小悪魔系美少女ヒーロー候補生、チャーミーデビル見参!!   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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体育祭編のパート数がUSJ超えた……。
しかも、まだ中盤だよオイ……。
体育祭、なっがいなぁ……。


体育祭!!! パート8

『お待たせしました!! 続きましては~~~こいつらだ!』

 

 私が観客席に戻ったところで、ちょうど轟少年の試合が始まろうとしていた。

 

『優秀!! 優秀なのに拭いきれぬその地味さはなんだ! ヒーロー科! 瀬呂(せろ)範太(はんた)!!

 

 (バーサス)!!

 

 超強力な氷結男!! 普通に強すぎるよ君! 同じくヒーロー科! 轟焦凍!!』

 

 私の席は先に行った緑谷少年と、ずっと観客席にいた飯田少年、麗日少女が確保しておいてくれた。

 ありがとー。

 

 さーて、どうなるかね?

 総合的な実力だけで考えれば轟少年の圧勝だと思うけど、不意討ちで速攻とかかければまた話は違うかもしれない。

 勝負は実力差だけで決まる訳じゃないからね。

 それに、ほとんどの個性には不意討ち食らったら自動的に発動する便利機能は搭載されてないし。

 

『スターーート!!!』

 

 地味な少年、瀬呂少年が動く。

 個性で両肘の先からセロハンテープ的な物を伸ばして轟少年を拘束し、振り回して場外に出そうとしてる。

 やっぱり選んだのは開幕速攻か。

 格上相手だと、それが一番勝ち目ありそうだもんね。

 

『場外狙いの早技(ふいうち)!! この選択はコレ最善じゃねぇか!? 正直やっちまえ瀬呂ーーー!!!』

 

 前から思ってたけど、マイク先生実況に私情挟みすぎだと思うんだ。

 ジャイアントキリングな展開が好きなのかね。

 たしかに、強い方が予定調和みたいに勝つのは、見てておもしろくないか。

 

 だがしかし、今回の戦いは番狂わせどころか、この後一瞬で終わった。

 

 それを見た私の感想は「轟少年強ぇぇ」、というありきたりなものだった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 ──轟視点

 

 

 

「邪魔だ」

 

 試合前。

 選手控え室から会場に行く途中に、奴が待ち構えていた。

 

「醜態ばかりだな焦凍」

 

 そう言うクソ親父は、いつも通りの嫌な顔で俺を見ていた。

 そんなクソ親父を無視して歩みを進める。

 

「左の力を使えば障害物競争でも騎馬戦でも、あの小娘にああも一方的にやられる事はなかっただろう」

 

 うるせえ。

 耳障りだ。

 

「いい加減、子供じみた反抗を止めろ。お前にはオールマイトを超えるという義務があるんだぞ」

 

 うるせえ。

 

「わかっているのか? お前は兄さんらとは違う。お前は最高傑作なんだぞ!」

 

 うるせえ。

 

「それしか言えねぇのかてめぇは」

 

 こんな奴の指図は受けねぇ。

 

「お母さんの力だけで勝ち上がる。戦いでてめぇの力は使わねぇ」

 

 入場ゲートに向けて進む。

 これ以上、こいつの顔を見ていたくなかった。

 

学生のうち(いま)は通用したとしても、すぐ限界が来るぞ」

 

 背中越しにかけられたクソ親父の言葉を聞いて、俺は最悪の気分になった。

 

 

 

 

 

『お待たせしました!! 続きましては~~~こいつらだ!』

 

 ステージに上がって、対戦相手の瀬呂と向き合う。

 

『優秀!! 優秀なのにその拭いきれぬ地味さはなんだ! ヒーロー科! 瀬呂範太!!』

 

「ひでぇ」

 

(バーサス)!! 超強力な氷結男!! 普通に強すぎるよ君! 同じくヒーロー科! 轟焦凍!!』

 

『スターーート!!!』

 

 そして試合が始まった。

 

