〜コンサートが始まる数時間前〜
会場の控え室に2人の少女と厳つい男が話をしていた。
2人の少女とは、ツヴァイウイングである天羽奏と風鳴翼である。
厳つい男の方は名は風鳴弦十郎、この2人が所属している特異災害対策機動部二課の司令官である。
この特異災害対策機動部二課とは、ノイズが出現した際にノイズを倒し、人的被害を少なくすることを主に活動としている組織だ。
そして、現代の兵器では倒せないノイズを倒す方法を持っている組織でもある。
その兵器の名はシンフォギア、聖遺物の欠片を歌を唄う事により活性化させて、聖遺物の欠片を身にまとう事によりノイズによる炭素化を無効化でき、こちらからの物理的な攻撃を与えることができる。
今現在ノイズに対抗できる唯一の兵器である。
しかし、そのシンフォギアも全員が身に纏えるわけではなく、適合係数を満たせなければ、扱えるものではない。
現在政府が適合者とカテゴライズされているのは、風鳴翼ただ1人である。
もう1人の天羽奏は、薬を打つ事により時限式のギアを纏うことができている。
そして、今日は特異災害対策機動部二課とツヴァイウイングにとってはとても大事な日となっている。
それは、完全聖遺物であるネフシュタンの鎧とある妖刀の実験日であることと、ツヴァイウイングのコンサートであるということだ。
日本政府から寄越された聖遺物のネフシュタンの鎧の起動と妖刀の分析と解析
この2つの実験が行われる。
そして、コンサートの開始時間が迫る。
「じゃあ、弦十郎のだんなそっちも頑張れよ、こっちはすげぇの見せてやるからよ」
そう言ってニコッと笑う奏に対し翼は緊張しているのか余り自信がなさそうだ。
「あぁ、わかった。こちらも君たちのステージに負けないくらいの成果を上げることを期待していたまえ、それではな、奏、翼、気張れよ!」
バシッンと2人の背中に喝を入れ実験場に向かう弦十郎。
その背中に何か言いたそうな翼に奏が背中を叩く
「私たち、2人揃ったツヴァイウイングなら飛べない空はないんだぞ、もっと自信を持てよ翼」
オロオロする翼に続けて奏は、
「ほら、弦十郎のだんな行っちまうぞ、言いたいことがあるなら言っちまえって」
それでも数秒オロオロしていた翼だったが吹っ切れたのか、それとも自信がついたのかは、わからないが、去って行く弦十郎を追いかけた。
「お、叔父様」
翼に呼ばれて振り向く弦十郎
そして、翼が言う
「見ていてください私たちのステージを、今の私たちの全力の歌を、それと、実験頑張ってください」
一瞬驚いた弦十郎だったが、そっちも頑張れよと言って今度こそ去っていた。
〜実験場〜
「了子くんアレが例のネフシュタンの鎧かね」
と風鳴司令が実験室の真ん中に置かれている白い塊を指をさして聞く
「ええ、そうよ、もう一つの妖刀の方はこちらのネフシュタンの鎧の方を優先するから、そこに置いてあるわ」
と了子さんと呼ばれた頭がソフトクリームみたいな髪型をした女性は、すぐそばにあった黒い箱を指差した。
ちなみに、この了子という人、本名は、櫻井了子と言いノイズを倒すことができる兵器シンフォギアを作ったにじゅうかっの『櫻井理論』を書いたひとである。
「なるほど、概ね理解した、それでネフシュタンの起動準備の方は順調かね」
「ええ、順調よ、もうすぐ起動実験を始められるわ」
そして、コンサートが始まるのと同時に実験が開始された。
コンサート終盤
〜コンサート会場〜
会場は未だかつてないほどの盛り上がりをみせていた。彼女たちの一挙一動に観客たちは湧き上がっていた。
まぁ...なにを隠そう俺もその1人なんだがな。
でも、そんなコンサートもいよいよ終盤である。
っていうか、終盤以外は見れてないんですが....
まぁそんなことは置いといて、彼女たちの最後の曲を楽しもうではないか、それに、終わりよければ全て良しって言うしな。
そして、最後の曲は、『逆光のフリューゲル』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、最後の曲が終わった。
その瞬間、会場は盛大な拍手とともに彼女たちの歌を褒め讃えた、
俺と小町と立花はコンサートの余韻が抜けておらず、未だに興奮が止まらなかった。
「小町ちゃん小町ちゃん、すごかったね、奏さんと翼さん2人とも歌も踊りもとっても上手だったね」
そう言って、小町の手をブンブン振り回しながら同意を求める立花に小町も負けずの興奮具合で、
「ほんとほんと、最後の逆光のフリューゲールとかほんとにやばかったよ」
なんて、ライブの感想を言い合っていた。
すると小町が急にこちらを向いた。
「ねぇ、お兄ちゃんどうだったツヴァイウイングの奏さんと翼さんのライブ?
