主人公の名前誤植してました。
れいなちゃん 花咲川3年♀ マジシャン
二期時空(仮)
花咲川女子学園高校には、年に数回部活動の監査がある。部費として毎年、少なくはない額を渡しているので、変な物を買って部室に置いていないかとか、ちゃんと活動しているのかとかを生徒会の人達が見に来る。
そして毎年、部活動側は不都合な物を隠したり、贈賄もどきで誤魔化したり、監査に来る人を籠絡したり頑張っている。
科学部のりんねちゃんはこの前試験管爆弾を作ったって言ってたしどうするんだろ。消費し尽くすのかな。
古物部のかほちゃんは今年も刀(真剣)を床下に隠すらしい。維持費の捻出も頑張ってたなぁ。
文芸部のあやかちゃんは…最近氷川さんといい感じだし燐子ちゃんも「利用者」なのでなんとかなるだろう。
うちは…奇術部は、ナイフ投げに使うナイフが怒られるかもしれない。まあ隠すのは専門分野なので心配するほどのことではない。
準備もできてるので、もういつ来てくれてもいいんだけど。
用意していたトランプを指先で撫でて待っていると、扉を控えめに叩く音がした。
「…あの、白金です、来ました」
「いいよ、入ってー」
聞こえた声に嬉しくなった。
「さあどうぞ、お席に」
扉から入ってきた燐子ちゃんは、少し体を小さくしながら事前に準備していたイスに座った。
机を挟んで、私の反対側。
私は持っていた1組のトランプを広げる。
「ジョーカーを抜いた52枚、確認を」
机の上のカードに燐子ちゃんは視線を投げた。見てはいるけど特に何かを思った風はない。
広げたカードを集めて纏めて、念入りに混ぜる。混ぜたカードを今度は逆向きで机の上に広げた。
「定番だね。1枚選んで覚えてくれる?」
「は、はい」
燐子ちゃんは端っこのカードを1枚つまみ、静かに捲って見た。
「覚えたなら…適当な位置に戻してちょうだい」
カードの中に、燐子ちゃんが選んだ1枚が戻る。今度も念入りに…ではなく練習した通りにカードを動かす。ここで失敗するとつまんないから注意深く。
「さて、よく混ぜました、と。この中から1枚、当ててみせましょう」
燐子ちゃんは私の手元と顔の間を、1度だけ視線でなぞった。
「1回燐子ちゃんが触ったから、いい匂いがするんだよね。この辺りの…コレかな?」
匂いを嗅ぐフリをしてから束の底から1枚引き抜いてみせる。ダイヤのマークの2だ。
しかし燐子ちゃんの表情はよろしくない。それもそのはず、コレはさっき燐子ちゃんが選んだものとは違うはずだ。
「あ、あの」
「あれ?どこかでやり方まずったかな?…どこ行ったんだろ、燐子ちゃんのハートのQ」
呟いた声に、燐子ちゃんは言いかけた言葉を飲み込んだ。
燐子ちゃんにも見えるように、机の上に51枚のトランプを広げた。
「ーーいないね。どこかに隠れちゃったのかな?恥ずかしがり屋さんめ」
51枚をポケットに突っ込んで席から立ち上がって、辺りを見回す姿を見せつける。
「いい匂いはするんだけど…燐子ちゃんも一緒に探す?」
座っている燐子ちゃんに片手を差し出した。
その片手に燐子ちゃんのものが重なり、握って引くと、想像より軽い。
燐子ちゃんと、わずかな時間の間のマジック兼監査ツアー。
まずはと壁際のロッカーに連れていく。
「ここには…いなさそうかも?」
並んだ金属製の扉を開く。
「ここはカバンを入れたり、時々中に入ったり…でもお姫様はいないね。燐子ちゃんはどこか見たいところある?」
「えっと…あのダンボールには何が?」
「これ?コレはね、」
箱の中から適当に、詰め込んだ手品グッズを取り出す。
「部費で買った色々だね。例えばこのステッキ、ちょっと持ってみて?」
燐子ちゃんの手に30cmほどのステッキを握らせる。先の方を強めに叩くと、先から赤い造花のバラがわっと咲いた。燐子ちゃんの顔も笑顔になる。
再使用にはいくらか整備が必要なのでするっと袖の中にしまって、今度は小さなケースとサイコロを1つ取り出す。
「こっちはサイコロが増えるマジックだね。中に1個、サイコロを入れて振ると…」
カラカラと鳴っていた音が、1つ分から2つ分へと密度が上がる。中身をひっくり返すと先程より小さなサイコロが2つ出てきた。
「ああ、一応危ないものは入ってないよ。それにお姫様はここにもいないみたい。他に隠れられそうな場所もないし…燐子ちゃんはどうやったら出てきてくれると思う?」
燐子ちゃんは、考え込むような素振りを見せた。
「れいなちゃんが指を鳴らせば出てくる、…とか」
「そっか、じゃあやってみよう」
左手を開いてお皿のように上に向ける。
「3、2、1、
ぱちん
Qのカードは出てこない。
「私は魔法使いじゃない。仕込みがないとできないから、見えないところでコソコソ種を仕込んでおくんだ。ちょっとずるく感じるかもしれない。でも。」
