こんな感じの夢見て書きたいって思ってさよひなでなぞったけど文字数足りなかったんで複合。
あたしはここにいた。それに何の疑問もなかった。
広くなった気がする家を駆け回る。
楽しかったことは覚えている。
しばらくすると、だれかがいた。
だれかはわからなかった。
その人はどこかへ走って行く。
追いかけた。
追いつけなかった。
「まって」と呼び止めようとした。
名前を呼ぼうとした。
死んでしまうと思った。
だれだかわからなかった。
あたしは名前を呼んだ。
なんて呼んだかわからなかった。
止めないとと思った。
行ってほしくなかった。
死んでほしくなかった。
私は、名前を呼んだ。
あたしはその人を呼んだ。
おねーちゃんと呼んだ。
行かないでと叫んだ。
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目が覚めた。
ソファーに座っていたはずなのに、いつのまにか座面に倒れ込んでいた。
汗をかいていた。枕がわりに額にしいていた腕や、胸元がしめっている。
つけたままだったはずのテレビの画面は黒くなっていた。音も聞こえない。
おねーちゃんがいた。何かに伸ばしたあたしの手を握ってくれていた。
あたしのことを案じるような表情で。少しこまった目でしっかりと。あたしをみつめてくれていた。
はいずるように、にじり寄った。
おねーちゃんのお腹に顔をうめた。
離れまいと、手をまわす。
顔に触れた布になにかが染み込んだ。涙だった。
ぬくもりが触れる。それはあたしの頭に届いて、やさしく撫でさすってくれて
「ーしかたないわね」
その声を、ずっと聞きたかった
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「…どうしたものか」
ふざけてそんなセリフを吐いてみた。
今、私は授業を1つサボっている。数学や地質学のようないわゆる『学問』とは違った、まあ色々なことを学びましょう、といった感じの授業。週に一度あって、今日は「親」についてのペアワークだった。
5と6限目を使ってやるらしく、贅沢な時間の使い方だなーと思いつつお昼を食べたらすぐカバンを掴んで屋上に逃げたのだ。
まあ諸事情あって、今回だけサボって次回からはちゃんと受けるつもりでいた。
風はおだやかで日差しも柔らかく、太陽に照らされたコンクリートはぬくぬくしていて。せっかくだしお昼寝でもしようと。
スマホで授業が終わるくらいの時間にアラームをせっとして、mp3プレイヤーから伸びたコードを耳に突っ込んで、初夏の空にふわふわうとうとして、めをひらくと。
冷たい視線の氷川さんがいた。
手にはプリントを何枚か握っていた。
ペアワークなので一人ではできない。一人でいるのも居心地が悪かったらしい。風紀委員さんが授業を抜けてくるのはどうかと思ったが気にしない。
持っていたのは、授業で配布された二人分のプリントだった。
「私ね、親いないんだよ」
めんどくさい話をしたくなかったので、初手から切り札をとっとと晒す。
「名前とか、やってた仕事とか、他の人から聞けるようなことしか知らなくてね。今回のテーマだけはちょっと…ね」
「…それは」
それを聞いた氷川さんは申し訳なさそうな顔をする。
「…そんな表情やめてよ。文字通り、親の顔より見た。もう飽きたよ。…私はただ授業をサボっただけ」
言葉を吐き捨てた後に、もう顔を見なくていいように氷川さんを隣に座らせた。視線の先は穏やかな町並み。
「ちょうどいいや、おひざかしてよ」
面倒くさい。もう会話もしたくない。
返事を待たずに隣のスカートへ倒れ込んだ。
「ただの独り言なんだけどね、私のお母さん、さよって名前だったんだ」
上を向くと、きらきら輝いて、揺れて、まぶしくて、目を閉じた。
口元に笑みを浮かべた。
突然優しかった風が一瞬だけ牙を剥き、バサバサと髪を散らした。
それをととのえるように、何かが私の頭に触れた。
ぽかぽかあたたかい。
柔らかかった。
「…もういいよ、ありがと」
そう伝えて立ち上がった。
「授業戻る?まだ1時間あるよね。やっぱり出席くらいはー
掴まれた。捕まった。引き戻される。
暖かい。
「……勘違い、するよ?」
「…1時間だけなら」
温かかった。とても。
紗夜さんに許してもらいたいシリーズ