ハイスクールD×D ~歴代最愚の白龍皇~   作:とんこつラーメン

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聖剣編に入っている筈なのに、その前の話が長引いてますね。

多分、次回ぐらいに教会コンビは登場するかも?






風邪は拗らせたら大変です

 一誠君の家でアルバムを見ている途中、急に様子がおかしくなった木場君。

 その日は少ししてから解散したけど、詳しい事情を知らない私やアーシアちゃん、一誠君の三人は、木場君の様子を見てただ事じゃないと判断し、割と本気で心配をしちゃったりなんかしていた。

 小猫ちゃんに聞こうとも思ったが、こういうのは安易に踏み込んでいいのか躊躇われたので、先輩達から話してくれるのも待とうと思い、私からは何も聞かない事にした。

 

 そんな事のあった次の日。

 案の定と言うか、木場君は学校を休んでいた。

 

「ある程度の予想はしていたけど、やっぱり……」

「こればかりはリアスの責任じゃないわ。まさか、あんな形で聖剣を見てしまうなんて、誰も予想は出来ないもの」

「いえ……自分の眷属のメンタルケアもまともに出来ていないのは、完全に私の落ち度よ。と言っても、こればかりは……はぁ~……」

 

 もうテンプレとなった放課後での部室での駄弁りタイム。

 だけど、流石に今回はいつものように明るい雰囲気じゃなかった。

 

「部長。木場の奴は一体どうしちゃたんですか?」

「そうね……。イッセー達にもちゃんと話しておかないといけないわね」

 

 ナイスファインプレイだ一誠君。

 このまま話す気配がないのなら、私から聞き出そうと思っていたけど。

 その手間が省けてなによりだ。

 

「裕斗があんな風になってしまったのは、彼の過去に関係しているの」

「過去……ですか」

「今から話すのは、かなり重い内容だけど大丈夫?」

「だ…大丈夫ッス」

「私もです」

「あ~……私もOK」

「分かったわ。実は……」

 

 ここからはいつものようにダイジェストお送りしま~す。

 なんでも、木場君は教会組織が所有しているとある研究所に子供の頃から隔離されていて、そこで非合法な人体実験を幾度となく繰り返しされていたらしい。

 その研究所と言うのが、昨日も言っていた『聖剣』に関する施設らしく、そこでは人工的な聖剣使いを生み出すための実験を行っていたとの事。

 聖剣と言っても世界中の伝説などに数多く存在しているけど、今回のソレはその中でももっとも有名なエクスカリバーを指しているらしい。

 実験の最中、木場君を初めとした多くの子供達が研究員たちによって勝手に『失敗作』の烙印を押され、毒ガスで殺されそうになったが、仲間たちの命懸けの行動によってなんとか施設から一人だけ逃げ出す事に成功し、その直後にグレモリー先輩と出会って眷属になったとの事。

 

「あれからもう随分と時間は経っているけど、あの子の中の憎しみは微塵も揺らいでいない。それどころか、増大している節もあったわ」

「パッと見じゃ全然分からなかったですけど……」

「流石に、年がら年中憎悪を振りまいているわけじゃないわ。裕斗だってそれぐらいの分別はあるから」

 

 そりゃそうだ。じゃないと、あそこまでの人気者にはならなかったでしょうよ。

 

「けど、幼かった木場達を勝手に殺そうとするなんて……!」

「信じられません……」

「そう思うのも無理はないわ。特にイッセーはね」

 

 彼はごく普通の一般家庭に生まれて、幸せに暮らしすぎている。

 世の中には信じられないような不幸な体験をしている人間が山ほどいるって、想像も出来ないだろうね。

 私も木場君の事は言えないんだけどさ。

 

「変に早まった事をしなければいいんだけど……」

「心配ですわね……」

 

 私が危惧していた通り、部室内には何とも言えない重苦しい空気が流れ始める。

 この場にいることすらも苦痛に感じるレベルだ。

 だから、私は気を紛らわせる為に、さっきからずっと音を消した状態でFGOをやっていた。

 

「せめて、今度ある球技大会までには復学してくれると嬉しいんだけど……」

「はへ?」

 

 今……なんつった?

