小悪魔系美少女ヒーロー候補生、チャーミーデビル見参!!   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

49 / 64
長くなった……。


昔話と因縁の話

「ハイ! 私が来た! ってな感じでやっていく訳だけどもね。ハイ、ヒーロー基礎学ね! 久しぶりだ少年少女! 元気か!?」

 

「ヌルっと入ったな」

「久々なのにな」

「パターンが尽きたのかしら」

 

「尽きてないぞ! 無尽蔵だっつーの!」

 

 そんな茶番から入りつつ、今日も新米教師パパの授業が始まった。

 

「ゴホンッ! 職場体験直後って事で今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!!」

 

 救助訓練かぁ。

 苦手な分野だ。

 でも、レースなら私の独壇場になりそう。

 

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

「あそこは災害時の訓練になるからな。私は何て言ったかな? そうレース!!」

 

 そうしてパパは今回の授業の説明を始めた。

 

「ここは運動場γ(ガンマ)! 複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯! 5人4組に分かれて一組ずつ訓練を行う! 私がどこかで救難信号を出したら街外から一斉スタート! 誰が一番に私を助けに来てくれるかの競争だ!」

 

 やっぱりこれ私に有利過ぎるね。

 翼使って上空から行けば迷路のような細道とか関係ないもん。

 それはそれとして、パパがカンペを使わずに授業してる姿を見ると何か成長が感じられて感動するわ。

 

「じゃあ初めの組は位置について!」

 

 早速第一レースが始まる。

 参加者は緑谷少年、尾白少年、飯田少年、芦戸少女、瀬呂少年の5人。

 他のクラスメイト諸君の間でトップ予想が始まった。

 

「俺、瀬呂が一位!」

「あー。うんでも尾白もあるぜ」

「オイラは芦戸! あいつ運動神経すげぇぞ!」

「デクが最下位」

「怪我のハンデあっても飯田くんな気がするなぁ。魔美ちゃんはどう思う?」

 

 麗日少女が私にも意見を求めてきた。

 いや、これはどっちかというと雑談に近いか?

 まあ、どっちでもいいけど。

 

「そうだなー。ミスさえしなければ緑谷少年が勝つと思う」

「え!? 意外だ……」

「職場体験で色々と成長したからねー」

 

『スタート!!!』

 

 そしてレーススタート。

 先行したのは瀬呂少年。

 あの子の個性は滞空性能が高い。

 さっき私が考えた翼で無双計画に近い事できるんだからそりゃ有利だ。

 

 しかし、その瀬呂少年よりも緑谷少年が前に出た。

 

「おおお緑谷!? 何だその動きィ!?」

 

 緑谷少年は建物の上をピョンピョンと跳ね回って猛スピードでコースを駆け抜けて行った。

 見たとこフルカウルは安定してるっぽい。

 やっぱりワン・フォー・オール、というよりシンプルな増強系はシンプル故に色んなとこで応用の利く強個性って事だね。

 

「凄い……! ピョンピョン……。何かまるで……」

 

 麗日少女が感心したように緑谷少年を見ていた。

 まるでの先はわかる。

 あの跳ね回るような動きは爆豪少年に似てる。

 あとはおじいちゃんにも似てる。

 身近な二人を参考にしたんだと思う。

 

 だがしかし、レースの途中で緑谷少年は足元を踏み外して落っこちた。

 その隙に他の参加者諸君に抜かれて行き、結局トップは瀬呂少年のものに。

 まだまだ要練習だね。

 

 続いての組は私の番。

 当たり前のように翼で無双して真っ先にパパの所へたどり着いた。

 勝利の証として「助けてくれてありがとう」と書かれたたすきを肩にかけられた。

 非常にダサイ。

 

「魔美ちゃん。この授業が終わったら私の元に来なさい」

 

 ダサイたすきに気分を害していたら、パパがそんな事を言ってきた。

 随分と真剣な顔だ。

 これはもしや保須の一件のお説教が遅れて来たか。

 だとしたら正座の準備が必要だ。

 

