クロスアンジュ トライブブラザーズ   作:マシンクーガー

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お久しぶりの投稿です!最近仕事はおろか、受注数が半端なく増えていたので…はい。
無駄口は置いておいて、では、どうぞ。


Another“14”【12年前…。】☆

 

20年前ーーー。

 

かつてここはエクシリア光国が眠る地でもあった。生き残ったエクシリア人は時が来るまでこの島の住人として生き、持つべき技術と文化、力を封印し、穏やかに生活していた。そして時を越え、後から来訪したエクシリア光国近衛将軍ディーン・コールブランドはそこでマーサと出会い、恋に落ち、そして結ばれた。そして山の麓にて揺れを感じ、行って見ると、エクシリアの戦艦“アムザニ”が不時着し、燃えていた。アムザニのハッチを開き、燃え盛る艦内を掛ける。そして救命ポッドの中で眠る赤子を見つけたディーンは赤子のデータを見る。

 

「アルス・エクシリアス…っ!!!」

 

ディーンはその名に驚き、ソルの光で救命ポッドのロックを解除し、アルスを連れ出し、アムザニから逃げ出した。

 

ボロボロになりながらも自宅へ生還したディーンは産まれたばかりの娘であるサヨリを抱いたマーサと話し合っていた。

 

「あなた、その子は?」

 

「ラース王の六番目の子だ。私がかつて仕えていた王の子…いや、この世界だと本物の神の一族の生き残りだ。恐らく、ゼノムはこの世界にも干渉している。そこでだ。俺はこれから“かつての仲間達”を集める。」

 

「仲間達と言うと…もしかして。」

 

「あぁ、私がかつて“異世界”に行って、共に冒険した仲間達だ。時間魔法で連れてくるつもりだ。そして元の時代に返すつもり。」

 

「それはできない。」

 

「「?」」

 

っと、彼等の隣りに聞き慣れた人物いた。時沢アルトとマリアンヌであった。

 

「お前は?」

 

「お初にお目に掛かります。ディーン・コールブランドよ…。」

 

時沢アルトは説明する。かつて彼の父母がエクシリア文明の研究をし、21世紀中期にてエクシリア技術の一つを蘇らせた【生体進化技術“エヴォルブラスト”】。

エクシリア人は次元操作できる“強力な兵器”と言うもの使い、時間と空間を司り、星々の生命体や生物からDNAを採取し、自身の身体…即ち遺伝子を調整・改良し、自身の能力の進化・生体武器、超科学と究極魔法、宇宙理力、さらには外骨格にナノメタルで改造を加え、情報量のオーバーロード化に成功させていた。

時沢夫妻の性格はマッドサイエンス的でもあったが、その技術によって新たなる人種が生まれた。

『ミュータント』ーーー通常の人間よりも遥かなる高い運動能力、免疫・治癒力、長寿命を備え、過酷な環境下・宇宙環境で生じる身体機能障害の完全適合、基礎学力も遥かに高い“新人類”が誕生した。

時沢夫妻は新人類ミュータント達の為に養成学校を築いた。授業内容の殆どは凡ゆる災害による救助活動・建設の現場・介護分野・IT企業であった。この計画は次世代の新たな未来に希望を齎す筈であった。

だがその計画を軍の過激派が横暴な手を使い、その計画内容の全てを軍事的兵器計画に変更してしまった。

それにより、次世代人種『エヴォル』、旧世代人種『イノセンス』による第三次世界大戦が勃発した。

時沢アルトは夫妻が起こしてしまった事に悲しんだ。その為に両親が計画した養成学校を開き、マナの光を持つ人種とそれを持たない女性種ノーマ…そしてマナが使えない古の民達…そしてミュータント達が共に道を歩める未来の為に…。

 

その育成計画に二人は考えていた。

 

「……すまない、少し考えさせてくれ。」

 

ディーンは自室の部屋へ行き、ある事を考えていた。

 

「(…未来の若者の為に。)」

 

「(お考え中すみません。)」

 

「!?」

 