 

「あ…あの……球技大会って……?」

「そっか。柊さんはずっと学校に来てなかったから、球技大会の事を知らないのか」

 

 ま…まさか、この学校にはそんな物騒なイベントが存在しているのか……!

 なんということでしょう。

 

「終わった……」

「急にどうしたっ!?」

「球技大会なんて、私にとって最も縁遠いイベントじゃないか……。これ、学校側は確実に私に死ねって言ってきてるでしょ」

「千夏先輩は球技が苦手なんですか?」

「球技って言うよりは、体を動かす事全般が苦手。そもそもさ、登下校をするにもセグウェイを使わないといけない私が、まともに球技なんて出来ると思う?」

「それは……思えないな……」

「ほら見てよ。この細くて筋肉のきの字も無いようなプニプニの腕を。こんなんじゃバットもまともに握れないし、投げる事も叶わないよ」

「千夏先輩の二の腕……触り心地最高です……♡」

「ひゃひゅっ♡ んん……」

 

 こ…小猫ちゃん、不意打ちの二の腕揉み揉み攻撃は卑怯なのだぜ。

 お蔭で変な声を出しちゃったじゃないか。

 

「でも、球技大会は基本的に全校生徒参加型になってますわよ?」

「嘘~ん……。それじゃあ、見学も出来ないってか……」

「だ……大丈夫よ! 皆も千夏にはきっと手加減をしてくれるに違いないわ! って言うか絶対にさせる!」

 

 頼むから、そこで変な権限とか出さないでおくれよ?

 

「私は『球技大会に出場したら死んでしまう病』だと言うのに……」

「えぇっ!? 大変です~!」

「アーシア。そんな病気あるわけないから。柊さんの冗談にまともに付き合わなくてもいいんだぞ」

「えっ!? 嘘だったんですか!?」

 

 どこまで純情なんだアーシアちゃんは。

 これじゃあ、私が腐っていると言うのも否定できないじゃないか。

 

「あ?」

「どうしました?」

「いや……ちょっとね……」

 

 10連ガチャを回していたら、アルトリア・オルタ(セイバー)を引き当ててしまった。

 聖剣と球技大会の話題をしている時にコレをゲットするなんて、何かの不吉な予兆じゃないだろうな……?

 

「あら。雨ですわ」

 

 3連コンボ達成じゃないですかヤダー。

 もうこれ、完全にこれから何かあるフラグになってるし~。

 義父さ~ん。これ、思わぬところで変なトラブルが起きて『計画』が台無しになったりとかしないでしょうね~。

 木場君の事もそうだけど、こっちの方も心配になってきましたよ~。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一応、朝に家を出る前に天気予報で雨が降る事は知っていたから、ちゃんと邪魔にならないように折り畳み傘を持参してきて正解だった。

 セグウェイには傘立てが設置してあって、雨の日も大丈夫な設計になっている。

 これは絶対に義父さんが改造したな。だって、ネットにはこんな仕様は無かったもん。

 

「おや?」

『急にどうした?』

「前方から見知った影が接近中」

『なんだと?』

 

 徐々に近づいて行く内に輪郭がはっきりとしてくる。

 それは、傘も持たずに幽鬼のように道路を彷徨っている木場君だった。

 いつもの彼とは程遠い、なんとも恐ろしい雰囲気を醸し出している。

 向こうは私に気が付いていないようで、真っ直ぐに歩いて来ていた。

 

「木場君」

「柊さん……?」

 

 声を掛けて初めてこっちを向いてくれた。

 もしかして昨日からずっと歩いていたのか、顔が疲れ切っているように見えた。

 

「傘……持ってないの?」

「今は……こうしていたい気分なんだ」

 

 い…居た堪れない……。

 息が詰まりそうな空気を出さないでよ~!

