バンドリ短編   作:天城修慧/雨晴恋歌

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予告無視してさよひな

手ぐせで書いた。

BAD END?

改行はスマホサイズに考えて開けたけど環境によっては想定したように見えないしもうどうでもいいか


届かない(さよひな)

 

 

 

 

「おねーちゃん」

 

「どうしたの、日菜」

 

いつまで待ってもその先が聞こえないので手元の本から目を移そうとすると。

 

「日菜?」

 

日菜の手が私の首を掴んだ。

 

「おねーちゃん」

 

掴む力はそれほど強くはない。

 

それでも筋をしっかり押さえられ、喉の正面下あたりには親指があてがわれ息苦しさを感じた。

 

「おねーちゃんは、どうしてあたしのおねーちゃんなの?」

 

親指に力がこもるたびに、喉奥に塊の不快感が生じる。

 

「…どういうことなの」

 

「おねーちゃんは、いつまであたしのおねーちゃんなの?おねーちゃんが死んで五分たったら、おねーちゃんとの時間が埋まったら、おねーちゃんじゃなくなっちゃうの?」

 

「それは…」

 

不快感を押し込めたまま声を出した。

 

「日菜がおねーちゃんって呼んでくれる限りは、私は日菜のお姉ちゃんよ」

 

日菜の手が解けた。かわりに私の手を掴んで自分の首を握らせた。

 

「じゃあ、あたしが死んじゃったら?」

 

つばを飲み込んだ喉が揺れた。

 

「あたしがおねーちゃんを呼べなくなったら、おねーちゃんじゃないの?」

 

「私が日菜のことを覚えてる限りは、ずっと日菜のお姉ちゃんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おねーちゃん」

 

また日菜が私を呼んだ。

 

「なに?」

 

日菜の方を向くと、人差し指で額をちょんと刺される。

 

「もしおねーちゃんが死んじゃったら」

 

次に日菜は握った何かを自分の喉に押し付けるフリをした。

 

「あたし、五分後に死にたいな」

 

「……どうして」

 

「あたしはね、おねーちゃんと同じだけの時間を生きたいの。ぴったり5分間の差。それだけ、あたしはおねーちゃんがこの世界にいない時間を生きてから死にたい」

 

「そう…」

 

隣の日菜の体を無理矢理抱き寄せた。

 

「私は日菜と一緒に死にたいわ。最後まで抱き合って、そのまま一緒に逝きたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おねーちゃん……紗夜ちゃん」

 

「…どうしたの日菜」

 

日菜が、私の名前を呼んだ。

 

「紗夜ちゃん…おねーちゃん」

 

「どっちかにして」

 

「どっちがいい?」

 

日菜は小さく首を傾けて私に聞く。

 

「……おねーちゃんの方がいいわ」

 

「どうして?」

 

だって

 

「おねーちゃんは日菜だけの特別だからよ。私をおねーちゃんと呼べるのは、呼んでくれるのは日菜だけなの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おねーちゃん」

 

日菜が私を呼んだ。

 

「もしさ、この世界の何もかもが嫌になったら」

 

「…それは丸山さん達に失礼よ」

 

「だからもしもだって」

 

日菜は顔をうつむけたまま続ける。

 

「もしこの世界の何もかもが嫌になったら」

 

 

あたしと一緒に死んでくれる?

 

ええ。もちろん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おねーちゃん」

 

「なに?」

 

「あたしが今何考えてたかわかる?」

 

「…ええ。」

 

「じゃあ、せーので言って」

 

「私が言うのが嫌だとは思わないの?」

 

「嫌なの?」

 

「まさか」

 

「じゃあ、せーの」

 

 

 

 

『大好き」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「大好き」

 

 

自分が発した声で起きた。

 

「ひ…な?」

 

ベッドの上だった。

 

カーテンの隙間からはまだ暗闇が覗いている。

 

枕元に置いたスマートフォンを探ると、時刻はまだ3時を超えていない。

 

「……夢、なのね」

 

もう一度体を横たえて今見た夢に想いを馳せた。

 

 

 

 

場所は家のリビングだったように思う。

 

きっとソファーに座っていた。

 

呼んでいた本はなんだったか。

 

日菜が隣にいた。

 

そう。

 

日菜が隣にいた。

 

 

「ひな…っ‼︎」

 

もう日菜はいない。

 

もう日菜は私のことを呼んでくれない。

 

日菜が私より長く生きることは無かった。

 

おねーちゃんと呼ぶ声を、もう1ヶ月聞いていない。

 

日菜は、私を置いて1人で先に逝ってしまった。

 

 

いつもそうだった。

 

いつも、先に生まれた私を追い越して、どんどん進んでいった。

 

私が追いかけても届かない場所にいた。

 

私は、日菜の後を追えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おねーちゃん」

 

日菜に呼ばれた気がした。

 

いつのまにか空いていた窓からか風がふきこんで来てカーテンを揺らす。

 

ベッドから起き上がって、ベランダへと歩いていく。

 

夜空を見上げると、満面の星空が広がっていた。

 

「…日菜!」

 

そこに、日菜はいた。

 

「どこにっていっていたの!」

 

日菜はまた私を呼んだ。

 

「貴女に置いていかれるのが、どれだけ辛かったか…!」

 

ベランダの手すりに足をかけた。

 

「日菜っ!」

 

手を伸ばす。

 

「日菜」

 

もっと先へ。

 

もっと上へ、

 

あのこのとなりへ

 

ひなといっしょに

 

 

持てる力を全て使って、私は日菜に手を伸ばして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

届かずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ちて

 

 

落ちて

 

落ちて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐしゃり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




短めに

予告無視してすみません


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長めに


今回のさよひなは紗夜ちゃんを追い詰めたくて書きました。

遠くに行ってしまった日菜ちゃん。

届かなかった紗夜さんの話。


さよひなでおかしな話に触れすぎたせいでこっち向きに嗜好が歪んでる気がしないでもないけど次は幸せな話書きます。





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蛇足


友希那さんが好きな知り合いがいるんですよ。

知り合いが『友希那さん』って呼ぶから話をするときはそれに合わせて呼ぶようにしてたんですけど紗夜さんの湊さん呼びが染み付いちゃってついうっかり『湊さん』って呼んでしまいました。

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