俺の頭は、パンクしそうだった。
目覚めたら知らない場所で、目が覚めたばかりで混乱している最中に、風鳴翼さんと同じ苗字を名乗る筋肉マッチョの男と頭ソフトクリームな女性がやってきたり、さらには、その男たちは、こちらの名前も知っており、俺のことを阿修羅丸の適合者であるという。
色々聞きたいことはあるが、一番初めに聞いて置かないといけないことがある。
「あ、あの、小町たちは無事ですかね?」
俺の発言に2人は目を見開いて驚いてた。
そんなにこの質問がおかしかったのだろうか?
だが、俺としてはおかしなことを聞いたつもりはない。
俺が覚えているのは風鳴さんを突き飛ばしたところまで、そこから後の記憶がないということは、小町や立花が無事に助かったかどうかがわからないということだ。だから、俺は一番初めに小町たちの安否を確認しておきたかった。
「あ、ああ、君の妹とその友達なら命に別状はないが....」
何故かそこで言い淀む風鳴さん、それに、思いのほか櫻井さんの方も顔色が悪い。命に別状がないのに何故だろうか?
俺は続きが気になり催促する。
「別状はないが...何なんですか?」
2人は顔を見合わせ、しばらく何かを考えるようにしていたが、再度こちらをまっすぐに見つめる。
「君の妹の小町君の方はたいした怪我はなかったのだが、立花君の方は、かなりの怪我だったらしく日常生活を送れるようになるには過酷なリハビリをしなければならないらしい」
風鳴さんは、とても悔しそうにそう告げた。小町に怪我が無かったのは良かったが....
「えっ?で、でも、リハビリをすれば元の生活には戻れるんですよね?」
僅かな望みにかけて聞いてみる。
「それは.....正直に言えば、リハビリでどこまで回復するのかはわからない。
もしかしたら、完全回復するかもしれないが、もしかしたら、ずっと寝たきりかもしれん」
それほどの怪我だったのだと風鳴さんは言う。俺は、唖然としていた、それは小町と小日向と立花の3人で仲良く遊んでいたあの光景がもう二度と見られなくなるかもしれないという喪失感だった。
すると、いきなり櫻井了子と名乗った女性が話に割って入ってきた。
「残念だけど、悪いことはそれだけじゃないのよね、今のあなたは、彼女よりももっと、危ない状態なのよ」
自分の右腕を見てみなさいと言われ自分の右腕を確認すると目覚めた時と同じように黒く染まったままだ。
「それはね、君が適合した阿修羅丸という刀の呪いなのよ、その黒い部分が全身を黒く染めた時、貴方は、死ぬわ」
それは、知っている、阿修羅丸と契約した時に彼女から聞いている。俺は、その代償を払う覚悟はあの戦場でとうにつけた。
その話を聞かされて、何のリアクションも起こさない俺を見て2人は不思議がっていた。そして、櫻井さんは何かに気づいたように再び口を開いた。
「いえ、それは適切な言い方ではないわね、正確に言えば、貴方という人格が消えて、貴方の肉体は阿修羅丸のものになると言ったところかしらね」
その言葉に俺は絶句した。俺の人格だけを消す...
そして、肉体は彼女が貰う。
俺が死ぬのは覚悟していたが、その後彼女が俺の肉体を貰うとなると話は変わってくる。
それに、そんなことは、契約した時には....
「そんなことは、契約した時には言われてない、とでも言いたそうな顔ね」
でも、契約違反ではないわよ、だって、死んだ肉体をどう使おうが貴方には関係が無くなるものと櫻井さんは告げる。
櫻井さんの言ってることは最もである、契約内容は力を与える代わりに俺の命を与えること、そこに細かい制約などはしていない。
だから、俺が死ぬのなら、彼女のやり方は契約違反ではない。
それに、死んだ後の肉体をどう使うのかは、彼女の自由ということだ。
つまるところ、本当の契約内容は、彼女自身の復活ということだろうか。
「あっ、だけど安心して流石にそんなに早く貴方が死ぬ事にはならないと思うわ」
先程までの雰囲気とは違い明るい声色で話しかけてくる。
多分櫻井さんはそう確信しているのだと思う、何故かはわからないけど
「私が何でわかるのかって顔ね、いいわ、それじゃあ今回の本題に入りましょうか」
っていうか、この人さっきから俺の考えてること当てすぎでしょ、エスパーかなんかですかね?
