クロスアンジュ トライブブラザーズ   作:マシンクーガー

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チャプター23 肉親との再会

紅蓮の焔の中、両者片方の目を失ったアーサーとユーティスが穢れボスキートの腕で殴り合っていた。身体中が血塗れなのに、二人は戦いを楽しむかのようにしていた。

朝日が差し込む窓、布団の中でアーサーは目覚める。

 

「(最近、変な夢を見るのが多くなったなぁ…)」

 

アーサーはそう思いながら昨夜の婚礼の義で妻になったフェリスに目を向けると、その愛らしい顔をこちらに向けて、まだ眠っているようだ。

 

「可愛い寝顔だ♪」

 

 

 

「おはよう、フェリス」

 

「おはよう、アル」

 

「「フフフ…♪」」

 

二人はそれぞれの結婚した証拠である腕輪を見せ合う。

 

 

 

 

下に下りると、食卓の上には凄い豪華な朝食が並んでいた。

 

「うわっ!?朝も豪華…」

 

「きっと、私たちが夫婦になった事に、喜んでいるのですよ♪」

 

「「「おはよ〜う」」」

 

「「おはよう」」

 

「いただきます♪」

 

「「「「いただきま〜す♪」」」」

 

「(は〜い、召し上がれ〜)」

 

「ランス、腕の方はもう大丈夫か?」

 

「大丈夫だ♪」

 

ランスは昨日、ユーティスによって右腕を食いちぎられてしまい、アーサーが前に使っていた義手を身につけていた。

アーサー……否、コールブランド家はいつものような朝食を済ませていると、アーサーの通信機が起動する。

 

「ちょ、ごめん……もしもし?」

 

「『アーサーか。君の穢れボスキートの事で話があるのだが…良いか?』」

 

「あ、はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お呼びでしょうか、東護ノ介さん。」

 

「あぁ、早速だが…例の穢れボスキートになってくれ。」

 

「……」

 

「分かった。」

 

「東護ノ介さん、これの事で何か知っているのですか?」

 

「君のその姿……まるで『柳星張』なのだ。」

 

「“柳星張”…?」

 

「南方を守護する神ーーー『朱雀』ーーーの異名だ。」

 

「それが…何?」

 

「実は昨夜の婚礼の儀の後、ライドとエクエスに異変が起きたのだ。」

 

「え!?」

 

「出てこい。」

 

「えぇっ!!?」

 

アーサーは二人の姿に驚愕する。ライドは黒い髪が白色へと変色し、獅子のごとく鬣のようになっており、筋肉が更に増え、野獣の目、猫耳、剣のような切れ味を持つ二本の牙、槍のごとく鋭利な爪、四つもある豪腕、尻尾が生えていた。一方、エクエスの方は最早人ではなかった。そう彼は……体全体が鮫肌で覆われ、鱗のような重なり合った形状、下顎の左右両端から大きな牙が1本ずつ、上に向かって生えており、獣のような鋭い眼差し、シャチ背鰭と尾鰭がある『海獣』であった。マイラの方はもののけなのか鹿なのか龍なのか、鹿のような獣のような蹄を持つ脚になっており、顔が猿なのかも分からない人面、頭に無数の角が生えていた。

 

「三人ともどうしたんだ!!?」

 

「知るか!朝起きたらこんな姿になってたんだ!」

 

「全くですよ。俺の方が一番酷い目に遭いましたがね!」

 

「まぁ、そんなヤバくて怖い顔なら……」

 

「何か言った?」

 

「ひぃ〜〜っ!!」

 

怖い目で睨むエクエスにアーサーは怖がる。

 

「でも…何でだ?」

 

「理由は簡単だ…。」

 

