小悪魔系美少女ヒーロー候補生、チャーミーデビル見参!!   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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期末テスト! パート2

「マジですか……!?」

「マジだ。という訳で解散。各自バスに乗れ」

 

 相澤先生はそれだけ言って非常に迅速な行動でバスに乗り、そのまま行ってしまった。

 抗議する間もなかった……。

 まあ、抗議したところでそう簡単に判決が覆ったとも思えないし、決まってしまったものは仕方ないか。

 確かに私が個性ありきで暴れたら先生達でも止められないしね。

 パパなら何とかなるかもしれないけど、今回は緑谷少年と爆豪少年の指導に行っちゃったし。

 まあ、仕方ないか。

 

 とりあえず、私達もバスに乗って演習場へと向かう。

 乗客が三人しかいないバスはなんか寂しい感じがした。

 

「その……魔美ちゃん大丈夫? 個性禁止で先生と戦うってかなり厳しいと思うんだけど」

 

 麗日少女が心配そうに話しかけてきた。

 頼りにしてた味方の戦力が大幅にダウンしたら不安にもなるか。

 

「まあ、問題ないとまでは言わないけど大丈夫だ。私は個性なしでも並みのプロよりは強い自信がある」

「さすがやわ……。そういえば最初の戦闘訓練の時も個性なしで飯田くんを叩きのめしてたもんね」

 

 あれか。

 懐かしいな。

 そういえばあの時も二人一組のチーム戦だったっけ。

 まあ、あの時は緑谷少年の希望もあって、ほとんど一対一が二組って感じだったけども。

 でも、今回はあの時みたいにはいかないだろうな……。

 

「安心するのはまだ早いぞ麗日少女。私の個性が使えないとなると、今回の相手である13号先生とはかなり相性が悪い。接近戦しかできない奴にとって13号先生の個性は脅威だ」

「あ! 確かに……!」

 

 13号先生の個性は「ブラックホール」。

 USJの時に話を聞いただけだけど、簡単に人を殺せる力というからには相当の吸引力があると思った方がいい。

 接近戦を挑もうとすれば、吸い寄せられて捕獲されるのが関の山だろう。

 

「それに相性が悪いのは私だけじゃないぞ。君の個性だって対人戦では触って浮かせて何もできなくするのが基本戦術だろう? 近づかせてくれないというか、近づいた時には終わりみたいな13号先生の相手はキツいんじゃないか?」

「ホンマや……。どないしよう……」

 

 麗日少女の顔が一気に暗くなった。

 ものの見事に二人揃って相性最悪だもんなぁ。

 私だってちょっと打開策が思いつかないもん。

 個性が使えさせすればごり押しができるのにと思わずにはいられない。

 

「でも、まあ、勝負はやってみなければわからないものだ。相性最悪ってだけで勝ち目のないような戦力差がある訳じゃない。それにルールもまだ明かされてないしね。今から暗くなってても仕方ないぞ麗日少女」

「そ、そうやね! 二人で力を合わせて頑張ろう!」

「当然。やるからには勝つぞ!!」

「おー!!」

 

 そうして麗日少女に気合いを注入してる間に、バスは演習場に到着した。

 ドーム状のフィールドだ。

 入ってみると瓦礫の山とか湖のように巨大な水溜まりとかの壮大な眺めが……

 ……というか、ここUSJだ。

 私達の試験会場ってここだったのか。

 

「さて、それでは今回の試験のルールを説明します」

 

 そして、13号先生の説明が始まった。

 

「まず、制限時間は30分。あなた達の勝利条件は私にこの捕獲証明となるハンドカフスを掛ける事。もしくはどちらか一名がゲートを潜ってこのステージから脱出する事です」

「え……? 逃げてもいいんですか?」

「はい。ただしゲート以外からの脱出はルール違反で失格とします」

 

 ふむ。

 これは想定してたよりも遥かに勝ち目があるな。

 必ずしも戦って勝つ必要がないっていうのが私達の勝率を上げてる。

 でも、何故にそんなルールなのかは謎だ。

 

「今回は極めて実戦に近い状況での試験。僕らをヴィランそのものだと考えて下さい。会敵したと仮定し、そこで戦い勝てるなら良し。それが難しい場合は逃げて応援を呼んだ方が賢明という事です」

「……なるほど」

 

 逃げて応援を呼ぶか。

 それは盲点だった。

 私が個性使って戦う時は基本興奮状態だから逃走なんて頭になかったし、それで勝てちゃってたからね。

 見落としてたわ。

 

「それと、我々教師サイドはハンデとして重りを装着します。その重量は体重の約半分。───ただし、僕も手加減抜きの本気でやります。これを踏まえた上で向かって来て下さい」

 

 なぬ? ハンデとな?

