設定をあんまりよく知らないからごまかしながら書いたらわかりにくくなったような気が。
紗夜さんってピック弾きです?
日菜が死んだ。
私の目の前で死んだ。
自動車に轢かれて死んだ。
一目見て、もう助からないとわかる程だった。
死の間際に、日菜が私を呼んだ。
顔を近づけると、そっと唇を奪われた。
なかなか、今までの人生で感じたことのない感覚だった。
お気に入りの髪留めを失くしてしまった時や、使い込んでいたシャープペンシルを折ってしまった時。そんな感覚。
存外に早く立ち直れたと思っている。
日頃から、こうするべきだとか、これはしてはいけないとか、規範だとか、そういう事を考えて生活していたから、それに従って行動すればいつも通りを取り戻すことはできた。
日菜のように毎日を感情で生きていればちがったのだろうけれど。
ただ、ギターだけは上手くいかなかった。
聞くに耐えない音……というわけではない。むしろギター単体で聞けばいい音だと思う。
でも、Roseliaの音には合わない。
それに、どこかで聞いた音な気がして仕方がない。
何度か音を合わせてもその違和感が拭えなくて、休憩時間を貰って知っている限りの曲をなぞってみた。
ツインギターにアレンジされた『きらきら星』を弾いて。
やっと気づいた。
弦を1本、摘んでそのままはじいた。
気の抜けた音がする。
もう一度。
ぎこちないけれど、優しい音。
日の光のような元気な音で。
これは私の音じゃない。
「……ひな、日菜っ…!」
溢れ出た涙が手首を伝ってギターに流れ落ちる。
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スタジオを借りている時間いっぱい泣いてしまった。
宇田川さんと白金さんは泣いている私を見て右往左往していたし、湊さんも涙を流していたのだと思う。今井さんは他の3人を上手くとりなしてくれていた。
時間になっても、次の練習の話をする空気ではなかった。
今井さんがお金を払ってくれて、いつも通り別れるまでは日菜が死んでしまったことを認識した悲しみでいっぱいだった。
一人で家への帰り道を辿り始めると、次第に日菜への黒い感情が積もり始めた。
死んでまで、私の邪魔をするのかと。
そんなに未練があるのか。
私の中に、私の音を潰してまで自分を残して。
今日も貴女の音が残っているせいでRoseliaに迷惑をかけてしまった。
正常でない思考はおかしな方にねじれていく。
今すぐ家に帰って日菜の部屋に置いてあるギターを叩き割りたい。
粉々にして、日菜の音があった痕跡をなくしてしまえば、私の中からも日菜の音が消えるかもしれない。
そうすれば、私の中に残った日菜は私の中から消えて……
「…紗夜さん」
そこで呼ばれた。
白鷺さんがいた。
話を聞くと、どうやら明日、Pastel*Palettesのライブがあるらしい。
日菜の欠けたギター。それを空けたままライブをするそうだ。
それを聞いて、日菜がまだ私の中に留まっている理由がわかった。
「ー日菜、ちゃんと言いなさいっていつも…貴女はまたそうやって…」
日菜が何かすることは嫌がらせではないとわかっていたはずなのに。
日菜が私にまだ残っているのは、私じゃないとできないことがあるからだ。
私はまた貴女に取り返しのつかないことをするところだったわ。
「…白鷺さんは、妹が死んだばかりの人にそんな話をするような人ではないと思っていたのですが」
「…日菜ちゃんがいたら、きっとお姉さんを呼びたがるだろうと思ったから」
確かにそうだ。
前の日菜ならそうだ。
でも今の日菜は違う。
「白鷺さん、明日のライブの日菜の譜面はありますか?」
「…紗夜さん?」
白鷺さんが怪訝な顔をする。
「私が日菜の代わりに出ます。……なんとかしてもらえないでしょうか」
私に伝えたいことなら、いくらでも残せる。現に日菜の音が残っていて、私には日菜のやりたいことが伝わっている。
日菜がその思いを伝えたいのはもっと大多数の人。
アイドルとして活動していた日菜なら、きっと、
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無理を言って段取りを整えてもらって、日菜のギターと衣装で立ったステージ。
センターに置かれたマイクの前に立った。
丸山さんには悪いが、今日だけは譲ってもらった。
お客さんを見回してみると、客層が違うからか、それとも私が立っているからか。Roseliaの時とは違う雰囲気。
「…こんにちは。日菜の姉の、氷川紗夜です」
マイクに声を通すと、ざわついていた声も小さくなる。
