バンドリ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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オリキャラ

坂崎葵  ♀ 氷川さんと同学年 視点
坂崎もも ♀ 葵と双子






となりのきみはもういない (紗夜+燐子+オリ 死ネタ)

誰にでも、大切なものが存在すると思う。引き出しの中にしまっておいて何かあったときに眺めたり、肌身離さず身に着けていたり、無意識のうちに執着を抱いていることもある。

 

私は、今は赤と青の、ペアになった安物のリングが大切なものになっている。私が通っている花咲川女子学園の高等部では装飾品はいけないことになっているのだが、「ネックレスチェーンに通して制服とインナーの間の空間に入れておけば案外バレない」と別の学校のリサちゃんが教えてくれたので、ならって私もそうしている。

リサちゃんに比べてクッション性と隙間が足りないのでしっかり見ると服に何かの跡が浮いているのがバレるけど、私立の女子高で服の中身まで見つけて怒ってくる人はいなかった。

 

今までは。

 

いやあ、なんで突然バレたんだろって感じで緑の髪をした風紀委員さんにバレてしまった。

こいつを没収ということはなかったが、放課後お説教だそう。

ああ自業自得。無念かな。

 

 

 

 

 

 

「いや待って氷川さん、言いたいことはわかる。でも私も反省してるし、重ねて怒ると私の反骨精神を煽っていけないと思うんだよ」

 

「校則違反で呼び出されてひとことめがそれなら言葉遣いにいついて話しましょうか?それとも礼儀?」

 

私が呼ばれたのは生徒会の部屋だった。部屋の中には端っこで書類の整理をしている黒い会長様と、件の風紀委員さんがいる。

 

風紀委員に呼ばれたはずなのに生徒会から怒られるのは、生徒会が軽度な罰則を科すことができる点から考えると非常にずるい気がするが、紗夜さん生徒会も兼任してるんだもん。正しいがずるい。紗夜さんずるい

 

「氷川さんもほら、忙しいんじゃない?そこの白金さんのお手伝いとか、気が弱そうだし氷川さんが支えてあげないと」

 

「白金さんの気が弱いこととあなたの口が減らないことは関係ないでしょう。貴女のせいで私も忙しくなっているんですから早くしてください」

 

私が燐子ちゃんの名前を出すと、彼女は書類に目を向けたままびくっと震えた。紗夜さんの言葉を聞くとダメージを受けたキャラクターのようにやられモーションをとる。

 

「んー紗夜さんや、今の言葉はちょっと言いすぎじゃない?」

 

「あなたになら別にいいでしょう」

 

「私になら、いいんだけどね…」

 

私も心はそんなに強くないのでよくわかる。自分に向けられた言葉じゃないのは文脈からわかっても、すっごく自分が責められてるように感じること、あるよね。

 

私の視線の先で、書類をどけて机につっぷした燐子ちゃんがふるふる震えている。

 

「大丈夫だよ燐子ちゃん、あのお姉ちゃん、燐子ちゃんには怒ってないからねー」

 

ドアの前からどこに行ったらいいのかわからなかったから突っ立ってたけど、ちょうどいい機会なので燐子ちゃんの隣に行く。

あやすような声で燐子ちゃんを撫でると、泣きそうなフリをした燐子ちゃんが私の胸に飛び込んでくる。

 

「あの緑のおねえちゃん、こわい…」

 

ほんと燐子ちゃんもしたたかになったよね。

よしよーしと頭を抱え込むと、きっと胸元の感触が違ったのに気づいたんだろう。燐子ちゃんが顔を上げて、紗夜さんのほうを気にしながら何か言いたそうにしている。

 

ポケットから話の種になったチェーンつきのリングを取り出す。

 

「怖いお姉ちゃんがね、つけてたらダメ!って言うの。燐子ちゃんは見逃してくれてるのに」

 

ひどい人だよねーっというと、校則破ってるのは葵さんなので、と。あ、はい、そうですよねゴメンナサイ。

 

「で、なんで私呼ばれたの?悪いコトしたの私だから仕方ないけど、もしホントにお説教だけなら、今日はちょっと勘弁してほしいかなーって」

 

今日は、学校が終わったらある場所に行くつもりだったのだ。燐子ちゃんとの寸劇を傍観していた紗夜さんに柔らかくお伺いを立ててみる。

 

「…奉仕活動、と言って生徒会業務を少しだけ手伝ってもらおうとしていました。ですが、用事があるのなら…」

 

「ああ、いいの。ちょっとくらいなら遅くなってもいいし…そうだ、終わったら付き合ってくれない?にぎやかなほうが都合いいんだよ」

 

「私はいいですが…何を?」

 

「お墓参りのついでに、ちょっとお掃除するんだ」

 

燐子ちゃんの横にあるファイルから帳簿を抜き取って、パラパラとめくった。先月チェックした次のページから計算ミスがないか確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、妹さん元気にしてる?日菜ちゃん」

