小悪魔系美少女ヒーロー候補生、チャーミーデビル見参!! 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
凄いギッリギリでしがみついてるぜ!!
これも皆様の応援のおかげでです。
ありがとう!(* ̄∇ ̄)ノ
「先生! ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
白アーマーに全身を包んだ飯田少年がパパに質問をぶつける。
……ていうかあれ飯田少年だったんだね。
顔が見えない上に眼鏡が見えないから、誰だか分からなかったよ。
「いいや! もう二歩先に踏み込む! 屋内での対人戦闘訓練さ!!」
飯田少年の質問にパパがハキハキと答えた。
良し。
変にキョドってないし、普通に答えられてる。
パパが教師なんて正直「大丈夫か!?」という感想しかなかったから、こうしてまともに進行できてるのを見ると凄く安心するなぁ。
これなら心配は無用だったかね。
「ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪ヴィラン出現率は高いんだ。
監禁、軟禁、裏商売。このヒーロー飽和社会、真に賢しいヴィランは
あ。
それは私も知ってる。
私が初めて出会った因縁のヴィランも屋内に居たわ。
もっとも、そいつはもう死んじゃったけど。
「君らにはこれから『ヴィラン組』と『ヒーロー組』に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
あー。
2対2かー。
これはちょっと苦戦するかも。
私の個性っていうか、体質的に協力プレイは大の苦手分野だからなー。
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知る為の実践さ! ただし、今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」
カエルっぽい少女の質問にパパが答える。
あー。
それもちょっとめんどくさい。
壊さないように手加減するのは、強い破壊衝動を抱える私にとってはちょっとした苦行だ。
いや、ヒーローやるなら避けては通れない道と分かってはいるし、実際手加減しながらも気持ちよく暴れる方法も習得はしてる。
でも、やっぱり気分の問題なのだよ。
時間無制限食べ放題ならめっちゃ楽しいけど、そこでカロリーを気にしたり、制限時間が付いちゃったりすると、それを気にして一気に楽しさ半減するのと同じ原理だ。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか……!!」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」
「このマントヤバくない?」
「んんん~~~~聖徳太子ィィィ!!」
ああ!!
ちょっと目を離した隙に、パパが質問の連続攻撃にさらされている!!
頑張れ!
負けるなパパ!!
て、カンペを取り出したよ!?
「いいかい? 状況設定はヴィランがアジトに『核兵器』を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしてる! ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事」
パパはそのまま堂々とカンペを見ながら説明を続けた。
それで良いのか……。
まあ、初めてだし、良しとしよう。
てか、設定アメリカンだな。
「コンビ及び対戦相手は、くじだ!」
「適当なのですか!?」
飯田少年の鋭い突っ込み!
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いし、そういう事じゃないかな……」
「そうか……! 先を見据えた計らい……! 失礼致しました!!」
ナイスフォローだ緑谷少年!
「いいよ!! 早くやろ!!」
しかし、パパは大分焦れてきたらしい。
口調が適当になってきた。
そんなパパの心労を取り除いてあげるべく、さっさとくじを引く。
私が一番に引いた。
くじ引きの箱の中から出てきたボールには「A」の文字。
私に続いて他のクラスメイト諸君も続々とくじを引いていき、それぞれのコンビはこうなった。
Aチーム 八木、緑谷
Bチーム 轟、麗日
Cチーム 八百万、峰田
Dチーム 爆豪、飯田
Eチーム 芦戸、青山
Fチーム 口田、障子
Gチーム 耳郎、上鳴
Hチーム 常闇、蛙吹
Iチーム 葉隠、尾白
Jチーム 瀬呂、切島
私のコンビは緑谷少年だった。
「よ、よろしく八木さん」
「よろしく~」
気心知れた相手だったのは不幸中の幸いかな。
多少はやり易そうだ。
他に注目すべきコンビは、BとCかね。
Bコンビには麗日少女がいるっていうのもあるけど、実はもう一人の少年の方にも私は見覚えがある。
推薦入試の時に会った少年だ。
その時の試験が障害物競争だったんだけど、私の遥か後方で風使いの少年と激しい二位争いしてた覚えがあるわ。
たしか氷の個性を使ってた気がする。
それなりに強力な個性だったという覚えもある。
……そういえば風使いの少年の方はどうしたんだろう?