っと、突然の念話に驚くディーン。声の主はマリアンヌであった。

 

「(何だ?)」

 

「(あなた様にはもう一つお話があります。)」

 

「(話?)」

 

マリアンヌは全てを話す。エヴォルブラストによる計画の真相の全てを…。

 

「(そう言う事だったのか…。)」

 

「(はい、その全てをゼノム…ザリマンによって遊戯の用語的システムにされました。ですが希望はあります。これを見てください…。)」

 

マリアンヌはそう言うと、能力でディーンにある物を渡す。それは手紙であった。ディーンが手紙の内容を見て、涙を流す。マーサもディーンが見せた手紙の内容に涙をし、二人は決心する。

 

「この計画…やりましょう。」

 

「本気ですか?」

 

「あぁ…。」

 

「既に“彼等”と連絡を取っています。」

 

「それは助かる。」

 

ディーンは仲間達との連絡が取られていた事に安心し、計画が実行された。村の人達はディーンの話を受け入れ、育成計画に協力してくれた。アーサーを除くサヨリ達は見事にエヴォルブラスト計画に成功し、次世代人種として、未来を託される存在となった。何の問題はなかった…いや、何の問題は無かった筈だった……。

そう、“彼奴等”が現れまでは…そして“あの悲劇”が起こるまでは…。

 

 

ーーー12年前ーーー

 

燃え盛る家、老若男女の飛び交う悲鳴、ディーンは双剣を手に死姦していたインゴーーーゼノムの配下属組織であるアルザード帝国によって拉致された“犯罪者の慣れ果て”を切り殺していた。

 

「お前らぁぁぁっ!!!!!」

 

ディーンは怒りで戦火の中を突き進む。同じ頃、魔導師のローブを着用し、魔導杖を持ちながら魔法でインゴ達の侵攻を防ぐ【結界師“キョウコ・林”】と魔導書を手に背部に装備した白兵戦仕様無線式多目的遠隔兵器【スラスター・ファンネル】を駆使し、敵を魔弾で射抜き、魔素で構成させたエネルギーブレードで切る、そして貫く。【賢者“羽間西十郎”】が戦っていた。

 

「西ちゃん!!早くあの子達を!!」

 

「分かっている!!“馬鹿弟子”達!!生きててくれ!」

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

掛け声がする上空へ二人は見上げる。

 

「旋風真空斬!!」

 

現れたのは拳闘士として踵落としと共に真空波を放つ西十郎の弟【闘士“羽間東護ノ介”】が技を決める。

 

「兄貴!早くアーサーの所へ!!」

 

「けど西くん!この数は!」

 

東護ノ介とキョウコ・林が言い合っている最中、ディーンが駆けつける。

 

「私が行く!」

 

ディーンが燃え盛る超星寮を見上げる。っとその時、超星寮から光の柱が出現する。

 

「「「「っ!?」」」」

 

超星寮が崩れると、“それ”は現れた。かつてアーサーは空想がとても広く、空想上の生き物が描かれたカードに写る強大な生き物を描いていた。

ディーンは覚えていた…その絵を。それは空想にして伝説…鱗から無数に生えた赤黒い触手、全てを焼き尽くす炎、凍てつかせる吹雪、塵と化す砂塵、吹き荒らす嵐、それですら超越し、光と闇の性質、頭部は愚か、胴体、両腕、両脚、尻尾、翼にそれぞれの火、水、土、風、光、闇の六大属性を司りし神龍ーーーアーサーが趣味で遊んでいたカードゲームでこよなく愛し、そしてリクを激しく追い詰める最強の能力を持つ……その名は…。

 

「おいおい…!?」

 

「嘘っ!?あれって!?」

 

「まさか…あれ…アーサーの!?」

 

「かもしれない…!だがあの姿は!!」

 

ディーン達は恐怖する。龍…否、龍達は唸り声を上げ、燃え盛る村にいる龍を見下ろし、大咆哮を上げると共に彼等はその名を言う。

 

『『『『『『ガアアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!!!!』』』』』』

 

