では、どうぞ…。
森の中から悲鳴を聞き、駆け付けるアーサー。そして目の前の森を抜けると、少年と少女がコンクリートでできた壁の前で異形の怪物達に追い詰められていた。アーサーはビームセイバーを展開し、高速で怪物達の胴体を溶断して行く。蜘蛛型、猟犬型の怪物を倒したアーサーはビームセイバーを収め、少年と少女の所へ向かう。
「っ!?」
アーサーは二人の様子がおかしい事に気付く。少年は大量の汗をかきながら、呼吸困難に陥っており、少女の方は手足の肌がドス黒く、おまけに熱があった。
「脱水症に…これは、ペストか!!?」
アーサーは二人を治そうにも治療薬を持っていなかった。しかし、まだ希望はあった。
「これがコンクリートの壁って言うことは……!!」
アーサーは穢れボスキートの爪で壁を突き刺しながら、二人を担いでよじ登って行く。そして案の定、それは的中した。壁の向こう側……そこは、未知の高層ビルで立ち並ぶ廃墟化した街であった。旧市街地内に潜入したアーサーは、建物の屋から別の建物の屋上や屋根の上を飛び歩く。そして彼はある建物を見つける。十字架のマークがあるその大きな建物をフォーカスで確認する。
「副都心中央病院…此処なら。」
「ペストや脱水症…チッ!医療用ナノマシンは複数あるが、脱水症はやっぱり、水分だからなぁ。塩が必要だ!」
アーサーは生体ジェットと生体翼膜を使い、塩がある港、近くの滝水がある場所へ急行する。
少年ノーリィはある夢を見ていた…自身の村であった。彼等の村は貧しくも豊かな生活をしていた。だがそれは一変した。突然、村に謎の集団が押し寄せ、ノーリィと妹のミクリを除いた村人全員が皆殺しにされた。集団が言うには、神宝を献上しなかった勇者達の為の見せしめと言う。この間この村にとある勇者の一団が村長の依頼、そしてこの村の子供達と仲が良かった事…だがノーリィとミクリは後悔した。勇者の力を良いことに悪さをする傲慢な勇者によって村の人達や友達、父と母を目の前で失い、ミクリは言葉を話せない症状を患ってしまった。二人は森林を彷徨う仲、ミクリが黒死病に感染してしまう。ノーリィは最後の賭けとして、父と母から教えてくれた旧世界の遺跡がある島がこの世にあると。ノーリィは最後の賭けを信じ、港町から小船を盗み、島へと目指す。だが、航行中に嵐と遭遇してしまい、船がひっくり返り、ノーリィとミクリは海へ投げ飛ばされる。ノーリィは必死に妹を抱え、気が付いたそこは島の浜辺であった。ノーリィは必死に遺跡へ向かおうとした矢先、異形の怪物達に追われる。目の前に壁が立ち塞がり、ノーリィとミクリが前門の怪物、後門の壁と言う事態に絶望を感じたその時、森林の中から光る剣を持った男の人が現れ、怪物達を殺していった。
全てを思い出した勢いでノーリィは目覚める目覚めた場所、そこは長く使われていない部屋と毛布とベッド、左腕に液体が入っている袋に筒の様な長い物、そして左手に針が刺さっており、包帯が巻かれていた。
「気が付いたようだな。」
「?」
少年は声のした方へ向く。そこにアーサーが中華鍋で少女に採れたての山菜くずのスープを食べさせていた。
「……」
「心配すんな、毒なんか入れてない。ほら…」
「……」
「…美味しい」
少年はそのスープの味に思わず涙を溢してしまう。
「何でだろう?涙が溢れるほど…懐かしい様な暖かさを感じる。」
「う〜〜!!」
「腹一杯になったか?」
「あ、はい。あ!すみません、自己紹介がまだでした。僕はノーリィ。こっちは双子の妹のミクリ。」
「俺はアーサー。外の世界からやってきた。(以外に丁寧でちゃんと名前を俺よりも先に名乗ってやがる。)」
「外の世界?もしかして勇者ですか?」
「勇者?(あ〜、平行世界から来た者の事か…。)」
アーサーはある事を考え込む。
「そう言えば、未来の俺が説明してくれたなぁ…。」
ーーー回想ーーー
「【勇者】?」
「向こうの世界に行った時に必ず性格と心の中身を確認すべき人材だ。勇者は時に魔王を倒し、世界を救うと言う説もあるが…裏には己の欲の為にその力と権力、政治を掌握し、自分の身勝手な事をする勇者。俺から言えばこうだーーー【穢れ勇者】…俺はそう呼んでいた。ソイツには気を付けろ…アルザード帝国が作り上げた“アレ”によって人の数百倍の力を手にしてしまっている。使ったらもう…後には引けなくなる。まさに中毒者のように……。」