「まぁー、勝てる気はしねーんだけど……つって負ける気もねーーー!!!」

 

 瀬呂は開始早々個性で俺を拘束し、そのまま場外に投げ出そうとした。

 

『場外狙いの早技(ふいうち)!! この選択はコレ最善じゃねぇか!? 正直やっちまえ瀬呂ーーー!!!』

 

 

 

「悪ィな」

 

 

 

 それだけボソリと呟いて、俺は個性を発動させた。

 お母さんの力。氷の個性。

 それを最大出力で。

 

 ステージに、スタジアムの天井を遥かに超える高さの巨大な氷の柱が出来上がった。

 

 凍らせた事によって瀬呂の個性は砕け、拘束は解除された。

 そして瀬呂は、氷の柱の表面に張り付けにされている。

 

「や……やりすぎだろ……」

 

 体中を凍りつかせた瀬呂は、どう見ても戦闘不能だった。

 

「…………瀬呂くん。……動ける?」

「動ける筈ないでしょ……。痛えぇ……!」

「瀬呂くん行動不能!!」

 

 主審のミッドナイトの判定が下される。

 決着はついた。

 

「すまねえ……。やりすぎた」

 

 俺は瀬呂に近づきながらそう言って、左の炎で瀬呂の周りの氷を溶かしていく。

 

「イラついてた」

 

「轟くん! 二回戦進出!!」

 

 試合に勝っても、俺の中の嫌な気持ちは、決して消える事はなかった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「ど……どんまい」

「どんまーい……」

「どーんまい」

「どーんまい!」

「どーんまい!!」

 

 会場中に巻き起こるどんまいコール。

 これは仕方ない。

 勝負は実力差だけで決まる訳じゃないとか言っといてなんだけど、それにも限度がある訳で……。

 アリとゾウとまでは言わないけど、こんなウサギとライオンくらいの実力差があれば、もう勝負にならない訳で……。

 しかも獅子がウサギを狩るのに全力を尽くしちゃったらもう目も当てられないというか……。

 

 うん。

 どんまい瀬呂少年。

 君の活躍は忘れない。

 三分くらいは。

 

「轟くん凄かったねぇ……」

「ああ。強い強いとは思っていたが、まさかあれほどとは……!」

「あれが氷の最大規模と仮定するともう使われる前に何とかするしかないけど、そんなの八木さんや飯田くんレベルのスピードがないと不可能だし、どうやって対策する? やっぱり自損覚悟のデラウェアスマッシュで打ち消すしかないか? そんでできるだけ氷使わせて弱点である個性のスタミナを消費させるくらいしか勝ち筋が……」

「緑谷少年は相変わらずだな」

「だね……」

「ああ」

 

 一人だけ感想じゃなくて分析に走るところが緑谷少年らしい。

 まあ、次の対戦相手だしね。

 そう思えば当然の反応か。

 ブツブツ言いすぎだと思うけど。

 

「八木さん。八木さんだったらどうやって攻略する?」

 

 おっと。

 なんか私にまで意見を求めてきたぞ。

 聞かれたなら答えてあげるけども。

 

「そうだねー。普通に拳で砕くか、ダークネス・スマッシュで打ち消すか。翼で避けるのも良いし、わざと食らって中から氷を粉砕してこんにちはっていうのもアリかな」

「なるほど」

「いや、なるほどじゃないよ!?」

「もっと凄い相手がここにいたな……」

 

 麗日少女と飯田少年が戦慄の眼差しで私を見つめてくる。

 そんな化物を見るような目で見るのは失礼だぞ!

 まあ、あながち間違ってないんだけどな!!