「「「「【覇星龍神“ウルティマ・ゼニス”】!!!!」」」」

 

ウルティマ・ゼニス…“究極の至高”を意するそれは限りなく暴れた。島が全壊するかと思った…。ディーン、キョウコ、西十郎、東護ノ介の他【“錬成師”星川真原】【“剣聖”天上弥助】【“呪術師”李 雲嵐】【“付与師”カムトーガ・早野】【“聖騎士”天野川相馬】【“治癒師”カリーナ・キャンベル】……忘れもしない…6人の仲間達。

 

四人は絶望した…目の前にいるのは神を超越し、万物を司る怪物の王…それが想像上の存在が現実に…。ウルティマ・ゼニスが四人を見下ろし、不気味な笑みを浮かばせ、最大出力のエネルギー砲を放とうと大口を開けた瞬間、闇夜の月から無数の光の矢が降り注ぐ。

 

『『『『『『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!』』』』』』

 

「何!?」

 

「一体何が!?」

 

ディーン達が驚いていると、闇夜が突然と昼間になる。月も太陽へと変わると同時に“それ”は舞い降りて来た。

 

「「「何!?」」」

 

「…っ!!」

 

西十郎達達は太陽から舞い降りるそれが放つ光で目が眩む中、ディーンはそれに驚き、その者の名を言う。

 

「テラス様!!」

 

その者、日本神話の神服と装束を羽織り、霊弓と神刀を携えし、天照の女神……だが、ディーンは覚えていた。彼女の事。

彼女はかつて、ラース王と共にゼノムを圧倒し、多くの妻の候補でありながらも彼女達と仲が良く、勇ましき神の一族の王族として民を愛した女皇…【テラス・エクシリアス】ーーーアルトリウスの実母であった。

 

「テラス様…よくぞ生きてて…!」

 

「何も言わないで…。今は、“アルス”を何とかしなければなりません。」

 

テラスはそう言い、ウルティマ・ゼニスを睨む。ディーン達はウルティマ・ゼニスがアルスことアーサーだと言う事に驚愕する。

 

「アイツが…馬鹿弟子だと!?」

 

「でも…何でカードの姿に!?」

 

「坊やの能力は…“創生者”。空想や伝説、神話などの架空の存在を実態化させ、現実にできるラース王の力の一つ。しかし、坊やは絶望、恐怖、怨念、死、孤独に囚われている状態……そして坊やは具現化させたあの怪物の力と体内に埋め込まれ絶滅者ボスキートの細胞と適合させられた事で、実態化したウルティマ・ゼニスは原初のボスキートとなり、全ての能力を司りし“五番目の領将”となりました。」

 

「つまり…アーサーは?」

 

「えぇ…無理矢理、ゼノムの最終兵器の“一つ”にされたのです。ですがアレはまだ不完全体…まだ助けられます。」

 

テラスはそう言い、霊弓を構える。

 

「そう言えば!サヨリは!?」

 

「……」

 

「そんな…!」

 

ディーンは三児を身籠った愛妻は愚か、二人の愛娘を失った事にショックを受ける。

 

「貴方は生き残っている方の救出をお願いします。」

 

「テラス様!」

 

ディーンはテラスからのお告げに驚くと、テラスが真っ先にウルティマ・ゼニスに突進する。ウルティマ・ゼニスが火を司る龍神の頭部をうねり動かし、強力な多連術魔法【マルチプル】を展開し、無数の魔法陣を出現させる。

 

「アレは!上級魔法の一つ!【クリムゾン・ジャベリン】だと!?」

 

「しかもマルチプルって…あんな数を!?」

 

マルチプルーーー極限魔法の【二重詠唱化】に作用される魔法の一つ。大多数の相手を識別情報を確認し捉え、敵を自動的にロックオンする。

ウルティマ・ゼニスは紅蓮の炎を纏った聖槍をミサイルの様に放つ。

無数のクリムゾン・ジャベリンが迫り来ると、テラスが叫ぶ。

 

「【マルチプル】【ホーミング】!」

 