最高だったでしょ」
と言いながら可愛い八重歯を見せながら笑う。
そうだな、たしかに来るまで大変だったし、見れたのも結局終盤のライブだけだったが確かに来てよかったと思う。
アイドルなんかには、余り興味はない俺だがあの2人からは、言葉にできない信頼が見ているこちら側にも伝わって来るほどだった。そうでなければ、あんなに息のあった踊りはできないと思う。
....いや、それでめっちゃ仲悪いとか聞かされたら、もう、俺誰も信じられないうわーん。
いや、それはキモいわ俺がやるとなんか、うん、気持ち悪い。
なんて、馬鹿なことを考えてないでそろそろ最高のステージを見せてくれた小町にお礼を言わないとな
「あぁ、本当に最高だったよありがとう小町」
なんて言うと、満足気な顔でこちらにブイサインを送ってくる。ほんと我が妹ながらあざとい。
ライブは最後しか見られなかったが、楽しめたからよしとするか、それに終わりよければ全て良しだしな。
しかし、
ドゴーーーーーン
と大きな爆発音が聞こえたと思ったら、すぐに各所で
「キャァァァァ誰か助けてノイズが出たわぁぁぁぁ」
ノイズが出現した
爆発音と共に現れたノイズたちは瞬く間に観客たちを炭に変えていった。
あまりの事態にしばらく頭が動かなかったが、すぐにここから逃げないと、と思い。慌てて小町と立花を探す。
「小町、立花早く逃げるぞ、ノイズに触られると炭になっちまうんだからな、早く逃げるぞ!!」
そう言って小町たちに話しかけるが小町たちはある方向見て、こちらには気にも止めていない様子だった。
「小町早く逃げるぞ何やってんだよ」
そう言って2人を会場から連れ出そうと引っ張ると、
小町が俺の服を二回引っ張ってある方向を指す
「お兄ちゃんアレって」
小町が指す方向には、大量のノイズと先程まで歌って踊っていた2人の少女が今度はステージではなく、ノイズと共に戦場で踊っていた。
「な、なんだアレ、ノイズって倒せるものなのか?いや、待てそもそもなんであの2人が戦っているんだ?わけがわからないぞ」
軽いトリップ状態に陥っていると小町が叫んだ
「お兄ちゃん!!後ろにノイズが!!」
そうだったすっかり忘れていた、今はノイズが出てきているんだ考えることよりも逃げることが優先だ
しかし、振り返るとそこには一面のノイズがいた。
これでは3人で逃げても確実に追いつかれる、だが1人が囮りなれば逃げられる可能性はある。
なら、やるしかないだろう
「小町よく聞け立花を連れてすぐに会場の出口に迎え、いいかわかったな」
そう言って小町の肩を強く掴み言い聞かせる。
「え、で、でもお兄ちゃんはどうするの?お兄ちゃんも一緒に逃げようよ!!」
「そ、そうですよお兄さん3人で走ればきっと逃げきれますよ」
そう言って既に泣きそうな小町たちを見て覚悟を決める。
この2人だけは生きて返したいと自分の命で2人を助けられるなら悔いはないと。
「小町ごめんな」
短く告げ反対方向に走り出す、俺の名前を呼ぶ2人の声が聞こえるが振り返ってはダメだ今振り返れば未練が残る。
そして、逃げると言っても、休みの日に外出しない俺に体力はなく、すぐに追い詰められる。
自分の周りのノイズを見て思う。
人間には好かれないのに、こんな化け物には好かれるなんてな、つくづくついてない。
そんな、最後の最後までどうでもいいことを考えながら迫り来るノイズを待つのみとなった。
「小町たち逃げ切れてるといいな」
次の瞬間大量のノイズたちが俺目掛けて飛んでくる
「じゃあな、小町俺がいなくても元気でやれよ」
ズバッ
俺の耳には死ぬ瞬間まで歌が聞こえていた。
ドサッ
ちなみに妖刀は、違う作品のものを設定改変して持ってくるので結構原作改変になります。
それでは、また次回もよろしくお願いします