「君にも話しておかなければならない。……ワン・フォー・オールとオール・フォー・ワンの話だ」

 

 オール・フォー・ワン。

 その名前を聞いた瞬間、私の中でスイッチが切り替わるような感覚がした。

 私にとってもパパやおじいちゃんにとっても因縁の相手。

 六年前。パパの身体に風穴を空けて殺しかけたクソ野郎。

 個性の副作用による興奮を伴った破壊衝動とは真逆の感覚、どこまでも冷たい殺意が私の中に満ちるのを感じた。

 

「わかった」

 

 私はただ静かにパパに返事をした。

 

 その後、他の参加者諸君がすぐに到着して私の出番は終わった。

 更に他のレースも順次行われて行き、とてもスムーズに授業は終わった。

 

 

 

 私はコスチュームからさっさと制服に着替えてパパの待つ部屋へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

「あ! 八木さん! 八木さんもオールマイトに呼ばれたの?」

「緑谷少年、君もか」

 

 パパの待つ仮眠室に行ったら、扉の前に緑谷少年がいた。

 緑谷少年も呼んだって事はついにあの話(・・・)をする時が来たって事かね?

 いや、断定するにはまだ早い。

 真意はパパの話を聞けばわかる事だ。

 

 扉を開けて部屋の中に入る。

 そこにはいつもとは雰囲気の違うパパがいた。

 めちゃくちゃ真面目な雰囲気だ。

 あいつの話をするんだから当然だけど。

 

「掛けたまえ。二人共」

 

 パパに促されて対面の椅子に座る。

 緑谷少年はパパの雰囲気に気圧されたのかめっちゃ緊張してる。

  

「まずは保須の話だ。色々大変だったな。そばにいてやれずすまなかった」

「そんな……! オールマイトが謝る事では……!」

「緑谷少年の言う通りだよ。そんな事を言ってもナンセンスなだけ。それより早く本題に入ろう」

 

 私は珍しくパパを急かした。

 それくらい今回の話は重要な事だと思うから。

 

「そうだね……。では本題に入ろう。緑谷少年、君ヒーロー殺しに血を舐められたと聞いたよ」

「? あ、はい。血を取り入れて体の自由を奪う個性で。それが何か?」

「力を渡した時に言った事、覚えているかい?」

 

 力を渡した時。

 雄英一般入試の朝の事だったね。

 確かあの時は……

 

「食え」

「あー。そうそう。そんな感じだったわ」

「違う。そこじゃない」

 

 緑谷少年がモノマネっぽく当時のパパを再現したけど、そこじゃないらしい。

 となるとアレか。

 

「DNAを取り込めれば何でも良いと言った筈だ」

 

 うん。

 確かに言ってたね。

 

「え……! じゃあまさかヒーロー殺しにワン・フォー・オールが……!?」

「いや、ないよ。君ならそれを憂慮してるかと思ったが……そう、忘れてたのね」

 

 忘れてたっぽいね。

 まあ、私はそんな簡単な事で個性の譲渡が成立するとは思ってないから、そこは心配してなかったけど。

 

「ワン・フォー・オールは持ち主が渡したいと思った相手にしか譲渡されないんだ。無理矢理奪われる事はない。無理矢理渡す事はできるがね。……特別な個性なのさ。そう。その成り立ちもね」

 

 そうしてパパは語り始めた。

 ワン・フォー・オールの話を。

 私が断片的にしか知らなかった事を。

 

「ワン・フォー・オールは元々ある一つの個性から派生したものだ。『オール・フォー・ワン』他者から個性を奪い己がものとし、そしてソレを他者に与える事のできる個性だ」

「オール……皆は一人の為……?」

 

 不愉快な名前が出た。

 私とは切っても切れない因縁を持つ最悪のヴィランの名前だ。

 私、あいつ嫌い。

 

