小悪魔系美少女ヒーロー候補生、チャーミーデビル見参!!   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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期末テスト!

 さて。

 悪の支配者が生きているという衝撃の真実を知ったところで、いきなり日常生活が崩壊したりはしない。

 いつも通りの学校生活はまだまだ続いていくのだ。

 

 という訳で、ホームルームの時間である。

 

「えー……。そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが30日間一ヶ月休める道理はない」

 

 高校生が夏休みに休めないとはこれ如何に?

 相澤先生の話を聞いた私は素直にそう思った。

 

「まさか……!!」

 

「夏休み林間合宿やるぞ」

 

「知ってたよ!! やったーー!!!」

 

 クラス中が喜びに沸いた。

 林間合宿かー。

 実に学校っぽいイベントだなー。

 でも具体的に何やるのか今一よくわからないフワッとした感じの行事というのが私の林間合宿に対する認識だ。

 お泊まりって事はわかるんだけど他がわからん。

 何をすればいいの?

 何を楽しめばいいの?

 

「肝試そー!!」

「風呂!!」

「花火」

「風呂!!」

「カレーだな!」

「行水!!」

 

 なるほど。

 そういう感じか。

 というかブドウ頭うるさい。

 

「自然環境ですとまた活動条件が変わってきますわね」

「いかなる環境でも正しい選択を……か。面白い」

「湯浴み!!」

「寝食皆と!! ワクワクしてきたああ!!」

 

 そういう事言われると私もちょっとワクワクしてきた。

 そういえば私ってお泊まりどころか友達の家に遊びに行った事すらなかったっけ。

 なんてセピア色の青春送ってきたんだ私は……。

 よし!

 この機会にとことん楽しむぞ!

 

「ただし。その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は学校で補習地獄だ」

「みんな頑張ろうーぜ!!!」

 

 相澤先生の恐ろしく容赦のない発言にクラスメイト諸君が恐れと共に奮起した。

 私も似たような心境だ。

 相澤先生め……!

 この私をちょっとでも恐れさせるとは……!

 ヒーロー殺し並みの偉業をさらっとやるとかさすがだぜ……!

 

 冗談はさておき、期末テストか。

 赤点を取るつもりは更々ないけど課題によってはちょっとだけ危ないかも。

 連携とか。

 職場体験でおじいちゃんに鍛えてもらったけど、まだまだ酷いって言われちゃったし。

 

 

 

 

 

 そんな一抹の不安を残しながらも時は流れ、六月最終週。

 期末テストまで一週間を切った。

 

「全く勉強してねーーー!!!」

「あっはっはっは」

 

 上鳴少年と芦戸少女が壊れた。

 少年は絶叫を上げ、少女は壊れたレコーダーのようにただ笑い声を上げていた。

 叩いて直そうか?

 いや、止めとこう。

 もっと酷くなりそうだ。

 

「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねーーー!!!」

「確かに」

「あっはっはっは」

 

 ふむ。

 見たところ、勉強に関して自信のない面子はそれなりにいるっぽいな。

 あの二人ほど追い詰められてるのは他にはいないけど、ちょっと不安そうな顔してるのが結構いる。

 

「芦戸さん、上鳴くん! が、頑張ろうよ! やっぱ全員で林間合宿行きたいもん! ね!」

「うむ!」

「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」

 

「言葉には気をつけろ!!」

 

 そんな中、学力に自信のあるっぽい三人組が上鳴少年の心を抉っていた。

 頑張れー。

 私は助けてやれん。

 

「お二人とも。座学ならお力添えできるかもしれません」

「ヤオモモーーー!!!」

 

 しかし、捨てる神あれば拾う神あり。

 八百万の女神が勉強できない組に勉強を教えると言い出した。

 当の本人はなんか沈んだ様子だったけど、その発言に引き寄せられた多くのクラスメイト諸君から頼られると嬉しそうにプリプリしだした。

 あのやる気で教えてくれるなら座学で赤点は出ないかもね。

 

 

 

