小悪魔系美少女ヒーロー候補生、チャーミーデビル見参!!   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

23 / 64
前回の続きー。



体育祭に向けて! パート2

 私が悩んでる間もパパと緑谷少年の会話は続く。

 

「僕が来たって……。でもどうやって……」

「雄英体育祭のシステムは知ってるね?」

「っハイ! もちろん。サポート科、経営科、普通科、ヒーロー科がごった煮になって学年ごとに各種競技の予選を行い、勝ち抜いた生徒が本選で競う。いわゆる学年別総当たり」

 

 そうなんだよねー。

 雄英体育祭ってヒーロー科以外も参加するんだ。

 「体育」祭なんだから、普段から体動かしてるヒーロー科が絶対有利だけどね。

 でも、学年全部が一度に集結するのは間違いない。

 そんな大人数の中で活躍すれば当然目立つ訳で。

 

「そう!! つまり、全力で自己アピールできる!!」

 

 という訳だ。

 おわかり頂けただろうか?

 

「ハア……」

「ハアて!!!」

 

 緑谷少年のあまりにやる気のないリアクションにパパが椅子ごとひっくり返った。

 私は即座にフォローに入り、超速で全て元の位置に戻した。

 ついでにパパが吐血してたので、口元の血をハンカチで拭いておく。

 

「あ、ありがとう魔美ちゃん」

「どういたしまして」

 

 ついでに血の付いたハンカチはパパのポケットにねじ込んでおく。

 自分の血で汚したんだから、自分で洗濯機入れなさい。

 

「で、では気を取り直して。緑谷少年。ハアて!!!」

 

 テイク2。

 今度は椅子も倒さず普通にやった。

 それで良いんだよ。

 

「いや……あの……でも正直あんな事の直後でいまいち乗り切れないというか……。そもそももうオールマイトに見て貰えてるし、僕的には体育祭でのモチベというか。そもそも現状こんな感じで目立てるとは思えないし。体力テスト全然だったし……」

 

 緑谷少年がブツブツと言い訳を始めた。

 ナンセンス!

 そのブツブツは普通に気味が悪いから止めた方が良いと思うぜ!

 

「ナンセンス界じゃ他の追随を許さないな君は!!!」

「ナンセンス界……!」

 

 ナンセンス界。

 それはナンセンスを極めし者達の楽園。

 

「つまり大して意味もない言い訳を繰り返すネクラ野郎って事だよ」

「ネクラ野郎!?」

 

 私の心ない一言に緑谷少年はショックを受けたように項垂れてしまった。

 なんか目に雫が溜まってるような気がする。

 きっと気のせいだね!

 

「い、いやあの緑谷少年!? 別にそこまで悪い意味で言った訳じゃ!? ほら、魔美ちゃんも謝って!!」

「はーい。ごめんね緑谷少年。ついつい思った事を言っちゃった。言っちゃいけない本当の事を」

「ぐふっ!!」

「緑谷少年ッ!!!」

 

 私の容赦のない死体蹴りに緑谷少年が沈黙した。

 ごめんねー。

 でも、本当の事だから。

 

 その後、パパが気落ちした緑谷少年をなんとか宥めて、最後にこう言った。

 

「まあ、常にトップを狙う者とそうでない者……。その意識の差は社会に出てから大きく響くぞ。……気持ちはわかるし私の都合だ。強制はしない。ただ、海浜公園でのあの気持ちを忘れないでくれよ」

 

 パパはそう言って締めくくった。

 海浜公園での気持ちっていうとアレかな。

 緑谷少年言ってたもんねー。

 「パパみたいな最高のヒーローになりたい」って。

 それすなわちトップを目指すという事。

 私とは目的地が違うんだから、緑谷少年には燃えてもらわないと困るんだよね。

 

 そうして、緑谷少年は悩むような顔で仮眠室を出ていった。

 もうすぐ昼休みが終わる。

 急いでご飯を食べて教室に戻らないといけないだろう。

 

 でも、私は仮眠室に残った。

 

「? 魔美ちゃんはいかないのかい?」

「パパ……。私にだって相談したい悩みくらいあるんだよ」

 

 そう言って私はパパの正面に椅子を移動させて座った。

 わりと真面目な雰囲気を察したのか、パパも表情を引き締めて真剣に聞く態勢に入った。

 

「パパ。私は体育祭でどうするべきだと思う?」

 

 そして私は、パパに悩みを打ち明けた。

 

「……どうとは?」

「ほら、私が本気出したら一方的なワンサイドゲームにしかならないじゃん。でもせっかくの体育祭、お祭りを本気も出さないままで楽しまずに終わらせちゃって良いのかなぁ……って」

 

 悩みどころはそこだ。

 私は体育祭自体が嫌いな訳じゃないんだ。

 むしろお祭り騒ぎは結構好き。

 だけど、今回の体育祭に関しては、私は強すぎて皆に交ざれない。

 ふっ……最強ゆえの孤独というやつだよ。

 寂しくなんてないやい。

 それに、

 

「パパは緑谷少年に活躍してほしいんでしょ。私が暴れたら彼の活躍の場を奪う事にもなる。私が本気出したら絶対に目立つし。だったら、マスゴミもうるさくなるなら適当に手ぇ抜いてやり過ごすのが良いのかなって……」

 

 言葉の途中でパパに頭を撫でられた。

 なんだよぉ。

 今、真面目な話してるんだぞ。

 でも、優しい手つきで頭撫でられて、なんか安心する。

 パパのくせにこんな技を使いおって。

 むきゃつく。

 