テラスもマルチプルを使い、光り輝く聖槍【シャイニング・ジャベリン】を展開し、【ホーミング】機能による迎撃を開始した。

 

『『『『『『ガァァァァァッ!!!!』』』』』』

 

ウルティマ・ゼニスが咆哮を上げると、彼奴の身体に異変が起き始める。ウルティマ・ゼニスの6体の龍神達が呻き声を上げ、苦しんでいた。

 

「苦しんでいる…!?そうか!!」

 

テラスは何をかんじとり、ソルの光を使う。

 

『『『『『『ガァァァァァァァァァァァァ〜〜〜〜〜ッッ!!!!』』』』』』

 

ソルの光で構成された拘束魔法と光の鎖、さらには金色に輝くピラミッドで封じ込めるテラスは叫ぶ。

 

「“分かれよ、それぞれの力を持ちし六天龍の神々よ、テラス・エクシリアスの名において、核となりし《穢れし龍の神》より離れ、蛮神として我の眷属となれ”!!」

 

テラスの言葉に反応しウルティマ・ゼニスが輝き、火、水、土、風、光、闇を司る六体の龍へと分離した。そして六体の龍の神達を総合させ、強大な力へと変えていたエネルギー源……赤黒いそれは姿を見せる。

赤黒く蠢く無数の触手ーーー【恐怖】【絶望】【破壊】【後悔】【殺戮】【偏見】【憤怒】【色欲】【嫉妬】【怠惰】【悪意】【傲慢】【憎悪】【狂気】【呪怨】【暴食】【貧食】【強欲】【憂鬱】【汚染】【虚飾】の理を放出し、細身の身体(右腕を除いて。)漆黒に染まりし不死鳥の翼も羽毛、の風貌をした悪魔…否、全ての怨念を司り、穢れに満ちた絶滅者…龍の神々の力を吸収し、グランセイザーの能力のオリジンにして今、アーサーの悲劇により現世に蘇った絶対生命体ーーー【絶滅龍“ボスキート・グライズ”】であった。

 

ディーン達はその姿に恐怖する。それもそうだ…そのボスキートの右腕は紅蓮の炎を纏っており、鬼面が浮かび、禍々しい目でディーン達を睨みながら不気味な高笑いをしていた。

 

『フハハハハハ!!!!』

 

『ガラガラガラガラ!!!』

 

ボスキート・グライズも高笑いを上げると、右腕から霊符が飛び出し、術式を無詠唱で発動させた。結界で空気を圧縮し、板状のブロックを形成。そしてそれを自分の周りに浮遊させると、俊足で浮遊する壁を蹴り伝って、テラス達の方へ急接近して来た。

 

「っ!!」

 

さらにボスキート・グライズはソルの光で脚力に電磁誘導力に加え、身体強化を付与させ、リニアによる超音速移動でテラスに攻撃して来た。

 

「(は!速い!!!)」

 

ボスキート・グライズの電磁誘導力による蹴りがテラスが展開した光学障壁に炸裂する。すでに障壁には大きなひび割れが起き始める。

 

「(このままでは!!)」

 

テラスが圧されていると、キョウコが自身の最大結界術【新法界】を発動し、光の霊符が付けられた鎖でボスキート・グライズの動きを止める。

 

『ガァァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

ボスキート・グライズが鎖を破壊しようと尻尾を変異させ、尾の先端部が骨の刃が重なり合った【生体チェーンソー】で切り刻んでいく。キョウコはその時、鬼の形相をしたアーサーことボスキート・グライズにビビり上がる。

 

「(こわあぁぁーっ!!!ホントめちゃくちゃ怖すぎる!!本当にアーサー君なのって言いたい!!!ひぃーっ!!)」

 

キョウコが怯える最中、結界が破壊され、真っ先にキョウコに向かって生体チェーンソーを突き伸ばして来た。

 

「させるか!!」

 

っと、キョウコの前にディーンが立ち塞がり、二刀流で生体チェーンソーを受け流した。

 