 

「あ! 次の試合って魔美ちゃんでしょ! 控え室行かなくて良いの?」

「たしかに! 早く行った方が良い! 雄英生足る者、十分前行動が基本だぞ八木くん!」

 

 麗日少女と飯田少年が今思い出したって感じで言った。

 轟少年の試合のインパクトのせいで忘れててたみたいだ。

 ちなみに、緑谷少年は見向きもせずにブツブツと何か言いながらノートに色々と書き込んでる。

 

「轟少年が出した氷の撤去に時間かかりそうだから、そんなに急ぐ必要はないんだけど……。まあ、今回は早めに行動しとくか。じゃあ行ってくるぜ三人共」

「うん! 頑張って!」

「油断しては駄目だぞ、八木くん!!」

「あ……! 八木さん! ちょっと待って!」

 

 ん?

 緑谷少年がブツブツを止めて呼び止めてきた。

 なんだろ?

 

 そして、緑谷少年はそのまま立ち上がって拳をこっちに向けて突き出してきた。

 

「準決勝で会おう!!」

 

 ……ハハッ!

 なるほど、そう言えばさっき私も言ったな。

 当たって砕けなかったら準決勝で会おうぜって。

 

 私は緑谷少年の拳に同じく拳をぶつけて宣言した。

 

「わかった! 準決勝で会おうぜ!」

 

 これ凄く青春っぽいなぁー。

 これで決勝で会おうぜだったら、シチュエーションとして最高なのに。

 

 そんな事を思いながら、私は控え室に行く為に客席を立った。

 

 

 

 

 

『氷の撤去に地味に時間がかかっちまったが、気を取り直して次行ってみよう!! 続いての対戦はこいつらだ!!』

 

 そして、控え室で待ってる間に、あっという間に試合時間がやって来た。

 私の対面には対戦相手の塩崎少女。

 かなり緊張してるというか、警戒してる。

 

『ここまでの成績が圧倒的過ぎる!! ちまたじゃヘドロ事件の英雄としてちょっと有名な最強少女!! ヒーロー科! 八木魔美子!!

 

 (バーサス)!!

 

 B組からの刺客!! 綺麗なアレにはトゲがある!? ヒーロー科! 塩崎(しおざき)(いばら)!!』

 

 塩崎少女の表情がピクッと動いた。

 その目線が上の方に、マイク先生のいる辺りに向けられる。

 なんだろ?

 今の紹介文が気に入らなかったのかな?

 

『さあさあ今回もド派手なバトルを……』

「あの……。申し立て失礼します」

 

 塩崎少女がマイク先生の言葉を遮った。

 やっぱり気に入らなかったのかね?

 

「わたくしはただ勝利をめざしてここまで来ただけであり、対戦相手を殺める為に来たのではありません」

『ご、ごめん……』

 

 あー。

 言われてみれば刺客って殺し屋っぽいイメージがあるな。

 何回か差し向けられたから良くわかるわ。

 

「そもそもわたくしが雄英校の進学を希望したのは、決して邪な考えではなく、多くの人々を救済したいと考えたからであり……」

『だから、ごめんてば!! 俺が悪かったから!!』

「わかって頂けて感謝いたします……!」

 

 何この子?

 聖母?

 私と大違いなんですけど。

 

 私が雄英に入った理由って、暴力許可証(ヒーロー資格)が欲しかったのと、パパがいる職場に大義名分を持って入りたかったっていう、邪な理由しかないよ。

 なんか、ごめんね……。

 

『とにかくスタート!!!』

 

 そんな感じで、清々しいくらい私と正反対な塩崎少女との試合が始まった。

 

 じゃあ、まずは小手調べ。

 この一撃で沈んでくれるなよ!

 

「ダークネス・スマッシュ!!」

 

『八木!! いきなりの速攻!! ていうかこの攻撃、轟の大氷結並みにデカイぞ!!?』

 

 私のダークネス・スマッシュは闇の塊っぽい何かで出来ている。

 そして闇の密度を高めれば威力も高くなり、密度を薄くすれば威力も下がる。

 重さみたいなものかな。

 自分でも良くわかってないけど。

 

 で、今回撃ったのはかなり密度の薄い闇。

 さすがにヴィランでもない相手に対して殺しちゃうような攻撃は撃てないよ。

 マイク先生も言ってたしね。

 命に関わるようなのはクソだぜって。

 

