雨が降り注ぐ廃墟、辺り一面に崩れた建物や瓦礫の数々、そこに花束を持ってくる一組の夫婦。夫は二つの花束を廃墟の前に置き、妻も夫と一緒に廃墟の前で念仏をする。
「だぁ〜」
っと妻の胸の中でスヤスヤと眠っていた“小さな赤子”が目を覚ます。
「ん?あら、目が覚めちゃったのかな?」
妻が起きた赤子をあやす。
「【セレニア】…俺は今でも大罪人なのかな?」
「何を言ってるのですか?大丈夫ですよ、連邦政府はあなたの罪を許しています。それに“アルトリウス様”や“皆様”も。」
「そう言う意味じゃないんだ。」
「?」
「この国の末路と同じなんだ…。僕の祖国はかつて長い歴史と様々な伝説を持ち、万世一系の皇族によって統治されていたが、それは真実の歴史を隠す為のまやかし…。本当は本家を迫害し、分家が統治する為の闇深い国であった事。さらには本家は“この忌まわしき【アーケディア天帝国】”によって…だがその呪い、血塗られた歪んだ思想を、それを僕の一族…僕の代で全て終わらせた。父と母、妹と共に大戦で国民を見捨てて…。今は“兄の愚業”の罪滅ぼしだ。」
「それは…私も同じです。私もあなた様と同じ皇族です…“純血を祖父に奪われ”、“一族や民を殺めてきた”この私…。その結果、あの“忌まわしき国”は滅んでしまいました。それでも私を唯一愛してくれたあなたによって助けられ、そしてこの子にも出会えなかった。」
妻は腕の中で眠る赤子を見て微笑む。夫は泣きくじゃりながら妻を優しく抱きしめる。
「ぞうだな…!僕は死んでいった民の分も一生背負わないといけない!この子や生まれてくる孫や子孫に忌々しいしきたりや風習を揉み消し…そしてミスルギの汚名返上をしないとな!」
夫は妻からの言葉に勇気を貰うと。降り注いでいた雨が止み、雨雲が晴れ、太陽の光が夫婦と赤子に差し照らされる。
っとそこへある数人の人物がやってきた。夫は振り向き、その者達の顔を見て呟く。
「父様、母様、アンジュリーゼ…!」
その者達…夫の親族…ユーティス・飛鳥・ミスルギの父…元ミスルギ皇国皇帝“ジュライ・飛鳥・ミスルギ”と元皇妃“ソフィア・斑鳩・ミスルギ”、そして妹の“アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ”であった。
「お前もここへ来たと言う事は、弔いに?」
「えぇ…。」
そして、彼らの所に複数の男女が現れた。12名の女性と、一人の男。そして五人の子供もいた。
「アーサー、君も来たのか。」
「あぁ。」
その者、顔を上げる。十二人の愛する妻、息子、そして娘を儲け、偉大なる勇者の王【アルトリウス・コールブランド】が崩れ去ったアケノミハシラを見上げる。
「あの“忌まわしき国の皇帝”と…ザリマンとケーニヒスや穢れ勇者達によって散った…“仲間”や“あの子”を弔いにな…。」
アルトリウスがそう言うと、彼の隣にいるのは彼の愛弟子達、その中にノーリイとミクリもいた。
ノーリイは懐から花束を取り出し、崩壊したアケノミハシラの前に置き、合掌し、祈り終えると、懐からもう一つ取り出す。
それは“朽ちた花で編んだ小さな指輪”とアーサーが撮ったであろう写真付きのロケットであった。写真にはアーサーの周りにユーティス、ヤトウ、リュウ、アケロン、ノーリイ、ミクリ、さらにはタスク、ライド、エクエス、マイラ、サヨリ、エミリア、リク、テツジにアリサを含むA組メンバーとオルトとネーラ、アインとナツキ達Bメンバー、そして“セレニア”と言う女性の他に小さな少女も写っており、少女がノーリイに抱きついていた。
ノーリイはその少女の写真に涙を流し、雨降る空を見上げ、その少女の名を言う。
「“ニア”……。」
その悲劇ーーーアーサーにとっては2年後と1000年間、そして数週間後でもあった。
アーサーが次にGATEを使い、辿り着いた場所は【マーメリア共和国】。人口約76万人。元首は珍しく、大統領ではなく書記長。ここでもノーマへの差別は激しく、共和制国家なのにノーマは論外。
「(吐き気がする。)」
アーサーはそんな事を考えながら、待ち合わせ場所まで向かう。今回エミリアは風邪を引いている為、家で安静に寝て待つようにと言われているとの事。
