ぼっちのシンフォギア   作:ミネラルいろはす

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最近寒くなってきましたね。体調管理をしっかりして風邪をひかないようにしましょう。


鎧の少女

「お兄さん!お兄さん!」

 

俺のことを呼びながら立花が俺の肩を揺すってくる。

 

「お、おうなんだ立花」

 

 

「お兄さん私の話聞いてた?眠ってるように見えたけど?」

 

「い、いやちゃんと聞いてたぞ、聞いてないわけないだろ、はははは」

 

「じゃあ、なんの話してたか言える?」

 

マズイマズイ、疲れからか立花を自分の部屋に連れてきてから眠気が襲ってきたのだ。なんとかそれに抗いながら立花の話を聞いていたのだが、少し眠っていたらしい。そのせいで何の話をしていたのかまるで思い出せん。

 

「えっ〜とあれだろあれ、ほら、その、はい…………寝てました」

 

立花の疑いの目線に耐えられなくなり、素直にゲロってしまった。

当の立花といえば俺が聞いていなかったのがお気に召さなかったらしく、可愛らしく頰を膨らませて怒っている。

 

「立花、その、寝ててすまん。立花が良ければもう一度話してくれないか?」

 

「……もう、次は寝ちゃダメだからね」

 

「わかってるって、次寝たらなんでも言うこと聞いてやるよ、俺のできる範囲でだが」

 

すると、先程までの怒った様子から一転して目を爛々と輝かせてこちらを見つめる立花

 

「ほんとに!ほんとのほんとに?なんでも言うことを聞いてくれるの?」

 

「お、おう、ほんとのほんとだ」

 

あまりの立花の豹変ぶりに軽くびびっていた。

これもしかして、とんでもない約束をしてしまったのではと今更ながら後悔していた。

 

眠らないためにエナジードリンクを飲もうと冷蔵庫に向かうと…

 

部屋全体にアラートが鳴り響く、これは…

 

「っ!!お兄さん、この警報は…」

 

pipipipipipipipipi

 

立花が言い終わる前に俺の携帯に電話がかかってくる。俺はすぐさまポケットから携帯を取り出して電話に出る。

 

「比企谷君か!また市内にノイズが現れた今すぐ戻ってきてくれ!!」

 

「わかりました、すぐ立花を連れて戻ります」

 

やはり、この警戒音はノイズ発生の知らせということで、さらに司令の焦り様からして結構な数のノイズが出現した可能性が高いな。

 

俺はすぐさま立花の手を引き自室から司令室へと走っていく、その際立花が何か言っていた様な気がするが今はそんなことを気にしている場合ではないと無視して、一刻も早く司令室へと急いでいた。

 

「お、お、おおお兄さんが、わ、私の手を握ってる///」

 

一方、立花の方はいきなりの出来事に戸惑っていた…

 

「…お兄さんの手大きいなぁ、それにあったかい…えへへ///」

 

…のか?

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「司令‼︎戻りました、現場の状況はどうなっているんですか?」

 

あの後立花を無理やり引っ張ってきた俺は司令室に入るなり、司令に被害状況を確認する。

 

「戻ったか比企谷君、さっそくで悪いがこのまま響くんを連れてノイズの殲滅及び、逃げ遅れた住民の避難に向かってくれ」

 

詳しい状況は車で向かいながら伝えると言われ、またもや立花を引っ張りながら司令に言われた場所へと向かう。

 

 

 

指定された車に立花と一緒に乗り、司令との通信を行う。

司令によると、ノイズは複数箇所に同時に出現したらしく、避難も間に合っていない最悪な状況の様だ。

それに加えて、今戦えるのは俺と奏さんの2人だけである。立花に関しては避難誘導に徹してもらうので戦力に加えない、それに翼さんは重症で今は動けないそうだし、2人で複数箇所はキツイものがあるが、なんとかするしかない。

 

 

…それにしても先ほどから立花が静かすぎるような気がするが、まさかノイズに対して怯えているのだろうか?

 

立花の様子がおかしいので一応確認しておくか

 

「立花、お前大丈夫か、ノイズとの戦いになるのが怖いのか?さっきからお前様子がおかしいぞ」

 

「ふぇ?」

 

ふぇってなに?あれまさか様子がおかしそうだったのは俺の勘違いか?もしかして、また黒歴史増やしちゃったパターンこれ?いいもん、もう八幡お家帰る………って言っても帰る家とかもうないんですけどね、それに気持ち悪いし

 

「い、いえ、全然大丈夫です、立花響いつもより数十倍元気です!!!」

 

「お、おう、それならいいんだが、お前はノイズとの戦闘を極力避けて逃げ遅れた住民の避難に徹してくれわかったな?後、俺の見える範囲からいなくなるなよ助けられなくなる。」

 

立花の変わり様に多少ビビってしまったが、ノイズへの恐怖とかではない様なので、とりあえず今回の立花の役割と注意事項を伝えた。

 

 

 

 

現場に着くと周りにはノイズにやられたのであろう人たちの残骸もとい炭がところどころにある。さらに、目視できるだけで100以上はいるであろうノイズたちを見てみれば、でかいやつから小さいやつ、空を飛んでいるやつなどがいる。

 