東護ノ介はアーサーに説明する。11年前ーーーアーサー、タスク、ライド、エクエス、マイラの五人が兄弟の契りを交わした時、アーサーの血が四人の傷へと入り込み、穢れボスキートの底力が目覚めた事になる。つまり、彼らのDNAにはアーサーの感染した穢れボスキートの細胞が這い回っており、覚醒したアーサーの共鳴によって三人の中の細胞が急激に活性化し、現在の姿へとなっていることとなる。

 

「つまり…俺の力が目覚めた事が原因?」

 

「そうなるな。我々は君達のような途轍もない力を持つ穢れボスキートをーーー『純なるボスキート』ーーーと呼ぶ事にしたのだ。」

 

“純なるボスキート”……純粋な心を持ち、正義の心を持つボスキートとの事。アーサーはとっさにタスクの事を考える。

 

「それだったら、タスクは?」

 

「タスクの方は分からない。現在調査中との事だ。」

 

「そっか…」

 

「……で、元に戻る方法は?」

 

「それに関しては…「私が説明しよう。」…ん?」

 

突然、東護ノ介説明に割り込んで現れたのは高貴な服装と言うより『軍服』と全てが黒のマントをした女性軍人が現れる。

 

「誰?」

 

「紹介しよう。彼女は“メナ”。近衛一番隊隊長“メナ・カレトヴルッフ”大名であるのだ。」

 

「「「「あ、どうも」」」」

 

「それとアーサー、落ち着いて良く聞け。」

 

 

 

 

 

 

 

「彼女はーーーお前の『姉』なのだ。」

 

 

 

 

 

 

アーサーはその時、想像もしなかった事に気付く。アーサーは幼少期、コールブランド夫妻に拾い育てられ、自身の肉親の事と顔を全く知らなかった。そして今、彼の目の前に自分の姉と名乗る女性がいる事に戸惑いを隠せなかった。するとメナがアーサーを優しく抱き付く。

 

「ん?」

 

「すまなかった…お前がこんな酷い目にあっていた事に気付いていれば…。」

 

「……俺の姉ちゃん?」

 

「他にもいる…お前に会いたかった兄上、姉上が…。」

 

するとメナの後ろから数人の男女が来る。

 

「やぁ…“アーサー”、かな?俺は“ヨハネ”。君の兄であり、メナ姉さんの弟だ。」

 

「私は“キーラ”…あなたの一番目の姉よ。」

 

「俺は“ギル”。二番目の兄だ。そして…」

 

次に現れたのは紅き甲冑と純白の巫女服を着た男女であった。

 

「やっと会えた…我が弟よ。私は“クリストバル・カレトヴルッフ”。お前の一番目の兄だ。」

 

「妻の“セレスティナ・カレトヴルッフ”です。私の可愛い義弟君」

 

「この6人が…俺の?」

 

アーサーは肉親である兄と姉達に驚いていると、奥からある男性と女性が来る。するとクリストバル達が膝まづく。

 

「《父上、母上》」

 

男性の方は黄金の髪、女性の方は白銀の髪をしており、肌の色が白 白色と褐色に分かれていた。すると父親が急にアーサーの頭を撫で始める。

 

「…めんな」

 

「え?」

 

アーサーは父親の顔を見上げる。父親は大粒の涙を流し、歯を食いしばりながら、アーサーに思いっきり抱き付く。

 

「本当に…ごめんな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサーは考えながらフェリスに連絡し、親族を連れて家に帰ってきた。御座敷の間で座っている一同はフェリスやクレイン、ランス、ミントを見ていた。

 

「てな訳で…実父と実母、実兄と実姉、義姉さんを連れて来た。」

 

「初めまして、お義父さん、お義母さん、お義兄さんにお義姉さん。アーサーの妻のフェリス・朱鷺・コールブランドです。旧姓はミスルギでした。」

 

「話はアルから聞いてる。アーサーの父の“オリヴァルト・カレトヴルッフ”だ。」

 

「母の“シェレザール・カレトヴルッフ”です。フェリスちゃんにクライン君、ランス君にミントちゃんだったね。辛かったでしょ、お父さんを待っていたのに…。」

 

