」
ユーマはそう呟くと、二体のフラドーラのコックピットが開き、中から黒の狩衣を来た男が現れる。一人は強く、冷酷な表情をする屈強な男と優しい頬笑みを浮かべる男であった。
「ユーティス・飛鳥・ミスルギ……黄昏の王君上層部から、貴様が12年前の大罪が載ってある証文が見つかった。司令や先代達の命により、貴様を反逆者として…討伐する。」
「ほぉ〜?と言うことは君達は僕を倒す“討伐隊”と言うことか。」
「そうなるな……」
すると屈強な男は霊符を手に持ち、唱える。
「「喼急如律令!!」」
霊符が光り出し、それぞれの武器へとなる。屈強な男は二刀流、優しい男は両刃を構え、ユーマに突撃した。その時、ユーマの目の前から空間が歪み、そこから巨大な剣が突き出してきた。
「「っ!?」」
二人は急いで回避すると空間からそれは現れた。それはアーサーが最初に出会った巨躯の大男であった。大男は大剣を突き構えると、彼の周りから五人の男女が現れる。その中にアーサー達の知る人物がいた。
「お前はカイム!」
「久しぶりだなぁ、雑魚ども!」
カイムはそう言うと、他の穢れ騎士やカイム、ユーマが叫ぶ。
「《我等は【穢れ騎士】……あの“御方”を守護する騎士団!》」
「穢れ騎士『憤怒』担当 一番隊騎士団長“モルドゥレイス”!」
「穢れ騎士『団欒』担当 二番隊騎士団長“ネフティ”!」
「穢れ騎士『愛欲』担当 三番隊騎士団長“バレンティーヌ”!」
「穢れ騎士『傲慢』担当 四番隊騎士団長“カイム”!」
「穢れ騎士『執着』担当 五番隊騎士団長“ジーダス”!」
「穢れ騎士『逃避』担当 六番隊騎士団長“アラマシラ”!」
「穢れ騎士『利己』担当 七番隊騎士団長“ユーティス”!」
一気に揃った穢れ騎士の団長、そしてそれぞれ一人につき四人の穢れ騎士達が現れ、総合計ーーー三十五人へと増えた。
「モルドゥレイス!?……じゃあ…お前が!?」
「その通りだ…私はこの場所を訪れ、燃え行く哀れな屍を見た。」
「くっ!(まさか俺が探そうとしていた人物が……穢れ騎士の一番隊騎士団長だったなんて!納得が行く……あの威圧感なら!!)」
「さらにまだある!」
「…!!」
「本来穢れ騎士は……“八人”存在する!」
「《!?》」
「極大まで高めた圧倒的な力!全てのトライブを使えるのに相応しい人物!“二つの呼び名の穢れの称号”!!」
「穢れ騎士『絶望、憎悪』担当 八番隊騎士団長“アーサー”…………お前だ!!」
モルドゥレイスが言い放った言葉にアーサー達は驚く。
「《っ!!?》」
「アーサーが……!?」
「穢れ騎士の一人……だと!?」
「……嘘だ!」
「嘘ではない!」
モルドゥレイスはそう言うと、右腕が鬼の籠手へと変わり、籠手が不気味な笑い声を上げ出す。
《フハハハハハハハハハ!!!!》
「そ……その腕は!?」
「その通り……穢れボスキートだ!我等穢れ騎士は……穢れボスキートの力を物にして構成された最強の部隊だ!これこそが……“真のグランセイザー”だ!!偽りのグランセイザーとは全く違うのだ!!」
「何が偽りだ!お前らに言われたくない言葉だな!」
「まだ分からぬか……ならば見せてやろう!」
モルドゥレイスは背中に収納していた大剣を抜き取り、振り回す。するとモルドゥレイスの周囲に風が集まり、竜巻が起こる。
「っ!皆んな!気を付けろ!!」
「【怒り狂う衝動!!】」
モルドゥレイスは振り回していた大剣を一気に振り上げる。集まった竜巻が合体し大きくなり、山に向かっていく。竜巻の風が山を削る。