着いたのは近くの広場であった。アーサーが広場の噴水で待っていると…。
「アーサー!」
「ん?」
現れたのはワンピースを着たアーサーの幼馴染にして許婚…スゥシィ・ソルティアであった。
「本当に…アーサー…なの?」
「あぁ、12年前…あの時悲劇の際に一緒に逃げようとするも…。本当にごめんな。」
スゥの問いに答えたアーサー。それもそうだ、12年前…突如、テツジ達がユーティス(取り憑いた“ソレ”)によって穢れボスキート化し、アーサーと逃げようとするも捕まり、目の前で喰われる…そんな彼女が今では凛々しい女性となって復活したのだ。
「?」
「良いの…もう良いの…あの悲劇の事は鮮明に覚えている!」
スゥは涙を流す。
「スゥ……。」
アーサーは手を差し伸ばすと、誰かが木の裏に隠れている事に勘づく。
「そこに隠れている“夫婦”とマコト…隠れてないで出てこい。【パラライズ】。」
アーサーがスタン効果のある魔法『パラライズ』で尾行者をッスタンさせる。
「「「ギャァ〜!!」」」
木の裏から悲鳴がする。っとそれは傾れ込むかのように
「アーサー君!ひど〜い!お陰でネネちゃん泣いちゃったじゃない!」
「お前…容赦なさすぎだろ。」
「無茶苦茶だ…。」
「あ…あなた達///!?」
「あともう少しで良いイベントと展開だったのに〜!」
「ば!バカ〜〜〜〜ーーーっ!!!!!」
「アハハ」
スゥシィがモモ達にお説教する最中、彼女の怒りに呆れるアーサーであった。
その後、アーサー皆んなのステータスを確認していた。
《スゥシィ・ソルティア》
Lv.45
種族:エクシリア人混血種《神造人間》
性別:女
年齢:20歳
配偶者:アルトリウス・コールブランド(婚約中)
ーーー【ステータス値】ーーー
筋力:〜〜〜《封印中》〜〜〜
体力:〜〜〜《封印中》〜〜〜
耐性:〜〜〜《封印中》〜〜〜
敏捷:〜〜〜《封印中》〜〜〜
魔力:〜〜〜《封印中》〜〜〜
魔耐:〜〜〜《封印中》〜〜〜
ーーー【スキル】ーーー
〜〜〜【封印中】〜〜〜
《マコト・渡月》
Lv.54
種族:エクシリア人混血種《神造人間》
性別:男
年齢:20歳
ーーー【ステータス値】ーーー
筋力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
体力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
耐性:〜〜〜【封印中】〜〜〜
敏捷:〜〜〜【封印中】〜〜〜
魔力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
魔耐:〜〜〜【封印中】〜〜〜
ーーー【スキル】ーーー
〜〜〜【封印中】〜〜〜
《モモ・L・円堂(旧姓“杏”)》
Lv.71
種族:エクシリア人混血種《神造人間》
性別:女
年齢:20歳
配偶者:アラシ・円堂(夫)
ネネ・L・円堂(娘)
ーーー【ステータス値】ーーー
筋力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
体力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
耐性:〜〜〜【封印中】〜〜〜
敏捷:〜〜〜【封印中】〜〜〜
魔力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
魔耐:〜〜〜【封印中】〜〜〜
ーーー【スキル】ーーー
〜〜〜【封印中】〜〜〜
《アラシ・円堂》
Lv.79
種族:エクシリア人混血種《神造人間》
性別:男
年齢:20歳
配偶者:モモ・L・円堂(旧姓“杏”)
ーーー【ステータス値】ーーー
筋力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
体力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
耐性:〜〜〜【封印中】〜〜〜
敏捷:〜〜〜【封印中】〜〜〜
魔力:〜〜〜【封印中】〜〜〜
魔耐:〜〜〜【封印中】〜〜〜
ーーー【スキル】ーーー
