氷川さんが出てくるだけの短編
オリキャラ支店
今回の行事は、名目的には校外学習だ。
日帰りでなく一晩泊まったり、学習と銘打ちつつ初夏の山の中でアスレチックや山歩き、川辺で遊んだりと高校生の女の子たちが体験するような行事ではないように思えるが……小さかった頃のように自然の中や川の水面をはね回るのはとても楽しく、カレーライスの焦げ付いたお米や不揃いで崩れかけたじゃがいもなんかに懐かしさを感じてしまった。
お母さんは、お父さんは、妹は元気にやっているのだろうか。
春先にあったはずなのにもう恋しい。
高校三年生になった私たちは、大半が大学の受験を考えているんだと思う。
進路もおおかた決まっているだろう。
受験勉強にも熱が入り、ちょうどその直後の校外学習はいい意味で緊張が抜けていいのではないだろうか。
私はというとなかなか決めきれずにいるのだけれども。
さて、今回とまるお宿(宿泊施設という意味であって旅館のようなニュアンスではない)は、こんな学校単位で来ることを想定して作られた建物らしく、一班4人で一つの部屋になっている。
ちょっと懐かしい二段ベッドが二つ並んでいて、テーブルがあって、椅子があって、小さめなテレビと冷蔵庫、ベランダがあって外に出れて、山の上から街のほうを見下ろす形になっているので眺望はいい。
友達と山の中で遊び終えた後、晩御飯は広間のような場所で集まって立食形式。これにはすごく驚いた。こんなところで学習要素を詰め込んでくるのか。
テーブルマナーの基礎を思い出しつつ、はしゃがない、騒がない、子供らしくしないことを念頭にやってはみたが、視線が結構刺さっていたのでうまくいっていなかったのかもしれない。
料理の種類は、高校生という年齢にあったものなのではないだろうか。ポテトフライなどの子供に人気そうな揚げ物から、ちょっと高そうなフランスっぽい料理もあった。名前はわからなかったがすごくおいしかった。
食事の後には明日の説明があって各自解散、大浴場で入浴して勝手に寝なさいとなった。
温泉が湧いているというわけではないので、お湯自体が何か特別なものであるわけではない。でも、ただ広いだけでなく賑やかな浴場はとても楽しかった。
お風呂に入った後、ちょっとはしたない気もするけど髪にタオルを巻いてお部屋へ。扉を開けたけど、お部屋にはまだ誰もいなかった。そういえば二人は別のお部屋に遊びに行くと言っていたっけ。
ドライヤーを持ってきたのでそれを出そうとカバンを開けた。
ついでに明日への準備もしておこうとポケットやカバンの底を探ったが、どうやら忘れ物をしてしまったらしい。仕方ないのでドライヤーと、明日の朝飲む予定だったペットボトルの紅茶を出してテーブルの上に置いた。
テーブルの近くにコンセントがあるのでそこにプラグを刺す。
ちょっと古めのドライヤーは、温かい息を吐き出してくれた。床に座り込んで長ったらしい髪を乾かし始める。
根元あたりまで湿り気がなくなったころに、部屋の扉が開いた。
氷川さんだった。
ちょっとおかしいかな、と思いながらもお帰りなさいと呟いた。
「ほかの二人はどちらに行かれたか知っていますか?」
「お友達の部屋に。…314に、消灯までには戻るから、見逃してくれないなら呼びに来てって」
氷川さんは、なんで私が呼びにいかないといけないの、子供じゃないんだから、と小さく笑った。
「氷川さん」
カバンの中に昼間着ていた服を詰め終えた氷川さんに、手に持ったドライヤーをとんとんと叩きながら声をかけてみる。躊躇うそぶりは少しあったが、おそらく『氷川さんも使う?』あたりだと勘違いしているのだろう。
「いいんですか?」
「はい」
ゆかに座ったままの私に氷川さんが歩み寄ってくる。
ドライヤーを持ったままの手を差し出し、伸びてきた氷川さんの手をつかんで、ゆっくりと座らせる。
「あ、あの、」
「…見つめてくれるのはうれしいけど、向き合ったままじゃ髪、乾かせませんよ?」
張り詰めた笑顔で押し通して、氷川さんをむこうに向ける。
ドライヤーのスイッチを入れて、温風を緑色にあてる。
「あつくない?」
「…ええ」
表情は見えないけど、なんだか嬉しい。