「西十郎!東護ノ介!」

 

「「おう!!」」

 

西十郎と東護ノ介が攻撃を仕掛けようとしたその時、別の攻撃が来る。

 

「「っ!?」」

 

上空を見ると、ボスキート・グライズから分離させられた六体の龍神…火を司る龍神【ロード・ドライグ】水を司る龍神【アビス・ラハヴ】地を司る龍神【タイタン・ビヒモス】風を司る龍神【ゲイルククルカン】光を司る龍神【クズノリュウ】闇を司る龍神【ヨモツノオロチ】がボスキート・グライズを守り始める。

 

「厄介な事だ…!」

 

ディーンが六体の龍の神に刃を見せると、ボスキート・グライズが咆哮を上げる。

 

『ガァァァァァァァァァァァァッ!!!!』

 

『『『『『『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!』』』』』』

 

六体の龍神達も咆哮を上げると、ボスキート・グライズの身体から【六つの光】が生み出される。そして光は形を変え、“龍神”へとなる。

 

雷を司る龍神【ボルテックス・アトラス】氷を司る龍神【ノースブリンガー】時を司る龍神【クロノス・クロッカー】空を司る龍神【ヘルメス・ライジング】幻を司る【プルート・ヴァーミンガム】無を司る龍神【エターナル・ドラゴニス】…そして十三の龍神として君臨した原初のボスキート化したアーサー…『穢』を司る龍神【ボスキート・グライズ】が睨む。

その光景にディーン達は恐怖する。

 

「(嘘…だろ!?)」

 

「あ…ああ…!!」

 

「(こんなの…どうやって切り抜ければ良いんだ!?)」

 

「無理だ…相手は“龍”にして“神”…!!私達がまだ若き頃に倒したあの世界の“魔王”とは違う!!想像によって現実化したは本物!!」

 

「……ディーン・コールブランド、羽間西十郎と東護ノ介、そして林京子。これから私は彼の力を封じ込めます。その後に、村の者達全員を生き返らせます。」

 

「テラス様は?」

 

「私はその後、エクシリア光家が遺した“大いなる財宝”を探します。アレをゼノムに盗られる訳にはいきません。既にスメラギンガとは話をしており、彼を復活させ、9年後に来訪するアルスを迎えに行くでしょう。」

 

「スメラギンガ光太子殿下が!?」

 

「テラス様!」

 

「行きなさい!!!」

 

テラスがディーン達を転移門で何処かへと飛ばす。

 

テラスはある物を装備する。それはかつて、エクシリアの戦士達や騎士、さらにはスメラギンガや兄弟姉妹でさえも扱う事ができなかったゼノムから奪いし破魔の光剣ムラクモであった。

 

「主よ、汝はここに宣告します。絆を再び結びつけ、互いの相互理解、理の調停・調和を司るエクシリアの最高神【曉和神アルス】と全知全能にして多次元宇宙の意志【ウオフ・マナフ】の意志決定よ、私に力を……坊やを元に戻す力を…。」

 

テラスは破魔の光剣ムラクモを掴む。

 

「ッ!!」

 

テラスは苦しむ。破魔の光剣ムラクモがテラスの寿命や魔力、理力、ソルの光、そして己の魂魄が食い尽くされていく。

 

「破魔の光剣ムラクモ……やはり私の力や“血筋”でも認めないのね。」

 

テラスがそう言うと、ムラクモの柄頭に埋め込まれた大きな紫色の珠から禍々しい龍が現れ、ボスキート・グライズや龍神達に威嚇する。

 

『ガァァァァァ!!!!』

 

《ッ!!!!》

 

「まだ終わらない。来るべき厄災…そしてこの世界の真実……坊や…アルファリオンと光家の血を繋ぐ者、そして“88”人の星座の“真の試練”果たし、力を宿し、光と闇の性質を持つ“真の勇者”の為にも…!!」

 

