ハイスクールD×D ~歴代最愚の白龍皇~   作:とんこつラーメン

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さ~て、答え合わせの時間ですよ~。

皆の予想は当たっていたかな~?

長くなりそうなので、二つに分けます。










大人の説教は愛の鞭(前編)

 グラウンドに入った直後、コカビエルの怒号を浴びせられたグレモリー眷属の面々。

 あまりにもいきなりの事に、全員がポカ~ンとなってしまう。

 

「な……なんなんだよいきなり!」

 

 全員の中でいち早く我に返った一誠が、コカビエルに食って掛かる。

 それを見て、コカビエルは腕組みを解いて腰に当て、楽な体勢になった。

 

「色々と言いたい事はあったが、まずは思い切り叫ばせて貰った。そうじゃないと、ストレスで胃痛になりそうだったのでな」

「ど……どういう意味よ、それ……」

「ふむ……。それはだな……」

「私から説明します」

 

 ここで小猫が前に出て、コカビエルの隣に並ぶ。

 

「こ……小猫ちゃんっ!?」

「どうしてそっちに行くのっ!?」

 

 敵対関係である存在の隣に仲間が移動するのを見た一誠達は、動揺を隠しきれない。

 特に王であるリアスは目を見開いて冷や汗を掻いている。

 

「そもそも、今回の一連の事件そのものが、真っ赤な嘘だったんです」

「「「「「…………は?」」」」」

 

 嘘。

 その一言だけで、全員から正常な思考力を奪い去った。

 

「これは言っていいのか分からんが……」

「いいんじゃないんですか? どうせ、遅かれ早かれ知る事にはなるんですし」

「そうだな。ここで俺が言わなくても、後日にサーゼクス辺りが直接言うだろうし」

「あ……? えっと……」

 

 頭が混乱の極みになり、普通に言葉すらも紡げない。

 もう何が何やら。彼等、彼女らの心境を一言で言い表す事が出来るのなら、『意味不明』が妥当だろう。

 

「近日中になるのだが、三大勢力間で和平会談が設けられることになっている」

「わ……和平会談ですってっ!?」

「いくらなんでも、いきなり過ぎますわ!!」

「お前達にとってはそうかもしれん。だが、俺達からすればそうじゃない。サーゼクス、アザゼル、ミカエルを初めとする三大勢力の重鎮達が前々からずっと計画をしていた事だ。無論、俺も会談に備えた様々な準備に東奔西走していた」

 

 リアス達の頭の中には、目の前にいる凄まじいプレッシャーを放つ堕天使が、スーツを着て鞄を持ち、名刺を出しながら会社で契約をしている光景が思い浮かんだ。

 

「そして、少し前にようやく全ての準備が整い、後は会談を行う会場探しや我々のスケジュールの調整だけになった」

「まるで芸能人の記者会見みたいだ……」

「ある意味で似たようなもんだろう。で、その前に我々には一つの懸念材料があった訳だ」

「懸念材料……?」

「そうだ。それは……」

「サーゼクス様……魔王様達を初めとする各勢力のトップの後を継ぐ若者達の実力と警戒意識です」

 

 コカビエルの言葉に被せて、小猫が今回の目的を言ってしまった。

 ちょっとだけコカビエルが落ち込んだのは内緒。

 

「彼女の言う通り。お前達はこれからの時代を担っていく新たな世代となる。それはなにも悪魔だけに限らず、堕天使や天使とて例外では無い」

「と言っても、天使の若手は殆どいない為、今回は教会からの派遣と言う形で一番若い二人を寄越したみたいですけど」

「つまり、イリナとゼノヴィアは俺達と立場が同じだったわけか……?」

「そうなるな」

 

 ここまで聞かされれば、大抵の者達には答えが分かりかけている筈。

 だが、リアスだけが未だに頭の上にハテナを浮かべていた。

 

「要するに、今回の一連の聖剣騒動は、お前達に対する抜き打ち試験のようなモノだったわけだ」

「「「「「えぇぇぇぇ~~~~~~っ!?」」」」」

 

 ここにきてようやく状況を完全に理解した一誠達は、思わず大声で叫びだす。

 つまり、今回の彼女達は完全に仏の掌で走り回る猿のような状態だったのだ。

 至近距離で聞かされたので、小猫とコカビエルは耳栓をしているが。

 

「おぉ~い! コカビエルの旦那~! 例の教会の子を連れて来ましたぜ~!」

「ご苦労だったな、フリード」

 

 ここで、フリードに手を引かれながらやってくるゼノヴィアの登場。

 来るまでの間にずっとフリードから説教を受けていた為、彼女のSPはゼロになっていた。

 