 

「でも……「た…助けてくれぇ~!」……んあ?」

 

 この緊迫した空気をクラッシュする悲鳴が曲がり角から聞こえてきた。

 声のした方を見つめていると、そこから頭頂部がピッカピカにハゲたおじさんが走ってきた。

 なんだか、神父っぽい紺色のローブ的な物を着ていたけど。

 

「待てやゴラァ~!! この雨の中をちょこまか逃げんじゃねぇっつーの! 俺ちゃんが風邪でも引いたらどう責任取ってくれんだテメェッ!!」

 

 その後ろからは、白いコートを着た白い髪の男が登場。

 こっちは無駄にテンションが高い。

 

「お…お前は!!」

 

 あれ? この白いお兄さんは木場君のお知り合い?

 

「おやぁ~? ちみは教会で会った悪魔君じゃ~あ~りませんか!」

「なんで貴様がここにいる! それに、さっきの神父は誰だ!」

「んなことテメェに話す義理も義務もねぇんだよ!! 今の僕ちんはお仕事の真っ最中なんだらぁ~ん♡ って、いつの間にかいなくなってやがるし! どこに行きやがった! あのクソジジイが~!! これで本当に風邪引いたら慰謝料請求してやるかんな~!!」

 

 あの様子だと風邪は引かなさそうだけど。

 声を荒げながら、白い彼は走り去っていった。

 

「お仕事頑張ってね~」

「おう! 俺と同じ髪色の美少女ちゃんに励まされたら、僕ちゃん幾らでもがんばれちゃう!」 

 

 おや、嬉しい事を言ってくれるね~。

 

「くそ……! 僕も「木場君」……柊さん……?」

 

 木場君も追手いきそうだったので、急いで彼の腕を掴んで止めた。

 

「行っちゃダメ」

「けど、アイツは!」

「あの人達がなんなのかは知らないけど、今は君の事が最優先。このままだと、さっきの彼が言っていたみたいに、木場君まで風邪を引いちゃうよ」

「……僕の事は放っておいてくれ」

「ヤダ」

「柊さん、たとえ君でも……!」

「ヤダったらヤダ。私の事はどれだけ怒ってくれても構わない。でも、目の前で大切な友達がそんなにも辛そうな顔をしているのに、それを放置するなんて絶対に出来ない」

 

 困った時はお互い様。どんな時も助け合いの精神を忘れずに。

 MMORPGの最低限のマナーだ。

 これはリアルでも実践すべき大事な事だと思う。

 

「友達……か。でも、僕の方は君達の事を……」

「そっちがどう思っているかなんて知らないよ。私は私が勝手に木場君をフレンド登録しただけなんだから」

「君って子は……」

 

 お。やっといつもみたいに笑った。

 

「少し歩けば私の住んでるアパートがあるから、そこまで行こう?」

「そんな所まで歩いていたのか……。分かったよ、僕の負けだ。大人しく柊さんのご厚意に甘える事にするよ」

「そうそう。それでいいの」

 

 ちょっとは元気が出てきたかな?

 私は木場君と歩くスピードを合わせながら、ゆっくりと進んでいった。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「ちょっと待ってて」

 

 流石に濡れた状態で部屋に上げる訳にはいかないので、ドアの前で待ってもらってから、彼にバスタオルを持っていってあげた。

 

「はいコレ。早く拭いた方がいいよ」

「ありがとう」

 

 顔や体を順番に拭いていく木場君だが、その姿はかなりセクシーだった。

 これは……腐女子としての本能が目を覚ましますね~。

 うむ。透けたシャツから見え隠れする木場君の素肌よし!

 

「えっと、着替え着替え……って、あるわけないか」

 

 これで私の部屋に男物の服があったりしたら、それはそれで大問題だと思う。

 

「僕は玄関先で大丈夫だよ。体を拭いたとはいえ、まだまだ濡れてるからね」

「じゃあせめて、このドライヤーで体を乾かして。何もしないよりはマシでしょ?」

「そうだね。お言葉に甘えようか」

 

 延長コードを使って木場君の元までドライヤーを持ってきて彼に手渡す。

 髪はすぐに乾くだろうけど、服はどうかなぁ~……。

 

「木場君。君の過去に関しては先輩達から聞かされたよ」

「そうか……知ってしまったんだね……」

「皆、今日休んだ木場君の事を凄く心配してた」

「心配して貰うような価値、僕には無いのにね……」

 

