ハイスクールD×D ~歴代最愚の白龍皇~ 作:とんこつラーメン
千夏の心情を少しだけ発露させる機会は儲けたいとは思っていたので。
本当に丁度いい機会でした。
ある意味で一石二鳥ですしね。
ミカエルさんとの話が一区切りついた頃に、姫島先輩達も話し終わったようで、かすかに聞こえてきていた怒号が静かになっていた。
「ふむ……。向こうもお話が終了したみたいですね」
「大丈夫かな~……」
「心配ですか?」
「一応は」
そこまで親しいって訳じゃないけど、先輩には色々とお世話になってるから、気になると言えば気になる。
「よかったら、様子を見てきたらいかがですか?」
「そうしたいですけど、ミカエルさんはどうするんですか?」
「私はもう少しゆっくりしていきたいと思います。久し振りに文字通り羽を伸ばせる機会ですから」
わっふい。背中から沢山の羽がバサッと出てきて、本当に伸び伸びとしているように見えた。
義父さんも言ってたけど、あの手の羽って思っている以上に凝るみたい。
時々マッサージでもしないと痛くなってしまうんだって。
「それじゃあ、お言葉に甘えて行ってこようかな」
「いってらっしゃい」
空気を読んで、静かに襖を開けて廊下に出ることに。
声からして、向こうだったよね……?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「「あ」」
廊下を歩いていると、向こうから疲れた顔の姫島先輩がやって来た。
私の顔を見るや否や、すぐに表情を戻して作り笑いをしてくれた。
うん。明らかに無理してますね。これ。
「もうお話は終わったんですの?」
「はい。そちらの方はどうだったんですか? なんか、こっちまで声が響いてましたけど」
「え? ご……ごめんなさい」
「気にしなくてもいいですよ。偶には大声を出したくなる時もありますよ」
「千夏ちゃんも?」
「勿論」
ゲームやアニメで興奮して大声を出す事なんて日常茶飯事だし。
「ねぇ……千夏ちゃん」
「なんですか?」
「少し……向こうに行かない?」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
私が先輩に案内されたのは、普段から姫島先輩が住居として使用している家で、その縁側に一緒に座っている……のはいいんだけど……。
「なんでこうなった?」
先輩は私の事を膝の上に乗せて、後ろからそっと抱きしめている。
これは前にグレモリー先輩がやった体勢と一緒。
どうやら、駒王学園の三年生女子は何かあれば誰かを膝の上に乗せる習慣があるようだ。
「あの……先輩」
「なにかしら?」
「先輩は、バラキエルさんと仲が悪いんですか?」
「え……? なんで千夏ちゃんがあの人の事を……」
「ミカエルさんが言ってました。姫島先輩はバラキエルさんの娘だって」
「そう……」
「それに、私個人でもバラキエルさんの事はよく知ってますから」
「そう言えば……千夏ちゃんのお義父さんは堕天使総督のアザゼルだったわね……」
「イエス」
私が知っているバラキエルさんは本当に優しい人で、何も知らなかった私に色んな事を教えてくれた。
コカビエルさんと並ぶ、私にとっての仲良しなおじさんポジな人。
それがバラキエルさんだった。
「ねぇ……私の話……聞いてくれる?」
「重い話系ですか?」
「そうね……。少しシリアスかも」
「う~ん……」
重い話か~……。
個人的には聞きたくない、っていうか苦手なんだけど、ここで聞いてあげないっていう外道な選択肢は選びたくないし、それによって先輩が悲しむのも嫌だ。
ここは我慢して聞いてあげましょう。
偶にはこの作品にもシリアスな要素が必要だろうし。
「私が堕天使の娘である話はしたわよね?」
「はい」
「正確には、堕天使と人間のハーフなの」
「ハーフ……」
前にオカ研には訳アリな人が多いとは言ったけど、姫島先輩も例外じゃなかったって事か。
吸血鬼と人間のハーフに堕天使と人間のハーフ。
このまま行けば、いずれ悪魔と人間のハーフとか、天使と人間のハーフとかも普通に登場しそうな勢いだね。
「とある神社の娘だった私の母は、ある時、境内で傷ついて倒れていた堕天使である父を見つけ介抱して、怪我が治るまでずっと傍にいたの」
「そこから愛が深まっていった的な?」
「その通りよ。よく分かったわね?」
「お約束な展開ですからね」
これまでに何回、そんな展開を見て来た事か。
数えきれないぐらいに使い回されてるよね。
「でも、それなら先輩にも堕天使の羽があるんですか?」
「えぇ。勿論あるわ」
少しだけ目を瞑ると、先輩の背中から悪魔の羽と堕天使の羽が同時に出てきた。
どこぞの神になろうとした道化師みたいだけど、ここは空気を読んで何も言いません。
「最初はね、この翼が嫌でリアスの誘いに乗って転生悪魔になったんだけど……」
「後悔してるんですか?」
「どうかしらね……。自分でもよく分からない。ううん、正確には分からなくなってしまった……が正しいかな」
「分からなくなった?」
「あの人……父と話してね……」
コカビエルさんが言ってたっけ。
自分の本当の気持ちを吐露しないと、いつかダメになる的な事を。
なんとなく、それは理解出来るんだよね。
言いたい事はちゃんと言わなきゃ伝わらないんだよポイズン。
「私は嬉しいけどな。姫島先輩が堕天使の羽を持っている事が」
「な……なんで?」
「ほら、私ってば堕天使に育てられたから」
「あ………」
今もそうだけど、この黒い羽を見ていると安心するって言うか、落ち着くんだよね。
こんなの私だけかもだけど。
「なんつーか……今まで以上に親しみが沸いたかな? 私にとって、堕天使の皆って家族みたいなもんだし」
「家族……」
そりゃ、最初は私が人間だって理由で嫌な顔をした堕天使もいたよ?