「これは超常黎明期。社会がまだ変化に対応しきれていない頃の話になる。

 かつて、個性という超常の力の発現によって突如として人間という規格が崩れ去った。たったそれだけで法は意味を失い、文明が歩みを止めた。まさに『荒廃』」

「聞いた事あります……。『超常が起きなければ今頃人類は恒星間旅行を楽しんでただろう』って昔の偉い人も言ってます」

 

 それは私も聞いた事ある。

 結構色んな本に書いてある有名な話だから、むしろ知らない人の方が少ないかも。

 

「そう。そんな混沌の時代にあって一早く人々をまとめ上げた人物がいた。彼は人々から個性を奪い、圧倒的な力によってその勢力を広げていった。計画的に人を動かし、思うままに悪行を積んでいった彼は瞬く間に『悪の支配者』として日本に君臨した。……君達も聞いた事はある筈だ。特に魔美ちゃんには前にも話したしね」

「うん。聞いたね」

 

 私の生い立ちに関係する話だったから今と同じようにかなり真剣な雰囲気で話された記憶がある。

 

「ネットとかでは噂話をよく見ますけど……創作だと思ってました。教科書にも載ってないですし……」

裏稼業(ヤクザ)の所業を教科書には載せんだろうよ。力を持っていると人は使う場を求めるから」

 

 それは私にも当てはまる。

 私は個性を使える場がなければ生きていけないから。

 もっとも、私の場合は破壊衝動という差し迫った問題のせいな訳だけど。

 それを差し引いても個性を使えないのが窮屈だと思う事はある。

 ヘドロの時とか。

 

「……その話がワン・フォー・オールにどう繋がってくるんですか?」

「オール・フォー・ワンは与える個性でもあると言ったろ。彼は与える事で信頼、あるいは屈服させていったんだ」

 

 あとは優秀な手駒を作るのにも使ってたって聞いたね。

 あいつの手下もまた複数の個性を持った猛者が何人もいた。

 私が出会った数は少ないけど、どいつもこいつも強かったっけ。

 ほぼ全員ミンチになったけどな!

 

「ただ……。与えられた人の中にはその負荷に耐えきれず、脳に重大な欠陥を抱えてしまったり、物言わぬ人形のようになってしまう者も多かったそうだ。……ちょうど脳無のようにね」

「……!」

 

 話が見えてきたな。

 脳無なんて奴が新しく出てきたって事はあいつはまだ……。

 いや、今はワン・フォー・オールの話が先だ。

 

「一方、与えられた事で個性が変異し混ざり合うというケースもあったそうだ」

 

 それも知ってる。

 確証はないけど私の個性も多分そうやって生まれたんだろうって言われた事がある。

 そして、その推測は多分当たってる。

 オール・フォー・ワンの被害者と私には類似点が多すぎるし、なにより当の本人から狙われてたんだから無関係なんてことはあり得ないでしょう。

 

「……彼には無個性の弟がいた。弟は体も小さくひ弱だったが正義感の強い男だった。兄の所業に心を痛め、抗い続ける男だった。

 そんな弟に彼は『力をストックする』という個性を無理矢理与えた。それが優しさ故かはたまた屈服させる為かは今となってはわからないがね」

 

 ここら辺は私が知らなかった話だ。

 って事はこれがワン・フォー・オールの……

 

「まさか……!」

「うん。無個性と思われていた彼にも一応は宿っていたのさ。自身も周りも気づきようのない『個性を与えるだけ』という意味のない個性が」

 

 

 

「力をストックする個性と与える個性が混ざり合った! これがワン・フォー・オールのオリジンさ」

「……!!」

 

 

 

 なるほどなぁ。

 私の個性と似た成り立ち。

 パパが私を引き取って育てた理由の一端がわかったような気がする。

 私とワン・フォー・オールの成り立ちを重ねてたのかもね。

 ……パパのお人好しが九割だとも思うけど。

 

「皮肉な話さ。正義はいつも悪より生まれ出ずる」

 