「私を知っている方も多いのでしょうか?私はあまり日菜の出ているテレビを観ることはありませんでしたが、姉好きなのが有名になるのなら結構な頻度で私の話をしていたのでしょうか」
私はRoseliaのライブではあまり喋らない。そもそもそういうバンドではないし、喋るとしても今井さんか湊さん。
でも、迷いや緊張はなかった。
むしろ、気持ちが昂ぶってくるくらい。
「今日なぜ私がここにいるのか。…という話を。先日、日菜は死にました。ニュースにもなって、事務所からも発表があったはずです。今日限りで、日菜は引退という形を取ります。でも、」
『あたし、辛気臭いの好きじゃないから』
会場が大きくざわめいた。
後ろの、パスパレのみんなも驚いている。
だって今、おねーちゃんじゃなくて日菜にしか見えてないだろうから。
『今日はね、おねーちゃんの体を借りて最後のライブ。このライブが終わったら、パスパレとしての氷川日菜は終わり。だからみんな、』
手に馴染むギターをぎゅいーんとかき鳴らした。
『今日はいっぱいるんってして行ってね‼︎』
昨日の夜、あたしのギターを持ちながら一通り見せてくれた弾いたことがない曲の譜面。
それのイントロを奏でる。
慌ててイヴちゃんがキーボードを鳴らす。
日菜なら、一度見ただけでも大丈夫でしょう?なんて。
おねーちゃんに言われたら、もう最高の演奏するしかないじゃん‼︎
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最後の一小節を弾ききって、余韻を響かせて。
わーっと拍手と歓声があがる。
『みんなどうだった?楽しかった?るんってした?……これで、終わり!もしおねーちゃんの気が向いたらファンサービスとかしてくれるかもしれないけど、私は今日でPastel*Palettesを引退します。…言いたいことはいっぱいあるんだけど、1つだけは絶対に言いたかったんだ。
みんな、ありがとう‼︎じゃあね、ばいばい‼︎」
これでもう、ほんとにおしまい。
私はそのまま目を閉じて、ふらふらーっとして、
ふらついた体を立て直す。
もう一度マイクを手にして、日菜の引退を惜しんでくれている人たちに語りかける。
「いかがでしたでしょうか。日菜もとっても喜んでいます。…日菜は、自慢の妹です。日菜はいなくなってしまって新しいギターさんを募集することになると思いますが………もしよろしければ、日菜が好きだったPastel*Palettesを、これからもどうぞよろしくお願いします」
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数日後今井さんから、いつものスタジオで練習をしているので来る元気があるなら来て欲しいと、そういう旨のメッセージが届いた。
いつものギターを背負ってスタジオへ向かう。
スタジオの部屋の扉を静かに扉を開けると、4人は演奏の途中だった。
私に気づいて笑顔を向けてくれて、私に見せつけるようにサビを奏でた。
「紗夜、パスパレのライブ見たよ!」
「紗夜さん本当にすごかったです!」
「これで、日菜ちゃんも…」
「素敵だったわ。…さあ紗夜、覚悟は出来たかしら?」
「ええ、もちろん」
ギターの準備をして、少しだけ悪戯心が湧いて、数小節だけ『日菜の音』で奏でた。
宇田川さんと白金さんは驚いたように、今井さんは悲しそうな顔を。湊さんは微妙な表情を見せる。
「…冗談ですよ」
すぐに、『私の音』でもう一度弾き直す。
日菜の音はまだ私の中に残っているけれど、もう私の音を押しつぶすほど主張はしていない。
わかりにくいので説明すると、日菜ちゃんが紗夜ちゃんに、託した音で自分の思いをファンの皆さんに伝えてもらうって話。
…余計わからねえ。
Roseliaとさよひなの感覚は掴めてると思うけど設定とかそれ以外とかまだまだなんでしっかり勉強しますね。
次こそは死ネタ以外。
一応日菜ちゃん(猫)の構想とりんあこの設定があるのでそのあたり
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唐突な自分語り
艦これも書いてるって話しましたけどそっちで推してるのが村雨(お姉ちゃん)と夕立(妹)の双子カプなんですよね。
双子が好きなのかなーとも思うけどどっち書いてるときも双子って言葉に興奮してるわけではないのでよくわかりません。
村雨ちゃんと夕立ちゃんは
存在するのが当たり前で仲良しなのが当たり前。好き好き大好き
みたいに書いてるんですけど
紗夜ちゃんと日菜ちゃんは
すれ違いとか、それを基盤にした初心な感じとか、あるいは姉妹間での感情の温度差とかそういう所に魅力があるのかなって。
もちろんべたべた甘いさよひなも好きですが。