「ゼノヴィアっ!? どうしてフリードと一緒に……って言うか、イリナはどうしたんだ!?」

「落ち着け赤龍帝。一つずつ説明してやるから」

「は……はい」

 

 反射的にコカビエルに敬語を使い一誠。

 本能的に彼が敵ではないと悟ったのか。

 

「この子さ~、警察に掴まって職質受けてたのよ~」

「はぁっ!?」

「無理もありませんわね……。あんな恰好な上に布で巻いただけの聖剣を持っていれば、普通に捕まって当然ですわ」

「あの警官め~……! こっちが何を言っても全く信用しなかった!」

「いや……寧ろ、なんで自分の主張が一般人に信用されると思ったんだい?」

 

 少し間違えば憎悪の対象となっていたかもしれない存在に、完全な呆れ顔をする裕斗。

 

「アザゼルの旦那から電話を貰って、慌てて引き取りに行った時は驚いたぜ~。普通に教会の機密とか喋りまくりだったもんな~。向こうは聞く耳持たずだったけど」

「はぁ……」

 

 頭を痛そうに抱えて、コカビエルが盛大な溜息を吐く。

 彼の胃も何気にピンチなのかもしれない。

 

「で、どこまで話したかな?」

「今回の事件が抜き打ち試験だって所までです」

「そうだったな。んん……。今回の事に関して、こちらは予め協力者と言う名の仕掛け人を用意した。それが……」

「私と千夏先輩です」

「こ……小猫ちゃんと柊さんがっ!?」

「そうです。私と先輩は密かに皆さんの動きを観察し、それを逐一報告していたんです。今回の評価の指針にする為に」

「勿論、それはアザゼルを通して冥界の各魔王やミカエルを初めをする大天使達にも知らせてある」

「ミ……ミカエル様だとっ!? どうしてここで、あの方の名前が出てくるっ!?」

「私が説明しましょう。カクカクシカジカ、カクカクウマウマ」

 

 小猫がダイジェスト方式で分かりやすくゼノヴィアに説明をする。

 全てを聞き終えた後、彼女は愕然として膝をついた。

 

「そ……そんな……。では、私達の行動も全て……」

「ミカエルに筒抜けだ」

「なんと言う事だ……」

 

 いつでも前向きなゼノヴィアが、ここで初めて頭を抱える。

 敬愛している存在に自分の痴態を晒してしまった事が相当にショックだったようだ。

 

「そう言えば、イリナはどこに……」

「イリナとは、あの栗毛の少女の事だな? 彼女ならば、偶然にも俺とスーパーの前で出くわしてな、その後に軽く事情の説明をした後にグリゴリの日本支部まで連れて行って、そこで体を休めている筈だ」

「あ……無事ではあるんだ」

「当たり前だ。彼女、相当に疲弊していたぞ? 風呂とベッドを見て心から喜んだ挙句、泣きながら食事をしていたからな」

「「「「「うわぁ……」」」」」

 

 その光景が安易に想像出来てしまうグレモリー眷属であった。

 

「その際に全ての事情を話したら、意外とあっさりと納得してくれたぞ」

「なん……だと……」

 

 立場上は自分と同じ筈のイリナの物わかりが想像以上によかったことに、更に落ち込むゼノヴィア。

 今回、彼女はとことんまでいい所無しだ。

 

「どうやら、彼女の方も薄々と勘付いてはいたようでな。今回の事件に関しても色々な疑問点があったと言っていた。だが、俺達から説明を受けてからその疑問が見事に氷塊したようで、仕切りに頷いていたぞ」

「ゼノヴィアさん……」

「そ……そんな目で見るな~!」

 

 よりにもよって、アーシアに憐みの目で見られてしまった。

 純粋無垢な少女からの一撃は、相当なダメージになるだろう。

 

「今はベッドの上でぐっすりと寝て休息してるんじゃないのか? もう夜空を屋根にするにはコリゴリと嘆いていたからな」

「今度会った時は、イリナに優しくしてやろう……」

 

 幼馴染の哀れ過ぎる実態を垣間見てしまった一誠は、次があれば絶対に家に誘ってご飯を御馳走しようと決意する。

 

「あの……」

「なんだ?」

「ずっと思ってたんすけど、どうしてフリードが普通にいるんですか? アイツは……」

「ふむ……。そうだな。その辺の誤解も解いておくか」

「いやいや。別にいいっすよ」

「何を言う。ここで解いておかないと、後々になって面倒な事になるぞ?」

「へ~い」

 

 観念したのか、両手を上げて降参のポーズ。

 