テラスの言葉と共に、破魔の光剣ムラクモを鞘から抜刀し、封印を解いた。鞘から抜かれたムラクモの刀身は漆黒であったが、突然と血のように“真っ赤”に染まり、柄の紫の球から現れた龍ーーー【獄龍】ーーーが姿を現し、龍神達とボスキート・グライズを睨む。

 

『ガアアアアアアアアァァァァァァァッ!!!』

 

地獄龍の咆哮と共に一斉に龍神達が苦しみ、“カード”へと変わった。

 

『ッ!!?』

 

ボスキート・グライズは何が起こったのか、周りを見る。しかし、そこに下僕である龍神達はいなかった。さらに燃え盛る家や超星寮から数千枚のカードが飛び出し、カードへとなった龍神達と共にムラクモの紫の球の中に吸い込まれる。

 

テラスは吸い取った吸い取ったカード…“彼等”に念話する。

 

「(お願い…坊やを止めるために…一度だけ…力を貸して。)」

 

テラスが念話したその時、クロノス・クロッカーがテラスの視界を変え、未来を見せる。それは我が子であるアルスことアルトリウスとアルファリオン、スメラギンガ達兄弟、姉妹、仲間達のこれから辿る彼等の軌跡の数々……。そしてアーサーとフェリスとの間に芽生えたテラスの血を引く新たな二つの生命、アーサーを熱愛する美少女達……。

 

「(坊や…あなたったら本当に“あの人”にソックリになっちゃって。)」

 

テラスは微笑み、刀身を力強く握りしめる。刀身をさらに赤く輝かせ、【赫刀】へとなり、彼女の右半分の顔面に昇り龍の痣が浮かび上がる。さらに鬼の様な縦長の瞳孔、鋭い牙に爪、額に2本の角が生え、額中心部から“第三の目”が開眼した。

 

「スゥ…」

 

テラスは目を閉じ、呼吸をする。

 

「ゴオオオオ!!」

 

呼吸音が燃え盛る炎の如く、さらには口元から紅炎が吹き出る。テラスは歯を食いしばりながら、ボスキート・グライズに向かって駆ける。

 

『ガァァァァァ!!!!』

 

咆哮と共にボスキート・グライズも右腕を変異・肥大化させ、巨大な骨と血肉で構成させた生体エネルギーブレードを…さらに左腕も変異させ、双刃剣型の生体エネルギーアローを形成し、テラスに襲い掛かる。

 

「日の呼吸“陸ノ型”【日暈の龍・頭舞い】…!!!」

 

テラスがそう呟くと同時に一気にボスキート・グライズへと突撃し、幾つもの円を繋ぎながら龍を象るように戦場を駆け巡り、ムラクモを振るう。

 

『ガァァァッ!!??』

 

ボスキート・グライズは何が起こったのか、彼の顔面や首、胴体、四肢、翼、尻尾に激しい痛覚を感じると、バラバラになり…日の呼吸による斬撃と陽炎が穢れた力を清め…祓い…消された。

 

『オォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!』

 

ボスキート・グライズが断末魔の雄叫びを上げ、最後の力を振り絞ろうと口から獄炎を吐こうとした。

 

『ッ!!??』

 

だが、その前にテラスはソルの光で弓を引き絞り、涙を流し始める。すると女性がある事を呟く。

 

「ごめんなさい…アルス…否、アーサー…!!」

 

女性はそう言うと、弓矢を放った。弓矢の鏃が翠色から青鈍色に変色し、ボスキート・グライズの眉間に命中する。

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァッッ!!!!!!!』

 

と同時に消え、右腕を失い、A組メンバーの返り血が付着し、ボロボロの“我が子”へと元に戻った。

 

「ッ!」

 

テラスは大粒の涙を流し、落ちる間際で無惨な姿、本当の母との触れ合いすらできなかった我が子を優しく受け止め、抱きしめる。

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

 

テラスが泣き崩れる最中、アーサーの身体から黒い何かが出てきた。

 

「!?」

 

黒い物体は形を変え、漆黒に満ち、赤い眼光、炎の髪を持った“子供”……容姿がアーサーになる。

 

「?」

 