見かけないけど、隣のB組にでも入ったのかな?
そして、Cコンビに関しては悪い意味での注目だよ……。
峰田とかいう名のブドウ頭の変態と組まされた少女が哀れでならない。
ていうか、あの少女も推薦入試の時に見たな。
という事は、私やあの氷使いの少年と同じ推薦入学者か。
その優秀さを持って、ぜひともブドウ頭を再起不能にしてもらいたい。
あのエロいコスチュームじゃ逆に興奮させるだけに終わってしまうかもしれないけど……。
「続いて! 最初の対戦相手は、こいつらだ!!」
そう言ってパパが新たなくじを引く。
「VILLAIN」と書かれた箱と「HERO」と書かれた箱に両手で同時に手を突っ込み、中から文字の書かれたボールを引き抜く。
パパの左手には、ヒーローの方の箱から出てきた「A」という文字の書かれたボールが。
パパの右手には、ヴィランの方の箱から出てきた「D」という文字の書かれたボールが。
それぞれ握られていた。
つまり──
「Aコンビがヒーロー!! Dコンビがヴィランだ!!」
いきなり私達の出番だ。
しかも相手はDコンビ。
あのコンビには、緑谷少年にとっての因縁の相手がいる。
「デクぅぅぅ……!!! クソ女ぁぁぁ……!!!」
その因縁の相手。
不良少年はどう見ても凶悪ヴィランにしか見えないイっちゃってる目付きで、私と緑谷少年に敵意100%の視線を送っていた。
なにあれ、怖ッ!
あれは既に人を殺っちゃってる目だと言われても、素人なら信じちゃうよ。
本当に人を殺っちゃてる奴の目はあんな感じじゃなくて、もっと腐ったような嫌な感じに濁るから分かる奴には分かるけど。
「……ヴィランチームは先に入ってセッティングを! 5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ!」
そんな不良少年の事をちょっと気にかけながら、それでもちゃんと授業の進行を優先するパパ。
うん。偉い。
それでこそ教師!
カウンセリングは授業が終わった後にすれば良いもんね。
「飯田少年、爆豪少年はヴィランの思考をよく学ぶように! これはほぼ実戦! ケガを恐れず思いっきりな! 度が過ぎたら中断するけど……」
そう言ってパパはちらりと私を見た。
何故だ!!
何故に私を見る!?
ここは普通、不良少年の方を見るべきでしょ!!
私そんなに信用ないの!?
「うっ……!」
頬を膨らませて怒りの視線でパパを見つめると、パパはちょっとたじろいだ。
良いだろう。
そこまで信用がないというなら見せてあげよう。
私だってちゃんと大惨事を起こさずに、しっかりと授業をやり遂げられるという事をな!!
「行くぞ! 緑谷少年! 作戦会議だ!」
「え? ちょ、待って!!」
緑谷少年の腕をひっ掴んで所定の待機エリアへと引きずって行く。
不良少年と飯田少年は建物の中に入り、パパと他のクラスメイト諸君はモニター室へと去った。
そして、所定のエリアに着いた私達は作戦会議を始める。
「とりあえず、建物の見取り図を覚えないと……」
「私はもう覚えたぞ」
「……八木さん頭まで良いんだ。チートっぷりが酷いや」
チート言うな。
自覚してるわ。
「じゃあ作戦だけど、どうしようか? 八木さんの個性を最大限生かすなら、真っ正面からのガチバトルが一番だと思うけど」
「ああ。それに関してなんだけどさ。──私、今回は個性使うのやめるわ」
「………………へあ?」
何その間の抜けた返事は?
私そんなに変な事言ったか?