まるでノイズの動物園にでもきた様な気分で最悪だ。

それに見物料に命を取られるなんてたまったもんじゃない。

 

「立花は、俺より前には出るな、ノイズと接触することになる。俺より後ろで逃げ遅れた連中の避難誘導をしてくれ、それと散々言ったがノイズとの戦闘はどうしてもって時以外は避けろ、ネフシュタンの鎧が出ても同じだ。俺か奏さんに連絡を入れろそうしたらすぐに助けに行くぞ、奏さんが」

 

「わかりました……ってお兄さんはきてくれないんですか⁉︎」

 

「いや、うん、その…行けたら行くわ」

 

「それ絶対来ない人のセリフですよ‼︎」

 

なんとまあノリのいいツッコミだこと。

だがまぁ、あまりふざけてはいられなさそうだ。

先ほどからノイズたちがこちらに向かって来ている。

さっさと行けと立花に言おうとしたら立花が口を開く

 

「私、お兄さんのこと信じてるんで大丈夫です、立花響行ってきます‼︎」

 

一方的にそう告げて立花は避難誘導へと向かった。

いやまぁ、本気でピンチになったら、助けないことはないが……

 

「そんなことにならない様に、俺がここに立っているんだけどな」

 

俺はポケットから了子さん特製の侵食を抑える薬を飲んで、阿修羅丸を手に取り叫ぶ、俺が纏う鎧の名を

 

その名は……『ガングニール』天羽奏が纏っていたシンフォギアだ。

それを阿修羅丸が取り込み俺用にカスタマイズされたものだ。

 

それに2年という月日を経て、今では刀を胸に刺すモーションをしなくても変身できる様になった。

代わりに侵食も増したが、後悔はしていない。

だって、一々胸に刀を刺すと痛いし、変身時間が長いからノイズにやられるかもしれないだろ?

 

と、バカなことを考えているうちに俺の身体は黒い瘴気を纏った黒いガングニールを身に纏っていた。

そして、右手には黒く光る緑色の刀、阿修羅丸を手にしている。

今ではこんなに簡単にできるが慣れるまでには相当の時間がかかったものだ。あの時の了子さんを思い出すだけで冷や汗が止まらん。

 

そんなことを考えていたせいか、いつのまにか目の前にノイズがいた。それはもう、目と鼻との先ぐらいの距離に

 

「あっぶねぇ」

 

後ろに思いっきり飛び攻撃を躱す、今のは間一髪のところだった。

俺が先ほどまでいた場所にはノイズの鋭い腕が地面にに突き刺さっていた。

そして先ほどまでのことは全て後回しにして今は目の前の敵にだけ集中するとしよう。

 

とりあえず今攻撃してきたノイズを一閃する。

炭となり消えたのを確認してから近くのノイズを斬り伏せて行く。

 

1体、2体、3体…と近くにいるノイズを斬り伏せて行くが、一向に減っている気がしない。むしろ増えているんじゃないかと思うほどだ。

 

『そんな、攻撃じゃあいつまでたっても終わらないよ八幡』

 

そんなことはお前なんかに言われなくてもわかっている。

 

『へぇ〜ならどうするの?』

 

1体ずつ倒して行ってもらちがあかないのなら、一気に削るしかない。

 

俺は阿修羅丸に力を集中する。すると、阿修羅丸は先ほどよりも深く黒く光り始める。そしてそれを目の前のノイズたちめがけて振り下ろす。

 

「纏めて、吹き飛べ‼︎」

 

激しい爆発音とともにノイズたちは吹き飛ばされて行く。それと同時に砂煙が舞う。

 

『うん、正解だけどその程度じゃあ…』

 

徐々に砂煙が晴れてくると、目の前には未だに大量のノイズがこちらに向かって来ていた。

 

そんなことは、阿修羅丸に言われなくてもわかっている。今のだって阿修羅丸を使うために覚えたエネルギー操作の応用でしかない。数十体は倒せても今のように何百体も相手だとただのジリ貧でしかない。

 

それでも、使った理由はこれを使うためだ。

 

「影操」

 

そう言った瞬間阿修羅丸に黒いオーラが纏わりつく。先程とは違う深い深淵のようなオーラは、阿修羅丸を覆うように伸びていき、最終的にはおよそ2メートルくらいの長さになった。

 

そして、それを力任せにノイズ目掛けて振り下ろす。

 

「これで、終わりだ‼︎」

 

次の瞬間にはゴオゥンと先程とは比べようのないほどの轟音と地響きと共にノイズが消えていく。

激しい衝撃のせいで地面には無数の亀裂がはいっている。

目の前を見てみれば先ほどまで数百体いたノイズもかなり減らすことができたようだ。

 

この調子なら後数十分で立花たちの応援に向かうことができそうだな。

残りの残党をパッパッと片付けようとした阿修羅丸を構えたが…

 

カキンカキン

 

何者かの攻撃を阿修羅丸で防いで距離を取る。攻撃して来た方を見ると白い鎧を来て両手にムチを持った少女が立っていた。

 

「おいおい、アタシ様の攻撃を防ぐたぁ中々やるじゃねぇか」

 

こちらを不敵に笑いながら見てくる少女は、痴女だった。

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。次回もいつできるかわかりませんが早いうちに出せるように頑張ります

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