少しだけ身体を寄せてみて、撫でるみたいに髪を触って、
私よりいくぶんか短いので、その分時間も少なく終わってしまう。
「有難うございます」
「つきあってくれて、ありがとう」
氷川さんが自分の髪を触った。どういうわけか知らないけど嬉しくなった。
使い終わったドライヤーをカバンの中にしまって、そういえば携帯電話も充電しておこうとコードとアダプターと電源タップを拾い上げる。
ドライヤーがあった場所にタップをつないでアダプターを刺してコードを接続して、スマートフォンの画面が一瞬ついて、すぐに消える。
この部屋は、電源が少なめなのが難点だろうか?氷川さんに、コレ使っていいからね、とタップを指す。
よいしょ、と小さく呟いて立ち上がって、紅茶のペットボトルの横の椅子に座った。
ペットボトルを拾って、抱えて、部屋のLED照明の光を反射して薄く白い網戸越しに街を見下ろしてみた。
ひかりが増えてくるあたりが山のすその境界あたりかな、とあたりをつけて眺めてみると、光にもいろんな色があったり、動いているものは乗り物なのかな、と思ったり、ちろちろ揺れているのもあった。
見えるはずのない家を探してみたり。
「…氷川さん…おねがいがあるの」
目線は窓のほうに向けたまま。お願いする態度とは言い難い。
きゅうっとボトルを抱いた。
小さく返事があった。
「お薬忘れちゃって、…いっしょに寝てくれませんか」
氷川さんの顔は見えない。
紅茶といっしょに夜を過ごす覚悟を決めたときに。
「…いいですよ」
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『やばいよひーちゃん、消灯すぎちゃったよ』
『れんがトランプ握って離さないからでしょ』
『だって、あとちょっとで勝てそうだったし…氷川さん怒ってるよね。姫ちゃんかばってくれたりしないかな』
『姫ちゃんのことだからもうぐっすり寝てそうだけど。…ドア開けたらゴメンナサイだよ』
『わかってるって。…こ、こんばんわー』
『氷川さん、ごめんなさい、……』
『…もう寝ちゃったのかな?』
『電気消えてるしたぶんそうでしょ』
『起こさないように早く寝よっか』
『じゃあ無駄口叩かないでよ。あと電気もつけないで』
『ひーちゃん、私夜目きかないんだけど』
『スマホのライトかなんかでいいでしょ』
『そっか………ゎあ』
『…何よ』
『ひーちゃん、これは絶対見たほうがいい』
『だから何なのよ……ぁ』
『うつくしい…尊い…』
『うちの見た目いい風紀委員と眠り姫が一緒に寝てる…むり…』
『遊んでる姫ちゃんやばかわいかったもんね。なのにご飯のとき風格なんかすごかったし』
『氷川さんの服学校のださジャージなのもすっごくぽくていい…顔がいい…』
『え、氷川さん姫ちゃん抱いてるよ』
『姫ちゃんのふくえっちじゃん。ねぐりじぇ?下着?』
『…あのさ、私達も一緒に寝ない?これ見てからひとりはちょっと寂しいよ』
『いいケド、…へんなことしないでよ』
『さすがにわきまえるよ。…じゃあね、おやすみ、氷川さん、姫ちゃん』
『おやすみなさい』
『……もうちょっとそっちよってよ』
『くっつけていいじゃないの。我慢して』
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「おやすみ、氷川さん、姫ちゃん」
「おやすみなさい」
ふたつ声が聞こえた、
薄く目を開くと、氷川さんが穏やかな寝息を立てている。
きっと二人がかえってきたんだろう
もういちど目を閉じた。
手を伸ばさなくてもぬくもりを感じられた。
嬉しくなって目を開くと、氷川さんの寝顔が見えた。
もう一度目を閉じた。
短め 聖母系キャラ×氷川さんがありなんじゃないかと思う近頃
長め 今回のは眠れない1ベースにごちゃごちゃしただけの。姫ちゃんがちょっとうれしそうにしてるだけで、環境の変化が十分伝わるかどうか…文字書き精進続けます
ひーちゃんとれんは多分もう出ません
蛇足 うまくいけば明日ろぜりあ人外
蛇足2 どりふぇす限かのちゃんの表情えっちすぎん??????
耐えきれず溜まってた40憐回したけどリサ姉様と桐ケ谷さんしか出んかった