テラスはムラクモを突き付けると、アーサーの容姿をしたそれはゆっくりと近づき、ムラクモに触れる。するとムラクモの柄の紫の珠から地獄龍が現れ、アーサーに似たそれと共に彼の傷を癒す。

 

「あなた達…。特に君は…ボスキートなのに、他のとは違う……優しさをあなたは持っている。あなたの名前は…“アグニ”…あなたの名は“ボスキート・アグニ”なのね。」

 

【アグニ】ーーー炎の神と崇められているそれはボスキートでもあり、唯一完全な人型であり、優れた知性があり、慈愛を持っていた。先のアーサーがアグニと名乗っていたのは己の存在意義を忘れないが為の発言であった。

 

「“神の名”を持つボスキート…あなたが出たとなれば、坊やもウオフ・マナフと曉和神アルス、そして巫女王たる私にも認める程の存在……“あの子達”もまた…。」

 

「テラス様!」

 

炎の中、走ってくるのは避難したディーン達であった。

 

「テラス様!ご無事で…っ!!」

 

ディーンはボロボロのアーサーを見て驚く。

 

「あぁ!!アーサー君!」

 

キョウコもアーサーの姿に思わず驚く。

 

「アーサー…。」

 

「馬鹿弟子…。」

 

東護ノ介と西十郎も彼の姿に目を逸らしてしまう。特に西十郎は自身の怖い性格でも受け入れてくれた唯一無二の人格者ーーー弟子がこの様な有様になった事に後悔していた。

 

「本当だったらこんな事をするべきではなかった。俺達が…弱かったからだ。“あの世界”へ召喚され、仲間達と共に魔王を討ったあの頃に…その実力に心酔し過ぎていた。すまん、アーサー…。」

 

「あなた方にお伝えしておきます。彼は目を覚ますが、あの時の出来事をきっかけにさらに壊れ、体内のボスキートが目覚めるも思うのです。」

 

「えぇっ!?」

 

「ですから私は…矢に込められたソルの光で彼の記憶を封印しました。今の彼は自身の名前ですら知らないでしょう。」

 

「何故アーサーの記憶を消したのだ。」

 

「アーサーの師…導師“西十郎”。すみません。アーサーにはとても辛い体験を思い返さないようにしたの…。」

 

「そうか…だが消しても、彼の“罪と罰”は消えない、いずれは甦る。代わりにお前が彼の代行者として罪と罰を背負え…。」

 

西十郎はそのテラスに怒りを表していたが、決して殴り掛かろうとしなかった。

テラスは倒れているアーサーを優しく抱き抱える。

 

「アルス…アーサー…ごめんなさい。私のせいでこんなことになっちゃって…でも1000年後…2000年経った貴方を愛してる…。」

 

女性はそう言うと、人差し指と中指の二本を唇に近づけ、ある光をアーサーの額に付けた。

 

「これは…貴方の本来の力を抑制する為の“封印”…ティガの【光】がと適合したそのボスキートの【闇】が守ってくれる。そして時が満ちたら…“私”の元へ来訪しなさい。」

 

女性は涙を流し、ある光魔法でアーサーを大木に固定させ、海へ放り投げた。

 

「ごめんね…私の“愛しの坊や”…」

 

テラスは大粒の涙を流していた。

 

「っ!!」

 

っと、テラスが何かに反応し、焼け落ちた超星寮から禍々しい“赤子”が現れた。

 

“マァマ…”

 

赤子は何を求めているのか、“ママ”と言う。

 

「アレは…一体何なんだ?」

 

「やっぱり…!」

 

「“やっぱり”?テラス様…アレを知っているのですね?」

 

炎の中を大鎌を持った西十郎と手甲を装備した東護ノ介、他にもたくさん人が武器を持ち、炎の中に映る巨大な“赤子”達へと突撃するのであった。

 

“マァマ〜…”

 

その赤子から放たれた言葉…どこか寂しく…どこか痛々しく…何かを訴えるかの如くの“救いを求める言葉”でもあったーーー……。

 

 

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