 ああ、いや、そりゃそうか。

 私みたいな例外はともかくとして、麗日少女含めたセミプロですらない学生レベルがプロに挑むんだ。

 普通に考えてハンデの一つもあって然るべきだった。

 

「では説明は以上です。開始地点はステージ中央。そこに向かって下さいね」

 

 そうして13号先生の説明は終わり、私達はステージ中央。前に脳無と戦った所よりも少し奥に向かって歩き始めた。

 その途中で麗日少女と作戦会議を行う。

 

「さて、麗日少女。予想より勝算のある戦いになりそうだけど、どうする?」

「うーん……。それでもやっぱり戦闘は避けるべきじゃないかな? いくらハンデがあっても個性の相性が悪いのは変わらんし」

 

 一理あるね。

 案外、戦ってみれば現状の戦力でも普通に倒せるかもしれないけど、そんな事は実際に戦ってみないとわからないし、賭けになる。

 今回のルールなら、わざわざ賭けに出る必要もないか。

 

「じゃあ、基本はゲート潜って脱出狙いって事で行こうか」

「うん。そうだね。そうなると、どっちかが足止めしてる隙にもう一人が抜けるって作戦が現実的かな?」 

「だね」

 

 そんな感じで私達は作戦を練っていった。

 これは連携ではないけど、ちゃんと協力プレーができてるのは高得点なんじゃないか私?

 あとはちゃんと作戦通りに動けるかだな。

 

 ……それにしても。何だろうかこの奇妙な感覚は?

 麗日少女と話してると妙なデジャヴというか何というかを感じる。

 この作戦がスムーズに決まっていく感じ、どこかで……。

 うーむ……。

 

 あ!

 思い出した!

 

「魔美ちゃん?」

 

 私の様子がちょっとおかしい事に気づいたのか、麗日少女が不思議そうな顔で見つめてくる。

 そんな麗日少女に私は、今ふと思った事を正直に告げてみた。

 

「いや、この話がスムーズに進んでいく感じ、どこかで覚えがあると思ってね。あれだ。最初の戦闘訓練で緑谷少年と話した時と似てるんだ」

「へ? デクくんと?」

「うむ。なんか麗日少女の作戦考える姿が緑谷少年と重なって見えたよ。もしかしたら無意識の内に影響受けたりしてるのかもね」

 

 引っかかってた事が無事に解消できてスッキリした。

 私は軽い足取りで開始地点に向かう。

 

「無意識……影響……デクくんに……?」

 

 しかし、今度は麗日少女の様子がおかしくなってしまった。

 足を止めて何事か考えてる……というより動揺してる?

 なんだ?

 どうした?

 

「それって……!? いやいやいやいや……!?」

 

 今度は急に赤くなった。

 本当にどうした?

 このタイミングで体調を崩したのか?

 

「麗日少女?」

「はっ!? い、いや、何でもない!! 何でもないから!! それより早く行こう!!」

 

 明らかに何でもなくはないように見えるんだが……。

 まあ、本人が何でもないって言うならいいか。

 足取りを見るに体調を崩した訳ではなさそうだしね。

 

 

 麗日少女の突然の奇行には驚いたけど、その後は一応の冷静さを取り戻したらしく、真剣に作戦を話し合って大方の作戦が決まった。

 そして、私達は開始地点にたどり着いた。

 

『皆、位置についたね。それじゃあ今から雄英高一年期末テストを始めるよ!』

 

 どこぞのスピーカーからおばあちゃんことリカバリーガールの声が響き渡る。

 そして、

 

『レディイイ──────ゴォ!!!』

 

 試験が始まった。

 

「よし! 麗日少女! 作戦通りに行くぞ!」

「わかった!!」

 

 まず私達が向かったのは倒壊エリア。

 ゲートから割と近い位置にあるこのエリアで無数の弾丸(・・)を入手。

 それを麗日少女の個性で浮かし、私のパワーでゲート付近目掛けて投げつける。

 投げ終わったら私にも麗日少女の個性をかけてもらい、ゲート目掛けて低空飛行のジャンプ。

 個性が使えないとはいえ、緑谷少年のフルカウルと同等かそれ以上のパワーを誇る私の脚力は、麗日少女の個性によって体重が0となった体を砲弾のような勢いでかっ飛ばした。

 

 そしてタイミングを合わせて麗日少女が個性を解除。

 倒壊エリアから拾ってきた瓦礫の雨が13号先生に降り注ぎ、私はそれを目眩ましにしてゲート目掛けてダッシュした。

 

「そう来ましたか……!」

 

 13号先生が驚愕の声を上げた。

 これぞ! 麗日少女考案の作戦!

 流星群作戦バージョン2だ!!