「まず、最初に言っておくが、フリードは決して殺人などしてはいない」

「んな馬鹿な! アイツは確かに俺の目の前で!」

「誰かを殺す瞬間を見たのか?」

「い……いや、それは見てないけど……。血塗れの部屋に佇んでて、壁に血文字を……」

 

 当時の光景を思い出したのか、僅かに青褪める一誠。

 

「大前提として言っておくが、あの時死んだ家族はハッキリ言って異常だった」

「異常……?」

「そうだ。後で調査をして判明したのだがな、あの家族……と言うよりは、両親は、悪魔崇拝をしていたようだ」

「悪魔崇拝って……」

「前時代的かもしれんが、紛れもない事実だ。どうやら、どこにでもいる怪しい新興宗教に嵌ってしまったらしい」

「どこにでも、そんな輩はいるのね……」

 

 純粋な悪魔の身としては、なんとも複雑な心境になるリアス。

 

「前々から儀式と称して怪しい言動を繰り返していたらしいと近所の住民から証言を得ている。そして、ある日遂に人としての最後の一線を越えてしまった」

「まさか……!」

「そのまさかだ。あろうことか、自分達の子供を生贄と称して殺害してしまったんだ」

「なんて事を……!」

 

 家族を殺す。それを聞いた朱乃は顔を歪めた。

 その心境は彼女にしか分からないだろう。

 

「しかも、その後に自分達も後を追うように自殺をしてしまった。子供を殺して正常に戻って、その果てに発狂してしまったのか。もしくは、自分達の命すらも生贄として捧げようとしたのか。それに関しては謎のままだ」

 

 コカビエルも苦々しく呟く。

 威厳に満ちた堕天使といえども、不快な思いをする事はある。

 

「その家の近くを偶然にも通りかかったフリードは、すぐに家の中に突入した。瞬時に全てを把握したフリードは、後の事を考えて自分の仕業に見せかける為に細工をした」

「それが……あの血文字……」

「その後、フリードの後を追って家の中に入ったアーシア・アルジェントは、それと知らずに驚いてしまった……と言うわけだ」

「そんな事があったなんて……」

 

 あの時、フリードの一番近くにいたにも関わらず、彼の行動を信じきれなかった事を激しく後悔したアーシア。

 今にも泣きそうな顔になっていて、目尻には涙も溜まっている。

 

「あ~……あの時は乱暴な事をしちまって、本当に悪かったな」

「いえ……もういいんです。フリード神父が悪い人じゃなかったって分かっただけで……」

「そうかい」

 

 柄にもなく照れくさそうに頭を掻くフリード。

 ようやく歳相応の顔を見せたような気がする。

 

「でも、なんで自分が悪者になるような事を……」

「当たり前の事だが、あの家族にだって親戚や友人関係になっている者達がいる。自分の親しい人達が実は悪魔を信仰していたと知られたら、どうなると思う?」

「どうって……」

「まず確実に社会では生きていけなくなるだろうな。良くも悪くも人間とは排他的な生き物だ。全てが全てとは言うつもりはないが、多くの連中は特異性のある者を内側には入れようとは思わんだろう」

「……………」

 

 そんな事はない。そう反論したいのは山々だったが、この中で一番庶民的な感覚を持っている一誠には、それを否定する事は出来なかった。

 

「だが、それがもしも何者かによって殺されたとしたらどうなるか? その者達は途端に悲劇の主人公に早変わりだ」

「……それでいいのかよ……アンタは……」

「いいのいいの。昔から汚れ仕事は慣れっこだしね~」

 

 あっけらかんと言うフリードだが、誰の目にもそれが痩せ我慢に見えた。

 

「第一、こいつがはぐれ神父になったのだって、実際は教会の神父たちの汚職を目撃してしまったが故の事実上の追放処分みたいなものだしな」

「なんだよそれ! フリードは何も悪くねぇじゃねぇか!!」

「それは分かっている。だが、それが今の教会の実状なんだ。悲しい事だがな」

 

 神話の時代から生き続けているコカビエルとしては、今の時代の一部の人間達の姿が非常に嘆かわしく見えているのだろう。

 その目には、僅かながら疲労の色が見え隠れしている。

 

「今となっては、全ての事情を把握したミカエルたちによって日本に戸籍を設け、普通に暮らしているがな」

「それじゃあ、あのコンビニでのバイトも……」

「俺ちゃんの今の職場。割と楽しいのよ~? 彼女も出来たしね!」

「なんですとっ!?」

 

 フリードが見せつけるようにスマホを画面を見せつけると、そこには彼と一緒に仲良く並んでいる一人の少女がいた。

 

