俺は今、両手両足に拘束具を取り付けられ椅子に座らされている。部屋にはトイレとベッドがあるのがわかるくらいの質素な牢獄に入れられていた。
さながら、重大犯罪者のような体験をしている。いやまあやった内容としては、引けをとらないものなんだが…
あの後俺はヘリから直接この場所に連れて来られた。
場所はアイマスクをヘリの中でつけられていたのでわからないが、目の前には柵があり、その外には看守と思われる人が2名いる。
このことから、どこかの牢獄だと思う。
今回のことは、出来るだけ人に対しての被害がでないようにしたが、流石にあれだけの事態を引き起こしたのだから、死刑もありえるだろう。しかし、本当に風鳴さんたちには申し訳ないことをした。自分の独断とはいえ、彼らが監視役をする事でニ課の所属を許されたようなものだ。今回の件で少なからず迷惑をかけることになると考えれば考えるほど申し訳ない。
だが、俺は俺のとった行動に関しては後悔はしていない。少なからず、俺の行動により世間は、立花の話題から外れ謎の男の話題に移るだろう。そして、政府はその真実を公開することはできない。立花の噂とは違い、俺に関しては、国民に国家機密を公開するわけにはいかないだろう。
だから、現状政府が取れる手段はそう多くないはずだ。
なんにせよ、何日もこのままというわけには行かなくなるだろう。国民の不満が爆発するだろうし、何の説明もしないわけにはいかないだろう。
まぁ、後数日で俺の命運が決まるというわけだ。
どう転んでも、バッドエンドなのはほとんど決まっているようなものなので、最後の平穏な日々をこの質素な牢獄で過ごすことにしよう。
そんなことを考えながら目を閉じた。
数日後
ガチャンと牢の扉が開く。
柵が開き2人の女性が中に入って来た。
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数週間前
ーside天羽ー
ベッドの上で全身に包帯をぐるぐる巻きにされている。
はたから見れば、ミイラ男のようだ。いや、男じゃないからミイラ女ってとこか。
そんな冗談は置いておいて私は、コンサート会場での絶唱のバックファイアを受けて全身がボロボロだったらしく、後一歩病院に搬送されるのが遅ければ命はなかったそうだ。とニ課のみんなに怒られてしまった。特に弦十郎のだんなにはキツく怒られた。簡単に死のうとするなってな。
それに話によると、あの時私が守っていた少年が助けてくれたらしい。
あたしが倒れた後その少年が呪具と契約し、私を助け、翼と一緒にノイズを殲滅したとのことだ。
「まったく、守る側のあたしが逆に守られちまうなんてな、情けない話だぜ。まだ、お礼も言ってないことだし怪我を治したら会いに行くかね」
ダンナの話によると少年の名前は比企谷八幡っていうことと、ニ課に正式に配属されることが決まったことくらいしか聞いてないしな。あとで部屋の場所を聞いておくかな。
今は一刻も早く体を治すために、あたしはそのままベッドの上で眠ることにした。
それから、数日あたしはリハビリと治療により、日常的な生活を送ることになるまでに回復していた。あたしを診た医者も余りの回復の速さに驚いていた。かくいうあたしもこの回復力には疑問を抱いていた。医者によれば1ヶ月はまともに動けないと聞いていたのに、それが1週間で治ったとあれば誰であろうと疑問に思うだろう。
まぁ、難しいことは全部ニ課の研究者に任せて、あたしは何も考えずに戦場で槍をふるうだけだ。それに、あたしには家族を殺されたノイズへの復讐しかない。それに、家族を殺されたあの日からあたしの時間は止まったままなのだから…
「うーん、とりあえず少年のところに礼を言いに行こうかそれとも翼に会いに行こうか」
しばらく考えた結果、先に礼を言いに行くのが先だと思ったので、
「少年の方に先に行こう」
よしと意気込んで、まだふらつく足取りでダンナに教えてもらった少年の部屋へと向かうが…
少年の部屋の周りには人がむらがっていた。何やら慌てているような様子だったが緊急事態なのだろうか?
「なんかあったのか?」
と近くの職員に話しかけると
「あぁ、天羽さんか、回復おめでとう。それとこの騒ぎなんだが、この前入って来た比企谷という少年が見つからないらしくてみんなで探しているんだ。」
天羽さんも見つけたら教えてくれと言ってそのまま去って行ってしまった。
「いなくなったねぇ、来たばかりってことはどうせ迷子になってるんだろ」
そのうち見つかるだろうと思い、見つかってから改めて礼を言おうと思い代わりに翼に会いに行くことにした。
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あの後、翼と一緒に会いお互いの無事を喜び終わった後自分の部屋に戻って来たのだが、まだ比企谷が見つからないらしく、先ほどよりも慌ただしくなっていた。
とりあえずダンナに状況の確認をしに行こうと司令室に向かうことにした。
「病み上がりには、ちょっとキツイかな」
そんな愚痴をこぼしつつ、司令室まで向かう。
司令室まで、なんとか辿り着くと、モニターが点いており、ダンナも了子さんも他の職員さんもモニターに釘付けになっており、何が映っているのか気になったあたしも中に入ってモニターを見る。
「なっ!!こいつは…」
そこに映っていたのは、赤黒いガングニールを纏った少年が新宿の街を破壊している光景だった。逃げ惑う人たちに何かを叫んでいるが悲鳴が大きくて上手く聞き取れない。
「ダンナこれはなんだ!!」
すぐに気を取り直して、ダンナに状況の説明を求める。ダンナもあたしの存在にようやく気付いたのかこちらを見る。
「っ!!奏か、俺にも状況がよくわかっていない。彼はこのような行動をとる人物ではなかったはずなのだが…」
ダンナにもよくわからないなら誰がわかるってんだ!…いや、もしかしたら彼の契約した呪具によるものでは…と了子さんを見るが
「残念ながら私の計算によるとこんなに早く彼女に体を奪われることはないわ、だから彼自身の意思で動いているとしか言いようがないの」
「っつ」
申し訳なさそうに謝る了子さん。彼女にもわからないらしい。こうなったら本人に直接聞かなければ答えはわからないらしい。
「俺たちは、今から比企谷君を止めに行ってくる。ここからの脱出など、色々聞きたいことはあるが何より今は市民の命優先だ。」
奏は病み上がりだからギアを纏わせるわけにはいかない留守番だと言い残すと急いで了子さんと出て行ってしまった。
「なんなんだよこいつはよぉ」
今もなお、画面の中で新宿の街を壊し続ける彼は一体何を考えているのかそれがわからなかった。
あたしが助けられたコンサート会場で出会ったのも彼が妹たちからノイズを引き離す囮になったからだった。呪具と契約したのも妹たちを助けるためだったと聞いている。そんな誰かの為に命を賭けれる奴が今モニターの中でしている行為は、本当に同一人物なのか疑いたくなった。
あれから、どうやって自室のベッドに帰って来たかは覚えていないが、今日の疲れか先ほどのショックかはたまた両方のせいか、ベッドに入ったらすぐに意識が沈んで行った。
翌朝、起きると比企谷が捕まったことを聞かされた。
とりあえず途中までになります。早く物語を進めたいけど中々進まないものですね。結構長くなりそうな気がしていますがこれからもよろしくお願いします。