 所変わって食堂。

 お昼の時間だ。

 私はその日の気分によってお弁当にするか食堂で食べるか決めてるのだ。

 パパには毎日お弁当持たせてるけど。

 

「普通科目は授業範囲内からでまだなんとかなるけど……演習試験が内容不透明で怖いね」

「突飛な事はしないと思うがなぁ」

「普通科目はまだなんとかなるんやな……」

 

 麗日少女はなんか微妙な顔してる。

 君も勉強できない派か。

 

「麗日少女は自信がないのか?」

「うん……。勉強はそこまで得意じゃなくて。そう言う魔美ちゃんは?」

「私は問題ないな。中間も一位だったし」

「ほんとに!? 勉強教えてくれない!?」

 

 麗日少女が希望の光でも見つけたような顔で見つめてくるけど。

 だがしかし、残念ながら私が勉強を教える事はできないのだ。

 何故なら。

 

「私は教科書を丸暗記しただけだから教えられないぞ。何がわからないのかがわからないからな」

「典型的な天才発言!? ほんとにいるんだそういう人!?」

 

 いや、本当に私にはできない人の気持ちがわからないからなのだよ。

 教科書が届いたその日の内に一通り読んで暗記したからね。

 それ以外の勉強法など知らん。

 

 がっくりと項垂れた麗日少女を一緒にご飯食べていた蛙吹少女と葉隠少女が慰めていた。

 そして話題は再び不透明な演習試験の事に戻る。

 

「一学期でやった事の総合的内容」

「とだけしか教えてくれないんだもの相澤先生」

「戦闘訓練と救助訓練、あとはほぼ基礎トレだよね」

 

 確かに一学期のヒーロー基礎学ではそれくらいしか習ってないからなぁ。

 連携以外のネックとしては救助訓練がきた場合か。

 でも、あれは興味がないってだけで、連携と違ってできない訳じゃない。

 他人と完全に足並み揃えなきゃいけない連携と違って、救助はとりあえずマニュアル通りにやれば大丈夫な分野だからね。

 それなら使い魔にだってできる。

 

「試験勉強に加えて体力面でも万全に……あイタ!!」

 

 話してる途中の緑谷少年の頭に通行人の肘が激突した。

 衝突事故か。

 

「ああごめん。頭大きいから当たってしまった」

「B組の! えっと……物間くん! よくも!」

 

 現れたのは見覚えのない少年だった。

 B組って事は同じヒーロー科か。

 

「君らヒーロー殺しに遭遇したんだってね」

「!」

「体育祭に続いて注目を浴びる要素ばかり増えていくよねA組って。特にそこのオールマイトJr.って。ただその注目って決して期待値だけじゃなくてトラブルを引き付ける的なものもあるよね」

「!?」

 

 なんか嫌みだなこの少年。

 よく漫画とかで見る三下のチンピラのようだ。

 爆豪少年とは系統の違うチンピラ。

 ぶつけてみたらちょっと面白いかも。

 

「あー怖い! いつか君達が呼ぶトラブルに巻き込まれて僕らにまで被害が及ぶかもしれないなぁ! ああ怖……ふっ!!」

「シャレにならん。飯田の件知らないの?」

 

 そんなチンピラ少年にの首筋に手刀を入れながら現れたのはサイドテールの少女。

 この子には見覚えがある。

 体育祭の時にミッドナイト先生に意見してた少女だ。

 

「ごめんなA組。こいつちょっと心がアレなんだよ」

「拳藤くん!」

 

 心が……。

 それはそうと、この少女の名前は拳藤少女か。

 一応覚えておこう。

 

「あんたらさっき期末の演習試験不透明とか言ってたね。あれ入試ん時みたいな対ロボットの実戦演習らしいよ」

 

 おお!

 それは何というお宝情報!

 そんな情報をただでくれるなんて、拳藤少女は相当な善人と見た!