〜〜〜【封印中】〜〜〜
「「「「なぁっ!?!?!?!?」」」」
皆んなのステータスにも【封印中】と言う文字が表示される。
「やっぱりだ…何で封印されているんだ?そもそも、何で皆んなこんなも以上なレベル何だ?」
「以上なレベル?他の人達はどう視えるの?」
「レベルが一桁だけなんだ。オマケにステータスも10以下ばかり。」
「そうなの?」
「何で私達にはこんなにも……。」
「「「……。」」」
スゥ達が考え込むと、マコトがある仮説を言う。
「もしかしたら…過去にアーサーと同じ様に記憶を操作されたとか?」
「「「「……まさか〜?」」」」
「おかしいだろ…彼等のステータス値が視えてお前らだけ《封印中》って。どう考えても過去に何か……。」
その時、アーサーはある事を思い出す。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと待て……可能だとすれば、12年前のあの悲劇…俺はあの時、誰かに救われたような気がする。」
「誰かって…?」
「ある女の人が…皆んなを失ったショックでボスキートへとなった俺を元に戻した後…そこから記憶がないんだ。その後にお前達が生き返った…。もしかしたら、過去…俺に何かをした“その人”…今度はサヨリ達を生き返らせ…待てよ、それだとおかしいあのステータス値を上げるには訓練しないと…そうか!」
その時、アーサーはある事に気づく。
「できる…この短期間で高レベルとステータスを身に付ける方法が…【精神干渉】と【時空魔法】だ!」
「精神干渉?」
「時空魔法?」
「ラプラスで調べたんだ。書斎の方でそれに関するものがあって精神に干渉し、精神と時を遅延させるものがあり、こっちの一時間が向こうでは一年…一年で千年と言う形になっている。」
「それって精神的苦痛じゃない?」
「逆だよ、それだけの苦痛を得た分、超人並みの力を発揮できる。恐らく君たちは誰かによって鍛えられ、時が来たら封印が解け、本来の力と“記憶”を取り戻すと言う事になる。」
パチパチパチパチ。
「?」
っと別の方から拍手音が聞こえてくる。アーサー達は音がする方へ振り向く。そこに立っていたのはエリーゼを連れてきた“白騎士”であった。
「見事だ、アーサーよ。」
「あなたは?」
モモは白騎士に問い掛けると、アーサーが微笑む。
「やっぱりあなたでしたか。」
アーサーがそう言うと白騎士は仮面を外し、皆に素顔を見せる。
「白騎士…だがこれは、仮の姿だ。」
「「「「あなた様は…!!?」」」」
「やっぱり…。」
白騎士ーーーかつて12年前、あの島の悲劇にて村の者達を守っていた。“彼”は負傷し、愛娘を守る為、海へ流し、そして負傷した。だが彼を助けたのは紛れもなくアルファリオンの弟子である時沢アルトとマリアンヌであった。二人は必死に魔法や科学力を結集した力で“彼”をーーーアーサーを拾い彼を家族の一員として、妻のマーサ、娘のサヨリとマイラ、そして生まれて来てくれた息子アベルを愛する父ーーー【ディーン・コールブランド】は帰って来た。
「ディーン叔父さん!!??」
12年間行方が分からず、死亡したと思われたディーンが生きてた事に驚くスゥ達。
「久しぶりだな、お前達。アーサーも。」
「えぇ。」
「よくぞ彼等のステータスの謎、見事に解いたな。はなまるだ^_^」
ディーンは満面な笑顔で得点スコアを報告する。
「よしてください、もう子供じゃありませんから。」
「そうだったな。」
「ディーン叔父さん!一体これはどういう事なんですか!?」
「それについては説明しよう」
ディーンはそう言い、指をパチンッと鳴らす。すると周りにいる人達の活動が停止し、時間が止まる。
「アーサーの答えの意味は言葉のまんまだ。その通り、君たちが死んだあの日、“彼女”によって生き返り、真実の地球でアーサーと共に生体治療が施され、数千年間の精神世界で本来の力と当時の出来事を封印されている状態のままこの世界で復活を果たしたのだ。」
「「「「えぇっ!?」」」」
「やっぱり…。話してください…何故、記憶までも?」
「話が長くなるぞ…。12年前のあの日ーーー。」
ディーンは全てを話す。12年前のあの悲劇を……。