「やっ!山が!!?」
「あれが穢れボスキートの力を得た穢れ騎士の本来の力…!?」
トウジとマナコが驚くと、モルドゥレイスが轟き叫ぶ。
「貴様達に告ぐ!我等、穢れ騎士は……黄昏の王君に宣戦布告出す!!戦争だ!!」
モルドゥレイスが放った宣告、ユーマが前に出る。
「うっ!……ユーマ!」
「……アーサー。僕はね、君の事が大嫌いだけど…グランセイザーとしての素質について全く認めてなかったって訳じゃない。トリト村の連中の中で唯一穢れボスキートの力を自分のものにした君をね。ーーーでも、君は逃げたんだ…絶大な力が手に入る扉の前に立っておきながら、君は罪の意識に負けて引き返してしまった…けど、僕は扉を開け、その先に足を踏み入る事ができた。君の罪はね、アーサー……トリト村の人達と超星寮の連中を殺した事でもない……」
【君の罪は……真に“強くなる”と言う覚悟がなかった事だよ。】
「っ!!!」
「この次会う時は、もう少し楽しませてくれよ……アーサー♪」
「待て、ユーマ!!」
アーサーが言うもユーマはモルドゥレイスが開いたワームホールに入って行き、姿を消す。
「おい!タスク!大丈夫か?」
ガイやクサビ、エミリーが倒れているタスク達の安否を確認する。
数分後、タスクは目を覚ましたが、ライドとエクエスはあまりにも危険な状態であった為、クラウドブルースへ搬送する事に、タスクは軽傷ながらもアンジュとモモカをアルゼナルへと向かう。アーサーは帰ろうとする西十郎に言う。
「師匠……」
「ん?」
「すみませんが……俺は少しここに残ります。皆んなの墓を作っておきたいのです。」
「…………好きにしろ。」
西十郎はそう言い、タスクと共にアルゼナルへと帰還する
残ったアーサーは助けに来た二人と共に散らばっていた木板に候補生の名前を書き、墓標の代わりに使う。
・テツジ…
・サヨリ…
・アリサ…
・シュン…
・ユキ…
・ムツミ…
・カツキ…
・ルリ…
・チエ…
・ロミオ…
・リク…
・リリー…
・スゥ…
・マコト…
・モモ・…
・アラシ・…
・シズク…
・ケイ…
・サアヤ…
・アレン…
「ディーンおじさん…マーサおばさん…おばさんのお腹にいた赤ちゃん……皆んな……12年間もお前達を忘れてしまってゴメン。」
墓標の前涙を流すアーサーを励まそうと二人が来る。
「主君…」
「……そう言えば、名前を聞いてなかった。」
「自分は“ヤトウ”。コイツは“リュウ”だ。」
「よろしくです、主君…」
「ねぇ、君達が“俺の懐刀”ってどういう事なんだ?」
「……“崩壊者”様の命だ。」
「【崩壊者】…誰なんだ?」
「それは言えない。“知りたければ自分の手で掴み取る”……ーーーっと崩壊者が言ってました。」
「え?今、通信ーーー……あれ?」
っと、アーサーが突然倒れ込んでしまう。
「主君!?」
ヤトウとリュウが慌てて体を支える。
「大丈夫……さっきの戦闘で無理をしてしまった。今回は休んで家で寝ておくよ…」
「送りましょう。」
ヤトウとリュウはアーサーを連れてクラウドブルースへと帰還する。
だがこの時、村が見える丘で二つの影がクラウドブルースへと戻っていくアーサー、ヤトウ、リュウを見る。
『貴方…やっぱりよ。』
『そうか……』
『無事にヤトウ君とリュウ君はアーサーと接触し、疲れたアーサーを運んでるわ』
『まさかこんな所でまた会うなんてなぁ…我が“千年の友”よ。』
謎の男女は空を見上げ、その場から幽霊の様に消えるのであった。