 ……いや、あのチンピラ少年の言動に対する謝罪もかねてるのかね。

 

「え!? 本当!? 何で知ってるの!?」

「私、先輩に知り合いいるからさ。聞いた。……ちょっとズルだけど」

「ズルじゃないよ! そうだきっと前情報の収集も試験の一環に織り込まれてたんだ。そっか先輩に聞けばよかったんだ。何で気づかなかったんだ」

 

 緑谷少年が例によってブツブツ言い始めた。

 拳藤少女は若干引いている。

 やっぱりその癖、直した方が良いじゃないか?

 

「バカなのかい拳藤……。せっかくの情報アドバンテージを!! ココこそ憎きA組とオールマイトJr.を出し抜くチャンスだったんだ……!!」

「憎くはないっつーの」

 

 チンピラ少年は再び首筋に手刀を打ち込まれ、ズルズルと引き摺られて退場していった。

 結局なんだったんだろうね彼は?

 絡みたかっただけか?

 チンピラか!

 

 

 

 そしてお昼休みが終わり教室に帰還。

 緑谷少年は早速拳藤少女がもたらしてくれたお宝情報をクラスメイト諸君に伝えていた。

 

「んだよ! ロボならラクチンだぜ!! やったあ!!」

 

 上鳴少年と芦戸少女の成績下位コンビが安心したのか、めっちゃ気楽な顔になっていた。

 なんか足元掬われそうな間抜け顔だなー。

 

「お前らは対人だと個性の調節大変そうだからな……」

「ああ! ロボならぶっぱで楽勝だ!!」

「あとは勉強教えてもらって」

「これで林間合宿バッチリだ!!」

 

 そう上手くいくかねぇ?

 ロボ相手ってわかったのは私にとっても朗報なんだけど、なんか嫌な予感というか、落とし穴の一つや二つあるような気がする。

 気は抜かないでおこう。

 

「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ。何がラクチンだアホが」

 

 そう言ったのは爆豪少年だ。

 なんだろう?

 どこか機嫌が悪そうだ。

 

「アホとは何だ!! アホとは!!」

「うるせぇな!! 調整なんか勝手にできるもんだろ!! アホだろ!!」

 

 調整が勝手にできる……だと!?

 貴様天才か!?

 私なんて未だに大怪我させちゃっても良いようなヴィランとか、壊しちゃっても大丈夫なロボ相手じゃないと、悪魔のパンチとか怖くて使えないんだぞ!!

 訓練とかで味方相手に使おうとすると、メガトンハンマーで卵を割るかのような繊細な力加減が要求されるんだ。

 個性発動中は副作用で興奮状態になるから、そんな細かい調整なんて無理!

 だから体育祭でも拳とかの直撃だけは絶対にやらなかったしね。

 

「なあ!? デク!!」

「!」

 

 と、ここで爆豪少年の矛先が緑谷少年に向いた。

 

「個性の使い方。ちょっとわかってきたか知らねえけどよ。てめえはつくづく俺の神経を逆撫でするな!」

 

 緑谷少年が爆豪少年の神経を逆撫で……?

 はて? 何かあったっけ?

 

「あれか……! 前のデクくん爆豪くんみたいな動きになってた」

「あー。確かに」

 

 ああ。そういえば。

 この間の救助レースの事か。

 その後のパパの話のインパクトですっかり忘れてたわ。

 名推理だ麗日少女!

 

「体育祭みてぇなハンパな結果はいらねぇ……!! 次の期末なら個人成績で否が応にも優劣がつく! 完膚なきまでに差ぁつけて、てめぇぶち殺してやる!!」

 

 宣戦布告か。

 にしてもずいぶん殺気立ってるけども。

 

「クソ女……!! てめぇもなぁ!!」

 

 おっと私もか。

 体育祭の時の借りを返すって事かね?