 

「はい、毎日楽しそうです」

 

「それはいいことだ。テレビでも活躍してるみたいだね」

 

資料整理が終わって、燐子ちゃんは用事があって付き合えないとのこと。紗夜さんは律義にもついてきてくれた。

 

校門を出てすぐポケットからリングを取り出して首から下げるが、ちょっと渋そうな顔をしただけだった。

 

学校から徒歩圏内に、墓地がある。私たちはそこへ向かった。

 

途中のスーパーの端っこで榊と裂きイカを入手した。

 

 

お墓には、お参りに来た人が使っていいですよ、とバケツやたわし、水道も通ってる。紗夜さんにたわしとレジ袋を持ってもらって、私はバケツいっぱいにお水を入れた。

 

端っこのほう、比較的新しい区画に、『坂崎家之墓』と彫られた墓石がある。私はその前で止まった。

 

「…や、やっほー、ひさしぶりっ」

 

隣にだれかいたら、虚勢でもなんとか元気にふるまえるかなと思ったけど。

 

「…ごめん、まだちょっと、ダメ、だね。ふるえちゃう」

 

墓石の角に指を添わせてみる。

 

となりのきみはもういない

 

隣にだれかがいることも気にせずに、私は泣いてしまった。

 

 

 

 

 

おそるおそる紗夜さんが触れてくれなければ、私はきっと日が暮れるまで泣いていただろう。

 

「…ごめんね、紗夜さん」

 

カバンの中から、マグカップ大くらいの如雨露を取り出した。バケツからひしゃくで水を移して、墓石に頭からかける。

 

「ここにいるのね、私の妹なんだよ」

 

紗夜さんの手からたわしをむしり取った。頑固な汚れだけこすり落として、持ってきたスポンジで頭をこすっていく。

 

「双子でね。ももって名前。お姉ちゃんとは呼ばなくてね、いつも、葵、葵って。お風呂入ってね、頭洗ってあげるのが、すごく好きだった」

 

墓石の頭の範囲がどこなのかはわからない。たぶん肩当たり、もっと下にと全身をこする。

 

「二卵性で、見た目は私には似てなかった。ちょうど…燐子ちゃんみたいな感じかな。アイドルになりたい、って言って養成所行ってた」

 

台座のお水を入れる部分をたわしでごしごしこする。たばこの副流煙がキライって言ってたから、お線香はたかない。

 

「抱きしめてあげるのが、好きだったの。夜になって帰ってきて、ただいまって言ったの。中学生だったのにおじさんみたいに裂きイカとコーラばかり食べてたの」

 

「すっごくいい子だった。恋愛感情は私にはなかったけど、勘違いか本心かわからないほどの愛情をぶつけてくれた。私もその分だけ、大好きだよっていったの」

 

袋のまま、ももに裂きイカを投げた。ももがおいしそうに食べている間に榊をいける。

 

「私が持ってるリング、片方はももの物だった。事故で死ぬまでは。お祭りの景品だったの。二人で行った時の」

 

「ごめんねって、もも言ったの。きっと私がこうなるってわかってたから。ちょっと前まで、死ぬことなんて、死なれることなんて考えてなかった。こんなにも、よくわからないものだなんて思わなかった」

 

となりのきみはもういない

 

耐えきれなくなって、隣にいた氷川さんを抱きしめた。

 

「もう私も死んじゃいたい。そう言うたびに、ももが言うの。もうちょっとだけ頑張ってって」

 

「ももが悲しそうな顔で言うの。そうしたら私は、大丈夫だからって、言うしかないじゃない」

 

抱きしめた氷川さんの緑色の頭を撫でた。

 

「ずるい、紗夜さんがずるい。わたしも、ももの笑顔が見たい。でも、もう会いに行けないから、笑えなくて。そうしたら、ももは、笑ってくれない」

 

 

支えてくれる誰かがいる、貴女がうらやましい

 

 

 

 

 

 

 




短め

私は氷川さんのとこのお子さんに限らず双子をを何回かころがしちゃってるんですけど、それって結構死んだところで終わることが多いんですよね

生きなければいけない人が書いてみたかった



長め


ちょっと忙しかったり鬱ってたりしたけど何とかなったので投稿
正直こんかいちょっとふげえ(擬声語)ってかんじだけど、次は「お姉ちゃん4」か「触れたくて2」
うまくいけばまた明日投稿

今回の名前、葵と茜にしようかと思ったけど、さすがに参考にしたキャラが透けるかなって。葵ちゃんを不安定に書きすぎた結果イメージがまとまらなくて感覚としてどんな人かが薄いと思う。文章量少なめなのもあるけど。


蛇足


を書こうと思ったけど特に書くことがない
というかお姉ちゃんか触れたくてで書きたい

燐子ちゃんぺろぺろ
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