「な、なんで!?」
「緑谷少年……。私の個性使った一番簡単で手っ取り早い勝ち方って何だと思う?」
「え? それは……やっぱり真っ正面からぶつかる事だと思う。八木さんの個性はパワーもスピードも規格外だし機動力もある。純粋な戦闘能力が高い上に高速で動き回れるから索敵も容易。走り回って敵の居場所を早くに見つけて一気に襲撃するのが一番……だと思う」
「ブッブー。不正解」
「えー……」
実はもっと簡単な方法があるのだよ。
「正解は外側からビルを殴って壊して、瓦礫の中から核を見つけるでしたー。この方法なら敵が生き埋めになるから戦う必要すらないし。私のパワーなら瓦礫くらい軽く撤去できるしね。多分、クリアするにはそれが一番簡単だと思うよ」
「いやそれは……! さすがに……」
緑谷少年はドン引きだ。
そりゃそうだ。
私だって「それは良いアイディアだ! 早速実行してみよう!」と言われたら軽く引く自信がある。
しかもさあ、
「それだけじゃないんだぜ。使い魔を百体くらい召喚して数の暴力で攻めても良いし。それこそ緑谷少年が最初に言ったように真っ向からのガチバトルでも、個性の性能差を考えればどう考えても一方的な蹂躙になる。それじゃあ
「あ……! そっか。だから」
「そ。だから私は今回個性を使わないって訳」
ほんと私の個性は強すぎるんだよ。
他の個性とは、確実に勝てるどころか負ける方が難しいってくらいに性能差がある。
私の
間違っても高々学生程度の実力で対抗できるレベルじゃないのは確かだ。
故に、パパの授業を授業として成立させる為にも、私は個性を使ってはならんのですよ。
……それに、この個性は安易に人に向かって撃って良いもんじゃないしね。
個性発動中は発動している部位の多さにもよるけど、破壊衝動が強くなるというか、興奮状態になるというか、そんな感じになるから。
その状態での手加減ていうのは、地味に結構難しいのだ。
大怪我させちゃったり、最悪殺しちゃっても良いやと思えるヴィラン相手ならともかく、不良とはいえクラスメイトに対して使うのはちょっと……って感じだ。
あ。
ブドウ頭になら使っても良いな。
そんな訳で、私の個性で蹂躙しちまおうぜ作戦は却下。
代案を考えなくては。
「……八木さんが個性を使わないからって訳じゃないけど、僕もできるだけ個性を使わない方が良いよね」
「そうだね。今の君の状態だと強い強くない以前に危ないもんね」
「うん……」
今の緑谷少年は個性に振り回されてるからな。
力の調節なんてもってのほか。
一度人に向けて発動すれば、ほぼ確実に相手を殺し自分も大怪我を負う。
そういう意味だと、現時点では私の個性より危ないかもしれない。
勝手に暴走しないだけまだましだとも思うけど。
「そうなると二人共個性使わずに勝たなきゃならんねー」
「うん……。しかも相手は飯田くんと……あのかっちゃん……!」
「因縁の相手だねー。どうする? 荷が重いようなら私が引き受けるけど。私が個性なしでも強いのは知ってるっしょ」
「うん。それはもう骨身に沁みてる……」
修行時代にひたすら実戦稽古でボッコボコにしてゲロ吐かせてやったからなー。
知り合いのおじいちゃんから昔聞いたパパの特訓を参考にしたんだけど……おかげで緑谷少年が一時期「女の子怖い」しか言わなくなって大変だったわー。
しかし、緑谷少年にとってはそんな私よりもずっと昔からいじめられてきた不良少年の方が怖いんだろうな。
「でも……それでもかっちゃんとは僕が戦いたい。
それでも緑谷少年は私に任せず、自分で不良少年と戦うと、そう言い切った。
緑谷少年の話を何度か聞いた私は知っている。
不良少年は緑谷少年にとって過去のトラウマであり、今となっては超えるべき強敵でもあるという事を。
そんな因縁の相手を前にして、ビビりながらも勇気を振り絞って立ち向かう、か。
うん。
中々にかっこいいじゃないか。
弟分がちょっと立派になってくれて、お姉ちゃんは嬉しいよ。
「じゃあ、具体的な作戦を決めようか」
「うん!」
そうして作戦を立てる内に5分が経過し、訓練開始の時間がやって来た。
屋内対人戦闘訓練──開始。
クイズ!
一年A組から消えた奴を探せ!
犯人は……お前だ!!