 まあ、戦闘力ならまだまだ私の方が遥かに上だけど、試験の成績勝負っていうなら内容次第では負けもあり得るか。

 それにしたって気合いが入り過ぎだと思うけど。

 

「……久々にガチなバクゴーだ」

「焦燥……? あるいは憎悪……」

 

 他のクラスメイト諸君も普通じゃない爆豪少年の事が気になったらしい。

 でも、まあ、私が気にするでもないか。

 生徒を導くのは教師の仕事。

 私は普通に競ってれば良いや。

 

 

 

 

 

 そして更に時は流れ、演習試験当日。

 

「それじゃあ演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりやみっともねぇヘマはするなよ」

 

 そう宣言したのは相澤先生だけど、この場には相澤先生以外の先生達が沢山いる。

 全部で9……いや、10人か。

 多いな。

 

「さて、諸君なら事前に情報仕入れて何するか薄々わかってるとは思うが……」

「入試みてぇなロボ無双だろ!!」

「花火! カレー! 肝試し!」

 

「残念!! 諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」

 

 相澤先生が首に巻いた捕縛布の中から現れた校長先生の無慈悲な宣告によって、上鳴少年と芦戸少女が笑顔のまま固まってしまった。

 嫌な予感的中だ。

 やっぱりあったか落とし穴。

 気を抜かないで良かった。

 

「校長先生!」

「変更って……」

「それはね、これからは対人戦闘、活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するからさ!」

 

 校長先生は相澤先生の肩から降りながら説明を始めた。

 

「最近はヴィラン活性化の恐れがある。ロボとの戦闘訓練は実戦的じゃないからね。という訳で諸君にはこれから───二人一組のチームアップで、ここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう」

 

 わー……。

 味方との戦闘にチームアップとか。

 露骨に私の苦手な分野がセットできたよ。

 これは私への嫌がらせか?

 それともこれがプルス・ウルトラってやつか?

 良い性格してやがるぜ!

 

「尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度、諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ。まずは轟と八百万がチームで、俺とだ」

 

 轟少年チームの相手は相澤先生か。

 二人とも個性に頼った戦い方するから、個性を消せる相澤先生とは相性悪そうだ。

 

「そして緑谷と爆豪がチーム」

「デ……!?」

「かっ……!?」

 

 わお。

 とんでもない地雷チームが結成されてしまった。

 大丈夫かこれ?

 

「で、相手は……」

 

「私がする! 協力して勝ちに来いよお二人さん!!」

 

 あ。パパだ。

 よりにもよって一番仲が悪いチームに最強の相手をぶつけるとか。

 本当に雄英は良い性格してるな!

 

 そして、それ以外の組も順次発表されていき、組み合わせはこうなった。

 

 

 

 校長VS芦戸、上鳴

 

 13号VS八木、麗日

 

 プレゼントマイクVS口田、耳朗

 

 エクトプラズムVS蛙吹、常闇

 

 ミッドナイトVS瀬呂、峰田

 

 スナイプVS葉隠、障子

 

 セメントスVS切島、青山

 

 パワーローダーVS飯田、尾白

 

 

 

 と、こんな感じになった。

 私のコンビは麗日少女だ。

 

「よろしく魔美ちゃん!」

「よろしく麗日少女。仲の良い君で正直助かったよ」

「え!? 魔美ちゃんがそういう事言うなんて……意外や」

 

 私を何だと思ってるんだ麗日少女。

 しかし、麗日少女と組まされた事ではっきりしたな。

 

 今回、私に出された課題は間違いなく『連携』だ。

 その為に仲の良い麗日少女と組まされた。

 他の面子だと、私が協力するのを諦めて単騎でごり押しする可能性が高いと判断したんだろう。

 正解だよ。

 連携プレーなんて苦行、せめて仲の良い相手とじゃないと耐えられない……!

 それに絶対に私一人で戦った方が強いし。

 

「それぞれステージを用意してある。10組一斉スタートだ。試験の概要については各々の対戦相手から説明される。移動は学内バスだ。時間がもったいない速やかに乗れ。……が、その前に八木」

「? はい?」

 

 なんか相澤先生に名指しで呼ばれた。

 なんだろ?

 

「戦闘力その他諸々を考慮して、お前には特別ルールを適用する。────今回の試験において一切の個性の使用を禁ずる。以上だ」

「………………ウェイ?」

 

 相澤先生から告げられた突然の理不尽な宣告に、私はまるで上鳴少年のようなアホっぽい声を出す事しかできなかった。 

 




期末試験はこうなりました。
原作にない展開だから書くの大変そう……。
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