Another00:【千年呪縛】
元老院から離れたオルト達は1000年前の大事故である【D・インパクト】が起きた黒部渓谷へと向かっていった。現在、ゲート先にあるミュータント細胞の処理は済ませているが、いつ再活性化するか分からない状況であった。
平野付近の前線ミュータント対策本部としてキャンプ場となっており、連邦兵士達がそれぞれの役割、潜入の準備を進めて行く。そしてオスプレイが到着し、オルト達はテント内にいるアルファリオンと出会う。彼の素顔に一同は驚きを隠せなかった。
「やっぱ、改めて本人を見ると全く違うね。」
「えぇ、特に目の色が…。これなら区別ができます。」
ナツキとネーラはアルファリオンの瞳の色が青色に驚く。アーサーが赤、アルファリオンが青と言う区別が付けれる。
「お前達、よく来たな。」
東護ノ介はアルファリオンの前で敬礼する。
「(え!?東護ノ介さんが敬礼!?)」
アインが驚く中、アルファリオンは返答する。
「東護ノ介と西十郎は俺が鍛え上げた立派な弟子だ。」
「《えぇっ!!?》」
何と、アルファリオンは東護ノ介の師である事に驚く。だがわかる事はただ一つ、東護ノ介の人間離れしたとてつもない力の原因は、アルファリオンの指導法であった事。するとテントへ入ってきた別の人物。
「《フェリスちゃん!!?》」
何と、ケーニヒスによって誘拐された筈のフェリスがここにいる事に一同は驚く。
「フェリスは、私の双子の妹です。私の名はフェアリス・朱鷺・ミスルギ……フェリシアの双子の姉です。」
「双子の…姉?」
「はい、映像で説明されてなかったのですが、全てをお話しします。」
フェアリスは軽くお辞儀をし、アルファリオンと共に潜入の準備を進める。オスプレイに乗り、ゲートへと向かうオルト達は先の話をしようとフェアリスに言う。フェアリスは落ち着いた表情で続きを始める。
彼女はかつて、星の海からの侵略者によって、原子レベルまで体の生態情報を分解されていたとの事。しかし、分解された生態情報の核が偽りの地球へ到達し、女性の胎内に宿り、受精卵と共に双子の姉妹が生まれた。それがフェアリスとフェリシアであった。双子の姉妹の力は恐ろしく、
10年前のリベルタスーーー古の民とノーマの反乱と呼ばれる解放戦争。あの当時、古の民と共にエンブリヲの抹殺をしようと彼等のリーダーの参謀を務めていたブライス・鳳凰・ミスルギと彼の妻 オウカ・朱鷺・ミスルギ、タスクの両親であるイシュトバーンとバネッサ、そしてアレクトラと共にエンブリヲのいる場所へ奇襲を仕掛けた。しかし、エンブリヲの背後からそれは現れた。【アルザード大帝国】…強欲と略奪、無慈悲なる虐殺を繰り返す狂人帝国の参戦により、古の民とノーマの戦士達は次々に殺されていった。彼等はこの世界とは違う力【魔導】と言うもので武力行使を開始し、世界の半分が奴らに侵略されていった。そんな地獄の最中、奴等を追いかけ、時空を渡ってきた戦士達【勇者同盟“カタロン”】が来訪し、世界中にいるアルザード大帝国の主要幹部をねじ伏せて行った。彼等はノーマ、人間、ドラゴン、別世界に生きる種族達が当たり前の人生の為に蔑んできたマナの光を持つもの達を助け、真実を教え、彼らを仲間としてアルザードに立ち向かった。