 む。その言い草はカチンときたよ。

 

「誰かに心配して貰うのに価値とか資格とか無いと思うけど?」

「僕は部長に救って貰った命を自分の復讐の為に使おうとしている。そんな僕でもかい?」

「そんな木場君だから、余計に心配するんでしょうが」

 

 正直言って、今の木場君は見ているこっちも辛い。

 出くわしたのが私でよかったのかもしれない。

 ここでもしも先輩達や一誠君達と遭遇したら、却って話がこじれた可能性がある。

 あの部の中で唯一の人間であり、関係が最も薄い私だからこそ話せる事もあるだろう。

 

「はい、コーヒー。少しは体が温まるよ」

「済まないね……」

 

 実は話しながらもコーヒーを淹れていた私なのです。

 義父さんの味には及ばないけど、それでも結構いい味は出してると自負しているよ。

 

 ドライヤーで体を乾かす作業を中断して、コーヒーを口にする木場君。

 味の方は自信あるけど、熱さは丁度いいかな?

 

「美味しいね……」

「それはなにより」

 

 本当は私も着替えたいけど、木場君がいるんじゃ服は脱げないよね。

 おいそこ、何を驚いている?

 出会い頭にセクシーショットを披露したとはいえ、私にだって人並みの羞恥心ぐらいはあるのだぞ?

 

「柊さんは優しいね……」

「そう? 私は勝手にやってるだけだよ。勝手に木場君を部屋まで連れてきて、勝手にドライヤーを貸して、勝手にコーヒーを淹れた。それだけさ」

「柊さんは自己評価が低いんだね」

「馬鹿みたいに自惚れるよりはマシだと思うけど?」

 

 少なくとも、今までの人生で私は私に自信をもった一度も無い。

 ゲームだって、あれは単純に時間を掛けた廃人プレイをしただけ。

 一ミリも褒められるような事じゃない。

 

 そこからは、木場君と他愛も無い話で盛り上がった。

 そう言えば、こうして彼と一対一で話した事って一度も無かったかも、

 前に剣道部の活動にお邪魔した時があったけど、あの時は他にも人はいたしね~。

 

「雨、上がったみたい」

「それじゃあ、そろそろ帰るよ。コーヒー御馳走様」

 

 服も髪もある程度は乾いたようで、これなら外を歩いても問題無いでしょうよ。

 下着までは乾いてない可能性が高いけど。

 

「……今日は本当にありがとう。柊さんに……千夏ちゃんに会えてよかったよ。まさか、こんな形で女の子の部屋に入る事になるとは思わなかった」

「玄関先だけどね」

 

 おっと。ここで名前呼びは卑怯じゃない?

 不覚にもちょっぴりキュンキュンしちゃったぞ。

 

「明日はちゃんと学校にも顔を出す事にするよ。部長達にも謝らないとね」

「そうした方がいいだろうね。一度キッチリと怒られてきな」

「はは……そうするよ。それじゃあ、また明日」

「ん。また明日ね」

 

 バタンと扉が閉まって、数秒数えてから深呼吸をする。

 

「私……変じゃなかった?」

『何も変じゃなかったぞ』

「そう……よかったぁ~……」

 

 畳の上に大の字で寝転んで全身の力を抜いた。

 

「生まれて初めて男の子を部屋に迎えて緊張した~……」

『お前にもそんな純情な部分があったんだな』

「当たり前でしょ。私だって青春真っ只中の乙女なんだから」

『自分を乙女と言うのなら、もう少し生活を改善するんだな』

「善処しま~す」

 

 これで少しは状況がマシになった……かな?

 あのまま木場君が暴走したら、かなり厄介な事になりそうだったしね。

 一応、後で小猫ちゃんと義父さんにメールで報告しておくか。

 あ~…もう! 柄にもなくドキドキした~!

 




次回こそ球技大会になる……と信じたいです。

でも、これで少しは木場が一人で突っ走ることは無くなったでしょう。

歴代最愚の白龍皇のR-18見たい?

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  • 千夏ちゃんは俺の嫁!
  • いつも千夏ちゃんでエロい妄想してます
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