若干の恐怖を覚えつつも話は進んでいく、
「あなたが手にした力は、何なのかっていう話に入るわね、まず初めに、あなたが手にしたのは、第三呪具と呼ばれる妖刀、阿修羅丸」
第三呪具、妖刀と全然わからない単語ばかりがでてくる。
とりあえず今は話を聞くことに集中することにした。
「第三呪具とは何か、から入るわね、呪具とは........」
それから、櫻井さんが阿修羅丸と呼ばれる刀の話をしてくれた。難しい話ばかりだったが、俺がわからなそうな顔をすると、俺にもわかるように話してくれた。おかげで、なんとなくだがわかってきたような感じがする。
感じがするだけだが.....
まとめると呪具とは、聖遺物と呼ばれる世界各地の神話や伝承に登場する超常の力を秘めた武具に、人間を取り込ませたものらしい。
となると、阿修羅丸は元々人間ということになる。
そして、呪具は風鳴さんや天羽さんたちが纏っていたスーツとも違う種類らしく、彼女たちが纏っていたものが、自称できる女の櫻井さんが作り出したシンフォギアと呼ばれるものらしい。
シンフォギアは、聖遺物の欠片から作り出されたスーツに、身に纏ったものの戦意に共振、共鳴して戦慄を奏でる機構が内蔵されており、その旋律に合わせて彼女たちが歌うことにより、バトルポテンシャルが上がるという仕組みらしい。
つまり、彼女たちのシンフォギアは、歌う事でノイズたちと戦うことができるらしい。
逆に、呪具と呼ばれるものは、身に纏う人と聖遺物に取り込まれた人との契約を交わした場合のみ、力を得ることができる。
つまり、俺の場合は阿修羅丸と契約を交わしたため力を得ることができたということだ。
そして、シンフォギアとは違い代償を背負うことになる。
それは、契約の代償とは違い、徐々に精神が汚染されて、最後には力を振りかざすだけの狂人に成り果てるらしく、全世界で、例外を除く呪具と呼ばれる武器の生産及び使用は禁止されていて、シンフォギアシステムのみがノイズに対抗するための兵器だそうだ。
そして、第三呪具の第三とは、作られた順番ではなく、それを使用した際の能力の汎用性、危険度などを考慮した順番になり、番号が小さくなればなるほど、汎用性が高く、危険度も増すそうだ。そして、俺が契約した阿修羅丸は、第3位なので、かなり厄介なものらしい。元々は第2位だったらしいのだが、それよりも強くて危険な呪具が出来たらしく3位に繰り下げになったと教えてくれた。
阿修羅丸が持つ能力としては、今のところ3つわかっているらしい。
1つ目が、吸収。
この力で、天羽さんのスーツと適合するための血を吸収した。
2つ目が、再生。
この力で、天羽さんのスーツに似たものを構築した。
3つ目が、影操。
この力は、影を操ることができるらしい。これについては、まだ使ってはいないので何ができるのかよくわからなかった。
上の2つの力で、俺は天羽さんと似たスーツを纏うことができたらしい。
なぜ、ここまで阿修羅丸の力がわかっているのか聞いてみたら、俺よりも前に阿修羅丸の適合者がいて、その人が使っていた力らしいので、ここまでわかっているとのことだ。
だが、どの力もまだ詳しくわかっていない。
それを解明するためにも、ライブの日に実験をしようとしていたところある聖遺物が爆発したらしく、刀の無事を確認しようと思ったら無くなっていたらしい、そして、確認してみるとライブ会場で俺が使っていたらしい。
代償に支払った黒い右腕のことだが、黒い部分には特殊な呪いがかけられているらしく解呪することができないとのことだ。
日常生活で黒い右腕とか厨二くさくて嫌なんだがそれは、まぁ仕方がない。
だが、問題はこれから先日常生活を送ることができるのかという話である。
櫻井さんの話にもあったように精神が汚染されれば、俺が死ななくても、身体は阿修羅丸のものになるのと同義である。そんな人間を国が野放しにするわけにはいかないだろう。となると、俺を殺すか、それとも実験材料になるかの2択だろうか?