 それにこれだけ密度が薄いと霧散させるのも簡単。

 客席に届く前に私の意思で消せる。

 使い魔を消す時の感覚に似てるかな。

 でも、今回の相手はその使い魔を退けた少女。

 この程度で終わるとは思ってない。

 終わっちゃったら興醒めだけど。

 

 その心配は無用だったようで、私の足元から塩崎少女の個性であるツルが伸びてきた。

 地中を伝わせて攻撃するつもりらしい。

 私はそれを飛び上がって回避し、即座に上着を脱ぎ捨てて翼を出した。

 

 直後、私の元いた場所が大量のツルに侵食された。

 

『塩崎生きてたー!!! あの大規模攻撃をツルを盾にして凌ぎきったぜー!!! おもしろくなってきやがった!!!』

 

 塩崎少女の方を見れば、なんかツルの塊みたいな物が見えた。

 本人はあの後ろか。

 あのツルの塊を盾にして私のダークネス・スマッシュを防ぎきった訳ね。

 あの分なら、もう少し強く撃っても良かったかもしれない。

 

 さて、遠距離の次は近距離戦といきますか!

 

 私は翼をはためかせ、塩崎少女に向けて飛翔した。

 それを阻止するように四方八方の地面からツルが伸びてくる。

 それがそれぞれ鞭のようにしなって私を狙う。

 なるほど。

 強力で良い個性だ!

 

 しかし!

 

「パワーが足りん!! 悪魔の右腕! デビル・スマッシュ!!!」

 

 悪魔の一撃で風圧を起こす。

 拳による攻撃の余波である風圧なら直撃しない限り相手を殺す事はないからね。

 存分にぶっぱなせる。

 

『おおっとォ!! 八木! 拳の一振りで塩崎のツルを全部吹っ飛ばした!!! チートすぎだろ!!!』

 

「くっ……!」

 

 今の一撃でツルの盾まで崩壊し、塩崎少女を守る物は何もなくなった。

 私は上空に向けて飛ぶ。

 

「悪魔の右脚!」

 

 そして急降下しながら体を縦に回転させ、個性を解放した右脚でかかと落としを食らわせる。

 これぞ私の必殺技の一つ!

 

「ギロチン・スマッシュ!!!」

 

 直撃はしないように落下地点をずらしたけど、それでも単純な火力においてはデビル・スマッシュをも超える一撃!

 ギロチン・スマッシュが命中した地面は大きく陥没し、巨大なクレーターとなった。

 ステージ?

 クレーターの中に消えて行ったよ。

 

『ステージが消滅したァアアアア!!!? どんな馬鹿力だよ!!? もうあいつだけ世界観が違う気がする!!!』

 

 ステージが消えた以上、このまま落下して地面に足がつけば問答無用で場外だ。

 そして、空を飛ぶ能力を持たない塩崎少女に、その未来を回避する事はできない。

 

 だが、それでも塩崎少女は諦めなかった。

 

 塩崎少女の頭から伸びたツルが空中の私に向かってくる。

 あれで私の飛行を封じて、自分よりも先に地面に落とす算段か。

 最後まで諦めないその姿勢は立派だ。

 天晴れ!!

 

 だからこそ、敬意を表して私の手でトドメを刺してやろう。

 

「ダークネス・スマッシュ!!!」

 

 闇の破壊光線が無数のツルごと塩崎少女を包み込む。

 そして、そのまま地面に叩きつけた。

 塩崎少女は気絶しているのかピクリともしない。

 でも、加減はしたから死んではいない筈だ。

 

「塩崎さん戦闘不能!」

 

 それに、動けたとしてもどのみち場外。

 私の勝ちだ。

 

 良い勝負だったよ。

 塩崎少女。

 

「八木さん! 二回戦進出!!」

 

 こうして私は勝利した。

 宣言通り本気で、一切手を抜かずに、圧倒的な勝利を収めたのだった。

 




塩崎さんお疲れ様でした。
いや、ホント、マジで……。
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