「分かった……」
ーーー回想終了ーーー
「どうしたのですか?」
「いや、ちょっと考えて見たんだけど、俺の早とちりだった。」
「…決めた。」
「?」
「ノーリィと言ったな。お前…“俺の弟子”にならないか?」
「弟子?」
「俺の元で指導…“育て子”になって、強くなる言う事だ。そうすればお前の妹も守れる。」
「……はい!僕、強くなります!だから、アーサーさんの弟子にしてください!」
ノーリィの言葉にアーサーは早速、彼を鍛錬に育む。最初は難関であったが、ノーリィは心を折らず、負けず、鍛錬をする。道中、魔物に襲われる事もあったが、アーサー手製の高周波ソードとジェットブーツ、自作のプラズマガンで対応する。そんな時、ノーリィからある事を聞かされる。
それはこの世界の歴史であったーーー。アーサーはその事に驚き、二人が寝ている中で考え込む。
「……「第七次大戦」「ラグナレク」「D-War」……俺の知っている事やサラ達の世界の文明に似ている。だがこれだけは言える…此処はドラゴン達の世界でもエンブリヲの世界でも無い……此処は、二つの世界とは違うもう一つの世界だって事だ。」
アーサーはそう思いながら、ある事を思い付く。それは日記であった。旧文明の廃墟で見つけた長期保存されていた白紙を数百枚貰い、作業台で日記帳を作ったのだ。そして日記帳にこの世界の事を記していく。
「ここって一体何年だろうか…仕方がない、すごろく感覚で記すか。」
アーサーは作業中に作成した“コンパス付き記録ボード”に日記を記していく。
ーーー「◯月◯◯日 日曜日ーーー私は目覚めた場所…サラ達の世界と似た光景ーーー旧文明時代の廃墟にてやっとの一日が終わった。ノーリィとミクリと言う兄妹を助け、廃墟となっている病院で応急処置と看病した。ノーリイは兎も角、ミクリの方は目の前で両親を失ってしまった事で発声障害を患っていた。何れにせよ、やはりこの娘にはコミュニケーションのリハビリが必要であった。」
ーーー「◯月◯◯日 月曜日ーーーここに来て2日目が来た。翌日ーーー私は己が何者で何処から来たのか説明すると、ノーリイとミクリは理解し、納得した。恐らく、彼もまたミクリと同じ障害…即ち優秀な頭脳【サヴァン症候群】であった。彼はその頭脳で私が目覚めて見つけたフォーカスをホログラフィックを見せると、驚異的な操作法でフォーカスの使い方をマスターし、これと同じ物を見つけ出した。
さらに彼は“魔法”と言うこの新世界での法則を知った。この滅んだ世界には扱える者、扱えない者に分かれていた。“私はどうか?”と言うとノーリイの言葉から…“使えるよ”と言った。師になった自分が恥ずかしいと思い、ノーリイから【魔法】を教わり、その分、私はノーリイに【科学】を学ばせた。最初のレッスンは魔力適正検査法である魔力を出現させる事であった。ノーリイが言うには集中力と自分の中にある魔力を出す事が大事と。私はノーリイの言葉通り、互いに両手を向け、魔力を集中させる。するとどうだろう、俺の手から光の球体が現れたのだ。ノーリイはこれが魔力と教え、一緒に持ってきた魔導書に書かれている文と魔法を学んだ。魔法には【属性】と言う物があり、私のいた世界のテクノロジー…【マナの光】【術式】と違い、火、水、風、土、雷、氷、時、空、幻、光、闇、無の12種類の属性に分けられていた。私はその12種類の属性全てを操れると言うことにノーリイは驚いていた。」
ーーー「◯月◯◯日 月曜日ーーー私は魔導書に書かれている内容を学んでいる。ノーリイが言うにはこの島【アビス島】から離れた大陸ーーー【グラエキアナ】。その大陸に対立している二大大国が存在する。一つは西方の【エリュシュオン王国】さらにその西方にある対立国【アグリッサ王国】北方に【ルガンナ帝国】南方に【バラニア公国】と言った国々が複数存在する。私が蘇ったこの世界が何なのか分かってきた。此処はドラゴンの世界やエンブリヲの世界でも無い…第三の地球であった事。そして分かった事と言えば、「第七次大戦」「ラグナレク」「D-War」と言う言葉が無く、本当の意味でのパラレルワールドでもあった。だがおかしな事に…この世界にもドラグニウムは存在していた……あの遺跡と機体、そして奴らとの戦いで得た大いなる力、大いなる責任を持ってーーー。」