「結城明日奈ちゃん。現在女子高生で、俺っちのマイスィートハニーだぜい!」

「まごう事無き美少女っ!!」

「因みに、バイト先での俺の偽名は『桐ヶ谷和人』つって、アスナちゃんからはいつも『キリト君♡』って呼ばれちゃってさ~!」

「リア充爆発しやがれぇぇぇ~~~!!!」

 

 前は言われる立場だったのに、今度は言う立場に。

 一誠の立ち位置もコロコロと変わるものだ。

 

「そ……そうだ! フリード、あの雨の日に追いかけていた神父は誰だったんだ?」

「あれ? あれは~……」

 

 テクテクと体育倉庫まで歩いて行くと、扉を開けて中を探る。

 

「鍵は閉めてないのかよ……」

「あれは単純に学園側のミスだろう」

 

 倉庫の中から何かを引きずり出して、元いた場所まで持って来た。

 それは、亀甲縛りにされている神父服の中年男性だった。

 

「こいつだべ?」

「そうだ……彼があの時の……」

「こいつがお前を苦しめた聖剣計画を立ち上げたバルパー・ガリレイだ」

「なんだってっ!?」

 

 目の前で苦しそうに蠢く男こそが、自分達を地獄のような思いをさせた張本人。

 一瞬だけ怒りに身を任せて剣を出そうとするが、すぐに思い止まった。

 

「木場……?」

「ここでこいつを殺すのは簡単だ。けど、それはきっと柊さんが望んだ結果じゃない」

「ふむ……」

 

 コカビエルの鋭い目が裕斗を見据える。

 どうやら、評価に値すると判断されたようだ。

 

「ふぐぅぅぅぅぅっ!! うぐぐぅぅぅぅぅっ!!!」

 

 口までロープで防がれている為、碌に声も出せないバルパー。

 更にそれをフリードが足蹴にしている為、身動きすらも出来ない。

 

「今回、フリードには密かに日本に隠れ潜んでいると言うバルパーの捕縛を依頼していたのだ。助かったぞ」

「いえいえ。ちゃんとバイト代は貰えるんすよね?」

「あぁ。指定の口座に振り込んでやる。今度の連休にでも彼女と一緒に旅行に行ってくると言い」

「マジあざーす!」

「フリードさん。時給はお幾らですか?」

「ん~? 危険手当も混みで1500円」

「それ、確実にコンビニのバイトよりも割りがいいですよね?」

「だぁ~ねぇ~。いい臨時収入になったぜ」

 

 実にいい笑顔で答えるフリード。

 真の意味で自由を手に入れた男の、本当の姿がそこにはあった。

 

「さて……と。お前達に今回の事に関して言う前に、まずはバルパーをどうするか……だが」

 

 ふと、コカビエルが結界の外を見る。

 

「そろそろアイツ等が来る頃だが……」

 

 その時、リアス達が入ってきた時と同じように結界が僅かに開き、そこから誰かが入ってきた。

 

「やっほ~。皆~お待たせ~」

 

 結界の中に千夏が手を振りながら入ってきたのはいいが、リアス達の視線は完全に別の場所に釘付けをなっている。

 

「お待たせ」

「「「「「誰――――――――――――――――――っ!?」」」」」

 

 千夏は、青いツナギを胸まで開けた謎の男の背におぶさっていた。

 なんとも爽やかな笑顔を見せる彼は誰なのか。

 まぁ……分かる奴には一瞬で分かると思うが。

 

 

  




                今回の黒歌



『確定申告、早くしないと大変だよ~! 殴るよ~!』
「なんで確定申告を忘れただけで殴られないといけないんだにゃ……」

 なんとも物騒なCMの後に、ニュースが流れる。

「うわ~。あの人、もう離婚しちゃったのかにゃ~」

 ニュースでは、とある芸能人夫婦が離婚した報道が映し出されていた。

「芸能人は、結婚するのも早いけど、離婚するのはもっと早いにゃ~。このまま行けば、そのうち本当に成田離婚とか有り得そうだにゃ」

 パリっとお煎餅を齧りながらニュースを眺める。
 その姿は完全に主婦そのものだった。

「結婚なんて安易にしていいもんじゃないと思うにゃ。やっぱ、本気で好きになった人と一緒になって、初めて女としての幸せがあると思うんだよにゃ~」

 と言ったところで、彼女の動きが止まる。

「結婚……か~……。私もいつか誰かと結婚とかするのかにゃ~……」

 まだ見ぬ婚約者を思い描きながら、黒歌の穏やかな昼下がりは過ぎていった。

歴代最愚の白龍皇のR-18見たい?

  • 是非とも見たい!!
  • 別にいいかな~
  • 千夏ちゃんは俺の嫁!
  • いつも千夏ちゃんでエロい妄想してます
  • よろしい、やりたまえ
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