「はい…」

 

「やっとの再会がこんな事になるなんて。安心して、今日から私達があなた達の親だから♪」

 

シェレザールは優しい微笑みと共にフェリスを優しく抱く。

 

「…お義母さん」

 

フェリスはこんな自分を義娘として認めているシェレザールに涙を流す。

 

「それで、話させて貰うぞ。20年前…俺がまだ赤ん坊だった頃、何があった?どうして、俺は両親と離れ離れになって、トリト村へたどり着いたのか。」

 

「……そうだったな。今こそ話そうーーー我らの父上と母上、祖父と祖母、我ら兄妹の身に何があったのかを。」

 

 

 

 

 

 

 

 

20年前ーーー。異様なワームホールが空から現れ、その中から戦艦と潜水艦を併せたような形状と艦首の巨大なドリルが搭載された万能艦『轟天号』正式名称「第三世代型超神速恒星間航行用超弩級万能時空戦闘艦 “エクシリアン” 」が飛来する。艦橋にはアーサーの実父と実母である「オリヴァルト・カレトヴルッフ」と「シェラザード・カレトヴルッフ」。シェラザードの腕には生まれたばかりの四男でありクリストバル達の末弟「アルトリウス・カレトヴルッフ」を抱いていた。

 

「あなた…着いたのね。」

 

「あぁ…1000年後の未来に。やるのですか?父上…」

 

「当たり前だ。」

 

座っていたのはアーサーの祖父「ウオフ・マナフ・カレトヴルッフ」。轟天号の艦長を務めていた。

 

「この偽った地球に彼ーーー我が師である「エンブリヲ」がいるはずだ」

 

 

 

オリヴァルトの言葉にアーサー一同が声を上げる。

 

 

「はあぁっ!!!???」

 

「「「えぇっ!!!???」」」」

 

「ちょっ!!!???ちょっと待ってくれ!!え……エンブリヲは俺の祖父…と言うより、祖父の師で、エンブリヲは俺達の大恩師という事か!?」

 

「そうだ。エンブリヲは俺たちの祖父の恩師であった。それと話を最後まで聞け、慌てるな…。」

 

 

 

 

 

 

 

エンブリヲを見つけたカレトヴルッフ家はエンブリヲに説得していた

 

「何故だ!?エンブリヲ!!」

 

「フフフ、愚かな一族は滅ぶ運命!!」

 

エンブリヲは自分のラグナメイル『ヒステリカ』が轟天号を襲う。すると轟天号から黒き天使であるヴィルキスこと『ビルキス』に乗ったウオフ・マナフが零式超硬度斬鱗刀「ラツィーエル」を抜刀し、コックピット先端に装備されていたビームライフルを構え、エンブリヲに戦いを挑む。

 

「爺様!!」

 

ウオフ・マナフは必死に戦った。激しい攻防と轟天号からの艦砲支援によってエンブリヲを追い込むが、穢れ騎士達やFather・Xの艦隊が現れ、轟天号が被弾し、ポッドの中に入っていたアーサーが外へと投げ出され、ウオフ・マナフは敗れ、ビルキスはエンブリヲに奪われた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな…事が…」

 

「あぁ…祖父が亡くなる直前、俺達に言ったーーー『アルは何処かで生きている。すくすく育ち、私達家族の元へと戻って来る。私が亡くなっても、家族全員で葬儀を行ってくれ…戦いが終わってでも良い!』と……。」

 

「俺の爺さんが…そんな事を?」

 

「あぁ……!!」

 

「だから、俺達兄弟と姉妹、父さんと母さんは決めたのだ。俺達家族を裏切り、祖父を死に追いやった大罪人ーーーエンブリヲとFather・Xから世界を壊し、世界を解放するーーーと…!!」

 

クリストバルはアーサーに真の覚悟を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、アーサー達は就寝すると、フェリスが夜空に輝く月を見る。

 