「ハハハ。今日の魔美ちゃんは緑谷少年並みにナンセンスだね。らしくないなぁ」

「失礼な。あそこまで酷くはないぞ」

「フフ。そうだね。あそこまでではないか」

 

 そう言いながらもパパは私の頭を撫で続ける。

 私はされるがままだ。

 何故か振り払おうという気がおきない。

 不思議だ。

 

「魔美ちゃん。そんなに難しく考える必要はないさ。体育祭はビッグイベントだが、あくまでもお祭り。なら、魔美ちゃんの好きなように楽しめば良い」

「でも、それだと体育祭自体成り立たないくらいの蹂躙になっちゃうかもしれないよ」

「う"っ……! それはさすがにちょっと困るが……。でもね、皆手加減された上での勝利なんて望まない。緑谷少年だって同じさ。魔美ちゃんが悩む必要はないよ」

 

 そうして話をしていた時、予鈴のチャイムが鳴った。

 ……結局、お昼食べそこねちゃったな。

 

「時間だね。行きなさい。授業が始まる」

「……うん」

 

 頭から離れていく手をちょっとだけ名残惜しく思いながらも、私は席を立った。

 そして、教室に向けて歩き始める。

 

 ……私の好きなようにかぁ。

 

 その事をずっと考えながら。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 パパに言われた事が頭の中でリフレインしてる内に授業が終わり、放課後。

 何故か教室の前が人で埋まっていた。

 

「うおおお……何事だあ!!?」

 

 麗日少女の叫び声が聞こえた。

 たしかにこれじゃ教室の外に出れないねえ。

 何しに来たんだろ、この少年少女達は。

 

「敵情視察だろザコ。ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてぇんだろ。……意味ねぇからどけモブ共」

「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」

 

 今度は爆豪少年と飯田少年の声が聞こえてきた。

 ちょっと興味がわいてきて教室の外に顔を出してみた。

 途端に人混みの一部がざわめいた。

 はて?

 私の顔に何かついてるんだろうか?

 

「に、入試の悪夢……!」

「え!? あんなかわいい子が!?」

「あの入試会場一つぶち壊しにしたっていう悪魔……!?」

「ていうかこの子、ヘドロ事件の時の……!」

「マジでか……!」

「……あの子、妹にしたい」

 

 なんかそんな感じの声が聞こえてきてようやく理解できた。

 なるほど。

 入試での私がやらかした事が広まってるのか。

 納得。

 でも、後悔も反省もしていない。

 

「どんなもんかと見に来たが、ずいぶんと偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「ああ!?」

 

 と、その時。

 人混みの中から目の下のクマが凄い少年が現れた。

 挑発的な言葉に爆豪少年が噛みつく。

 

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。……普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ。知ってた?」

 

 知ってた。

 というか今知った。

 入試の悪夢とかいう言葉聞いた時に。

 

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ」

 

 その発言に、緑谷少年が緊張で固まったのが見えた。

 肝が小さいなぁ。

 もっと頑張れ。

 

「敵情視察? 少なくとも俺は、調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」

 

 ほほう。

 中々に大胆不敵な少年だ。

 その不敵さを緑谷少年に分けてほしいくらいだ。

 

「隣のB組のモンだけどよぅ!! ヴィランと戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!! エラく調子づいちゃってんなオイ!!!」

 

 そんな事を言いながら、今度はなんか鉄っぽい少年が現れた。

 なんか凄い顔してる。

 

「本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」

 

 これも宣戦布告と受け取るべきね。

 この学校、不敵な少年が多いなぁ。

 爆豪少年も含めて。

 

 その爆豪少年にクラスメイト諸君の視線が集まる。

 元凶だもんね。

 この事態招いた元凶だもんね。

 全ては爆豪少年の挑発的物言いから始まった。

 

 しかし、爆豪少年は無言で帰ろうとした。

 投げっぱなしジャーマンか。

 

「待てコラどうしてくれんだ!! おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねぇか!!」

「関係ねえよ」

「はあーーーー!?」

 

「上に上がりゃ関係ねぇ」

 

 ツンツン頭の少年の言葉に対して、爆豪少年はそう返した。

 やっぱり君も大胆不敵だ。

 そして、爆豪少年はそのまま帰って行った。

 最後に私を凄い眼で睨み付けてから。

 アレも宣戦布告と受け取るべきかな。

 

「く……! シンプルで男らしいじゃねぇか!!」

「上か……。一理ある」

「騙されんな!! 無駄に敵増やしただけだぞ!!」

 

 そんな爆豪少年に対するクラスメイト諸君の反応は賛否両論って感じかな。

 共感するのもいるし、否定するのもいる。

 でも、皆負けるつもりはないらしい。

 

 それを見てから、私も帰った。

 入り口前の人混みは私が一言「どいて」って言ったらモーセの海割りの如く割れたよ。

 恐れられてるのか、それともこの美少女フェイスが効いたのか。

 判断に困るね。

 

 

 

 

 

 それから二週間。

 私はいつもの生活を送りながらパパに言われた事を晩御飯の献立を考える時くらいには真剣に考え、答えを出した。

 そんな事をしている間に二週間はあっという間に過ぎ去り────

 

 

 

 ────雄英体育祭の日がやってきた。

 

 




次回からついに体育祭開始です。
なんで序章に二話もかかったんやろ……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。