ぼっちのシンフォギア   作:ミネラルいろはす

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1500万ダウンロード、選ばれたのは段蔵でした。
全く関係ないけど手持ちの聖杯が六個で段蔵に全部注ぐか悩み中である


彼女が奏者になった理由

「さて、それじゃあこちらで起こったことを話そうと思う」

 

あの後無事にニ課にたどり着き、そのまま司令室まで案内された。

そして一服したところで司令がこちらで何かあったのかを話してくれるそうだ。

 

ちなみに奏さんは翼さんの病室に了子さんと一緒に向かったため、今いるのは目の前の司令と俺から離れない立花と俺、そして翼さんのマネージャーを務めている緒川さんだ。

 

「どこから話したものか…」

 

どこから話せば良いものかと悩んでいる司令に俺は今一番聞きたいことを告げる。

 

「あの、立花が奏者になった理由というのはなんなんですか?」

 

「ん?…そうか、それじゃあ響くんの経緯から話し始めるとするか」

 

そう言って司令は立花がどうやって奏者になったのかを少しずつ話し始める。

 

「融合症例?融合症例ってなんですか?それに立花は何と…」

 

「きっかけはニ年前のコンサート会場だ。そこで響くんは奏のガングニールの破片が胸に突き刺さり死にかけた。」

 

そこには君もいただろと司令が問いかける。確かなニ年前のあの日、立花は奏さんのガングニールの破片を胸に受けて危険な状態だったが、奇跡的に生き残ったのだ。

 

「そして、その時に受けた奏の破片は今の技術では摘出不能とされ今も彼女の胸に残っている。」

 

「胸に残ってるって、それは問題ないんですか?」

 

「ああ、日常生活を送る上では問題はなかったはずなんだ」

 

問題はなかったはずって、ならなんで立花が今ここにいるのだろうか。彼女には小町たちと三人で平和な暮らしを送って欲しかっただけなのに…

俺は隣で寝ている立花を見る。安心したような眠る立花を見ると彼女の現状が嘘のように思える。

 

司令はだがと話を続ける

 

「先日ノイズがこの近辺に出現してな、その時に彼女は小さい女の子と一緒に逃げていたようなのだが追い詰められたらしく、死ぬのを覚悟したそうだ。するとな…」

 

そこから先はなんとなくわかる、司令の話を遮って確認する。

 

「…胸に歌が思い浮かんできたんですね」

 

「その通りだ。そしてそのあと響くんを二課に連行して検査を行ったところ彼女の胸からガングニールが発見されて、ガングニールとの融合が確認されたというわけだ。」

 

なるほどな俺自身未だ整理できてはいないので推測になるが、立花の死にたくないという願いがガングニールを起動させたというわけか

 

「それでだな響くんにもニ課に協力してくれないかって話をしたんだが、なんて言ったと思う?」

 

立花がニ課に協力する理由?そんなものは俺が知る限りでは思いつかない。だが、昔から一直線だった彼女ならきっと誰かのためにとかそんな理由なのではないだろうか、

 

俺がなかなか答えを見つけられないのを察したのか司令が口を開く。

 

「響くんはな、ニ年前からずっと君を助けられなかったことを後悔していたんだ、だから二度と君みたいな犠牲を出さないために私にできることならお手伝いしますだとさ」

 

「っ!?」

 

会った時から彼女が俺の死について後悔していたのは知っていたがここにいる理由まで俺のせいなのか…

だとしたら俺は死んでも立花の枷になっていたのか…

俺は立花たちの幸せを願ったが立花は今いつ死んでもおかしくない職場にいる、それも俺のせいで…なら俺のやったことは全て無駄だったのか

 

「それは違うよお兄さん」

 

いつのまにか起きていたのか立花がこちらに近づいてくる。

 

「何が違うっていうんだ、俺は…俺は…」

 

「お兄さん、あのね私あの時死んじゃうんじゃないかって思ったんだ。でもさ、お兄さんが助けてくれたんだよね?私はあまり覚えてないけど小町ちゃんが教えてくれたんだ。私はすっごく嬉しかったよ助からないって思ってたのに私も小町ちゃんも生きてたんだもん。でもね…」

 

立花が俺の頭を両腕包んで、抱きしめてくる。

 

「お兄さんが死んだって聞かされた時はすっごく悲しくなったんだよ、司令にお兄さんの遺言を聞かされた時は三人で一日中泣いてたんだよ。だからね、その時決めたんだ私、お兄さんみたいな人が出ないように私にできることを頑張るって」

 

「だけどそれじゃあ…」

 

俺が言おうとしたことを遮って立花は話を続ける。

 

「お兄さんは私たちに危険な目にあって欲しくなかったんだよね。でもねそれは私たちもおんなじなんだよ、私たちもお兄さんに危険な目にあって欲しくなかったの。だから、協力してくれって言われた時はお兄さんみたいな人を出さないために協力することに決めたんだ。それに、司令からお兄さんが生きているってことを聞いた時はすっごく嬉しくて嬉しくて嬉しかったんだ。」

 

「そうか、だが俺はどんな理由があれ、お前たちが傷つくことを許すわけにはいかない、立花に譲れないものがあるように俺にも譲れないものがあるんだ」

 