「……」

 

フェリスは父であるモルドゥレイスの事を考えていると。

 

「眠れないのか?」

 

っと、屋根の上で盃を持ったクリストバルと一緒に酒を飲むセレスティアがいた。

 

「あ、お義兄さんにお義姉さん…。何をしてるんです?」

 

「見ての通り、月見酒だ。」

 

クリストバルはそう言い、月を見ながら酒を飲む。

 

「しかし不思議だ…」

 

「?」

 

「お前は…モルドゥレイスの子なのに何故そこまで性格が違うのか…」

 

「お母さんの…優しさかな?」

 

フェリスはそう言い、自身の幼少期を思い出すーーー。

 

 

12年前ーーー。当時5歳だったフェリスが母が大事にしていた手鏡を割ってしまい、泣いていた。

 

「どうして黙っていたの?」

 

優しそうな声がフェリスに問う。

 

「怒られると思ったから…」

 

フェリスは正直に言う。

 

「怪我はしなかった?」

 

「怒らないの?」

 

「どうして?」

 

「大切な鏡を割っちゃったから…」

 

「あなたより大切なものなんてないわ、フェリシア…」

 

フェリスの母は優しくフェリスを抱く。

 

「お母さん!ごめんなさい!」

 

「偉いわ、ちゃんとごめんなさいと言えて♪」

 

 

 

 

 

 

フェリスの母の話を聞いたクリストバルとセレスティアは

 

「そうか…。立派な母親であったのか…」

 

「はい…」

 

「これからもアーサーを支えてやってくれ。アイツも何倍もの辛い事を経験しているからな。」

 

「はい。」

 

フェリスはそう言い、家の中へ入る。

 

「報告しなくて良かったのですか?彼女……」

 

 

 

 

 

 

「アルとの“子”を身籠っている事をーーー。」

 

 

 

 

 

 

「無理に辛くしてはいけない。嬉しい事は“サプライズ”にしておけ、彼女がそれに気づいてアルに報告させる方がいい。」

 

「そうですね。」

 

セレスティアがそう言うと、クリストバルが何か厳しそうな表情と、ある事に頭を悩ます。

 

「(だが、何かが違う。あのフェリスと言う少女…)」

 

その頃ーーー。

 

「ったく!!俺らのこの姿はいつ戻るんだ!!?」

 

忘れられていたのかライド達の姿の件でアーサーは気づき、元に戻る方法を教えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愚かなカレトヴルッフ家の兄妹が…ようやく集まったか。」

 

Father・Xはそう呟くと、彼の瞳にある物が写る。それは寝ているアーサーの姿であった。フェリスが優しそうな目で見ている中、フェリスの眼を通じてFather・Xが監視していたのであった。

 

「幸福も大概にしておくのだな、我が“千年の友”よ…」

 

するとFather・Xの目の前にある物が開発されていた。血のように赤いフレーム、血のように鮮血に赫々しい模様が浮かぶ白い装甲と

 

「やっとだ…『邪星神の邪星神ーーー“The king of foul”ーーー』の完成は近い!!!!」

 

《ホォオオルルルルルルルオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!》

 

黄金で黒く、禍々しい三つ首竜が咆哮を上げ、口からプラズマ波を帯びた光線を放ち、開発中のフレームにエネルギーを注ぎ込む。

 

「残るはこの邪星神に乗る『ライザー』と……」

 

Father・Xはモニターに映っているあるカプセルの映像を表示させる。

 

「“コイツ”を完成させなければな……」

 

カプセルの中、バイオ液に入っているのはモルドゥレイスよりも筋骨隆々な肉体を持つ大男であった。Father・Xは不敵な笑いを浮かべると大男は目を開け、黒い眼でカメラを睨み、不気味な微笑みを浮かべる。

 

『私の最高傑作……【インパクター・X】』

 

すると開発されている邪星神の横に既に完成された邪星神が配備されていたのであった。

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