でも、その人達とも時が過ぎていく内に仲良くなっていったし。
今では、グリゴリにいる堕天使全員が私の家族だよ。
「そうなると、先輩は私にとっての『お姉ちゃん』になるのかな?」
「ふふ……こんなに可愛い妹なら、私は大歓迎ですわ」
「それじゃあ、試しに呼んでみましょうか?」
「へ?」
くるりと後ろを向いて、先輩の顔を見てから一言。
「朱乃お姉ちゃん♡ 大好き♡」
「!!!!!」
ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
おい……なんだこの効果音は。
まるで第一部のディオ様がエリナに無理矢理キスした時のような効果音を出しやがって。
別に誰にも痺れてないし、憧れもしてないでしょうよ。
「こ……これは強烈ね……。ちょっとだけリアスの気持ちが理解出来ちゃったわ……」
何が?
このままの体勢は辛いので、さっきの位置に戻る事に。
先輩の顔が真っ赤になっていたけど、気にしないでおこう。
「いつの日か私が一人前の白龍皇になったら、義父さんやコカビエルさん、他にも色んな堕天使の人達に恩返しをしたいと思ってるんですよ」
「恩返し……」
「私に出来る事なんてたかが知れてるのは分かってるんだけど、それでも何かしたいんです。空虚な人形だった私を『ヒト』にしてくれたのは、義父さん達だったから……」
文字通り何も無い、動くだけの存在だった私に『生きる意味』を与えてくれた。
この恩はきっと一生掛かっても返せないと思う。
それでも、この感謝の気持ちだけは伝えたい。
「なんて、気恥ずかしくて義父さん達の前では言えないんですけどね」
「千夏ちゃん……」
「わぷ」
急に腕を体に回してギュッと抱きしめてきた?
「アナタって子は……どこまで……」
「???」
え? え? なんか感動的なシーンに出てくるエフェクトが回りにあるんだけど?
や……やばい! このままでは、この作品の法則が乱れる!!
アルマゲスト!! グランドクロ~ス!!