当時、カタロンを指揮していたのはアルファリオン、時沢アルト、アーサー、光輝、プライマス、異世界の勇者、転生者、“異世界のプレイヤー達”、“異星人達”の各代表者であった。その数はアルザード大帝国をも揺るがす程の桁数で、勢力、戦術、武力、治安維持力も完璧であると。第四皇太子である【シュヴァルツ・アルザード】も父である大皇帝【ケーニヒス・アルザード】に反感を抱いていた。アルザードは“過激派”と“穏健派”の二つの性格に分かれており、一族の80%を占めていた過激派に対抗する為、穏健派全員はアルザードを脱退…カタロンと同盟を結び、共に生きる共和派として【新生アルザード公国】を樹立し、ケーニヒスに宣戦布告。彼等の技術にアルファリオンは喜び、真実の地球にいる地球連邦政府との同盟、友好条約を締結し、アルザードに立ち向かった。その結果、アルザード大帝国は推されていった。奴等の皇帝であるアズラマダフ大皇帝はアルファリオンとアーサーによって首を刈り取られた。だが、奴らは隠し玉を備えていた。あの当時、アレクトラはイシュトバーンに惚れていた…だが、彼は最愛の妻と息子に恵まれていて、アレクトラはその事に嫉妬していた…そんな彼女にエンブリヲが囁き、彼女の純血を奪い、洗脳した。最後の抵抗をしようとアーサー達はアルザード大帝国残党とエンブリヲに終止符をしようと奇襲を開始する。だが、その矢先に待っていたのはーーー。
話の続きにオルトがブチギレる。
「じょ!冗談じゃない!汚ねぇぞ!!ケーニヒス!!」
オルトが怒る中、フェアリスとアルファリオンは涙を流し、アインを含むB組メンバー全員が泣き出す。ネーラはその事に反感を抱く。
「何よそれ!…酷い!」
「その結果、リベルタスは失敗……精神と心を壊されたアーサーは戦意喪失、ケーニヒスはその力に覚醒し、勇者同盟カタロン、地球連邦、新生アルザード共和国を圧倒し、アルザード大帝国残党はアルザード帝国と言う隠れた国家として偽りの地球に潜み続けた。」
「そんな…。」
真実の話を聞いた一同。その時、東護ノ介が外の様子を確認する。
「お前達、話はそこまでだ。もうすぐ目的地に着くぞ。」
オスプレイが目的地であるゲート前に到着する。改めて、ゲートの大きさに顔を見上げてしまうオルト達。
「これが…ゲート。」
その大きさはダムの様に大きく、ミュータント細胞が登らない様にゲートの周りには電磁バリア、さらには対地対空迎撃システム『フェンス』が数百機並んでいた。オルト達は戦闘車両、多脚砲台、ニ脚の移動用車両、そして局所攻守専用グランヴェに乗り込むオルト達。護衛はナツキ、アインであった。ゲート前には検問所があり、東護ノ介は自身のIDカードとハザードスキャンを行う。
「通って良し。」
防護服で身を包んだ検査官がオルト達の武運を祈るかの様に遠くから敬礼をする。巨大なゲートが開き、オルト達はついに……五回も続けた世界大戦が始まってしまったとされる禁断の聖地へと入って行くのであった。
その頃…元老院では、産屋敷かぐやがパソコンで時沢研究所に関わるデータを調べていた。
「1000前…時沢生命工学研究所で一体何があったのか。何故、幼少期のアルトリウス・コールブランドと幼少期のA組メンバーが生きている事に?…12年前…本当は何があった?全部が謎だ…その100年後にドラグニウムが発見される……あまりにも偶然過ぎる、まるで……」
「意図的に仕組まれていた。」
「?」
かぐやの前に現れた男性と女性が呟く。
「あなた方は?」
「時沢アルト…。」
「マリアンヌ…。」
「時沢…まさか!!」
「えぇ…時沢は私の苗字です。そして、アルトリウス・コールブランドの医師の名は……『時沢総一郎』私の父であり、研究所の責任者です。」
時沢アルトが放った言葉に驚くかぐや。っとその時、かぐやに電話が鳴る。
「もしもし?……何だって!?」
電話の内容…『アウラ奪還作戦及び、アルザード侵攻及びフェリス救出作戦は敵に情報が漏れ、アルザードとエンブリヲによる罠によって大半を失い、撤退して帰って来た』との事であった。そして後の……彼等の運命を大きく揺さぶる程の左右の分かれ道になってしまう事を、オルト、ネーラ、ナツキ、アイン達と東護ノ介、そしてサラマンディーネ等を迷わす事を知る良しもなかった。