 そう言ってパパはチラリと私を見た。

 ……確かに私は悪から生み出されたけど、別に正義ではないんだけどなぁ。

 いや、ヒーロー目指すなら一応は正義か。

 

「ちょ、待っ、その……成り立ちはよくわかったんですけど、そんな大昔の悪人の話……。なんで今それが……」

「個性を奪える人間だぜ。何でもアリさ。『成長を止める』個性、そういう類いを奪い取ったんだろう」

 

 実際、六年前までは確実に生きてたんだからその可能性が大だよね。

 

「半永久的に生き続けるであろう悪の象徴。覆しようのない戦力差と当時の社会情勢。敗北を喫した弟は後世に託す事にしたんだ。今は敵わずとも少しずつその力を培って、いつか奴を止めうる力となってくれと」

 

 それがパパとあいつの因縁か。

 なんか思ってたより壮大な話だったなぁ。

 パパはあいつに師匠を殺されたっていう因縁は知ってたけど、まさかそんな大昔から続く話だったとはね。

 

「そして私の代で遂に奴を討ち取った!! 筈だったのだが、奴は生き延びヴィラン連合のブレーンとして再び動き出している」

 

 やっぱりそういう話か。

 あの怪我でまだ生きてたんだあいつ。

 しぶとい。

 まるでゴキブリのようだ。

 そのまま死んでおけばよかったのに。

 

「ワン・フォー・オールは言わばオール・フォー・ワンを倒す為受け継がれた力! 君はいつか奴と、巨悪と対決しなければならない……かもしれん。酷な話になるが……」

 

 パパは苦しそうにそう言った。

 あれの強さを知ってる身としては、そんな大役をこのまだまだか弱い少年に背負わせるというのがどれだけの無茶振りなのかよくわかる。

 何せ前回は私とパパによる二連戦でギリギリぶっ殺せたってレベルの化物なんだから。

 

 でも、

 

「頑張ります……!!」

 

 緑谷少年は怯えながらも力強くそう言った。

 

「オールマイトの頼み……何が何でも応えます! あなたがいてくれれば僕は何でもできる……できそうな感じですから!!」

 

 ……へぇ。

 頼もしいじゃないか緑谷少年。

 君には期待してるよ。

 いずれパパをも超えるヒーローになってくれる事を。

 

 それに、パパは大事な事を言い忘れてる。

 

「パパ。私もいるって事も忘れないで。私だってあいつとは因縁があるんだから。次に戦う時は今度こそ完膚なきまでに叩き潰してやるからさ」

「因縁……?」

「魔美ちゃん……」

 

 緑谷少年が不思議そうな顔で私を見る。

 パパはより一層苦々しい顔で私を見た。

 私があいつとの因縁を緑谷少年に話そうとしてるのを察したらしい。

 それを快く思ってない顔だ。

 

「ここまで話したんだから私の事も伝えておくべきでしょ。緑谷少年がパパの後継者ならいずれは話さなきゃいけない事なんだし」

「…………」

「あの、オールマイト……?」

 

 緑谷少年が黙りこんだパパを不安そうな顔で見つめる。

 その雰囲気から明るい話題じゃないと理解したらしい。

 

「パパ。大丈夫。まだ全部は話さないからさ」

「……………………わかった」

 

 耳元で囁いた私の妥協案を聞いて、パパは長い沈黙の末に覚悟を決めたような顔になった。

 そして口を開いた。

 

「緑谷少年。さっき正義はいつも悪より生まれ出ずると言ったね。あれはワン・フォー・オールだけの話ではない。魔美ちゃんの個性もまた同じなんだ」

「え……!? それって……!? どういう……!?」

 

「言葉通りの意味だよ緑谷少年。私の個性はオール・フォー・ワンに与えられたもの。私は昔あいつの実験体だったって話さ」

 

 私が言い放った言葉に緑谷少年は絶句した。

 私はそれを無視して話を進める。

 