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
千夏と朱乃がいる場所から少し離れた所に、ミカエルがスマホを持った状態で静かに佇んでいた。
「……だ、そうですよ。お三方」
「『『…………』』」
ミカエルの隣には、先程まで朱乃と話していたバラキエルが。
スマホの通話先にはアザゼルとコカビエルが話を聞いていた。
「本当に……素晴らしい御息女を持ちましたね。アザゼル」
『あ……当たり前じゃねぇか! この俺の自慢の娘だぞ! 最高に決まってるだろうが!』
『千夏の奴め……言うようになりよって……』
『コカビエル……泣いてんのか?』
『泣いとらんわ! お前こそ泣いてるんじゃないのか?』
『ち……ちげーし! これは目から汗が出てるだけだっつーの!』
『ジャイアンみたいな言い訳をするな』
そんなやり取りがスマホの向こうで繰り広げられている中、バラキエルも静かに泣いていた。
「まさか……あの子が恩返しなんて考えていたとはな……」
「意外ですか?」
「いや……。寧ろ、私は素直に感動しているよ……。あの虚ろな目をした少女が、ここまで明るくなってくれたことに……」
「当時の事は私も窺っています。本当に酷かったそうですね……」
「あぁ……。一体何をどうすれば、年端もいかない少女の身も心もズタボロに出来るのか、未だに微塵も理解出来ない……」
昔の事を思い出したのか、バラキエルは力強く拳を握りしめた。
「ご自身の娘さんとはどうだったのですか?」
「色々と言われましたよ。『なんであの時、助けに来てくれなかったのか』とか……」
「そうですか……」
「でも、今までずっと碌に会話すらも無かったことに比べると大きな前進です。機会を作ってくれたコカビエルには感謝しかない……」
「最近の彼は戦争中の頃とは打って変わって他者の世話をしていますからね。私も久し振りに見た時は驚きました」
「私もですよ。しかし、彼がいてくれたからこそ、千夏君も健やかに成長できたと思う」
「ですね……。彼女に関しては、誰が欠けてもダメだったでしょう。皆がいてくれたからこそ、今の千夏さんがあるのだと思います」
未だに通話先で言い合っている親バカ二人を放置して通話を切り、スマホを懐に仕舞う。
(今は亡き神よ……感謝いたします。あんなにも心優しい少女を現代の白龍皇にしてくださったことを。戦いばかりをしてきた歴代の者達からすれば、戦いを否定する千夏さんは『歴代最愚の白龍皇』かもしれませんが、私達の考えは違う。間違いなく、千夏さんは今までで最も優しい『歴代最優の白龍皇』になってくれるでしょう……)
涅槃へと旅立った聖書の神へと静かに祈りを捧げながら、ミカエルは楽しそうに話を続ける二人の少女達を見守った。
・・・・・
・・・・
・・・
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・
「それじゃあ、また明日~」
「気を付けて帰ってくださいね」
またもや飛行形態になったセグウェイに乗って階段を下りて行く千夏を、朱乃とミカエルは手を振りながら見送った。
千夏の姿が完全に見えなくなった頃、バラキエルがタイミングを計ったかのように登場した。
「朱乃……」
「なんですか?」
その言葉には未だに棘があるように思えるが、会話が成立しているだけでも遥かにマシだった。
「その……千夏君とは仲がいいのか?」
「えぇ。千夏ちゃんは同じ部の後輩ですし、それに……」
「それに?」
「私の、大切な『妹』ですから」
「…………そうか」
自分の方を向きながら微笑む娘の顔を見て安心したのか、バラキエルは急に語りだした。
「今のあの子に必要なのは、同年代の『友』だ。出来ればこれからも、あの子とは仲良くしてあげてくれ」
「アナタに言われるまでもありませんわ」
「だろうな」
会話をする親子を見て、頃合いかなと思ったミカエルは、二人に簡単な別れを告げて光と共に去っていった。
残されたのは、なんとも気まずい空気を醸し出す親子二人のみ。
「そう言えば、千夏ちゃんが小さな頃にお世話をしていた時があったと伺いましたけど?」
「う……うむ……。アザゼルが忙しい時などは、よく一緒にいてあげたな」
「そう………」
会話終了。
これでマシな方なのだから、今までがどんな状態だったのか安易に想像出来る。
「初めて会った頃の千夏君は、
「何も……?」
「あぁ。だからだろうか……私もアザゼルもコカビエルも、彼女を放っておく事なんて到底出来なかった」
何かを悔やみながら目を閉じるバラキエル。
その脳裏には何を思い浮かべているのか。
「だから頼む……。千夏君の傍にいて、支えてあげてくれ。平気そうに見えるかもしれないが、あの子の心は想像以上に……脆い」
「………………」
先程の返事と同様に、心の中で『言われるまでも無い』と思った。
自分の事を『姉』と呼んで笑顔を見せてくれた少女の心を守りたい。
生まれて初めて、朱乃の中に『庇護の心』が芽生えた瞬間だった。
「今日は……泊まっていくのでしょう?」
「私はそうしたいが……いいのか?」
「いいもなにも、ここは『お父さん』の家でもあるでしょう?」
「そ……そうか! そうだな!」
恥ずかしそうにそっぽを向きながら歩いて行く娘の背中を追いかけながら、空の向こうで見守ってくれている妻に向かって思いを馳せた父であった。
まさかのここでタイトル回収!
不自然じゃなかったでしょうか……?
ちょっとハラハラドキドキしてます。
歴代最愚の白龍皇のR-18見たい?
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是非とも見たい!!
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別にいいかな~
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千夏ちゃんは俺の嫁!
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いつも千夏ちゃんでエロい妄想してます
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よろしい、やりたまえ