俺の反論に立花は一瞬驚いた表情をしていたがすぐにもとにもどる。そして次の言葉に俺は呆然としてしまった。

 

「そっか、ならさ私はお兄さんみたいな人が出ないように頑張るからさ、お兄さんは私が傷つかないように守ってよ」

 

「は?」

 

そうすればどっちの意見も通るよとキラキラとした目でこちらを見てくる。

 

へ?いやいや、さっきまでシリアス展開だったのに今じゃ立花のおバカ発言ですっかり空気が変わっている。緒川さんなんてこっちを見ながらなんか生暖かい視線を送ってきてるし、司令に関してはうんうんって頷いてるし、そもそも戦場で怪我をしないように守るとかどこのクソゲーだよ、そんなの通るわけが…

 

「お兄さん、だめ?」

 

うぐっ、それはずるいぞ立花どこでそんな上目遣いなんて高等テクを学んできたんだ、いやしかし、このやり方なんだか見たことある気が………あっわかったぞ小町だな、これは今度会った時にお仕置きだな

 

俺は一度頬を叩き気持ちを入れ替える。

 

……いや俺には今度なんてなかったな、それに立花は戦場を舐めている。誰かを守って戦えるほど俺は強くないし、戦場とは何が起きるかわからないものだ。隣で戦っていた仲間が次の瞬間には死んでいることだってあるんだからな、だからここは…

 

「比企谷君、俺からも頼む。それに響くんはまだ戦場に立たせるわけにはいかないからな、なのでノイズ発生時の避難誘導などでの面での協力を考えている」

 

「私からもお願い、お兄さん」

 

 

「はぁ、わかりました立花のことを認めます、けど絶対にノイズとは戦わせませんからね、何があっても」

 

2人からの熱烈なアプローチを受け結局俺が妥協することになった。

 

「約束しよう、響くんには避難誘導のみをしてもらう、戦闘行為は禁止だ。ノイズと遭遇した場合は、逃げるか応援を求めるんだ、わかったか?」

 

「わかりました司令、逃げるかお兄さんを呼べばいいんですよね」

 

「ああ、もうそれでいい……それで司令ネフシュタンの鎧が見つかったっていうのはどういうことですか」

 

応援がなぜ俺限定なのかはさておき、そろそろ例の鎧についての話を聞いてみる。

先程までの雰囲気とは違い真剣な表情になる司令。

 

「そのことなのだが、先日響くんと翼がネフシュタンの鎧を纏った少女と交戦し、その時翼は絶唱を歌い少女を撤退させることに成功したが、絶唱の反動で今も翼は予断を許せる状況ではない。」

 

概ねのことは聞いていたがやはり驚きを隠せない、あの翼さんが絶唱まで歌ったのに倒しきれないなんて、やはり聖遺物の欠片と完全聖遺物との差は埋めようがないのだろうか。それにしても、ネフシュタンを纏っている少女は何者なのだろうか。司令に今わかっている少女のことを聞いてみるり

 

「司令その少女について何かわかっていることはないんですか?」

 

「それなんだが、彼女については全くわかっていないんだ、それに加えてノイズを操る道具も持っていた。そこから推測するに近頃のノイズ発生の大元の原因は彼女にあると思われる。」

 

目下少女の行方を捜索中らしく、ネフシュタンを纏っていたこととノイズを操る道具を持っていることしかわかっていないらしい。

それにしても、ノイズを操る道具ときたか…

ネフシュタンの鎧だけでも十分な脅威だが、ノイズを操れるとなるとこれから戦う際の被害がますます増える気がする。それに…もしその道具がニ年前も彼女の手にあり、何かの目的で使われていたとするのなら俺は彼女を許すことはできなさそうだ。

 

「これから対策を練ろうと思うのだが、比企谷君たちに関しては帰ってきたばかりだ少し休んでからにしよう」

 

「わかりました、それじゃあ少し部屋で仮眠を取るのでミーティングを始める時間になったら起こしてください」

 

そう言って、部屋を出て自室に向かおうとすると服を引っ張られる

振り向いて確認すると

 

「…立花か、どうしたんだ?」

 

両手で俺の服を引っ張り行かせまいとする立花にどうかしたのかと問いかける

 

「お兄さんまたどっか行っちゃうの?またお兄さんがいなくなったら私…私」

 

涙目でどこにも行かないでと訴えてくる立花、だが、しかし久しぶりの自室のベッドでゆっくり眠りたいと俺の本能が訴えている

 

「ああ〜えっと自分の部屋でちょっと寝てくるだけでどこにも行かねえよ、それか、あれだ、今までの小町たちの近況を聞かせてくれないか?」

 

「うん!わかった!それじゃあ早く行こうお兄さん」

 

結局立花の涙目には抗えず久しぶりのベッドでの睡眠はしばらく後になることが決定した。

ていうか、俺立花に弱すぎやしないか、さっきから何一つ立花に逆らえていない気がする。

 

 

だとすればそれは立花に対する罪悪感からくるものだろうか、それとも…

 

そんなことを考えながら立花に引っ張られていた。

ニ課のみんなが生暖かい視線でこちらを送り出していた。




次回ぐらいにはバァ〜ン‼︎のあの人を出せると思います

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