その内容の日記…それはこう言う事であった。
早朝、アーサーは病院の窓から見える海を眺めていた。
「静かだなぁ…。」
夜明けは来ていないが、月の光が海面を照らす。
「暇だし、旧文明の世界を探索してみようかな。」
アーサーは簡易作業台機能搭載バックパックを背負い、病院を後にする。
旧世界の遺跡…そこはまさに真の地球の風景と同じレベルの衰退化であった。ビルや道路のあちこちから生えた草木、苔、さらには路上に錆び付いた車や戦車、飛行機、戦闘機の残骸が転がっていた。崩壊し倒れた建物、地下鉄は雨で水没していた。この島の風景は…とても美しく、とても残酷な世界であった。
「この廃墟の風景は真の地球…ドラゴンの世界と同じだ。」
アーサーはこの美しい風景をフォーカスを使って、写真として収める。するとフォーカスからある金属反応をキャッチする。アーサーは金属反応が地下にあると分かり、水没した地下鉄から行く事に。穢れボスキートの生態皮膜で潜水及び、泳ぐスピード、さらに触手によって外からの空気、自分の口に触手を咥えながら呼吸する。フォーカスに搭載されているライトを使い、地下鉄にある巨大な穴を見つけ、奥へと泳ぐ。
水から上がったアーサーが着いた場所、そこは巨大な格納庫であった。タッチパネル式のパスコードがあり、アーサーは超音波メスで人が入れるサイズの穴を開け、中へと入って行く。
「これって!!?」
アーサーは驚く。格納庫にあった物…それはパラメイルであった。
「何でこの世界にパラメイルと龍神器が!?」
無数に立ち並ぶパラメイルと龍神器。そのどれもが偽りの世界で見たこともない装甲と武装をしていた。するとフォーカスから更なる金属反応をキャッチする。アーサーは反応がする奥へと向かう。
「これは…!?」
アーサーが辿り着いた場所はとても暗く、その真ん中に巨大な生態皮膜と触手で覆われた球体を見つける。アーサーは恐る恐る球体に近づく…すると球体の一部が触手へと変異し、手の形へとなり、アーサーの手と合わせる。すると球体が破裂し、中から機体が出てきた。
「何!?」
出てきた機体ーーー黒と赤い色をした装甲、血の色をした関節部、表面には赤いX字のラインマーキングが塗られていた。
「この機体…それにこのフレーム…っ!!?」
アーサーはその機体の装甲に触れようとしたその時、背後からビームが飛んできた。アーサーは純なるボスキートへと変身し、アンチプラズマフィールドを張り、ビーム攻撃を防御する。
「っ!!?」
闇の中から現れたのはヴィルキスに似た異形のラグナメイルと焔龍號に似た異形の龍神器、そして格納庫に保管されていたパラメイル、そして巨大にして両腕に重火器を装備し、四本足を持つ多脚式大型パラメイルが武器を構えていた。
「嘘だろ、おい?」
謎の敵機による一斉射撃。
「あれ?」
一斉射撃してきた筈…何故、自分はまだ生きている?
アーサーは目の前の光景に驚く。それは横で倒れていた謎の機体がアーサーを守るかの様に防御体制をしており、パラメイルのビームを防いでいた。
「この機体……“邪星神”が俺を?」
邪星神…アルザードが所有する主力機体。その機体…そしてラグナメイル、龍神器、パラメイル、巨大兵器が劣化せずここに保管されていたのか。すると敵機の全てが攻撃を止める。邪星神のツインアイに浮かび上がるゲマトリア数術式が彼等に指令を送っていた。すると邪星神がアーサーの方を向くと、別の方へ指差す。指を差したその先、アーサーがいる周りが水没し、沼地になっていたそしてその先にあるのは古びた聖堂が見えた。
アーサーは沼を渡り、聖堂内へと入り込む。聖堂内は古ぼけており、沢山の教会の椅子が山積みとなっていた。すると祭壇の前に奇妙な銀色のカプセルが置かれていた。
「これって?」
アーサーはそのカプセルに触れようとしたその時、カプセルが起動し、アーサーの前にホログラム映像が映し出される。ホログラム映像に映し出されたのは“純白の礼装をした老婆”であった。
『私は地球星警備団の団長【ユザレ】。未来の彼方に飛ばされしエクシリアの双子の傍の王太子に告げます。』
ユザレと名乗るその老婆はアーサーにある事を話し始めるのであった……。
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