 

 体育祭の時に爆豪少年に対して使った流星群戦法。

 あの時は爆豪少年の隙を作る為に使った捨て身の技だったけど、それを今回は完全なる目眩ましとして使う。

 そして流星群の中を突き進むのが麗日少女ではなく身体能力に優れた私というのがミソだ。

 

 麗日少女の初期案では流星群の範囲外を大きく迂回してゲートに向かうという作戦だったけど、私ならこの瓦礫の雨を普通に避けながら走れるし、当たっても大したダメージにならない。

 然したるリスクもなく最短距離を走り抜けられる!

 迂回したところで、どうせ13号先生はゲート前に陣取ってるんだから接触は避けられない。

 なら、対応される前に走り抜けるのみ!

 

 クリア一番乗り、もらったぁ!!

 

「そう簡単には行かせませんよ!!」

「うおっ!?」

 

 私の体が13号先生に向かって吸い寄せられる。

 慌てて姿勢を低くし、地面に伏せるような体勢で踏ん張った。

 両手の指と足の爪先を地面に突き立てて耐える。

 予想以上の吸引力だ……!

 気を抜いたら持っていかれそう……!

 

「ふぅー……。危ない危ない。逃がさないぞー!」

 

 そう言いながら13号先生は近づいて来る。

 流星群はどうした!?

 と思ったら、流星群は降り注いだ先から先生の指先の中に消えて行ってる。

 あれがブラックホールか。

 強いな。 

 

 そして、思ったより吸引力が強くて動けない。

 個性使えれば話は別だけど、今のパワーだとちょっとでも力抜いたら引っこ抜かれそうだ。

 そうなったら何かしらの手段で捕縛されるんだろうなー。

 吸い寄せようとしてる以上、吸い寄せた後の事を考えてない訳がない。

 

「僕は戦闘は苦手だけど、捕り物には一家言あるんだ!」

 

 だったら、いっそこっちから飛び込んで殴り倒してやろうか。

 戦闘が苦手っていうならそれで何とかなるかもしれない。

 先生はハンデも付けてる事だし。

 

 でも、その必要もない。

 すでに次の手は打ってある。

 

「あ!?」

 

 13号先生が焦ったような声を出した。

 その視線の先にはゲートのすぐ側に突然降り立った麗日少女の姿が。

 

 そう。

 私達の作戦は片方が足止めしてその隙にもう片方が脱出するというもの。

 麗日少女の流星群で足止めして私が抜けられるならそれで良し。

 それが駄目なら13号先生が私の対処に追われてる間に麗日少女が抜ける。

 最初からそう決めてた。

 だから麗日少女はこのベストなタイミングで現れる事ができたんだ。

 

 13号先生は今、片手を私の対処に、もう片方の手を流星群の対処に使ってるから麗日少女にまでは文字通り手が回らない。

 そのタイミングを見計らって麗日少女は自分を浮かせる負担の大きい必殺技で横から飛んで来た。

 個性の反動で大分酔ってるかもしれないけど、目前の脱出ゲートを潜る事くらいはできる!

 

 おじいちゃんから教わった連携の基礎。

 それは役割分担。

 それぞれが自分に振られた役割を全うできれば、自然と足並みを揃えられる!

 らしい!!

 

「行っけぇ!! 麗日少女!!」

 

 個性の反動でふらつきなからも、麗日少女は必死に走って無駄にかわいい脱出ゲートを潜った。

 よっし! 条件達成!

 私達の勝利だ!

 

「やられましたね」 

 

 13号先生が私への吸引を止めて話しかけてきた。

 数秒後には流星群の吸引も完了。

 本当にベストなタイミングだったぜ。

 ナイス! 麗日少女!

 

「正直、君は正面突破を狙ってくると思っていました。そうでなくとも自分をメインに据えた作戦を取るだろうと……。しかし、結果はチームメイトとちゃんとした連携を取ってのクリア。これは高得点ですよ。お見事でした」

「いやいや、それ程でも」

 

 なんか褒められた。

 やっぱり私への課題は連携だったっぽいな。

 こうなってくると最大の幸運は麗日少女と組めた事だね。

 仲が良くて話が通じやすい相手と組めたのが良かった。

 これがブドウ頭とかと組まされてたらワンマンプレーに走ってた自信があるよ。

 

「今回の結果は麗日少女のおかげですよ。先生の個性とは相性が悪かったけど、あの子との相性は良かった」

「ふふ。そうですね」

 

『報告だよ。条件達成最初のチームは、八木、麗日チーム!』

 

 再びスピーカーからおばあちゃんの声が響いた。

 こんな放送あるんだね。

 私はそれを聞いた後、ステージの外で顔を青くして口元を押さえていた麗日少女を回収し、彼女に肩を貸しながら、13号先生の誘導でおばあちゃんの出張保健所に向かって歩いて行った。

 

 こうして私達の期末試験は終了した。 

 




原作からちょっとでも外れると書くの大変だ……。
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