「君は私の個性が強すぎると思った事はないかい? できる事があまりにも多すぎると思った事は?」

「それは……」

 

 あるっぽいな。

 顔に出てるぞ。

 

「私の個性はオール・フォー・ワンに与えられた。それはもう10年以上前の事だし、そんな昔の記憶なんてほとんどないけどね。でもそこから逃げ出してパパに保護された後もあいつは執拗に私を狙って手下を差し向けて来た。私にもあいつとの因縁があるんだよ」

「そんな事が……!!」

 

 緑谷少年に私の秘密の一端を話した。

 でも、私がパパに保護された経緯。

 11年前の事件についてはまだ話さない。

 緑谷少年は今までの話だけですでに容量オーバー寸前だろうし、これ以上一気に話しても呑み込めないだろうから。

 それにこの話はまだまだ弱っちい緑谷少年に話したところで更なるプレッシャーになるだけだと思うしね。

 

 そして私自身もあんまり話したくない。

 覚えてない事とはいえ、あれは私史上最大の黒歴史なんだ。

 できる事なら話したくはない。

 話すにしてももう少し先だ。

 

「だからちょっとは安心していいぞ緑谷少年。もし君があいつと戦う時がくるならその時は多分私も一緒だ。勝算はあるって」

「八木さん……! うん! ありがとう!」

 

 緑谷少年がちょっと安心した顔になった。

 人間一人じゃないと思えれば気が楽になるっていうけど、あれは本当の事みたいだ。

 それに緑谷少年は私の強さを知ってるからね。

 単純に強い味方ができて安心しただけか。

 

 そんな私達をパパはちょっと複雑そうな顔で見つめていた。

 倒し損ねた強敵の相手を私達がする事になるかもしれない。

 それを心配してるのか何なのか。

 

 

 

 そうしてパパとの話し合いは終わり、私はあいつがまだ生きているという情報を手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

 来るなら来てみろオール・フォー・ワン。

 今度こそこの手でぶっ殺してやるよ。

 

 

 

 

 

 私は未だ闇の中に潜む因縁の敵の姿を思い浮かべながら、敵意と戦意、そして殺意を高めていった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──オール・フォー・ワン視点

 

 

 

「ヒーロー殺し……。まさかあの子と出くわすとは思わなかった。なんとも運の悪い男だ」

 

 だが、事態は概ね想定通りに進んでいる。

 何も問題はない。

 

「暴れたい奴、共感した奴、様々な人間が衝動を解放する場としてヴィラン連合を求める。死柄木弔はそんな奴らを統括しなければならない立場となる」

「できるかね、あの子供に。ワシは先生が前に出た方が事が進むと思うが……」

「ハハ。では早く体を治してくれよドクター」

 

 ドクターが苦言を呈してくるが、僕は一笑に付した。

 

「超再生を再び手に入れるのがあと5年早ければなぁ……。あるいは11年前に失ってさえいなければ……。どのみち傷が癒えてからでは意味のない個性だったが」

「今思えばあの子に超再生まで与えてしまったのは失敗だったね。その後の暴走でストックごと全てを吹き飛ばされたのは誤算だった」

 

 あれはその場にいた僕の仲間達や多くのアジト、ストックしてあった大量の個性を失う悲劇だった。

 あの子が暴走する予兆を察知できていれば、そもそも脳への負荷を甘く見ていなければと後悔したものだ。

 今となっては懐かしい。

 

「まあ、いいさ。彼には苦労してもらう。次の僕となる為に」

 

 死柄木弔。

 僕のかわいい教え子。

 

「彼はそう成り得る、歪みを生まれ持った男だよ」

 

 彼はこれから成長する。

 僕の後継者として、次の悪の支配者となる。

 

「今のうちに謳歌するといいさオールマイト。仮初の平和をね」

 

 せいぜい僕から奪っていったあの子と一緒に、残り少ない楽しい時間を過ごす事だ。

 

 

 

 僕は椅子に深く座り込み、そう遠くない未来に想いを馳せた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。