ポケットの中の51枚に抜き取って袖に隠していた1枚をこっそり重ね、天井に向けて放る。
雨のように散るカードの中から1枚、2本の指で、自分の力で。
カードを1枚掴み取ってみせる。
「私は、見る人に幸せを届けてみせよう」
燐子ちゃんに柄を見せつけるようにしながらカードに唇を当てる。
さっき袖に突っ込んだバラを取り出して、
カードと共に、彼女に捧げる。
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「ほら、こうやってシャッフルの仕方を変える瞬間に、いい感じに袖の中に入れといて、」
「カードの位置は…?」
「この時に束の枚数測ってるんだよ。マジシャンは指先でカードが何枚かわかる生き物なんだって」
「なら、抜いた後なら私が混ぜても?」
「人間って手の届く範囲は警戒心が特に強いんだよ。よく手を使ってる燐子ちゃんならなおさら?仕掛けとして成立はするけどあんまり触って欲しくはないかな」
せっせとトランプを拾い集め、Qとバラも返してもらってからさっきのイスに座り、このQが辿った道筋をもう一度示して見せた。
「袖の中以外はどんなところに隠すんですか?」
「この制服じゃできないけど胸ポケットはさりげなく手をもっていきやすいかな?コインぐらいのサイズだったらこうやってうまいこと挟んで持ってるけど持てないように見せたり」
袖の中からジュースのお釣りの10円玉を取り出して、手の中で弄ぶ。ちょいっと消したように見せると感嘆の声が聞こえた。
「…カバンがなくてもいっぱい持てそうですね」
「バレるバレないを気にしなければまあまあ入るかな?夏場とかに袖ある服着てると暑くて仕方ないんだけどね」
袖の中からさっき燐子ちゃんが使ったステッキも取り出して、一度咲いた赤いバラをカチャカチャ再装填する。
じっと私の手元を見つめていた燐子ちゃんが、タイミングを伺うようにしながら声をかけてきた。
「指、綺麗だね」
「それ燐子ちゃんが言う?」
調整を終えたステッキは机の上に置いて、自分の手のひらと燐子ちゃんの指先を見た。
「燐子ちゃんの指も綺麗だよ。…コレが資本なんだから私も燐子ちゃんも手入れはちゃんとしてるし、多分しなやかさがいるのも同じでしょ?」
燐子ちゃんに握手を求めて手を差し出した。先程と同じように、おずおずと伸びてきた手が重なる。白い指に自分のものを絡めてみたり。
この雰囲気、イケるのでは?と思って燐子ちゃんの目をじっと見つめる。
そっと唇を寄せてみたりして…
「だめです」
ふいっと顔を背けられた。
「だめ?」
「だめです」
「そっか」
燐子ちゃんから離れて自分の鞄に手を伸ばす。
「私ね、飴玉が好きなんだ」
そう言いながら鞄の中からコンビニの袋を取り出して、その中に手をつっこんで、
「今日コンビニで買い物したとき、いつも買ってる飴が何かとコラボしてたみたいでね」
燐子ちゃんの表情がまた揺らぐ。私が用意した仕込みに気づいたようだった。
「Neo Fantasy Online ゲーム内限定アイテム引き換えコード、もらえるコードは店舗で、ランダムで何種類かのうちから渡されるんだって。種類が多くてなかなか目当てのものを当てられないと話題。このコードは…ウィザード用装備?」
薄い透明なパッケージに包まれたカードをゆらゆらと振ってみせる。
自分の唇に人差し指を当て、ちゅっと燐子ちゃんに向かって飛ばす。
燐子ちゃんにはガードされてしまったが…
「さあ、ここで指を鳴らすと」
ぱちん
「カードが増えました。なになに、コレは…ネクロマンサー用装備」
「ください」
燐子ちゃんの口から欲望が転がり出る。
「いいよ、あげる」
2枚のカードをまとめて、彼女の手に握らせる。
そのままの流れで燐子ちゃんの肩に手を置き、顔を近づけて、
「…いいとは言ってませんよ」
燐子ちゃんは身を引いた。
「…受け取ったのに?」
「約束はしてませんから」
呟いて、燐子ちゃんは笑った。
「ずるいなぁ」
私は燐子ちゃんに向けて言った。
「いつか、私が幸せにしてみせるから」
短め
近頃文字で遊ぶ時間がない
長め
溜まってます。書きかけの原稿が。
燐子ちゃんの幼馴染、燐子ちゃんの妹、紗夜さんのストーカー、日菜ちゃんの仲間、紗夜さんの友達。今回ちょろっと出したりんねちゃんとかほちゃん。さよひなが2つぐらい。
時間とやる気が欲しい。
今月頑張れてもう一個になりそう
蛇足
Pixivの方で、艦娘夢小説合同なるものに参加させていただきました。
『艦これの登場キャラが書いた文章』というていで書いた文字を投稿してハアハアしましょうみたいな企画だったんですが、『日頃から文字を書かないキャラ』が書いた文字を意識しすぎて、読み物としての性能が低いまま完成してしまい。
リベンジみたいな感じで、ポエム風リサ姉様ノートでも書こうか思案中。