翌日、アーサーとエミリアの方はミスルギ皇国にいるサヨリに会う為、彼女ともう二人…アーサーにとって育ての母である『マーサ・コールブランド』と彼女のお腹にいた娘『マナ・コールブランド』が住んでいるマンションに来ていた。
「あ〜…眠い。」
昨日はA組メンバーによってアーサーは夜更かしする羽目になり、彼の目の下にクマができていた。
「自業自得、それにサヨリちゃんやスゥちゃんにマイラちゃんも許嫁にしちゃってるから、当然よ。」
「ハァ…」
「ホラ、ため息吐かずに堂々と!だ・ん・な・様!」
エミリアはビシッとアーサーに喝を入れる為、彼のお尻を摘み捻る。
「痛っ!!」
アーサーは声を上げ、お尻をさすりながら部屋のインターホンを押す。
「はーい?」
聞き覚えのあるおっとりとした女性の声が発声機から出た。アーサーは勇気を出して、返答する。
「マーサ叔母さん…俺です。アーサーです…。」
するとインターホンの音が切れ、ドアの向こうから走り音が段々と聞こえ、扉が開く。扉の先に待っていたもの…。
「うぅ…!!ア〜サ〜!」
サヨリとマイラと同じく、金髪で長髪、普段と変わらない容姿と美貌を持つ女性。アーサーにとって育ての親にして母である…マーサ・コールブランドであった。我が子が帰って来たかのようにマーサは涙を流す。
「…叔母さん。」
マーサは号泣しながらアーサーに近づき、頬に触れる。
「ごめんね…探しきれなくて。」
12年前のあの日…何者かの手により生き返ったマーサ達は必死にアーサーを探すも見つけきれず、諦めてしまった。だが今、親のいない独りぼっちとなっていた彼と再会した事にマーサはさらに号泣する。
「アーサ〜!!!ごめんね〜!!」
そんなアーサーはマーサを優しく抱き締める。
「アーサー君…?」
っと奥の方から別の声がした。休日だったのか、リクからの連絡でアーサーが生きていた事に喜び、今ようやく会えた。マイラと比べられないほどの綺麗な金髪のロングヘアー、幼い頃からくせ毛が気になっていたのか、ベレー帽を被っていたが、今でも被っている…アーサーの幼馴染にして兄妹の様に育った家族の一員ーーー【サヨリ・コールブランド】であった。
「アーサー君…!!」
「サヨリ…!!」
「「うあああああああ〜〜〜〜〜!!!!」」
再会をお喜び、アーサーはマーサとサヨリ、そして義理の弟である『アベル・コールブランド』にこれまでの経緯を説明した。
「そんな事になってたなんて……辛かったね!」
大粒の涙を流すマーサとサヨリ、それもそうだ。売春してまで弟達に食料を手に入れていたフェリシアと12年間孤独感に歳悩まされていたアーサー、そんな二人の新婚生活を見事にぶち破ろうとしている本当の敵に弄ばれている事に。
「アーサー君、ごめんね…私達こんな生活をしている人生なのに…全然知らなかった!!」
するとマーサがアーサーの両手を握りしめる。
「安心して!必ずやフェリシアちゃんを助けてやるわ!」
「本当に?でも俺、皆んなをこれ以上戦いに巻き込むのは…。」
「大丈夫!私たち村人達は世界中で情報活動しているのよ!(本当は向こうでの生活が困難なのかの相談会なんだけど…。)」
「本当ですか!?じゃあ、A組メンバーの連絡先もですか!?」
「勿論!」
「良し!」
「良かったね〜!」
「でも条件があるわ……。」
「「条件?」」
マーサはマナの光で棚からある物を取り出し、それをテーブルの上に置く。アーサーとエミリアはそれを見て驚く。
「あ!これって!」
「なっ!!?」
エミリアはそれを見て何かを思い出す中、アーサーがそれに驚愕する。
「エミリアちゃん、並びにサヨリとマイラ、そしてスゥちゃんとの…“許嫁同盟”の協定認証よ♪」
それはある書類…否、書類に記された指印と幼少の頃のアーサーとサヨリ、エミリア、スゥシィの写真が入っていた。
「……嘘だろ。」
アーサーは驚くと、マーサは話し始める。
ーーー《回想》ーーー
15年前ーーーエミリアの母である『シレーヌ・ホルス』とサヨリとマイラとマナの母『マーサ・コールブランド』、スゥシィの母『アニー・ソルティア』による…“愛妻会議”が行われていた。
「皆様にはとても良い気分でもありますが、人生に関わる重大な話になりますね。」
指揮するのは愛妻会議会長を務めるマーサであった。
「あの子がまさか…私の娘やあなた方の娘等の求婚を許すなんて……。」
娘を口説いた事に不安するシレーヌ…。
「良いじゃないですか〜♪一夫多妻製一家は面白いですから♪」
穏やかな表情をするアニー…。
「良くないですよ!アニーさん!唯でさえ、アーサー君が3人を受け入れるなんて…ありえないわ!」
「でも…呪力が弱かったスゥちゃんを気遣ってくれたのは何処の誰ですか?」
アニーは怖い笑顔でシレーヌに圧をかける。
「う…それは。」
シレーヌは恐る恐る黙り込むとマーサがおっとりとした表情である提案をする。
「そこで良い提案があります♪」
「「?」」
「【許嫁同盟】って言うのはどうですかね?」
「「許嫁同盟?」」
「許嫁同士が互いに助け合う協定の事です。家族思いて本当の親を知らなくても私たちの事を実の親の様に思ってくれているアーサー君を一人にさせない為でもあるのです。それにこの協定は独占権や浮気を禁止する法で。それで良いですか?」
「「そうしましょう。」」
ーーー《回想終了》ーーー
を思い出したアーサーは
「した…確かにあの時サヨリやマイラやスゥやエミリアとの将来の約束をした…。しかも何も知らずに指印までして…。あ〜〜!俺は何でこんな大事な約束まで忘れてしまってたんだろ〜〜!!??」
「しょうがないよ、あの悲劇だから全部忘れたくなるよ…。」
「まさかあの人が僕の義理のお兄さんだったんだ。」
「そうよ。」
「ふ〜ん。(なんか…普通な人。)」
「良いの?泊まらなくて?」
「うん、他の皆んなにも急いで会わないと行けないから。」
アーサーはそう言うとヴェルダ王朝の観光地スポットの写真を見ながら唱える。
「【GATE】」
「「「え?」」」
「それじゃあ♪」