俺が櫻井さんの話を聞いて考えこんでいるのを見て風鳴さんが肩を掴んできた。
「本当にすまないが、君は日常生活に戻ることはできないだろう。そして、君に残された選択肢も少ない。」
そう言って、風鳴さんが俺に選択肢を教えてくれる。
1つ目は、先程俺が考えていたように実験材料になること。
まだわかっていることの少ない呪具についての実験を毎日行うことになるとのこと。
2つ目は、一生監視部屋で過ごすか。
こちらは1つ目とは違い実験を行うことはないが、1つの部屋に死ぬまで幽閉されるらしい。
そして、最後に風鳴さんが教えてくれた選択肢は、
「3つ目だが、俺たちの組織『特殊災害対策機動部』に所属してもらい、了子君に君の身体を診てもらうのと同時に、ノイズが出た際には、出撃してもらうことになる。」
どれを選んでも君を元の生活に戻してあげることはできない、本当にすまないと俺の肩を強く握りながら頭を下げてくる。櫻井さんも不甲斐なさゆえか、目を伏せている。
そんな、風鳴さんと櫻井さんに俺は驚いていた。
俺には、選ばせてくれるということだけでも十分にありがたいことなのに、この人たちは、それしか選ばせてあげられないと、嘆いているのだから。
この中で選ぶなら俺はどれにするべきだろうか.....
だが選ぶ前に、1つ聞いておきたいことがある。
「すいません、風鳴さん、小町たちには俺のことはどう伝わるのでしょうか」
そう、俺の扱いである、どれを選んでも元の生活には戻れない以上小町たちにはなんて伝えるのか気になったのだ。
風鳴さんは下げていた頭を上げこちらを驚いた顔で見てくる。
「君は、本当に.....。それなんだが、君のことは妹君たちには死んだということを伝えることになっている。」
まぁ、確かにそれが一番妥当なところだと俺も思う。
二度と会えないのなら、死んだも同然だもんな。
そうか........なら、最後に小町たちには言っておきたいことがある。
だが、それを伝えてもらうには、風鳴さんに頼むしかないが、風鳴さんが許してくれるかどうかにかかっている。
恐る恐る聞いてみると、
「風鳴さんすいません、小町たちに伝言、いやこの場合は遺言になるんすかね、それを小町たちに伝えてもらうことはできますか」
「ああ、それくらいなら、なんとしてでも通してみせよう。君をこれから味わう理不尽さに比べればそれくらい伝えてみせよう必ず。」
そう力強く宣言してもらえるとは思っても見なかったので、少し驚いてしまった。OKをもらえたので伝えてもらう内容を考え始めた。
10分ほど経って内容が決まったので風鳴さんに伝える。
「ありがとうございます、なら小町たちにはーーーーーって伝えてもらってもいいですか」
「ああ、必ず伝える、男と男の約束だ!!」
さっきから、握られている肩がさらに強く握られる。
すごく熱いけどこの人は多分悪い人ではないんだろう、なにせ初対面の俺の処遇を嘆いてくれるような人なんだから。
なら、俺はこの3つから選ぶならこれにしようと思う。
俺が、選んだ選択肢は..............
まぁ、全てを説明したわけではないですが、大まかな設定になります、